北京でのコロナ第二波抑え込み策

北京ではコロナウイルス感染が一度収束した後、卸売市場で発生した集団感染から第二波が起きていた。

ここで注意すべき点は、
北京市は、「10日間で250人の新規感染者」とか、「2日続けて100人以上の感染」を以って第二波と認識していることだ。東京の現状を見ると、驚くほど少ない感染者数の増加で、第二波と認識し、果断な対応をしているのだ。

北京市政府はこうした感染者の増加から、6月16日に警戒レベル2を発令すると同時に、武漢でのピーク時と同様の2つの措置(以下に詳述)を取り入れた。

その結果、北京市は7月6日から新規感染者がゼロになり、その14日間後の7月20日から警戒レベルを3に緩和した。

1カ月という短期間で感染の抑制に成功したのは、以下の2つの措置をとったからだ。

①大規模な実施PCR検査の実施
6月11日から7月2 日までの間に、感染が見つかった卸売市場周辺の1,006万人を対象にPCR検査を実施した。1日当たりの検査数は50万人(日本の現状からは想像を絶する大きさだ)に拡大した。
②厳しい統制の実施
・無症状感染者を含めて感染者を早期隔離し、経過観察・集中治療を行った。
・感染リスクの高い地域を早期にロックダウンした。
・北京市民が北京を離れる場合は7日間以内のPCR検査の陰性証明が必要とし、市民の市外への移動を制限した。
・感染リスクが高いとみられる北京市の周辺地域をロックダウンした。

PCR検査の件数の彼我の違いは何故なのであろうか?
以前ブログに書いたが、日本にはまだ「100発100中の砲1門は100発1中の砲100門に相当する」考えがあるようだ。クラスターを個別に精緻に叩いていけばコロナ禍は防げるという考えが根強くあるようだ。
今や戦いのルールは変わり、面で制圧しない限りウィルスに勝てない。PCRという基本的な兵器で日本は負けているのに、専門家にもそういう認識は薄いようだ。
しかも、Go Go Travelという戦術は、何を狙っているか全く不明だ。主戦場から転進しているように見える。コロナ戦争でのガダルカナル化を恐れる。

(2020.7.21)

大手町1-1-1

今日、表記の住所に行った。

この住所には以前、三和銀行の本店ビルがあった。
1975年に三和に入行した私は、1973年竣工の黒い重厚なビルに通算5年、勤務した。
1990年当時、大手町には、富士、住友、協和、大和、興銀、長銀が本社を構えていたが、1-1-1という住所に誇りを感じたものだ。

現在、ビルの名は「大手町パークビルディング」だ。。

三和銀行(後にUFJ銀行)が2002年ごろ不良資産処理の過程で本社ビルを三菱地所に売却し生き残りを模索したが、結局、三菱東京銀行に吸収合併されることになった。その後三菱地所は三和の本社ビルを壊して大手町パークビルを竣工した。

自分自身は、三和がUFJになる前に転職しており、UFJが三菱に収合併された際も、まだ銀行に残っていた友人たちが苦労するだろうと思ったがそれ以上の感慨はなかった。

今日は、本店の変貌を見て、やはり吸収する側にならないとダメだと思った。
以前ユジノサハリンスクに旅行した時に、日本統治時代の樺太神社が壊され、現在は栄光広場と呼ばれ、ロシアの第二次大戦に使用した数台の戦車が山の上の本殿の跡地に展示されているのを見て、戦争には負けたくないものだと強く感じたのに、似た感慨だ。

ここまで書いてきて、ビルの変遷を勝ち負けに結び付けるのは正しくないかもしれないと思い至った。
何故なら、富士、住友、協和、大和、興銀、長銀、
大手町にあった都銀の本店のすべてが、以前のビルとしては存続していない。

IT化、OA化の進展で使い勝手の悪いビルはドンドンスクラップアンドビルドが進んで現在のような姿になった。

今後は、リモートワークの進展で、銀行の本部業務の多くがリモートで行うことが可能になるだろう。

大手町にある銀行本部ビルのいくつが生き残ってゆけるだろうか。

(2020.7.20)

革新をもたらす8つの要素

McKinseyの最近のニューズレターに革新をもたらす8つの要素についての面白い論考があったので紹介したい。

革新には3つの種類がある。
1.製品の革新product innovation
iPhoneを想起されたい
2.プロセスの革新process innovation
droneを使った配送を想起されたい
3.ビジネスモデル革新business model innovation
DellがPCの直販を始めたことを想起されたい

創造性はなければ革新は起きないが、革新innovationと創造性creativityは何が違うか。創造性が実現deliverされなければ革新にならない。つまり、Innovation = Creativity + Delivery である。

コロナ禍で、既存ビジネスの先行きが不透明である、じり貧であるといった企業では、革新こそが生き残る道である。

では革新を起こす秘策はあるのか?革新を起こす要素を知るべきであると説く。

革新を起こす8つの要素は以下。
創造性を起こす4要素。
・Aspire put numbers on it
・Choose place clear bets
・Discover insights over ideas
・Evolve or risk extinction
力強く実現するための4要素。
・Accelerate make horses not camels
・Scale go big relatively
・Extend be the partner of choice
・Mobilize go beyond structure

という風にMcKinseyの議論は展開するが、
難しいのは、8つの要素の手触り感が乏しい点だ。

特に、一番重視されるAspireが理解しにくい。
単なる志や願いではだめだ。
具体的に革新を通じて達成したい数値目標を立てると良いと説く。

結論としては、
「この8つの要素を組織が考えて実施して行けば革新が行われる可能性が高まる。何一つ実施しなくても運よく革新を成し遂げる企業が無いわけではないが、可能性はずっと低くなる」
ということで、これはこれで理解できる。

個別の8要素への取り組み方は、McKinseyのコンサルを受けなければならないということだろうか。

(2020.7.19)

もう一杯いかがですか?

レストランで食事をする際に飲み物を取るのは楽しみの一つだ。

一杯の飲み物が終わりに近づき、食事の進み方とのかねあいで、もう一杯頼もうか迷うことが多い。一流レストランであれば飲み物もそれなりの値段であり、躊躇することもある。

こうしたときに、「もう一杯いかがですか?」と聞かれると、二杯目を頼むことが、私の場合は、普通だ。

「もう一杯いかがですか」と尋ねられるのはソムリエからが多い。一流レストランのソムリエは、必ず聞いてくる。食事に合った飲み物を勧めたいというプロ精神のなせる業でもあろう。

一流ホテルのレストランでもソムリエがいない処だと、聞かれるのは3割程度、というのが実感だ。

これが、居酒屋系飲食店(特に大手チェーン)になると、「もう一杯いかがですか」と聞かれることはほぼ皆無だ。店員に外国人パートが多い。タッチパネルの導入が進んでいる。といった理由で、顧客とのコミュニケーションが少なくなっている。大手チェーンでも教育が行き届かない。

コロナ禍で、居酒屋系飲食店の経営は非常に厳しい。売り上げを少しでも上げるためには入店してくれた顧客あたりの売り上げを増やすのが最も確実だ。

「もう一杯いかがですか」と声掛けできるところだけが生き残ってゆけると思われる。

(2020.7.18)

仕事の難しさと時間距離

一般に事業を展開する難しさは時間距離に比例すると言われる。
東京本社の会社が横浜に支店を作るのと(時間1時間)新潟に支店を作るのでは(時間3時間)、新潟のほうが3倍難しいという考えだ。
本社の経営者がどれだけ頻繁に行こうと考えても、最後の瞬間になって行かない理由を見つけるのはとても簡単だ。本社の意向が届かずモニターも効きにくい。

これが海外だと、難しさは、時間距離の2乗に比例すると言われる。東京本社が香港で支店を作るとすると(時間距離5時間)25倍の仕事の難しさになる。

一般論ではこうだが、乗り越えなくてはならない壁だとも言える。

我が国の中小企業でも、日本にとどまらず、海外に現地法人や工場を作り、海外を主戦場にしている活きの良い会社も増えてきている。このような会社では、経営者の強い意志と、運営を支えていける従業員層が、支えになっている。

昨今のリモート勤務の環境整備の進展も、時間距離の壁を乗り越える力強い味方だ。かなりのレベルのコミュニケーションが国内でリモートで出来るようになった。国内で出来さえすれば、国内と海外との違いは時差ぐらいだ。

拡大の望めない日本市場に見切りをつけ海外市場に展開したい企業は、まず、国内でのリモート環境を使いこなす従業員層の育成が第一歩になると思われる。

その際には、何回かにわたって説明した文化人類学的な異文化コミュニケーションの考えが役立つはずだ。

(2020.7.17)