ALSに苦しむ女性を嘱託殺人したとして二人の医師が逮捕された。
日本では「消極的安楽死(いわゆる尊厳死。延命治療せずに患者を死に至らしめる)」は認められるようになってきたが、「積極的安楽死(不治の病に苦しむ患者ののぞみに従い医師が死に至る薬を処方する)」は認められていない。
今回の事件を見ると、先進するオランダや安楽死を認めている西欧諸国の基準によれば、医師の責任が問われることは無いように思う。
医師の片方がかなり過激な議論をSNSで発信していたり、もう片方が医師のライセンス取得に疑義があることはここでは問わない。もう少しましな医者だったらもっとまともな議論が深まったであろうに残念だ。
いずれにしても、今回の事件を機に我が国で「安楽死」についての議論が深まることを期待したい。
「死」を考えるには、Death(邦題:「死」を考える)を著したDr KaganのYale大学での講演のすべてをYoutubeで見ることが可能である。Death Yale KaganとでもGoogleに入力すればシリーズを聴講することが可能だ。
ラテン語でMemento Mori (死を思え)という言葉がある。よく生きる者はよく死ぬ者であろう。
空けない梅雨空をまえに、こんな哲学的なことに思いをはせるのもたまには良い。
(2020.7.26)