夏を乗り切る

現在滞在している那須は、一般的には避暑地のイメージがあるが、酷暑でエアコンが必要だと思い始めた。

日本の家は夏向きか冬向きか:
ずいぶん前に読んだ本に、明治初期に日本に来たお雇い外国人が耐えられなかったのは冬の寒さだと書かれていた記憶がある。
広い廊下、障子戸やふすま、木の戸、いずれも夏の暑さをしのぐためにできているが、冬は寒気をまるで防ぐことが出来ない。
当時の日本人は冬の寒さより夏の暑さに弱かったのかもしれなし。暑さをしのぐために、廊下、障子戸、ふすま、木の戸が工夫された。これは、気候への消極的な対応だ。

気候への積極的対応:
「部屋の中の空気の温度を自分の好きなレベルにしてしまえばよい」という考えは、気候への積極的な対応で有ろう。では、エアコンは誰が発明したのだろうか。世界初の電気式のエアコンは1902年にシラキュースのウィリス・キャリアーが印刷工場の温度と湿度を調整するために使用し始めたのが始まりだという。
1930年にキャリアは自分の会社を創業。その後世界最大の空調会社へと成長して行く。

工夫と改善で暑さに耐える日本流に比べ、プレーしているグランドの状況を変えてしまおうと言うのは、積極的な取り組みだ。

コロナカ禍で、今までの経営のやり方の継続では、じり貧に陥る可能性が高い。与えられた環境を所与とするのではなく、積極的に取り換える発想も必要だ。

(2020.8.18)

ビッグマック指数

世界の物価(あるいは実効為替レートと言ってもいい)をマクドナルドのビッグマックの価格を使って比較しようというのがビッグマック指数だ。
2020年の指数が以下に示されているので参照されたい。https://ecodb.net/ranking/bigmac_index.html

アメリカがベンチマークになる。一個5.71 ドルの値段がついており、107.23円で換算すると、613円になる。
日本では一個390円。ドルに@107.23で換算すると3.64ドルになる。アメリカでの価格5,71ドルと比べると36.3%も安い。この-36.3というのがビッグマック指数(BMI)だ。日本のBMIは-36.3である。

2020年で見るとアメリカよりビッグマックの価格が割高な(つまりBMIがプラスの)国は3か国しかない。

1位スイス+20.94、2位レバノン+4,24、3位スウェーデン+0.80だ。
国家破綻しているレバノンを除き、いかにも物価の高そうな国々だ。

アジア圏では、14位シンガポール4.25ドル、15位タイ4.08ドル、20位韓国3.75ドル、そして日本は25位3.64ドルになる。さらに、37位中国3.10ドル、39位フィリピン2.87ドル、41位ベトナム2.85ドル、と続く。

日本の価格の安さには驚く。このBM の価格は労働者の収入に比べてどんな水準であろうか。

現在東京都の最低時給は1018円だから、東京の労働者は一時間働くと2.6個のビッグマックを食べることができる。
こうした最低賃金とビッグマックの値段を比較すると以下のようになる。
一時間働いていくつBMが食べられるか
日本(東京)    2.6
韓国       1.2
中国       0.8
ベトナム              0.4
ニューヨーク州  2.0
スイス          1.9

デフレ傾向を脱していない日本は、ばかばかしいほど暮らしやすい国のようだ。

消費者の皆さん:デフレ脱却を目指して、アメリカ並みに一個613円のビッグマックを食べる決心は出来ていますか?

経営者の皆さん:自分の商品のValueに自信を持っていますか?価格引き下げ競争から、Valueを提供し適切な価格を請求する方向へ舵を切ることは可能ですか?

(2020.8.16)

日航機墜落から35年

昭和60年(1985年)8月12日に起きた日本航空123便墜落から35年経った。8月には粛然たる気持ちになる日が多くあるが、自分自身が実感を持てるのはこの事件だけだ。

【歴史的な事故】
それは歴史的な大事故だった。
・墜落するはずがないと信じられていた日本航空(のジャンボ機)が520人の死者を出す航空史上最悪の事故を起こした。
・多くのビジネスマンが働き盛りの命を落とした。
・驚くべきことに4人の生存者がいた。救出活動が早ければもっと多くの命を救えたかもしれない。
その後、事故調査報告書が公表されたが、一読しても、誰のどの行為が事故に結びついたのか、事故原因が判然としない。

【戦後の折り返し点】
敗戦から75年、日航機事故から35年。とすれば
この事故は戦後日本の折り返し地点で起きた事故と見ることも出来る。

1975年ころから言われだした「一億総中流」という言葉に影が差し始めた頃ではなかろうか?自分が中流だと思う人が90%、上・下流は合計10%という意識に変化が出始めたころだと思う。

円高の進展、日経平均の上昇基調、地価の上昇により、上流階級はよりリッチに、中流から下流に滑り落ちる人が出てくる社会情勢だった。地価と株価の上昇は1989年末のバブル破裂まで続き、社会の分断は広まった。

エズラ・ボーゲルのJapan As Number 1が出されたのが1979年。日本は経済面のみに感心が行き浮かれていた。本来、国力の上昇期に解決しておくべき、韓国、中国、ロシアとの歴史問題・領土問題への真摯な取り組みが出来なかった。

【安定した雇用環境の消滅】
フリーターという言葉は1986年に朝日新聞がフリーアルバイターという言葉を使い始めてから広まった(wikipediaより)。バブル期には、求人難のコンビニなどで自分の好きなように働く今風の若者の働き方だととらえられていた。

しかし、バブル崩壊後の就職氷河期を経て、現在、非正規雇用が就業者の37%を占める不安定な日本になるとはそのころ誰が予想しただろうか。

【大企業はつぶれない神話の崩壊】
事故を起こした日本航空が不満経営で2010年に経営破綻するのは事故の25年後だ。

1997の金融危機で、山一証券や北海道拓殖銀行がつぶれたが、これは事故の12年後に過ぎない。2000年代初頭には、金融庁による金融機関の不良資産半減の掛け声の下、多くの大企業が倒産した。

現在でも大企業の人件費圧縮圧力は強く、フルタイマーでも明日の雇用はわからない状況になっている。

【高齢者人口の増加】
日航機事故で多くの働き盛りの人を失ったと書いた。人口統計を見るとそれもそのはずで、65歳以上の高齢者が人口に占める割合は1985年には12.5%。2020年の推計は37%である。

日航機墜落事故は航空機事故としても重大だが、戦後の歴史の変換点と見てもとても重大だとご理解いただけるだろう。

(2020.8.15)

Glass Ceiling

女性が社会の階段を上がろうとするとガラスの天井があり頭を押さえられそれ以上上昇できない。それを指す言葉がGlass Ceiling だ。

バイデン大統領候補が副大統領候補に選んだ Kamala Harrisはガラスの天井を突破してきた女性だ。

父親はジャマイカから、母親はインドからの移民だ。
大学は黒人大学で有名なハワード大学へ進み、その後、カルフォルニア大学のHastings College of Lawを卒業し弁護士になった。

この大学院は全米でも中位の学校で、彼女は特別成績優秀というわけでもない。その後、地方の司法局を皮切りに、2003年にはサンフランシスコ市の、2010年にはカリフォルニア州の司法長官に就任している。
さらに2016年にカリフォルニア選出の上院議員に当選している。

この経歴を見ると、とても職業の選択が上手で、政治家に向いた人のようだ。
演説はとても上手で説得力のある話し方だ。ヒラリー・クリントンのように頭の良さが鼻につく感じは(いまのところは)無い。

もし、今年バイデンがトランプを破って大統領になっても、80歳を超える二期目は無く、普通であれば副大統領の彼女が大統領候補になるのが妥当だ。
バイデンが今年トランプに敗れても、次回大統領選で民主党の候補に選ばれる可能性が高いだろう。

こうしてみると、今年の大統領選挙の結果がどうなろうとも、2024年には米国のガラスの天井の最終段階を突破する女性を世界は見ることになりそうだ。

(2020.8.14)

国際化して勝つということ

グローバル経済が進展した新自由主義の時代には、国際化は善と単純に信じられてきた。

我が国企業の場合、国内市場がそこそこ大きいので、日本市場に軸足を置いた国際化であった。国内市場が小さい韓国や台湾企業の国際化とは大きく異なる。日本企業に体力があった時代は、国内市場を軸にして、それに塩コショウで味付けして海外市場に対応してきた。こうしたおっとり刀ではもう勝てないのは明らかになった。

とはいっても、市場への取り組み方はマーケティング問題であり、解決は比較的容易だ。
困難なのは人材・経営陣の国際化だ。

売上の過半を海外で稼ぐ企業でも、役員の人員構成の多様化は進まず、外国人を取締役に迎える企業はとても少ない。
外国人が取締役に多い(多かった)のは、カルロス・ゴーンがCEOをしていた時の日産とか、海外の大型買収を行った武田や日本板硝子等、指折り数えるほどであろう。
我が国の商社や金融機関は経営陣が国際化していない典型だ。

筆者が金融機関に居たときは、売り上げや収益のたらずまいは、国際部門や市場部門で(根拠もなく)数字をかさ上げしていた。こんなことは日本人が経営陣を固めている企業でこそできる数字合わせの悪しき実例だ。

これから海外展開を本当に考える企業は、経営能力があり、数か国語が操れ、ITにも精通した経営層(できれば日本人から始める)を揃えなければ話にならない。そして、その人たちが企業理念を熱く説き、賛同する優秀な外国人マネージャーが集まり、わいわいがやがや議論して、新しい戦略がふつふつと湧いてくる会社。そうならないと海外のトップ企業に対抗して勝ち抜いて行けない。

(2020.8.11)