世界の動き 2022年10月7日 金曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「情報伝達の2要素」
 情報を扱う際に考えないといけないのは「透明性」と「即時性」だ。最近の政治に関する情報はこれらを満たさないケースが多い。良い情報は遅れても良い。悪い情報は「即時に」「透明に」公開することが重要だ。

ニューヨークタイムズ記事
1.タイでの銃乱射事件
【記事要旨】
 銃とナイフを持った男がタイ東北部の児童施設で24人の子供を含む36人を殺害した。犯人は34歳の麻薬所持で解雇された元警察官。犯行後自宅で妻と4歳の子供を殺害後自殺した。タイはアジアで最大の銃の保有国で銃による殺人は多いが大量殺害は珍しい。
【コメント】
 昔タイに勤務していたころ、日系企業の役員が運転手を解雇したら銃弾と脅迫状が届き国外へしばらく非難したことがあった。警官の銃管理もゆるそうで、今回の事件の下地はあったということかもしれない。

2.ロシアで不満が高まる
【記事要旨】
 ウクライナ侵攻支持派の中でプーチンへの批判が高まる。特に侵攻の失敗をショイグ国防相に求め辞任を要求する声が大きい。ブロガーから始まった批判はロシア軍の部分撤退後は高官にも広まっている。追加動員策は支持されているがその実施の拙さが批判されている。声高な批判はチェチェン共和国の指導者から始まり全国的に広がっている。
【コメント】
 侵攻支持派からも批判され、プーチンの選択肢は狭まってる。頼るのは核兵器だとすればウクライナの危機は全世界の危機になる。

3.中国の借金漬け政策
【記事要旨】
 中国は途上国に多額の融資を行い鉄道、港湾、ダム、空港、道路建設を支援してきた。中国はこれらの国を見捨てるか、もっと金を貸すか、少しの元本を放棄するのかと言った生殺与奪の権力がある。中国からの融資は変動金利が多く、最近の金利の上昇で多くの借入国が利払いと返済が困難になっている。
【コメント】
 中国の与える「借金の罠」は以前から指摘されていたが、近時のインフレで途上国はますます返済が困難になってる。中国は担保として建設したインフラの所有権・使用権を有する場合が多い。ちょうど戦前の日本が満州で満鉄をてこに支配を進めたのに似ている。

その他:
ミャンマーで日本人が有罪
Myanmar sentenced the Japanese documentary filmmaker Toru Kubota to 10 years in prison for violating sedition and communications laws.
(久保田徹さんの記事、日本で報道されましたっけ?気が付かなかった)
イランでの暴動
Universities across Iran have erupted in protests after being politically dormant for more than a decade, with students joining the unrest that has convulsed the cou「ntry for the past three weeks.
米はマリワナを合法化
President Biden pardoned thousands of people convicted of marijuana possession under U.S. law.
(日本にも影響のありそうな判断)

2022年10月7日 金曜日

世界の動き 2022年10月6日 木曜日

ニュータイムズ電子版より

今日の一言:
 「解散権」
 国会が開会された。国会開催中は首相は伝家の宝刀である解散権を行使できる。窮地に追い込まれた岸田首相は野党が不統一の機に乗じて解散に打って出る可能性がある。注目したい。

ニューヨークタイムズ記事
1.米国はウクライナがロシア人記者の暗殺を指示と確信
【記事要旨】
 米国情報筋は、ウラジーミル・プーチン大統領の世界観に大きく影響したとされる国家主義思想家の娘が乗った車が爆発して死亡した事件について、ウクライナの特殊部隊による犯行だと信じている。思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏(60)の娘ダリヤさん(29)は20日夜、首都モスクワ近郊で、運転していた車が爆発して死亡した。ドゥーギン氏は当初、同じ車に同乗する予定だったが、直前に別の車に乗ることにしたとロシア・メディアは報じており、ドゥーギン氏を対象にした攻撃だった可能性が、指摘されていた。米情報筋はウクライナからから相談を受けたことは無く、暗殺には否定的な見解だ。
【コメント】
 ウクライナ人ジャーナリストがロシアに暗殺された事件があったが「ウクライナの自作自演」だとの報道もある。どろどろした情報戦だ。

2.米国は台湾を軍事支援
【記事要旨】
 米国当局によれば台湾をハリネズミのように武器で守り中国の侵略を防ぐと語る。ペロシ訪台後の中国軍の演習は中国の侵攻能力を誇示した。台湾防御に必要な最新兵器はウクライナに送られており武器産業は台湾向けに生産ラインの増強をするのには否定的だ。バイデン政権は先月11憶ドルの台湾向け武器売却を承認している。
【コメント】
 ドローン、ジャベリン等々の先進兵器の有効性はウクライナで実証済みだ。

3.OPECとロシアは原油の減産を決定
【記事要旨】
 価格維持のために日量100万バレル(生産量の2%相当)の減産を決定する。ロシアを利するとの見方がある。この発表で米国ではガソリン価格が上昇し全米平均は1ガロン3.83ドルに達した。
【コメント】
 バイデン大統領は減産を最小限にするように圧力をかけていたが、大幅な減産になった。

その他:
激化するアジアの豪雨
South Asia’s monsoon is becoming stronger and less predictable because of climate change. Our interactive shows the places most at risk.
サウジで冬季アジア大会?
Saudi Arabia will host the Asian Winter Games in 2029 at what is planned to be a year-round ski resort there, according to The Associated Press.
オーストラリアは種の保存に努力
Australia announced a plan to prevent any more of its plant and animal species from going extinct, an ambitious goal for a country that has lost species at one of the highest rates in the world. Scientists and conservationists welcomed the 10-year plan, which commits to preserving 30 percent of Australia’s landmass and specifies protecting animals like the growling grass frog, but they worried that it would still prove to be insufficient.

2022年10月6日 木曜日

世界の動き 2022年10月5日 水曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
 「学際的研究の重要さ」
 今年のノーベル医学生理学賞はスバンテ・ペーボ氏に授与される。古代人と人類の進化に関するゲノム解析に関する研究が評価された。氏は、1955年ストックホルム生まれ。ドイツのミュンヘン大学、マックス・プランク研究所などで研究に従事。古代骨を用いてDNA解析を行い、ヒトの先祖のDNA配列を明らかにしてきた。2010年、ネアンデルタール人のゲノムを解読したことや、新系統のヒト属、「デニソワ人」を発見したこと等が評価された。同氏の成果は、同氏の医学、考古学、エジプト学の深い理解によるものだ。
 これからの研究は単に医学だけでなく「学際的研究」が必要だと考えた次第だ。ペーボ氏は沖縄科学技術大学院大学(OIST)のヒト進化ゲノミクスユニットの客員教授を務めており、日本でも学際的研究の高まりで期待できる。

ニューヨークタイムズ記事
1.ウクライナは南部で領土回復
【記事要旨】
 昨日ウクライナは南部ケルソン周辺を回復したと発表。回復した町は空っぽで廃墟と化している。東部で回復したリマンでは22000人の市民の5000人に電気が届かない。ロシアは20万人の訓練を開始と表明するが軍部内でも疑問視する声が上がる。米国からは625百万ドルの軍事援助の一部としてロケット発射機を供与する。
【コメント】
 違った視点で。ウクライナに無尽蔵に供与される武器はしっかり管理され記録されているのだろうか。戦時だからそんなはずがない。ミサイルや対戦車兵器が無尽蔵に周辺国やテロリストに流出する恐れがある。食い止めないと大変なことになる。

2.イーロン・マスクはTwitterに埋没する(caves)
【記事要旨】
 イーロン・マスクは、驚くべきことに、4月に合意した1株54・20ドルでの株式買い取りを再提案した。マスクは偽アカウント問題を理由に買収提案を撤回したが、10月に予定されている裁判で有利な判決を見込めないと判断し、改めて買収を提案した模様だ。Twitter社が同意すれば、総額約440億ドル(約6・3兆円)の買収が実現することになる。Twitter社は4月に買収提案の受け入れでマスクと合意したが、同氏は7月に買収の撤回を表明。その後、株価の下落や従業員の流出に苦しむTwitter社が買収の実行を求めてマスク氏を提訴していた。両者の裁判は10月に始まる予定となっている。買収が実現すればトランプ前大統領に追い風だ。
【コメント】
 偽アカウント問題で企業価値が大幅に毀損したTwitterの買収資金を、銀行はすんなりと出すのだろうか?まだ一波乱ありそうだ。

3.北朝鮮が日本上空を越えるミサイルを発射
【記事要旨】
 昨日の朝7時半ころ日本の北日本の住民は大音量の警報で起こされた。北朝鮮がミサイル発射し日本を越えて4500キロ先の太平洋に着弾した。日本を飛び越えるミサイルの発射は2017年以来だった。今年になって北朝鮮は既に23回のミサイル発射を繰り返し昨日まで日本人は慣れっこになっていた。
【コメント】
 北朝鮮は確実にミサイル発射技術を高めているようだ。日本を狙うミサイルとそうでないミサイルの区別は瞬時につくのだろうか。日本を狙うとわかったものは撃ち落とせるのだろうか。イージス艦は役に立つのだろうか。事実関係が不明だ。防衛力強化の議論が盛り上がるだろうか、事実に基づく議論でなければならない。

その他:
マルコス批判のジャーナリストが殺害される
A radio host who had been a prominent critic of Ferdinand Marcos Jr., the Philippine president, was killed during an ambush. He was the second journalist to be killed under the current Marcos presidency.
オペック+は価格維持を狙う
OPEC Plus, which includes Saudi Arabia and Russia, may announce a major cut in oil production today. But the move may barely register in global oil prices.
Micronはニューヨークで半導体投資
Micron pledged up to $100 billion to build a computer chip factory in New York, a sign that the U.S. government’s investments in semiconductors are steering businesses’ decisions.

2022年10月5日 水曜日

世界の動き 2022年10月4日 火曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「景気対策」
 またぞろ30兆円規模の「思いきった」景気対策が必要と叫ばれている。景気対策すなわち財政出動だ。過去30年間財政出動を繰り返した結果何が起こったか?日本のGDPは横ばいのままだ。必要なのは思い切った景気対策ではなく、思い「切った変革による起業家精神の高揚」だろう。戦後輝かしい星として世界市場を席巻した家電、鉄鋼、造船、自動車企業が疲弊しており取って代わる企業が見つからない。新しい成長企業を育てなければ、いくら財政出動しても日本経済は浮上しない。

ニューヨークタイムズ記事
1.インドネシアで怒りが高まる
【記事要旨】
 土曜日に地元チームの敗戦を契機に起きたスタジアムへのファンの乱入に対して警察が催涙弾を発砲したため出口に殺到した観衆125人(うち33人は子供)が死亡した事件を独立調査委員会が調べ始めた。催涙弾を発射した18人の警官が聴取され署長を含む9人が職務を停止された。スタジアムの出口は2か所しか開かれておらず観衆が殺到して圧死した。ジョコ大統領の政権下で警察の横暴は見逃され、汚職も広がっている。
【コメント】
 催涙ガスを簡単に発砲されてはたまったものではない。逃げ惑う際には皆同じ方へ、出口へ、向かう群集心理が働く。日本でも静岡の花火大会で多数の観客が圧死する事件が起きた。事件の原因究明は公表されたのだろうか。

2.ブラジル選挙の行方
【記事要旨】
 一回目投票では左派のルーラが48.4%を右派のボルソナロが43.23%を獲得し10月30日の決選投票に進む。ブラジルが抱える、環境破壊、広がる飢餓、経済不振、貧富の拡大と言った問題に二候補の取組は正反対だ。ボルソナロは数か月簡にわたり電子投票システムの不正を根拠なく訴えており、自分が負けた場合は結果を認めない恐れがある。ルーラが勝利すれば南米での左派政権樹立の動きが続くことになる。
【コメント】
 南米最大の民主主義国での選挙結果が注目される。

3.ウクライナはドンバス州で領土回復
【記事要旨】
 プーチンによる4州併合宣言の1日前にドンバスの要衝リマンをウクライナ軍が奪回し、ロシアの主張する4州の「国境線」すら確定していないことを世界に知らしめた。ロシアでは追加徴兵でも混乱が起きており、ハバロフスク州では数千人の徴兵者の半数が「基準を満たさない」という理由で自宅に返された。徴兵を逃れ国外脱出も続いている。
【コメント】
 1944年7月サイパン島の陥落を機に、東条英機内閣は総辞職した。この時に日本が敗戦を受け入れていれば、特攻隊の悲劇も日本本土への爆撃・原爆投下も避けられた。プーチン政権はちょうど総辞職直前の東条内閣のように見えるが、決断するのはロシア国民だ。

その他:
カブールでの自爆テロ
The Associated Press found that as many as 52 people died in a suicide bombing last week in Kabul, more than twice the Taliban’s official count of 25. (まだ続いている)
トラス首相は富裕者優遇の租税政策を転換
Liz Truss, Britain’s prime minister, reversed plans to cut tax rates on high earners, after her proposal sent the British pound into a tailspin.

(不人気な政策を撤回。トラス政権は立ち上がりからふらついているようだ)
アントニオ猪木死す
Lives lived: Antonio Inoki, a Japanese wrestler who faced Muhammad Ali in an anticlimactic stunt match in 1976, later became an unlikely diplomat. He died at 79.
(タイムズに報道されてうれしい。ご冥福を祈りたい)

2022年10月4日 火曜日

世界の動き 2022年10月3日 月曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「原油価格下落」
 WTI原油が80ドルを下回った。各国での金融引締めで景気の減速感が広まっているからだろう。ロシアのウクライナ侵攻で世界的にエネルギーが逼迫する見込みで価格が急騰したのがウソのようだ。日本の貿易収支にはプラス。原油ファンドを持っている個人としてはマイナスだ。

ニューヨークタイムズ記事
1.インドネシアのスタジアムでの悲劇
【記事要旨】
 土曜にインドネシアのマランのスタジアムで観客がフィールドに乱入し125人が死亡し多数が負傷した。警官が観衆に催涙弾を発射したことにより観衆が一斉に逃げようとしたことによるもの。FIFAが禁止ている催涙弾を使用した警察への批判が強まる。インドネシアでは以前からサッカーを巡る暴動が問題になっていた。
【コメント】
 暴動の引き金になったのは「地元で無敗のチーム」が敗れたことで、その決勝弾を放ったのはビジターチームの日本人選手だ。報道では6人の日本人選手がインドネシアリーグで活躍しているそうだ。日本人選手が活躍するのはどこの国であれ嬉しい。

2.ブラジルは国政投票
【記事要旨】
 かつて左派政権を率いたルーラ・ダシルバ元大統領が現職で右派のボルソナロ大統領を上回って優位に立っている。ボルソナロ陣営は投票への懸念を表明し選挙結果を認めない動きを取る恐れがある。アマゾンの森林の減少を食い止めることができるか選挙結果が注目される。
【コメント】
 ボルソナロはトランプと同じ行動を取って大統領職に執着するだろう。そうなったらブラジル国民はどうするだろうか。

3.パキスタンの洪水は農民の借り入れ負担を増す
【記事要旨】
 小農民の多くは、地主から収穫で返済する形で多額の債務を負っている。今年の収穫は出来ず、水が引かなければ来春の収穫の小麦の作付けも出来ない。水害の原因は氷河の融解とモンスーン性の豪雨だ。いずれも気候変動によるものと専門家は語る。
【コメント】
 パキスタンは大変なことになっている。特に貧しい農民は苦境だ。

その他:
リチャード・リューは和解
Richard Liu, a Chinese billionaire, reached a settlement with Liu Jingyao, a former University of Minnesota student who had accused him of rape. The case has been seen as a landmark in China’s struggling #MeToo movement. (結局はお金で決着ですか。。)
米国は中国に南太平洋で対抗
The U.S. and 14 Pacific Island nations signed a broad partnership agreement last week designed to counter China.
ブルキナファソで再度クーデター
Burkina Faso has weathered its second coup in ten months. Yesterday, the army officer who seized power in January conceded that he too had been ousted by mutinying soldiers. (この辺では武器供与を通じロシアが影響力を増している。)

2022年10月3日 月曜日