トランプはサイコパス的人格だと気が付いた

いよいよバイデン新大統領の就任式がもう数時間に迫った。
 そうした状況でトランプ大統領は最後の日まで忙しく動いていた。1月19日、彼は73名に恩赦を与えた。その中には2016年の大統領選挙で選挙責任者を務め、トランプ政権発足時にはChief Strategic Officer(主席戦略官)に就任したSteve Bannonが含まれる。メキシコとの国境の壁の建設資金を不正に取得したという容疑で起訴されていたのだ。

 トランプの大統領選敗北後の動きを見ると、経営者に多いサイコパス的な動きが目立つ。
・自分の絶対的権力を信じ手放そうとしない。
・権力のある期間中は最後までしがみつく。
・後任に一切引継ぎをしない。自分が去った後は野と成れ山と成れというスタンス。
・権力維持のためには平気で嘘をつく。

 4年前に多くのアメリカ国民がトランプのこのような資質を見抜けず、既存政治にまみれたヒラリーを敗戦させ、一流経営者としてのトランプに国のかじ取りを任せた。
 ところが、トランプが一流の経営者というのは大きな誤解だ。彼は不動産事業を拡大したセールス能力に長けた人だ。アメリカのノンリーコース・ベースの不動産金融システムが彼を助けたのだ。例えば、ニューヨークで大きなビルを購入する、あるいはフロリダでゴルフリゾートを開発するような場合に、銀行から資金を融資してもらう。プロジェクトがうまくいかなくなったら、当該不動産を銀行に差し出せば、日本でのように個人の財産で失敗をあがなうことはない。成功案件は維持し、失敗案件は銀行に差し出す。ずいぶんと借り手にとって都合のよい融資形態だが、これこそがトランプを不動産王に導いた。

 アメリカを癒しがたく分断したトランプを救世主視してここ数日内に大きな逆転劇が起こると信じている人たちがいるのは信じがたい。
 就任式が無事終わり、バイデン政権のスムースな滑り出しを祈るばかりだ。

(2021.1.20)