世界の動き 2023年7月31日 月曜日

今日の言葉:
「株式市場の行方」
 Bloombergの記事を紹介する。
 『好調な米株式相場を受けて現在トレーダーの間では怖いものなしといった雰囲気も見られるが、一方でそうした状況を背景に売り浴びせが起きる可能性に身構えるストラテジストも一部に存在する。S&P500種株価指数は年初から19%上昇。ドイツ銀行の分析によれば、トレーダーの株式へのエクスポージャーは歴史的に見ても高い水準にある。だが懸念すべき理由はある。リセッション(景気後退)を招くことなくインフレを抑制するという難事業が完全に成し遂げられた例はほとんどない。さらに、8月と9月は時期的にS&P500種指数にとって1年で特にリターンの悪い2カ月となることが多い。』
 株式市場の行方は本当に不透明だ。取引の萎む夏休みの間に、トレーダーはポジションを調整するだろうから、9月には株価は軟調になるかもしれない。ただ、株を売っても資金の持って行く先が株式市場しか無いので、大幅な下げは無いと思われる。

ニューヨークタイムズ記事より
1.パキスタンの集会で爆発による死亡事故
【記事要旨】
 昨日、北西部で少なくとも43人が死亡し、パキスタンの治安状況悪化の最新の兆候であると当局者が述べた。 死者はさらに増えると予想されており、少なくとも200人が負傷した。
 カイバル・パクトゥンクワ州での攻撃は、イスラム国の関連組織によって組織された可能性があると当局は見ている。 このグループは、イスラム主義政党のメンバーを標的にしており、地元の党指導者が殺害された。
 自爆テロが爆発を引き起こしたが、直ちに犯行声明を出した者はいなかった。
 Tehreek-e-Taliban Pakistan (T.T.P.) として知られるパキスタンの過激派グループの活動が近年はさらに活発になってきている。今年はペシャワールのモスクを襲撃して100人以上を殺害し、カラチでも1時間に及ぶ攻撃を行った。
 パキスタンでの過激派暴力の激化により、秋に予定されている次の総選挙前の選挙活動が停滞し、有権者が投票に行くのを思いとどまる可能性がある。
【コメント】
 イスラム原理主義過激派がイスラム主義政党を攻撃するいつもの構図だ。この辺の考え方は本当に理解できない。沢木幸太郎の「深夜特急」ではカイバル峠を越えてアジアから中東に足を踏み入れる様子が活き活きと描かれている。そのころは若者の夢を掻き立てる地名だったのだが。

2.インドの反対派がモディ首相に民族紛争について話すよう迫る
【記事要旨】
 インドではマニプールでの暴力により150人以上が死亡、6万人が避難民となっており、北東部の州は民族の境界に沿って事実上分断されており、住民らは内戦と表現している。
 しかし、モディ首相は、紛争への言及をほぼ完全に避けている。 先週、野党は議会で不信任案を提出したが、モディ政権に影響はない。
 その代わり、投票を開始した野党指導者のガウラフ・ゴゴイ氏は、投票によってモディ氏に暴力について話すことを望んでいたと述べた。 ゴゴイ氏は、他州への「波及効果」の可能性など国家安全保障上の懸念を引き合いに出し、暴徒が警察の武器庫を略奪した後、約5,000丁の武器が行方不明になっていると指摘した。
 数万人の国家治安部隊が平静を取り戻すために奮闘しているが、多くは主に中国との国境での安全保障を担当する部隊の出身で、インドの軍事資源は逼迫している可能性がある。
 モディ氏個人は、B.J.P.として知られる自身の政党よりも有権者に人気があり、党指導者らは国民の心の中で彼とマニプール州を結びつけることを避けたいと考えている。
【コメント】
 モディは親ヒンズー政策で支持を固めているが、一方その政策がヒンズー教徒による他の宗教少数派への弾圧・暴行を引き起こしている。もデイ首相が自制を呼びかけるのが第一歩と思うのだが、同氏の動きは鈍い。

3.ヘリコプター墜落事故が豪米の軍事協力に影を落とす
【記事要旨】
 オーストラリアは米国向けのミサイル生産を加速し、軍事協力と訓練を拡大する計画だ。 この発表に影を落としたのは、そのような演習中にオーストラリア軍のヘリコプターが墜落したことだった。
 米国は、2025年から米国の防衛産業パートナーと共同で製造される新型ミサイルの迅速なライセンス供与に同意した。両国はまた、オーストラリアでの米軍への後方支援の強化と日米両国の空軍との訓練を強化しながらオーストラリアの2つの空軍基地の改修でも協力する予定だ。
 しかし、中国を抑止するための米国主導の地域訓練の強化は、墜落事故のような大きなリスクをもたらす可能性があると指摘した。
 ウクライナや米国防総省からの要請に応えるのに苦労している米国の防衛産業は、他国の製造支援から恩恵を受ける可能性がある。 オーストラリアは長距離攻撃ミサイルを27億ドルかけて取得しており、米国やウクライナに輸出される可能性がある。
 AUKUSの関係者らが集まった。この合意は、原子力潜水艦の共有や極超音速ミサイル、量子コンピュータやセンサーなどの他の種類の先端技術の開発のためのメカニズムを構築することを目的としている。
【コメント】
 ヘリコプター事故で4名のオーストラリア兵士が行方不明だそうだ。肝心な時にえてしてこのような事故が起きる。米国の傘は強さが弱まり、同盟国の負担と関与の強化が求められている。日本でも対等なパートナーとして米国に改善を求める点が多くある。

その他:
中国のグアム島へのサイバー攻撃
 China embedded malware in networks that control communication systems and power grids used by the military, U.S. officials said.
日本について(防衛白書と金利コントロール弾力化)
 In its annual defense white paper, Japan presents a hard line against China and is rethinking its decades-long commitment to pacifism.
 Japan’s central bank said it would be more flexible in managing its bond market, a step toward allowing interest rates to rise.
香港の司法は自由を守る
 A judge rejected Hong Kong’s attempt to ban online distribution of “Glory to Hong Kong,” an unofficial protest anthem.

2023年7月31日 月曜日