ロシアの内乱の行方

 ブリゴジンの反乱は突然始まり突然終わった。ブリゴジンはベラルーシへ亡命。ワグネル軍の希望者はロシア軍傘下に編入という決着のようだが、このまますんなり落ち着くのだろうか。

  プリゴジンの部下たちは占拠したロストフを去り始めたと伝えられているが、ブリゴジンがベラルーシにすんなり落ち着くかどうかはまだ分からない。 プーチン大統領は、ワグネルがウクライナで提供してきた人員を早期に調達する必要があるだろうし、ワグネルを弾圧すれば、アフリカやシリアにおけるロシアの利益が影響される怖れがある。

 プーチンの部下の一人である著名人が「武装反乱」を主導し、首都近郊にまで到達した。 プーチンは、反乱を鎮圧するために武力を行使することに消極的だった。プリゴジンのようなポピュリスト超国家主義者を殉教者にすることを警戒していたのだろうか。そして、最終的に事態を収拾するためにベラルーシのルカシェンコを呼ばなければならなかった。

 四半世紀にわたり、プーチンはライバルグループ同士を戦わせ、有力なライバルを排除することで権力を維持してきたが、今回は、この戦略は裏目に出たようだ。ロシア内で唯一無二の強力で信頼できるリーダー像は大いに傷ついた。

 日本ではこれでウクライナの反転攻勢に弾みが付くという報道があるが、マスコミが事態をあおるのは考え物だ。今こそ、西側諸国は「ロシアの占領地域を、クリミア半島を含めて取り返す」というウクライナの夢想を戒めて、ロシアが揺らいでいる機をとらえ早期停戦をはかるべきだとおもわれる。外交力が試される局面だ。中国に先を越されてはならない。

2023年6月25日 日曜日