世界の動き 2025年8月13日

今日の一言
「年末のSP500指数」
SP500は昨日6445.76で終了した。4月8日の底値4982.77からは29%の上昇だ。米国の主要証券会社・アナリストは年末の指数をどう予想しているだろうか。

コンセンサスと見解の分布
・強気シナリオ:6,500超の予想は、GDPの力強い成長や企業利益加速(13〜14%増益)、関税影響の吸収を前提。FRBの政策が追い風で、景気後退がないことが条件。
・中立〜弱気シナリオ:6,000以下の予想は、インフレの持続、スタグフレーション懸念、貿易摩擦、高バリュエーションなどを理由に慎重。
・レンジ感:現状、年末S&P500予想は5,500〜7,000の範囲で、年を通じ予測は下方向に調整傾向。

主な影響要因
・企業業績の成長:2025年前半のEPS成長は予想を上回り、年末にかけて13〜14%成長を見込む。
・バリュエーション:予想PER(20〜22倍)は長期平均を上回り、調整リスクが意識される。
・政策要因:関税拡大や貿易摩擦が下振れ要因。逆に緩和すれば強気材料。
・FRB政策:利下げ期待は心理を押し上げる一方、長期の高金利はリスク。
・テクニカル面:強気トレンドは維持されるが、割高感および負のダイバージェンスにより年後半のボラティリティ上昇も予想。

個別アナリストで見るとウェルズファーゴ証券が7007. Goldman Sacksが6500と強気だ。ほとんど6000ドル台の予想は極めて高かったのだが、足元のSP500の伸びが、予想を追い越してしまった状況だ。Oppenheimerは7100を5958に改訂し、先高観を打ち消している。

SP500でどう儲けるかは個別の投資家の問題だが、トランプ大統領にとっては、世界経済をめちゃくちゃにする彼の政策が市場に評価されているという大きな政治的な勝利に違いない。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
ロシア、協議を前に戦場で前進
【記事要旨】
数ヶ月に及ぶ激しい戦闘の後、ロシア軍はウクライナ東部で急速な前進を見せた。この前進は、ウラジーミル・プーチン大統領が金曜日にアラスカで行われる米朝首脳会談でトランプ大統領に主要な要求を突きつけると見られている中での出来事である。
ここ数日、ロシア軍はドネツク州にあるウクライナの拠点、ポクロフスク市近郊でウクライナの防衛線の一部を突破した。ロシア軍は同市を部分的に包囲しており、ウクライナ軍の撤退を迫るため、ポクロフスク周辺の包囲網を強める可能性が高い。これはロシアが他の都市を占領する際に用いた戦術である。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍は「新たな攻勢作戦の準備をしていることを示唆するような方法で部隊と戦力を再配置しており、停戦や戦争の終結に向けた準備はしていない」と述べた。
ウクライナもまた、協議を前に優位な立場を取ろうとしている。キエフはロシアの石油精製施設への攻撃を強化し、モスクワの主要な収入源を標的にすることで圧力をかけている。
キエフと欧州の同盟国は、意味のある和平交渉は停戦後にのみ開始されるべきであり、現在の前線が交渉の出発点となるべきだと主張している。しかし、ここ数日のロシアによる東部での急速な勢力拡大により、この路線は金曜日までに変化する可能性がある。
【コメント】
ポクロフスク(旧クラスノアルミィシク)の人口は、2021年の推計で約61,161人だったが、戦争の影響で、現在は1327人まで減少している。
ウクライナ兵がどのくらい展開しているかは不明だが、ロシアは空軍を大規模に動員し攻勢を強めている。

2.元パレスチナ武装勢力の一員、解決策なしと見る
【記事要旨】
ザカリア・ズベイディ氏は、パレスチナの主権獲得のために数十年にわたり闘い、あらゆる手段を試してきた。
2000年代初頭、同氏はハマスのライバル組織ファタハ傘下の武装組織であるアル・アクサ殉教者旅団を率いていた。数年後、彼は戦闘をやめ、劇場設立に尽力した。10年後、投獄されたズベイディ氏はトンネルを使い一時的に脱獄したが、数日後に再び逮捕された。今、ズベイディ氏は別の何かを象徴する存在となっている。それは、パレスチナ人の生活に蔓延する絶望感だ。彼はタイムズ紙に対し、パレスチナ国家樹立に向けたあらゆる努力が無駄になったと感じていると語った。
「我々は我々の手段を再考しなければならない」と、1月に捕虜交換で釈放されて以来、初めてのインタビューで彼は語った。 「劇場を設立し、文化的抵抗を試みた。だが、それで何が起きたというのか?ライフルも試し、銃撃も試した。解決策はない。」
関連記事:イスラエル人人質の家族は日曜日、ハマスとの停戦を求めるため、全国規模のストライキを呼びかけた。
【コメント】
2024年10月のロイター記事より。
「パレスチナの治安権限を巡って対立関係にあるイスラム組織ハマスと、アッバス議長が率いる自治政府主流派ファタハの幹部が9日、パレスチナ自治区ガザなどでの戦闘終結後の協力計画に関してカイロで協議した。ハマスの関係者がロイターに明らかにした。
ハマスとファタハが協議するのは7月以来。前回、中国で開いた会合では、ガザとイスラエル占領下のヨルダン川西岸地区でパレスチナ統一政府を樹立するための取り決めに関して合意した。
ハマスは2007年、ファタハとの戦闘を経てガザを武力制圧した。それ以降、パレスチナは自治政府が部分的に統治するヨルダン川西岸とガザで分裂した状態が続いている。」
この時は中国の仲介が有効だった。

3.南シナ海での衝突がビデオに記録される
【記事要旨】
フィリピンは昨日、係争海域でフィリピンの巡視船を追跡していた中国海警局の船舶同士が衝突したことを受け、中国を「危険な行動」で非難した。
フィリピン沿岸警備隊は、月曜日に撮影されたとされる大きな衝突のビデオを公開した。ビデオには、中国海警局の船舶の船首に大きな損傷が見られる様子が映っている。中国政府は衝突について言及せず、自らの行動は正当だと擁護した。
【コメント】
正直、「いい気味だ」という印象だ。気を抜けば尖閣でも起きかねない事象だ。

その他の記事
ヨーロッパ:熱波が南ヨーロッパを襲う中、消防士たちはフランス、スペイン、ポルトガルで山火事と闘った。
インド:ニューデリーで野良犬による襲撃が相次いだことを受け、最高裁判所は首都の路上からすべての野良犬を排除するよう命じた。
ブラジル:トランプ大統領の関税導入は、米国のテクノロジー企業が自社のプラットフォームの監視ルールに影響を与えようとする中で、ブラジルにおける影響力を強めている。

テクノロジー
AI:スタートアップ企業のPerplexityが、GoogleのウェブブラウザChromeを345億ドルで買収すると申し出た。
Apple:イーロン・マスク氏は、自社のAI企業よりもOpenAIを優遇したとして、Appleを提訴すると警告した。
暗号通貨:2022年に市場を暴落させた起業家のDo Kwon氏は、米国で詐欺罪を認め、最長12年の懲役刑に直面している。

2025年8月13日 水曜日