世界の動き 2023年5月15日 月曜日

今日の言葉:今日がまさにそうだが、
 「Rainy days and Mondays(雨の日と月曜日は)」

 Talking to myself and feeling old
Sometimes I’d like to quit, nothing ever seems to fit
Hanging around, nothing to do but frown
Rainy days and Mondays always get me down
 とても奥深い言葉が並ぶカーペンターズの名曲だ。

ニューヨークタイムズ記事より
1.タイの有権者は変化を支持
【記事要旨】
 タイの有権者は10年近い軍事政権の終焉を求め、軍と王政という2つの強力な保守組織の力を抑制すると約束した2つの野党に賛成票を投じた。
 今朝の開票率97%の時点で、定数500の下院で前進党(ムーブ・フォワード)は151議席、ポピュリスト政党のタイ貢献党は141議席を獲得した。
 ISEAS-ユソフ・イシャク研究所は、「今回の選挙を、タイ政治における伝統的な権力中枢に対する国民投票としてみるることができる。人々は単なる政権交代ではなく構造改革を望んでいる」と見る。
 この結果は、2014年にクーデターで権力を掌握したプラユット首相にとって屈辱的な打撃である。
 前進党は強制徴兵の廃止と王室批判を犯罪とする法律の改正を目指している。 都市部の若者や首都バンコクの有権者を魅了し、目覚ましい躍進を遂げた。
 タクシン元首相によって設立されたタイ貢献党は、2006年に汚職疑惑のさなかクーデターで追放された後も、貧しい人々の擁護者として今でも懐かしく記憶されている。 世論調査によると、タクシン氏の娘が首相候補の第一候補となった。
 タイ貢献党と前進党はどちらも過半数を形成するのに十分な議席を持っていないため、連立を確立するには他の政党と交渉する必要がある。 しかし、クーデター後に軍が作成したタイの現行制度の下では、軍事政権は依然としてキングメーカーの役割を果たすことになる。 誰がリーダーになるかの決定には数週間、場合によっては数か月かかる可能性がある。
【コメント】
 あれほど国民の尊敬を受けていたプミポン国王が亡くなった後どうしようもない皇太子が王位に就いたあと王室への批判が出てきた。
 英国王室やさらには日本の皇室への示唆もある。
 軍事政権から民主主義政権へ波乱なく移行して欲しいものだが多分一波乱あるのだろうと見る。

2.トルコの重要な選挙
【記事要旨】
 昨日トルコの有権者が投票に行ったとき、エルドアン大統領は、20年間の政権に対する最も激しい政治的挑戦に直面しており、選挙結果はトルコの内外政策を再構築する可能性がある。
 結果はまだ出ていないが、国営通信社は開票当初の結果ではエルドアン氏が優勢であると報じた。エルドアン大統領の最有力挑戦者ケマル・キリクダログル氏はツイッターに「我々がリードしている」と書き込んだ。
 どの候補者も過半数を確保できなかった場合、最有力候補 2 名が 5 月 28 日に決選投票に進むことになる。
  この投票は、エルドアン大統領の20年間を問う国民投票だ。2018年以来の痛みを伴うインフレに見舞われている経済状況に対する国民の怒りが主な理由で、非常に接戦となった。
 この投票はまた、トルコで地震により5万人以上が死亡した3か月後に行われ、エルドアン大統領が開発促進に重点を置いたために安全でない建物が生み出されたのではないかという疑問が生じた。
 トルコは本格的な民主主義でも本格的な独裁制でもない。エルドアンは過去 20 年間、自分に有利な方向に政治を傾けてきた。
 エルドアン大統領の敗北は西側諸国にとっては恩恵であり、ロシアにとっては損失となるだろう。 エルドアンはモスクワとの貿易を拡大し、プーチン大統領との緊密な関係を追求し、NATOの拡大を妨げてきた。
【コメント】
 20年の長期政権が倒れるのか注目したい。

3.サイクロン「モカ」が上陸
【記事要旨】
 ここ10年以上で最も強いと予想されているサイクロン・モカが昨日、ミャンマー西部のバングラデシュ国境近くに上陸した。少なくとも6人が死亡したが、これまでのところ当局が懸念していた人道的大惨事には至っていない。
 サイクロンの被害を受けた地域には、世界で最も貧しい人々が住んでいる。 嵐は世界最大の難民キャンプがあるバングラデシュの都市コックスバザールを通過したが、当局者らは現地での被害報告はまだ受けていないと述べた。
 世界食糧計画は大規模な緊急対応の準備を進めていると述べた。 しかし一部の当局者は、陸地では暴風雨が弱まるため、この地域は最悪の被害を免れることができるとの期待を表明した。
【コメント】
 多くの低地が水没する見慣れた光景が繰り返される。モンスーン地帯の悲劇がいつまでも繰り返される。

その他:
中国で外国企業への逆風
 Beijing’s crackdown on companies with foreign ties has spooked some business executives. The country’s focus on bolstering national security may harm its economic growth.
 China ordered Tesla to recall 1.1 million vehicles over braking risks.
中国が和平への道を開くか
 A Chinese envoy will visit Ukraine and Russia this week in an attempt to negotiate an end to the war.
昔コニー・チャンというキャスターがいました
 Many Asian American women are named after Connie Chung, a veteran U.S. television journalist. The writer Connie Wang explored the phenomenon, which she calls “Generation Connie.”

2023年5月15日 月曜日

弱肉強食

四字熟語の定番だ。お笑いでは「■肉■食」の穴埋め問題で「焼肉定食」を正解にするのが流行ったことがある。

今朝新聞を見ていて、竹中平蔵氏がAIのコンファレンスのキースピーカーで挙がっており、ああ、この方はまだ頑張っているんだと思い、竹中さんが経済財政+金融担当相になって大手銀行の不良資産を処分する政策を推し進め、大手銀行や証券会社が倒れ、実質債務超過の借入過多企業が沈み、貸剥がしのため中小企業が青息吐息になり、日本にもついに「弱肉強食」の時代が来たと考えたのを思い出したのだ。

私は2000年に銀行を辞めプラベートエクイティ(PE)業界に転じたのだが、ダイエーが倒れ、日産自動車がゴーン改革で子会社の多くを整理したこの時期は、それらの会社が案件の多くを供給してくれたPEにとっては良き時代だった。これで日本も資本主義化し「失われた10年」にも終止符が打たれると思いきや、そうはならなかった。

次第に「痛いのは、やっぱり、嫌だよね」と言うのが国民の多数派になり、嗅覚の鋭い政治は、国債を増発し増税を先延ばしして、国民の支持を得るのに一生懸命だった。資本主義は定着せず、悪しき平等主義・社会主義に逆戻りした。

コロナ禍も産業構造を改革する良い機会だった。生産性の低い企業は潰れざるを得ないのが資本主義の大原則だが、ゼロゼロ融資や、雇用調整助成金で、本来退場すべき企業の多くが生き残り、保守層の岩盤支持層になっているのだ。

日銀が長期金利を調整し、国債の増発分を生き受け、ETFの購入で株式市場を支えている状況は「常軌を逸している」のだが、そういう声はむなしく、金融緩和をいつまでも続けるリフレ派の声が強く、若者の支持も厚い。

頼みの綱だった自動車業界のトヨタでさえ、EVでは本当に出遅れた。日本発の産業に見るべきものが無いと言うと言い過ぎだろうか。

「インバウンド」に期待して生き残りを図る国策には観光しか生き残るすべのないギリシャやスペインの姿に重なる。ああ。

2023年5月14日 日曜日

沸騰する旅行需要

 木曜日金曜日と四国に小旅行をした。

 往復には羽田と徳島便を利用。木曜早朝の羽田発。金曜夜10時過ぎの羽田着だったが、いずれも満席だった。空港は早朝も夜遅くも人でごった返しており、航空業界の復調ぶりを肌で感じた。

 四国の観光地の人出はまずまずと思われた。ホテルもかなり埋まっている印象で、宿泊業も復調している様子だった。ホテルのエレベータでタイの若者4人と乗り合わせ、昔タイに赴任していたことがある身としては、タイの若者が安い日本に個人で来る時代だと思い、日本の観光業者がインバウンドインバウンドと念仏を唱えている理由がわかる気がした。

 ただ、観光地以外の地方都市は人出が少なく、シャッタの閉まった商店街も散見された。構造的な問題にメスを入れないとインバウンドに浮かれていては地方都市の再生は無いと思った。

 最近旅行会社から海外旅行の案内メールがたくさん届くようになった。案内を開くと、多くのツアーで「キャンセル待ち」とか「残り数席」という字が目につく。特にビジネスクラスの旅行に顕著だ。

 コロナで抑えられていた高齢層の海外旅行需要(ペントアップ需要)に火が付いているのだろう。世界中で旅行需要が沸騰し、内外の旅行関連株式に注目すべき数年になるだろう。

2023年5月13日 土曜日

世界の動き 2023年5月10日 水曜日

今日の言葉:
「ミンスキー・モーメント」
 (以下Wikipediaより)ミンスキー・モーメント(ミンスキーの瞬間)とは、信用循環または景気循環において、投資家が投機によって生じた債務スパイラルによりキャッシュフロー問題を抱えるポイントである。このポイントにおいて、どのカウンターパーティー(金融取引参加者)も事前につけられた高い提示額に対して値をつけることができず、大きな株の投げ売りが始まる。その結果、市場決済資産価格の突然かつ急激な崩壊、市場流動性における急激な落ち込みが発生する。
 この用語はエコノミスト・ハイマン・ミンスキーの名前にちなんだもので、1998年、ロシア財政危機を説明するためにパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のポール・マカリーによって造り出された[2]。ミンスキー・モーメントは、長い繁栄と借金による投機を促す投資価値の増大の後にやって来る。
 今朝の日経新聞では米経済の3つの壁が一面トップ記事だ。「銀行の融資の厳格化」「細る家計の余剰貯蓄」「政府債務の駆け引き」。これらはまさにミンスキー・モーメントが訪れたことを示している現象だ。

ニューヨークタイムズ記事より
1.トランプ大統領、性的虐待の責任を問われる
【記事要旨】
 マンハッタンの陪審は昨日、ドナルド・トランプ氏が作家E・ジーン・キャロル氏に対する性的虐待と名誉毀損の責任があると認定し、損害賠償として500万ドルの支払いを命じた。
 陪審は、キャロル氏がトランプ氏による性的虐待を証明したと判断したが、彼女がレイプされたという告発は棄却した。 調査結果は刑事的ではなく民事的なもので、トランプ氏はいかなる犯罪でも有罪判決を受けておらず、懲役刑を受ける可能性もないことを意味する。 トランプ氏は決定に対して控訴すると言った。
 陪審は、トランプ氏に責任があると判断し、「証拠の優位性」が、1990年代半ばにニューヨークのデパートの楽屋でトランプ氏を襲撃したというキャロル氏の告発を支持すると判断した。
 キャロルさんは、長年にわたってトランプ大統領を性的違法行為で告発してきた十数人の女性のうちの1人だが、トランプ大統領はその疑惑を常に否定してきたが、陪審による判断に成功したのは彼女が初めてだ。
 トランプ氏は2週間の裁判には出席しなかった。 陪審員による3時間の審議の末、全会一致の評決が下された。
 2024年の共和党大統領候補の最有力候補であるトランプ氏は、他の訴訟にも直面している。
 トランプ氏は評決前から政治的に成功を収めていたが、陪審員の判断がトランプ氏の勢いにどのように影響するかは不明だ。 彼に対する刑事捜査は、彼の支持者たちを傷つけるにはほとんど役立っていない。
【コメント】
 訴訟を起こしていた中では最も著名で知的な人だ。今回の判断をトランプはまた政治的魔女狩りと言って切り抜けるのだろう。

2.カーン逮捕後のパキスタンでの抗議活動
【記事要旨】
 民兵組織は昨日、パキスタン元首相イムラン・カーンを、同氏に対する数十件の汚職事件のうちの1件に関連して逮捕した。 首都での逮捕直後、カーン氏の支持者らはラホールやカラチなど複数の都市で街頭に繰り出した。
 同氏の逮捕は、昨年4月にカーン氏が不信任投票によって権力の座から追放されて以来、国を巻き込んでいる政治危機が大幅にエスカレートしたことを意味する。 カーン氏は軍と政府が自分に対する共謀を行っていると非難した。
 アナリストらによると、カーン氏をめぐるドラマは彼の人気をさらに高めただけのようだという。 同氏は失脚後、カムバックを図り、何十年にもわたって政府の背後で見えざる手として権力を握ってきた軍に公然と挑戦している。
 アフガニスタン・パキスタン支局長のクリスティーナ・ゴールドバウムは、「パキスタンの多くの人々にとって、これは転換点のように感じており、何か月もくすぶっていた政治的緊張がついに沸騰するような気がしている」と語った。
 「今日私たちがラワルピンディの軍本部で見た抗議活動やラホールの軍司令官官邸の略奪、つまり国民によるこの国の強力な軍との直接対決は、多くの点で前例のないものだった」と彼女は述べた。
 カーン氏の逮捕は、イスラマバード近郊のアル・カディール大学の土地譲渡に関わる事件に関連していると当局者は述べた。 カーン氏は有力な不動産王に便宜を図り、見返りに大学が土地や寄付金を手に入れた疑いで告発されている。
 カーン氏は今日法廷に出廷させられると当局者は述べた。 抗議活動は今週も続くとみられ、警察とカーン氏の支持者との間で暴力的な衝突が起こる可能性が高まっている。
【コメント】
 インドとアフガニスタンの隣国であるパキスタンが動揺している。テロリズム、宗教紛争の高まりが大いに懸念される。

3.中国、外国とつながりのある別の企業を強制捜査
【記事要旨】
 中国当局が著名な国際コンサルティング会社を強制捜査した理由については、数週間にわたって明かされて来なかった。
 ミンツ・グループやベイン・アンド・カンパニーなどのアメリカ企業、そして最近ではニューヨークと上海に本社を置くコンサルティング会社キャップビジョン・パートナーズに対する強制捜査を受けて、その理由が明らかになってきた。
 国営メディアは、今回の強制捜査は国家安全保障の名の下で行われたと述べ、西側諸国が「中国に対する封じ込めと抑圧戦略」の一環として重要な情報を盗んでいると非難した。 中国政府はまた、外国顧客に対する金融データの入手を制限する動きを見せており、スパイ防止法を拡大している。
 この動きは、中国経済が新型コロナウイルスの厳しい制限から回復しようとしている最中に、外国企業に中国への再投資を躊躇させる恐れがある。
 LinkedInは中国での事業を縮小すると発表した。
 カナダ議員に関する情報収集を行ったとしてカナダが中国当局者を追放したことを受け、中国はカナダ外交官を上海から追放した。
【コメント】
 相変わらずの戦狼外交ぶりだ。自分の物差しを世界中に押し付けてくる中国の政策はいつまで持続可能なのだろうか。日本もジャパンアズナンバーワンのころは日本のやり方が世界一だと過信していた。中国もいずれは自身を省みる時期が来ると思うのだが。

その他:
ロシアの戦勝記念日
 Russia’s annual Victory Day celebrations were muted, reflecting the uneasy moment that the country faces in the war.
 President Vladimir Putin kept to his usual talking points during a speech, accusing Kyiv and its Western allies of “pursuing the dissolution and the destruction of our country.”
 William Burns, the director of the C.I.A. and a key figure in bolstering U.S. support for Ukraine, has amassed influence far beyond most previous agency leaders.
トルコの選挙の行方
 President Recep Tayyip Erdogan of Turkey is facing what is shaping up to be the toughest elections of his career. Polls suggest a tight race this weekend, perhaps even a defeat.
中国の旅行解禁で香港が大変
 With China’s borders opened after the lifting of pandemic restrictions, budget tour groups from the mainland have been coming back to Hong Kong in droves. Their return has revived old tensions — and a touch of snobbery — in a city starved for business.
 “Can we have some good quality tour groups?” a Hong Kong lawmaker asked during a recent legislative session while holding up pictures of tourists overrunning parts of the city.

2023年5月10日 水曜日