世界の動き 2023年5月10日 水曜日

今日の言葉:
「ミンスキー・モーメント」
 (以下Wikipediaより)ミンスキー・モーメント(ミンスキーの瞬間)とは、信用循環または景気循環において、投資家が投機によって生じた債務スパイラルによりキャッシュフロー問題を抱えるポイントである。このポイントにおいて、どのカウンターパーティー(金融取引参加者)も事前につけられた高い提示額に対して値をつけることができず、大きな株の投げ売りが始まる。その結果、市場決済資産価格の突然かつ急激な崩壊、市場流動性における急激な落ち込みが発生する。
 この用語はエコノミスト・ハイマン・ミンスキーの名前にちなんだもので、1998年、ロシア財政危機を説明するためにパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のポール・マカリーによって造り出された[2]。ミンスキー・モーメントは、長い繁栄と借金による投機を促す投資価値の増大の後にやって来る。
 今朝の日経新聞では米経済の3つの壁が一面トップ記事だ。「銀行の融資の厳格化」「細る家計の余剰貯蓄」「政府債務の駆け引き」。これらはまさにミンスキー・モーメントが訪れたことを示している現象だ。

ニューヨークタイムズ記事より
1.トランプ大統領、性的虐待の責任を問われる
【記事要旨】
 マンハッタンの陪審は昨日、ドナルド・トランプ氏が作家E・ジーン・キャロル氏に対する性的虐待と名誉毀損の責任があると認定し、損害賠償として500万ドルの支払いを命じた。
 陪審は、キャロル氏がトランプ氏による性的虐待を証明したと判断したが、彼女がレイプされたという告発は棄却した。 調査結果は刑事的ではなく民事的なもので、トランプ氏はいかなる犯罪でも有罪判決を受けておらず、懲役刑を受ける可能性もないことを意味する。 トランプ氏は決定に対して控訴すると言った。
 陪審は、トランプ氏に責任があると判断し、「証拠の優位性」が、1990年代半ばにニューヨークのデパートの楽屋でトランプ氏を襲撃したというキャロル氏の告発を支持すると判断した。
 キャロルさんは、長年にわたってトランプ大統領を性的違法行為で告発してきた十数人の女性のうちの1人だが、トランプ大統領はその疑惑を常に否定してきたが、陪審による判断に成功したのは彼女が初めてだ。
 トランプ氏は2週間の裁判には出席しなかった。 陪審員による3時間の審議の末、全会一致の評決が下された。
 2024年の共和党大統領候補の最有力候補であるトランプ氏は、他の訴訟にも直面している。
 トランプ氏は評決前から政治的に成功を収めていたが、陪審員の判断がトランプ氏の勢いにどのように影響するかは不明だ。 彼に対する刑事捜査は、彼の支持者たちを傷つけるにはほとんど役立っていない。
【コメント】
 訴訟を起こしていた中では最も著名で知的な人だ。今回の判断をトランプはまた政治的魔女狩りと言って切り抜けるのだろう。

2.カーン逮捕後のパキスタンでの抗議活動
【記事要旨】
 民兵組織は昨日、パキスタン元首相イムラン・カーンを、同氏に対する数十件の汚職事件のうちの1件に関連して逮捕した。 首都での逮捕直後、カーン氏の支持者らはラホールやカラチなど複数の都市で街頭に繰り出した。
 同氏の逮捕は、昨年4月にカーン氏が不信任投票によって権力の座から追放されて以来、国を巻き込んでいる政治危機が大幅にエスカレートしたことを意味する。 カーン氏は軍と政府が自分に対する共謀を行っていると非難した。
 アナリストらによると、カーン氏をめぐるドラマは彼の人気をさらに高めただけのようだという。 同氏は失脚後、カムバックを図り、何十年にもわたって政府の背後で見えざる手として権力を握ってきた軍に公然と挑戦している。
 アフガニスタン・パキスタン支局長のクリスティーナ・ゴールドバウムは、「パキスタンの多くの人々にとって、これは転換点のように感じており、何か月もくすぶっていた政治的緊張がついに沸騰するような気がしている」と語った。
 「今日私たちがラワルピンディの軍本部で見た抗議活動やラホールの軍司令官官邸の略奪、つまり国民によるこの国の強力な軍との直接対決は、多くの点で前例のないものだった」と彼女は述べた。
 カーン氏の逮捕は、イスラマバード近郊のアル・カディール大学の土地譲渡に関わる事件に関連していると当局者は述べた。 カーン氏は有力な不動産王に便宜を図り、見返りに大学が土地や寄付金を手に入れた疑いで告発されている。
 カーン氏は今日法廷に出廷させられると当局者は述べた。 抗議活動は今週も続くとみられ、警察とカーン氏の支持者との間で暴力的な衝突が起こる可能性が高まっている。
【コメント】
 インドとアフガニスタンの隣国であるパキスタンが動揺している。テロリズム、宗教紛争の高まりが大いに懸念される。

3.中国、外国とつながりのある別の企業を強制捜査
【記事要旨】
 中国当局が著名な国際コンサルティング会社を強制捜査した理由については、数週間にわたって明かされて来なかった。
 ミンツ・グループやベイン・アンド・カンパニーなどのアメリカ企業、そして最近ではニューヨークと上海に本社を置くコンサルティング会社キャップビジョン・パートナーズに対する強制捜査を受けて、その理由が明らかになってきた。
 国営メディアは、今回の強制捜査は国家安全保障の名の下で行われたと述べ、西側諸国が「中国に対する封じ込めと抑圧戦略」の一環として重要な情報を盗んでいると非難した。 中国政府はまた、外国顧客に対する金融データの入手を制限する動きを見せており、スパイ防止法を拡大している。
 この動きは、中国経済が新型コロナウイルスの厳しい制限から回復しようとしている最中に、外国企業に中国への再投資を躊躇させる恐れがある。
 LinkedInは中国での事業を縮小すると発表した。
 カナダ議員に関する情報収集を行ったとしてカナダが中国当局者を追放したことを受け、中国はカナダ外交官を上海から追放した。
【コメント】
 相変わらずの戦狼外交ぶりだ。自分の物差しを世界中に押し付けてくる中国の政策はいつまで持続可能なのだろうか。日本もジャパンアズナンバーワンのころは日本のやり方が世界一だと過信していた。中国もいずれは自身を省みる時期が来ると思うのだが。

その他:
ロシアの戦勝記念日
 Russia’s annual Victory Day celebrations were muted, reflecting the uneasy moment that the country faces in the war.
 President Vladimir Putin kept to his usual talking points during a speech, accusing Kyiv and its Western allies of “pursuing the dissolution and the destruction of our country.”
 William Burns, the director of the C.I.A. and a key figure in bolstering U.S. support for Ukraine, has amassed influence far beyond most previous agency leaders.
トルコの選挙の行方
 President Recep Tayyip Erdogan of Turkey is facing what is shaping up to be the toughest elections of his career. Polls suggest a tight race this weekend, perhaps even a defeat.
中国の旅行解禁で香港が大変
 With China’s borders opened after the lifting of pandemic restrictions, budget tour groups from the mainland have been coming back to Hong Kong in droves. Their return has revived old tensions — and a touch of snobbery — in a city starved for business.
 “Can we have some good quality tour groups?” a Hong Kong lawmaker asked during a recent legislative session while holding up pictures of tourists overrunning parts of the city.

2023年5月10日 水曜日