世界の動き 2025年2月13日 木曜日

今日の一言
「公共スペースでの飲酒」
 昨日、ロシアで拘置されていた米国人Marc Fogel氏が解放されホワイトハウスでトランプ大統領と面談していた画像が流れた。トランプ氏の開放への努力とプーチン大統領のウクライナ停戦への前向きな姿勢を印象付けるためのものだという。
 見ていてとても違和感があったのは、フォーゲル氏が片手にビールを持ちながら面談していたことだ。このビールはIron City Beerというピッツバーグのビールだそうだ。(Copilotが調べてくれた。凄いぞCopilot)開放の喜びを表すための演出だそうだ。(これもCopilotの設明)
 米国では公共の場での飲酒は禁止されているので、この画面には大きな違和感を持った。フォーゲル氏の人間性を疑わせる過剰演出に私には見えた。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプとプーチン、ウクライナ戦争終結について協議
【記事要旨】
 トランプ大統領は昨日、プーチン大統領と「非常に生産的な」電話会談を行ったと述べ、ウクライナ戦争終結に向けた交渉の始まりと位置付けた。
 その後、トランプ大統領はウクライナのゼレンスキー大統領と話をしたと述べた。プーチン大統領にとって、この会談はウクライナ侵攻をめぐって外交的に彼を孤立させようとする西側諸国の試みが崩壊したことを示す大きな節目だった。
 電話会談の数時間前、ピート・ヘグゼス国防長官はブリュッセルでのNATO会議で、ウクライナが2014年以前の国境を回復する和平協定を期待するのは「非現実的」だと述べた。トランプ氏はさらに、現実的な和平計画の一環としてウクライナのNATO加盟を支持していないと付け加えた。
 背景:ロシアは2014年にクリミアを併合し、2022年に本格的な侵攻を行う前にウクライナ東部の親ロシア派反乱を支援し、現在、ロシアはウクライナの約20%を占領している。
 鉱物取引:トランプ氏が米国の援助とウクライナの鉱物の交換案を推し進めて以来、ウクライナのレアアース資源は同国の将来を巡る駆け引きの重要な要素となっている。米国財務長官は取引の可能性について協議するためキエフに滞在していた。

トランプについてさらに詳しく:
・上院は親ロシアの姿勢を示しているトゥルシ・ガバード氏を次期国家情報長官に承認した。
・共和党議員らはトランプ氏の支出削減を歓迎する一方で、自らの州についてはひそかに免除措置を講じようと動いていた。
・トランプ政権はロシアのサイバー犯罪者アレクサンダー・ヴィニク氏を捕虜交換の一環として釈放する準備を進めている。ベラルーシは米国人囚人1人と他の2人を刑務所から釈放した。
・中国の指導者はいつトランプ大統領と話すのか?習近平は急いでいないようだ。
・ミャンマーの難民にとって、米国で暮らすという夢はトランプ大統領の難民受け入れ停止と外国援助の凍結によって打ち砕かれた。
・トランプ大統領、イーロン・マスク、そして政府の効率化努力は、連邦政府職員を削減した。
【コメント】
 開戦後しばらくたった時期にキッシンジャー博士が言っていた停戦案とそっくりな内容だ。疲弊したウクライナは吞まざるを得ないように思うが。

2.モディ首相はインドをトランプ大統領の標的から外したいと願っている
【記事要旨】
 ナレンドラ・モディ首相は今日ワシントンでトランプ大統領と会談し、米国とインドの間の潜在的な摩擦を和らげようと努めるとみられる。モディ首相は大統領との温かい関係について語っているが、トランプ大統領は気まぐれな友人になり得る。
 貿易と移民という2つの明白な問題がモディ首相の目標を複雑にしている可能性がある。モディ首相は「関税と不法移民への執着に協力していることをトランプ大統領に示そうとするだろう。トランプ大統領はインドを、米国との貿易赤字を享受する関税の主たる乱用国の一つとして名指しし、インドを中国と同列に挙げている。
 インドの対米貿易黒字は拡大しており、モディ首相はバーボンやピーカンなど、主に共和党の州で生産される米国製品への関税引き下げを提案する可能性がある。
 インドは、ラテンアメリカ以外では米国への不法移民の最大の流入国でもある。モディ政権はトランプ大統領の強制送還に協力することを明らかにした。
【コメント】
 モディと言う人はいつも堂々としており大人の風格がある。

3.ベネズエラはコロンビアの暴力を煽っている
【記事要旨】
 コロンビア北東部では今月、2つの反政府勢力が領土をめぐって争い、5万4000人が家を追われ、数日間で少なくとも80人が死亡した。
 暴力は土地と麻薬資金をめぐる争いに端を発しているが、反政府勢力の1つである民族解放軍(ELN)は隣国ベネズエラに避難しており、コロンビアで新たな破壊の波を起こすための拠点として利用されている。
【コメント】
 ベネズエラとコロンビアの関係についてAiより
【国境に関する情報】
 コロンビアの東にベネズエラが位置しています。
 ベネズエラは南米大陸の北端にあり、西はコロンビアに面しています。
 コロンビアは北はカリブ海、西は太平洋に面しています。
【国交に関する情報】
 コロンビアとベネズエラは、通商面で依存し合うパートナー関係でした。
 2015年にベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領によって道路が封鎖されたシモンボリバル橋が、2022年に開通しました。
 グスタボ・ペトロ大統領は選挙活動時からベネズエラとの国交回復を宣言しており、国交回復への第一歩を評価しています。
【シモン・ボリバルについて】
 シモン・ボリバルは、19世紀初めにラテンアメリカ諸国の独立を指導した人物です。
 コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、ボリビア、ペルーの独立を実現し、「南アメリカ解放の父」と呼ばれています。

その他の記事
中東関連:
ガザ:
 イスラエルとハマスの停戦が崩壊の危機に瀕する中、解放されるはずだった人質の運命はますます危うくなっている。
外交:
 ヨルダンとエジプトは、トランプ大統領がガザ地区のパレスチナ人を受け入れるよう強制するのを思いとどまらせようと、迅速に動いている。

その他の地域
バングラデシュ:
 国連の報告書によると、昨年の学生デモ隊の弾圧による死者数は1,400人に上り、以前の推定よりはるかに多い。
オーストリア:
 極右政党の自由党党首による連立政権樹立の試みは、移民と国家安全保障に関する意見の相違で崩壊した。
エネルギー:
 米国第2位の石油会社シェブロンは、コスト削減のため、世界中で最大9,000人の従業員を削減すると発表した。

2025年2月13日 木曜日

世界の動き 2025年2月12日 水曜日

今日の一言
「国際機関への拠出金」
 トランプ大統領のUSAID(これは米国機関であり国際機関ではないが)の閉鎖とWHOからの脱退が論議を呼んでいる。WHOには、拠出金負担を中国並みに減らせば留まるとも言っている。
 このトランプの動きは大きな批判的な報道を日本では引き起こしている。日本は国際機関への最大の拠出国の一つだ。ODA予算や人道支援も行ってる。
 トランプの動きを批判するだけでなく、日本でもお金の使い方にもう少し注意すべきだろと思われる。これまでのように「御大尽」として言われるままにお金を出し続ける余裕は無いのだから。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.イスラエル、ガザ停戦終了を警告
【記事要旨】
 イスラエルのネタニヤフ首相は昨日、ハマスが土曜日の正午までに人質を解放しなければ、ガザで「激しい戦闘」が再開すると警告した。
 ネタニヤフ首相は、戦争再開を止めるために何人の人質を解放する必要があるかは明らかにしなかった。今週、3人の人質が解放される予定だ。
 ワシントンでは昨日、トランプ大統領がヨルダンのアブドラ2世国王と会談し、米国がガザを「占領」し、ヨルダンとエジプトが、現在そこにいるパレスチナ人を受け入れるべきだと繰り返した。アブドラ国王は、直接反論するよりも、他のアラブ諸国と協議するのが最善だと述べた。
 援助:アブドラ国王の訪問前夜、トランプ氏はヨルダンがパレスチナ人を受け入れなければ援助を打ち切る可能性があると述べた。ヨルダンは米国から毎年15億ドル以上を受け取っており、国王の統治が存続できるかどうかは、トランプ氏の計画に反対する姿勢にかかっている。
 パレスチナ自治政府は、イスラエルに投獄または殺害されたパレスチナ人の家族への支払いを停止すると発表した。この動きはトランプ氏の機嫌をとり、パレスチナに切望されている外国援助をもたらすための試みだとみられる。

トランプ氏についてさらに詳しく:
・トランプ氏は、クレムリンとの取引の一環として、ロシアで投獄されているアメリカ人マーク・フォーゲル氏の釈放を確保した。
・イーロン・マスク氏の巨大なビジネス帝国は、トランプ政権の刷新によってすでに報われている。今後も恩恵を受け続ける立場にある。
・司法省は、トランプ氏との関係を育んできたニューヨーク市長のエリック・アダムス氏に対する汚職容疑を取り下げるよう検察に命じた。
・外国援助契約業者のグループが、USAIDの段階的廃止をめぐってトランプ政権を訴えた。
・ベネズエラ人移民がグアンタナモ湾に送られたが、トランプ政権はそこに「最悪中の最悪」を送り込んでいる。
・フランシスコ法王はトランプ氏の大量送還政策を厳しく批判し、カトリック教徒に反移民の言説を拒否するよう促した。
・トランプ氏によって恩赦を受けた1月6日の被告人の多くが、ソーシャルメディア上で彼らの刑事事件を担当した検察官やFBI捜査官の一部を攻撃している。
・トランプ氏がFBI長官に指名したカシュ・パテル氏は、長官に承認される前にFBIの職員粛清を秘密裏に指揮したと非難された。
【コメント】
 毎日毎日毎日、トップニュースはトランプばかりだ。紙ストローの使用を廃し、プラスチックに戻すという大統領令に署名したそうだ。

2.各国、米国の関税に対する報復を警告
【記事要旨】
 カナダ、メキシコ、欧州諸国は、トランプ政権が鉄鋼とアルミニウムに課した25%の関税は不公平だと非難し、昨日報復すると警告した。
 カナダのトルドー首相は、カナダは「国際的なパートナーや友人と協力して」トランプ政権に3月12日に発効予定の関税を延期するよう圧力をかける。また、対抗関税で対応する用意もあると述べた。
 欧州の首脳は断固たる対応を約束したが、どのような対応になるかは明らかにしなかった。メキシコの首脳は関税を「不当」と呼び、関税をかわすためにトランプに訴える予定だ。
【コメント】
 トランプの動きは前政権時と同じだ。株式市場に大きな影響は今のところ無いようだ。

3.欧州軍はウクライナの平和を維持できるか?
【記事要旨】
 今週開催されるミュンヘン安全保障会議ではウクライナの和平協定の見通しが焦点となる。この会議には、J・D・ヴァンス副大統領とマルコ・ルビオ国務長官が出席する予定だ。
 専門家によると、戦争終結後にロシアがウクライナに再侵攻するのを阻止するには、15万人の軍隊と、航空支援、諜報活動、ミサイル防衛における米国の支援が必要だという。ウクライナのゼレンスキー大統領は、地上に最大20万人の外国軍を派遣すると語っている。
 関連記事:ウクライナ議会は、政府がブルガリアから未使用のロシア製原子炉2基を購入することを許可する法案を可決した。
【コメント】
 15万人の治安維持軍とは、欧州の負担も甚大だ。ウクライナだけでなく欧州の平和を維持する礎だとすれば対応せざるを得ない。

その他の記事
AI:
 イーロン・マスク氏が率いるコンソーシアムが、OpenAIの買収に974億ドルのオファーを提示した。この買収の裏にある事情は次の通り。
ドイツ:
 選挙まで数週間に迫る中、首相の最有力候補であるフリードリヒ・メルツ氏は、移民問題から脱却して、街頭演説の焦点を移している。
エネルギー:
 BPの最高経営責任者は、同社の戦略を「根本的にリセットする」と約束した。アナリストらは、それはおそらく低排出技術への支出を減らすことを意味するだろうと述べた。

2025年2月12日 水曜日

世界の動き 2025年2月11日 火曜日

今日の一言
「中国への対応」
BYDがDeepSeek R1を搭載するそうだ。他の中国EVメーカーも追随し、中国の製品の殆どでそうした動きが広まるだろう。
The dragon is coming to lunch which means the only decision you need to make as an investor is to be at the table or on the menu.
ドラゴンが昼食にやって来る。投資家としてあなたがしなければならない唯一の決断は、一緒にテーブルに着くか、メニューに載るかということだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領の新たな関税は金属輸入に打撃を与えるだろう
【記事要旨】
トランプ大統領は、米国の金属輸入の大半を供給しているカナダとメキシコを激怒させそうな、外国の鉄鋼とアルミニウムに対する25%の全面関税を進める構えだ。月曜日に関税について正式に発表すると述べた。
彼の決定はカナダとメキシコの指導者を驚かせた。北米の貿易戦争は先月、トランプ大統領と関税の30日間延期で合意し、土壇場で回避されていた。
新たな関税は国内の金属メーカーを本当に助けるだろうが、鉄鋼やアルミニウムを使用する企業(自動車、機械、飛行機、食品包装のメーカー等)のコストが上昇するため、大きなトレードオフがある。
背景: トランプ大統領は最初の任期中に金属に25%の関税を課しましたが、この措置は他の多くの産業の価格が上昇したため、経済全体に悪影響を及ぼしたという見方がある。
中国: トランプ大統領の金属関税は、実際には世界の鉄鋼およびアルミニウム産業を支配する中国を狙ったものだ。

トランプ大統領についてさらに詳しく:
・連邦判事が初めて、ホワイトハウスが数十億ドルの凍結された連邦補助金を解放しなかったことで司法命令に従わなかったと述べた。
・3人目の連邦判事が、出生地主義に関するトランプ大統領の大統領令を阻止する差し止め命令を出した。
・国土安全保障省は内国歳入庁に移民取り締まりの支援を求めている。
・難民支援団体連合は、難民制度の無期限停止をめぐってトランプ政権を訴えた。
・トランプ氏の弁護士は、裁判所はイーロン・マスク氏のチームが財務省の支払い・データシステムにアクセスするのを阻止することはできないと主張した。
・トランプ氏は、憲法の制限を超えて3期目の任期に留まるつもりだと再び示唆した。
・法律専門家は、トランプ氏が行政権の限界を試している中、国は憲法上の危機に直面していると主張している。
・トランプ氏は、ガザを再開発するために不発弾を除去しなければならないと述べる直前、米国が資金提供している地雷除去団体すべてに作業の中止を命じた。
【コメント】
まずは前回の任期で採用した戦術を採用するようだ。国益にならないとの実証があるのだが。前回はカナダとメキシコを(日本の自動車用特殊鋼板も)対象から外したが今回は全面適用するか注目だ。

2.ハマスは「追って通知があるまで」人質を解放しない
【記事要旨】
ハマスは今週末に解放される予定だったイスラエル人人質の解放を無期限に延期したと、昨日報道官が述べた。報道官はイスラエルが停戦協定に何度も違反したと非難した。
この動きは、6週間の停戦と戦争の永続的な終結の見通しを台無しにする恐れがある。ハマスの発表は、トランプ大統領が全住民を移住させる計画ではパレスチナ人がガザに戻ることは認められないと述べたフォックスニュースが公開した後に行われた。
今後の予定: イスラエルのネタニヤフ首相は、最高顧問と協議した後、安全保障閣僚会議を開く予定。カタールとエジプトの仲介者が、イスラエルとハマスの交渉担当者と協力して解決策を見つける可能性がある。
【コメント】
薄い氷が割れそうだ。6週間の停戦期間を止めるメリットはハマスに無いと思うのだが、いろいろな思惑がある。トランプの夢想話も一因だ。

3.欧州はAI競争でトップの座を目指す
【記事要旨】
昨日、企業の技術幹部、学術専門家、政府指導者らがパリに集まり、2日間のAIサミットを開催した。欧州はAI競争で米国や中国に伍して行きたいと考えているが、投資家らは欧州大陸の官僚主義や税金が高すぎることを懸念している。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、この懸念を克服しようと躍起になっている。「革新の前に規制を行えば、自国独自の革新は生まれない」とマクロン大統領は述べた。
中国:中国では、新興企業ディープシークの成功を国内教育の勝利と捉える人が多く、米国と同等かそれ以上であることの証しとみている。
【コメント】
日本は国策としてのAI推進をどう展開して行くのだろうか。SoftBank任せにも出来ないだろう。

その他の記事
エクアドル:
積極的な治安政策で知られる若き大統領ダニエル・ノボア氏は、再選を目指して決選投票に臨む。
バングラデシュ:
追放された元首相の支持者と反対者の間で衝突が勃発し、1,300人以上が逮捕された。
ギリシャ:
サントリーニ島の住民1万5500人のうち少なくとも1万3000人が、頻繁な地震に不安を感じ、この1週間で島を離れた。

科学:新たな研究により、鉄とニッケルの大きな球体である地球の内核の形状が過去数十年で著しく変化していることがわかった。

2025年2月11日 火曜日

世界の動き 2025年2月10日 月曜日

今日の一言
「概ね良好」
 日米首脳会談は大きな波乱がなく終了し、メディアの扱いも概ね良好だった。以下Bloombergの記事より。
 『予想以上の成果
 石破茂首相はトランプ米大統領との初会談で、良好な関係を築き、緊密な同盟の確認と経済関係の深化に向けたロードマップ(工程表)の合意を取り付けたようだ。 日鉄については「USスチールを所有するのでなく、同社に大規模な投資を行うことで合意した」とトランプ大統領は述べた。
 コンサルティング会社アジア・グループのワシントン在勤VPユカ・ハヤシ氏は石破氏のアプローチについて、交渉を通じ取引(ディール)をまとめるトランプ氏のやり方へのひな型を提供するものだと指摘。予想を上回る成果を上げたと評価した。』
 その後の報道では、石破首相は日鉄の投資の具体的なやり方をトランプ大統領に提示したそうだ。買収でなく投資と位置付ける方法は不明だが、優先株でも使うのだろうか。
 日本国内では、日経新聞の「金メッキの時代の始まり」という辛口のコメントもあるが、昨夜の日本テレビは石破首相をなま出演させ、思い切り持ち上げていた。
 「概ね良好」な結果で、首相の支持率が上向くと思われる。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.連邦裁判所はトランプ大統領に対する最後の防壁になるかもしれない
【記事要旨】
 最近数日間で、州司法長官、労働組合、非営利団体がトランプ大統領の大統領令の電撃攻撃に歯止めをかけようと40件以上の訴訟を起こした。JD・ヴァンス副大統領は昨日、大統領の命令を阻止する可能性のある裁判官は違法行為をしていると非難した。
 従順な議会と、街頭や共和政党内での大きな抵抗がほとんどないことを考えると、政府の司法部門が大統領の権力に対する唯一の抑制手段かもしれない。しかし、行政府には迅速かつ断固たる行動能力が委ねられているのに対し、司法部門は遅いが、9件の連邦裁判所の訴訟における司法命令は、しばらくの間、政権の手を部分的に縛ることになるだろう。
 対外援助:金曜日、USAIDの職員が有給で停職処分を受けるか解雇される数時間前に、裁判所は限定的で一時的な措置を阻止する命令を出した。何千人もの職員が宙ぶらりんの状態に置かれ、機関に頼る世界中の何百万人もの人々は信じられない思いで見守った。
 移民:トランプ政権による合法・違法を問わず移民の取り締まりは、少なくとも10件の訴訟を招いた。

トランプについてさらに詳しく:
・トランプ大統領は、ジョー・バイデン前大統領の下で勤務した現職の法執行官と元国家安全保障当局者のセキュリティクリアランスを剥奪するとホワイトハウス当局者が述べた。
・金融監視機関である消費者金融保護局Consumer Financial Protection Bureauの職員は、業務を停止するよう指示された。
・トランプ氏とその息子たちが発表した新しい仮想通貨で、数人の初期のトレーダーが数千万ドルを儲けた。しかし、はるかに多くの投資家は損失を被った。
・トランプ氏は、南アフリカの白人が「不当な人種差別の被害者」であると主張し、難民として米国に移住することを許可する大統領令を出した。
・大手テクノロジー企業のほとんどは、新政権への求愛に熱心だ。エヌビディアとマイクロソフトは注目を避けている。
【コメント】
 司法の独立がトランプに対する最後の砦のようだ。

2.イスラエル軍、ガザを二分する重要地帯から撤退
【記事要旨】
 イスラエル軍は昨日、ネツァリム回廊から撤退し、ガザ北部のほぼ全域を手放した。この動きは、長期停戦に向けた協議を前に、ハマスとの不安定な停戦によって必要だった。
 現在、イスラエル軍の駐留はエジプト国境近くのガザ南部のごく一部と、イスラエル国境沿いの緩衝地帯にほぼ限定されている。
 帰国:ハマスは土曜日、イスラエルに投獄されているパレスチナ人183人と引き換えに、イスラエル人人質3人を解放した。2023年10月7日に誘拐されたタイ人5人も帰国した。
 解放された人質たちは今や自宅に戻り、自分たちが耐えてきた苦痛の様子が少しずつ明らかになり、ソーシャルメディア上で安堵と喜びを表現している。
【コメント】
 イスラエル軍の行動は、トランプ発言と呼応したもののようにも見える。

3.インドで数十人のマオイスト反乱分子が殺害されたと当局が発表
【記事要旨】
 インド中部のチャッティースガル州で昨日行われた政府軍の作戦で、マオイストのゲリラ31人と警察隊員2人が死亡したと警察当局が発表した。
 背景:ナクサライトの反乱は1960年代にインド東部で始まり、暴力は2010年にピークに達し、数百人の民間人と治安部隊員が殺害された。
 政治:ナレンドラ・モディ首相率いる与党は、ニューデリーで行われた重要な地方選挙で圧勝した。
【コメント】
 「ナクサライト」とは,貧農や下位カーストの権利保護や土地改革を標ぼうし,地主や警察当局を攻撃する極左過激組織及び毛沢東主義極左過激組織(マオイスト)の総称である。名前の由来は,1967年3月にベンガル北部ナクサルバリ地区で武装蜂起した農民集団が地主の土地や国有地を占拠し,「解放区」と称してゲリラ活動の拠点にしようとしたことにある。
 ベンガル地方での武装活動は1970年代初めに当局の取締りによって終息したが,後にインド各地に広まった同様の武装活動を継続させた集団は,総称して「ナクサライト」と呼ばれるようになった。代表的組織は「インド共産党毛沢東主義派」(CPI-M)である。
(内閣情報局のHPより)

その他の記事
イタリア:
 欧州人権裁判所は、有毒廃棄物の不法投棄や焼却が長い間がんと関連づけられてきた地域で、イタリアが市民を保護していなかったと認定した。
スペイン:
 マドリードに集まったヨーロッパの極右指導者たちは、トランプの脅しに対する不安を脇に置き、共通の敵であるEUに焦点を当てた。
セルビア:
 全国で数カ月に及ぶ抗議活動の後、同国の大統領は、10年以上の政権下で最大の政治危機を乗り切るのに苦戦している。

2025年2月10日 月曜日

多子家庭の大学学費無償化について

 昨日の日経新聞で知って驚いた。制度の概要は以下だ。
 『2025年度(令和7年度)から、多子世帯の大学等の授業料等が、所得制限なく国が定める一定額まで無償化されます。これは、文部科学省による高等教育の修学支援新制度の拡充策です。
【対象となる世帯】
扶養する子どもが3人以上いる世帯
2025年4月に入学する学生、または2025年4月時点で前年度から在学中の学生
【支援内容】
大学等の授業料・入学金が国が定める一定額まで無償化(減額)
現金支給ではなく、各学校の授業料等が減額される
【支援の要件】
扶養の基準には年齢の制限はありません
扶養されている子どものうち1人が卒業や就職などで扶養から外れると、残る兄弟も支援対象外となる可能性があります』

 随分気前の良い制度だ。日本の初任給は高卒と大卒で開きがあるので、Fランクの大学でも大学を出ておいた方が賃金上は優位だ。この制度が適用されると、大学全入時代の今日ではどんな大学でも良いので大学にとりあえず入れておこうということになるだろう。勉学にいそしむ気が無くても、無償なら行っておこうと思う若者も多いだろう。

 私が大学に入ったときは(1971年)国立大学の授業料は年間12000円だった。県立高校の授業料(年間36000円)より安くて、驚いた記憶がある。当時、早稲田や慶応の授業料が年間80000円だったと記憶する。大学に子供を送ろうと考える親は、生活費を切り詰めても学費は工面するのが普通で、国の支援を期待することは無かった。

 無理に補助金を与えてどんな大学でも良いから全入を図る(これを家庭の所得による学歴格差をなくす手段だと野党が主張し、与党も同調している)よりも、国公立大学の授業料は低く抑え、一定の学力のある者にメリットがある制度の方がずっとまともだと思う。

 特に優秀なITエンジニアが不足している現状を打破するには理系の国公立大学を国が支援し、優秀な学生が集まる制度が必要だ。欧米ではSTEM(science, technology, engineering, mathmatics)の卒業生の数を競争しているが日本はその競争に後れを取っている。

 これだけ生成AIやAIエージェントが発達してくると現在の多くのホワイトカラーの労働はAIに代替されてしまうだろう。人間に残された仕事は、エッセンシャルワーカーの仕事が中心になる日がすぐそこまで来ているようだ。

 高校の無償化、給食費の無償化、大学の無償化と、政府支出の大盤振る舞いだ。お金をもらって嫌な人は少ないから選挙対策のバラマキと言う面が強いだろう。

 AIの発達で過剰になる大卒労働者を生み出すよりも、近未来の社会の動きを見通したもう少し賢明な政府資金の使い方に知恵を絞るべき時だ。

2025年2月9日 日曜日