世界の動き 2024年8月1日 木曜日

今日の言葉
「日銀の金利引き上げ」
 NHKの報道を引用する。
 『日銀は、31日まで開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度に引き上げる追加の利上げを決めました。
 これについて植田総裁は会合のあとの記者会見で「物価が上振れるリスクに注意する必要があり、2%の物価目標の持続的・安定的な実現のために利上げの実施が適切だと判断した」と述べました。』
 景気がやや停滞している時期の利上げには批判も多いが、超円安の改善(利上げ発表後149円台まで円高が進んだ)と金利の正常化の動きを評価したい。ただ、未だに2%の目標の呪縛が残っているのには驚きだ。国民の厚生の増大のために日銀には独自の政策を実行してもらいたいものだ。
 今回の利上げで住宅ローンを抱える世帯の金利負担増加を懸念する声があるが、たった0.15%(0.25-0.10=0.15)の増加が大きな影響を与えるとは考えにくい。住宅ローン控除は0.7%もあり、住宅取得者はいまだに厚遇されている。 

 一方、メガバンクは普通預金金利を0.02%から0.1%に上げるそうだ。このレベルでは外国投信への資金流失にブレーキはかかりにくい印象だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ハマス指導者の暗殺で戦争の脅威
【記事要旨】
 カタールからハマスの政治活動を指揮していたイスマイル・ハニヤ氏は、イランの新大統領就任式に出席するために訪れたテヘランで昨日暗殺された。
 イランとハマスの双方が、イスラエルがハニヤ氏を殺害したと非難した。イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師は、ハニヤ氏の暗殺は「厳しい処罰」を招くだろうと述べた。
 殺害がどのように行われたかは不明で、イスラエル軍はハニヤ氏の死についてコメントしていない。ヒズボラは昨日、ヒズボラの上級司令官フアド・シュクル氏が火曜日のベイルート郊外でのイスラエル軍の攻撃で死亡したことも確認した。
「イラン領土でのハマス指導者の暗殺は、ここ数年で最も大胆なイランの防衛突破であり、ベイルートでのヒズボラ司令官への攻撃は、イスラエルにとって戦争開始以来最大のレバノンでの緊張の高まりだ」と、タイムズのエルサレム支局長は述べた。「何が起きてもおかしくないが、4月には、双方は緊張の高まりを避けている。」
 ハニヤはハマスとイスラエルの停戦交渉で重要人物だったが、彼の暗殺は、交渉をさらに遅らせる可能性が高い。
 ハマスの創設メンバーであるハニヤは、イスラエルとの複数の戦争や選挙を通じて同グループを率いたが、彼が、10月7日の攻撃を実行したガザの指導者や軍に対してどの程度の統制力を行使したかは不明だ。
 パレスチナ人の中には、ハニヤ氏の暗殺によって停戦交渉がさらに停滞するのではないかと懸念する者もいる。また、10か月近く戦争に苦しんできた住民にとって、ハニヤ氏の死は問題ではないと言う者もいる。
【コメント】
 イスラエルの暗殺を実行する能力は目覚ましい。何回も言ってきた「小の虫は殺す」と共に、「邪魔者は消せ」というのもイスラエルの国是だ。

2.ベネズエラの選挙結果のサンプルはマドゥロ氏の敗北を示唆
【記事要旨】
 ベネズエラの選挙管理委員会は月曜日、ニコラス・マドゥロ大統領がさらに6年間の在任期間を勝ち取ったと発表した。しかし、主要野党連合に所属する研究者がタイムズ紙に提供した選挙結果の一部は、同氏が30パーセントポイント以上敗北したことを示している。
 研究者らは、この結果は、無作為抽出した1,500人から、国内の投票機の約3パーセントにあたる約1,000台の投票機で作成された紙の領収書から収集されたと述べた。
 以前の選挙で与党の拠点であった地域でさえ、データは有権者がマドゥロ氏からエドムンド・ゴンサレス氏にシフトしたことを示している。サンプルの結果は、独立出口調査の結果と一致している。
 さらに、投票を監視する唯一の独立監視団体であるカーター・センターは、選挙は国際基準を満たしておらず、ベネズエラの法律に違反していると述べた。
【コメント】
 このような調査結果が出ても、国際社会は何も出来ない。経済の破綻した国で国民が出来ることは難民になることだけだ。UNHCRの発表では770万人の難民が発生。世界でも上位5位の難民大国だ。

3.トランプ氏は、攻撃的なインタビューでハリス氏のアイデンティティーを疑問視
【記事要旨】
 全米黒人ジャーナリスト協会の会議で緊張した様子で登場したドナルド・トランプ氏は、カマラ・ハリス副大統領はかつてインド人であると自認していたが、「突然、態度を変えて黒人になった」と虚偽の主張をした。
 世論調査では、ハリス氏を1か月前よりも好意的に見る有権者の数が大幅に増加している。
 共和党は移民問題でハリス氏を攻撃している。
 100人以上のシリコンバレーの投資家がハリス氏を支持すると誓約した。
【コメント】
 トランプは何を批判したいのだろうか。自分にブーメランで帰ってくる恐れが大きい。だんだん彼の支離滅裂さが出てくる印象だ。

その他の主要記事
日本:
 日本銀行は2007年以来2度目の金利引き上げを行い、苦境に立たされていた円を押し上げた。
インド:
 ケララ州の土砂崩れによる死者数は少なくとも144人に上った。190人以上が依然として行方不明。
米国:
 2001年9月11日の同時多発テロ事件との関連で米国で有罪判決を受けた唯一の囚人、ザカリアス・ムサウイは、母国フランスで終身刑に服する申請を却下された。

2024年8月1日 木曜日