世界の動き 2023年5月10日 水曜日

今日の言葉:
「ミンスキー・モーメント」
 (以下Wikipediaより)ミンスキー・モーメント(ミンスキーの瞬間)とは、信用循環または景気循環において、投資家が投機によって生じた債務スパイラルによりキャッシュフロー問題を抱えるポイントである。このポイントにおいて、どのカウンターパーティー(金融取引参加者)も事前につけられた高い提示額に対して値をつけることができず、大きな株の投げ売りが始まる。その結果、市場決済資産価格の突然かつ急激な崩壊、市場流動性における急激な落ち込みが発生する。
 この用語はエコノミスト・ハイマン・ミンスキーの名前にちなんだもので、1998年、ロシア財政危機を説明するためにパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のポール・マカリーによって造り出された[2]。ミンスキー・モーメントは、長い繁栄と借金による投機を促す投資価値の増大の後にやって来る。
 今朝の日経新聞では米経済の3つの壁が一面トップ記事だ。「銀行の融資の厳格化」「細る家計の余剰貯蓄」「政府債務の駆け引き」。これらはまさにミンスキー・モーメントが訪れたことを示している現象だ。

ニューヨークタイムズ記事より
1.トランプ大統領、性的虐待の責任を問われる
【記事要旨】
 マンハッタンの陪審は昨日、ドナルド・トランプ氏が作家E・ジーン・キャロル氏に対する性的虐待と名誉毀損の責任があると認定し、損害賠償として500万ドルの支払いを命じた。
 陪審は、キャロル氏がトランプ氏による性的虐待を証明したと判断したが、彼女がレイプされたという告発は棄却した。 調査結果は刑事的ではなく民事的なもので、トランプ氏はいかなる犯罪でも有罪判決を受けておらず、懲役刑を受ける可能性もないことを意味する。 トランプ氏は決定に対して控訴すると言った。
 陪審は、トランプ氏に責任があると判断し、「証拠の優位性」が、1990年代半ばにニューヨークのデパートの楽屋でトランプ氏を襲撃したというキャロル氏の告発を支持すると判断した。
 キャロルさんは、長年にわたってトランプ大統領を性的違法行為で告発してきた十数人の女性のうちの1人だが、トランプ大統領はその疑惑を常に否定してきたが、陪審による判断に成功したのは彼女が初めてだ。
 トランプ氏は2週間の裁判には出席しなかった。 陪審員による3時間の審議の末、全会一致の評決が下された。
 2024年の共和党大統領候補の最有力候補であるトランプ氏は、他の訴訟にも直面している。
 トランプ氏は評決前から政治的に成功を収めていたが、陪審員の判断がトランプ氏の勢いにどのように影響するかは不明だ。 彼に対する刑事捜査は、彼の支持者たちを傷つけるにはほとんど役立っていない。
【コメント】
 訴訟を起こしていた中では最も著名で知的な人だ。今回の判断をトランプはまた政治的魔女狩りと言って切り抜けるのだろう。

2.カーン逮捕後のパキスタンでの抗議活動
【記事要旨】
 民兵組織は昨日、パキスタン元首相イムラン・カーンを、同氏に対する数十件の汚職事件のうちの1件に関連して逮捕した。 首都での逮捕直後、カーン氏の支持者らはラホールやカラチなど複数の都市で街頭に繰り出した。
 同氏の逮捕は、昨年4月にカーン氏が不信任投票によって権力の座から追放されて以来、国を巻き込んでいる政治危機が大幅にエスカレートしたことを意味する。 カーン氏は軍と政府が自分に対する共謀を行っていると非難した。
 アナリストらによると、カーン氏をめぐるドラマは彼の人気をさらに高めただけのようだという。 同氏は失脚後、カムバックを図り、何十年にもわたって政府の背後で見えざる手として権力を握ってきた軍に公然と挑戦している。
 アフガニスタン・パキスタン支局長のクリスティーナ・ゴールドバウムは、「パキスタンの多くの人々にとって、これは転換点のように感じており、何か月もくすぶっていた政治的緊張がついに沸騰するような気がしている」と語った。
 「今日私たちがラワルピンディの軍本部で見た抗議活動やラホールの軍司令官官邸の略奪、つまり国民によるこの国の強力な軍との直接対決は、多くの点で前例のないものだった」と彼女は述べた。
 カーン氏の逮捕は、イスラマバード近郊のアル・カディール大学の土地譲渡に関わる事件に関連していると当局者は述べた。 カーン氏は有力な不動産王に便宜を図り、見返りに大学が土地や寄付金を手に入れた疑いで告発されている。
 カーン氏は今日法廷に出廷させられると当局者は述べた。 抗議活動は今週も続くとみられ、警察とカーン氏の支持者との間で暴力的な衝突が起こる可能性が高まっている。
【コメント】
 インドとアフガニスタンの隣国であるパキスタンが動揺している。テロリズム、宗教紛争の高まりが大いに懸念される。

3.中国、外国とつながりのある別の企業を強制捜査
【記事要旨】
 中国当局が著名な国際コンサルティング会社を強制捜査した理由については、数週間にわたって明かされて来なかった。
 ミンツ・グループやベイン・アンド・カンパニーなどのアメリカ企業、そして最近ではニューヨークと上海に本社を置くコンサルティング会社キャップビジョン・パートナーズに対する強制捜査を受けて、その理由が明らかになってきた。
 国営メディアは、今回の強制捜査は国家安全保障の名の下で行われたと述べ、西側諸国が「中国に対する封じ込めと抑圧戦略」の一環として重要な情報を盗んでいると非難した。 中国政府はまた、外国顧客に対する金融データの入手を制限する動きを見せており、スパイ防止法を拡大している。
 この動きは、中国経済が新型コロナウイルスの厳しい制限から回復しようとしている最中に、外国企業に中国への再投資を躊躇させる恐れがある。
 LinkedInは中国での事業を縮小すると発表した。
 カナダ議員に関する情報収集を行ったとしてカナダが中国当局者を追放したことを受け、中国はカナダ外交官を上海から追放した。
【コメント】
 相変わらずの戦狼外交ぶりだ。自分の物差しを世界中に押し付けてくる中国の政策はいつまで持続可能なのだろうか。日本もジャパンアズナンバーワンのころは日本のやり方が世界一だと過信していた。中国もいずれは自身を省みる時期が来ると思うのだが。

その他:
ロシアの戦勝記念日
 Russia’s annual Victory Day celebrations were muted, reflecting the uneasy moment that the country faces in the war.
 President Vladimir Putin kept to his usual talking points during a speech, accusing Kyiv and its Western allies of “pursuing the dissolution and the destruction of our country.”
 William Burns, the director of the C.I.A. and a key figure in bolstering U.S. support for Ukraine, has amassed influence far beyond most previous agency leaders.
トルコの選挙の行方
 President Recep Tayyip Erdogan of Turkey is facing what is shaping up to be the toughest elections of his career. Polls suggest a tight race this weekend, perhaps even a defeat.
中国の旅行解禁で香港が大変
 With China’s borders opened after the lifting of pandemic restrictions, budget tour groups from the mainland have been coming back to Hong Kong in droves. Their return has revived old tensions — and a touch of snobbery — in a city starved for business.
 “Can we have some good quality tour groups?” a Hong Kong lawmaker asked during a recent legislative session while holding up pictures of tourists overrunning parts of the city.

2023年5月10日 水曜日

世界の動き 2023年5月9日 火曜日

今日の言葉:
「メガバンク 中途採用」
 日経に興味深い記事があった。
 『3メガバンクが中途採用を大幅に増やす。2023年度は少なくとも計770人と21年度実績比4.5倍に急増する。新卒を含む採用全体に占める比率も4割に迫り、三菱UFJ銀行は24年度にも中途の採用数を新卒とほぼ同水準にする方針だ。デジタル分野などで即戦力となる人材を集めており、新卒中心だった3メガ銀の採用は転機を迎えている。』
 私が働いていた(1975-2000年)ころは、中途採用の人は極めて少なく、変わった人がいるなーと言う感じで見ていたものだ。
 いまは様変わりだ。新卒で思うような人が採用できないこと。新卒者で辞める人が多いこと等も理由だろう。
 多様化・流動化が進み、給与も優秀な人はより多くもらえることになる。良いことだろうと思う。

ニューヨークタイムズ記事より
1.銃乱射事件で揺れるテキサス
【記事要旨】
 過去 2 週間で、テキサス州の銃乱射事件で 13 人が死亡した。 大量殺人事件は、一部のテキサス州民の間で銃規制への要求を助長したが、共和党議員は暴力に対処するための行動に関心を示さい。
 実際、テキサス州は過去 2 年間に銃へのアクセスを増加させてきた。州は、拳銃を携帯するための許可要件を撤廃し、拳銃の所持年齢を21歳から18歳に引き下げた。
 世論調査によると、テキサス人は銃規制の厳格化をアメリカ人全体より支持していませんが、一部の限定的な銃規制措置を支持している。
 しかし、共和党のアボット知事は、銃器へのアクセスを制限するための新たな取り組みはないだろうと述べた。
 最近の銃撃事件: 日曜日、銃撃犯がダラス郊外のショッピング モールで 8 人を殺害した後、警察に殺害された。 銃撃者は白人至上主義のイデオロギーを支持した可能性がある。当局は黒人と女性への憎悪が蔓延しているSNSのプロフィールを調査し、彼のものであると信じている。 1 週間前には、近所の人に前庭での銃撃をやめるように頼んだ家族5 人が射殺された。
 今年、米国ですでに200 件以上の銃乱射事件を数えている。
【コメント】
 一日2件近くの銃乱射事件があるわけだ。銃を保有する自由が憲法に謳われている国柄はどうすれば変わるのだろうか。

2.ロシアはウクライナの反撃に備える
【記事要旨】
 間もなく激しい戦闘が予想されるため、ウクライナのいくつかの占領地域のロシア当局は避難を命じた。 しかし、一部のウクライナ人は滞在しており、住民は、混乱、反抗、欠乏に囲まれている。
 ロシア当局が避難命令を出した後、ウクライナがロシアの防御を突破しようとする可能性があるザポリージャ地域からは約 70,000 人が移動すると予想されていた。
 しかし、当局が住民を強制的に立ち退かせる努力はほとんどない。ヘルソンではガソリンスタンドが空になり、食料品店の棚が空になり、ATMの現金がなくなっている。
 ザポリージャでは、ロシアの撤退の兆候はないとウクライナ軍当局者と西側軍事アナリストは述べる。ロシア軍は防御的な要塞を拡大している。
 戦争からのその他の更新:
 ロシアは夜通し、キエフを無人機で攻撃した。ウクライナは、それらすべてを撃墜したと述べた。
 今日のロシアの戦勝記念日のお祝いは、セキュリティ上の懸念から縮小された。 プーチン大統領が国民に向けて演説する予定だ。
【コメント】
 両軍が爪を研いで対峙している。戦勝記念日以降の動静に目が離せない。

3.中国の病院火災で高齢者ケアの不足が露呈
【記事要旨】
 先月、北京南部の病院で火災が発生し、少なくとも 29 人が死亡した。その多くは、施設に数か月、場合によっては何年も入院していた障害のある高齢者だった。この病院は、長期高齢者ケアを提供する認可を受けて居なかった。
 この悲劇により、深刻な問題が露呈した。国の養護施設のベッドの供給が、急速に進む人口の高齢化に追いついていない。 当局は不足に対処する緊急性を認識しているが、多くの障害が残っている。
 親に対する子供の義務を強調する文化では、老人施設に対する汚名がたくさんある。 公共施設には長い待機リストがあり、私立施設は法外に高額になる可能性がある。 さらに、高齢者ケアを提供する施設の免許を取得することは複雑な官僚的プロセスであり、一部の民間企業は地下で運営されている。
【コメント】
 急速に高齢化する中国も大変だと思う。日本でも高齢化は当然他人事ではない。最近は新聞の折り込み広告は「住宅」よりも「老人ホーム」がずっと多い。
 高級ホームに入ろうとすると数億円かかる。2000万円もんだいどころではない。

その他:
米中の関係改善か
 China’s foreign minister met with the U.S. ambassador to China in Beijing yesterday, a sign of a possible thaw in relations.
イスラエルの司法改革
 Israel’s court crisis is at the front line of a longstanding dispute between ultra-Orthodox Jews and those who support religious pluralism and secularism.
コンゴ・カナダでの災害
 Floods and landslides have killed more than 400 people in the Democratic Republic of Congo. More rain is expected in the coming days.
 Wildfires have burned almost 1 million acres in Western Canada.

2023年5月9日 火曜日

世界の動き 2023年5月8日 月曜日

今日の言葉:
「サザエさん症候群」
 日曜の夜「サザエさん」が終わると明日から月曜で憂鬱になった。それをサザエさん症候群と呼ぶのは最近になって知った。私だけではなかったのか。
 長い連休が終わり今日から平常。さあ頑張ろうと思うと大雨で出鼻がくじかれる。こういう状況は何と言うのだろうか。サラリーマンである「マスオさん」症候群かな。

ニューヨークタイムズ記事より
1.日本のリーダーがソウルを訪問
【記事要旨】
 日本の岸田文夫首相は韓国を訪れ、起きかけている両国間の緊張緩和を促進するため、ユン・ソクヨル大統領と会談している。 昨日、ソウルで、両首脳は二国間関係を改善するための共同の努力を推し進めることに合意した。岸田は20世紀初頭の朝鮮半島の日本の植民地支配について謝罪しなかった。
 岸田は、日本は前任者の何人かが反省と謝罪を表明した過去の声明を支持していると述べた。 国民の苦しみを思うと「心が痛む」と語ったが、野党第一党の党首をはじめ、多くの韓国国民が求めてきた明確で直接的な謝罪には至らなかった。
 ユンは、一部の韓国人からの批判にもかかわらず、それは相手の誠実さから自然と出てくるものであり、そのような謝罪を求め続けるつもりはないと述べた。   代わりに、ユンは、北朝鮮と中国からの差し迫った挑戦に焦点を当てるよう自国に促した。
 岸田の 2 日間の旅行は、3 月にユンが東京を訪れた後に続き、2011 年に両国の指導者間の定期的な交流が歴史的な違いをめぐって終了したシャトル外交が軌道に戻ったことを意味する。
 日韓間の関係を深めるという誓いは、米国にとって心強い兆候だ。
【コメント】
 尹大統領の大人ぶりがわかる会見でした。何とか両国関係が改善軌道に乗る第一歩になると良いのだが。

2.米国は移民の急増に備える
【記事要旨】
 米国は、何十万人もの人々の入国を妨げたパンデミック時代の緊急保健規則を解除する準備をしており、 メキシコとの国境で人々が殺到し、政治的緊張が高まるのに備えている。
 米国では、この措置が終了した直後の金曜日から、毎日 13,000 人もの移民が予想されている。 これは、通常の 1 日の約 6,000 人の移民から増加している。テキサス州の 3 つの都市は非常事態を宣言し、バイデン大統領は最近、国境に 1,500 人の軍隊を派遣した。
 ベネズエラ、中国、インド、ロシアなど、経済的困難や政治的混乱にある遠く離れた国から、より多くの人々が来ている。 米国内では、移民制度をめぐる議論は依然として二極化し、過熱しており、2024 年の大統領選挙が始まると、深刻な政治的リスクが生じる。
 タイトル 42 として知られる緊急保険規則により、米国政府は複数の国の市民をメキシコに迅速に追放することができた。
 最初に他の場所で保護を求めなかった亡命希望者を失格とする厳格な新しい規則が、木曜日に施行される。
【コメント】
 日本では移民を受け入れる議論を真剣に始めるべきだ。この記事の一日6000人の移民は年間219万人になる規模だ。巷間言われる毎年20万人移民を日本が受け入れるとすると一日540人以上になる。ハードとソフトの両面で準備が必要だ。

3.中国はカナダの選挙に干渉したか?
【記事要旨】
 バンクーバー市長のケン・シムは、中国が選挙を左右しようとしているとの報道をめぐり、政治的な嵐に巻き込まれている。 バンクーバー初の中国系市長であるシム氏は、圧倒的な勝利は苦戦だったと述べ、民族的背景が原因で標的にされたと示唆した。
 この論争は2月、カナダ最大の日刊紙グローブ・アンド・メールが、中国がバンクーバー選挙を含むカナダの選挙を操作しようとしたことを機密情報報告が示していると報じたときに勢いを増した。報告は公表されていないが、中国は直近の2回の連邦選挙でジャスティン・トルドー首相率いる自由党の勝利と中国系の候補者への支持を確保しようとしたと結論付けていると言われている。
 報道によると、バンクーバーの中国の元総領事は地元の華僑系カナダ人政治家を篭絡しようとした。 シムのライバルはまた、中国の干渉を調査するよう求めている。 シムは北京が介入したという主張を否定し、彼のたゆまぬキャンペーンとより魅力的な政策が、彼の地滑り的勝利の理由だとしている。 「私が白人男性だったら、こんな会話はなかったでしょう」と彼は言う。
 カナダの元駐中国大使は、中国政府がカナダを影響力の標的としていたのは、中国政府がカナダをてことして米国に働きかけ、中国への反対を和らげようとしたためだと語った。
【コメント】
 選挙へのSNSの影響が強まると潜在的に中国の干渉可能性が高まる恐れがある。そうなると統一教会どころでない力があるだろう。
 投票率40%の過半数を得るには20%の支持率で可能だ。世論調査では多くの野党の支持率は3-4%程度だ。

その他:
チャールズ国王の戴冠
 King Charles III was crowned on Saturday. Here are pictures from the coronation.
シリアはアラブ連合に復帰
 Arab nations agreed to let Syria rejoin the Arab League, a step toward ending the country’s 12-year-long international ostracism.
Netflixも韓ドラ
 Netflix, encouraged by the success of “The Glory,” plans to spend $2.5 billion more on Korean content.

2023年5月8日 月曜日

米国の地方銀行とシャドーバンキング

NYTimesに、動揺する米国の地方銀行と拡大する非銀行金融機関(NBFI)別名シャドーバンクの趨勢について興味深い記事があったので紹介したい。

The new lenders By Lauren Hirsch
NYimesのDealBookに掲載された記事だ。

今週の地方銀行の株式の乱高下は、3 つ銀行が当局の管理下に置かれたことが問題を解決したわけでは無いことを明らかにしている。一部の投資家は、PacWest のような一見健全に見える銀行も破綻する賭けに出ており、当局は中小銀行への資本増強の指導を強めている。
大手銀行は現金をかき集めているが、金利が上昇し始める前に行われた融資を抱えており、独自の制約に直面している。
(水島注:短期調達長期運用の米銀は、金利上昇期には利ザヤが縮小する。自己資本の維持のためには既存の長期貸し出しを継続しなかったり減額する「貸し剥がし」に出る恐れがある)

つまり、規模の大小を問わず、企業はすぐに別の場所でローンを探す必要があるかもしれない。Apollo Global Management、Ares Management、Blackstone などの巨大な投資会社を含む、預金を受け付けないノンバンクのグループ(NBFI)は、その空白に足を踏み入れようと必死になっている。
過去 10 年間、NBFIは積極的に融資を拡大し、2013 年から 6 倍の 8,500 億ドルにまで成長したプライベート クレジット業界を支えてきた。
現在、他の貸し手が減速する中、大手投資会社は機会を見出している。
インベストコープの共同最高経営責任者であるリシ・カプールは、ミルケン・インスティテュートのグローバル会議で、「私たちのようなプレーヤーが、他の誰もがスペースを空けた場所に足を踏み入れることは実際には良いことです」と語った。 .
しかし、銀行からノンバンクへの融資のシフトにはリスクが伴う。プライベート クレジットが急増した理由の 1 つは、資金提供者が金融危機後に銀行に課せられた金融規制の対象とならないことだ。
米国が潜在的な不況に直面している時期に、米国の融資が規制の緩い事業体に移行していることは何を意味するのか?

シャドーバンクの台頭
ローンを提供するが銀行ではない機関NBFIは、「影の銀行」として知られて、年金基金、マネー マーケット ファンド、アセット マネージャーが含まれる。
影の銀行は預金を受け取らないため、銀行と同じ規制の対象とならず、より大きなリスクを取ることができrう。 投資管理会社のハミルトン・レーンによると、2000 年以降のプライベート クレジットのリターンは、公開されたベンチマークを 300 ベーシス ポイント上回っている。
これらの大きなリターンは、プライベート クレジットを、特に低金利時代にはプライベート エクイティに重点を置いていた機関にとって魅力的なビジネスにしている。たとえば、Apollo は現在、オルタナティブ レンディング事業で 3,920 億ドル以上を保有しています。 その関連会社である Atlas SP Partners は最近、苦境に立たされている銀行 PacWest に 14 億ドルの現金を提供した。 Blackstone は、2,910 億ドルの信用および保険資産を管理しています。
プライベート エクイティ会社も、シャドー バンクの最大の顧客の一部です。 規制により、銀行が帳簿に残すことができるローンの数が制限されているため、銀行は、金利が上昇する前にコミットした債務を売却するのに苦労しており、LBOの引き受けから手を引いている。
「我々は、銀行が少なくともこの環境では撤退しているため、最前線に浮上した信頼性の高い資本形態であることを時間をかけて実証してきた」と、Carlyleのグローバルクレジット責任者であるMark Jenkins氏はDealBookに語った。
モルガン・スタンレーのアナリストは、借り手が今後2年間で少なくとも1兆5000億ドルのローンの借り換えを検討している可能性があるオフィスビルなどの商業用不動産を中心に、地方銀行が撤退するにつれて、直接融資がさらに後押しされる可能性があると予測している。モルガン・スタンレーの調査によると、米国の地方銀行はこうした種類の融資の約 4 分の 3 を占めています。
HPSインベストメント・パートナーズのパートナーであるマイケル・パターソンは、「不動産は新しい家を見つける必要があり、私はプライベートクレジット会社がそのためのかなり大きな場所だと思う。より広く言えば、大企業、小企業を問わず、クレジットの入手可能性が減少していることは事実であり、私はプライベートクレジットがその解決策の大部分を占めると思う」と述べた。

未知の領域
この規模の直接貸付は、これまでテストされたことがありません。NBFIの 10 年間の成長のほぼすべてが、安価な通貨の中で、不況の圧力の外で行われた。 業界の不透明さは、破綻する前にどの断層線が存在するかを知ることがほぼ不可能であることを意味する。
同時に、影の貸し手は、従来の銀行が関与しない中小企業に融資を拡大しています。 「これらは必ずしも信用格付けのある企業とは限りません」と Preqin の調査インサイトの副責任者である Cameron Joyce 氏は DealBook に語った。
また、プライベート クレジット会社は、よりクリエイティブなクレジットを提供し、迅速に対応できると自負しているが、その機敏性には代償が伴い、従来よりも高いレートと厳しい条件を要求することがよくある。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は最近の年次書簡で、「新しい『影の銀行』の多くは晴天の友人だ」と述べた。 「彼らは、困難な時期にクライアントを助けるために介入しません。」 ローンを利用している企業の差し押さえがより迅速になることを意味するのではないかと心配する人もいる。

規制当局の監視レーダーについて
ワシントンでは、影の銀行が何年にもわたって注目されてきた。 信用状況が引き締まるにつれて、彼らはさらに注視している。
I.M.F. はより厳しい規制監督を求めており、イエレン米財務長官は先月、規制当局による精査を強化できるように、ノンバンクをシステム上重要なものとして指定しやすくしたいと述べた。
しかし、地方銀行の危機の緊急性を考えると、ますます脆弱になる可能性のある金融システムをさらに混乱させる意欲はほとんどないかもしれない。
ホワイトハウスの元首席補佐官を務めたロン・クラインは、4月のインタビューでシャドーバンクについて、「多くの地方銀行の大規模な一掃がもたらすのと同じ種類のリスクを彼らがもたらすかどうかはわかりません。 「それは人々が注目し続けるものだと思います。」
関係者は、多くのNBFIは銀行と同じように借り手に友好的であり、リピーター顧客に重点を置いていると主張している。 これらの企業には預金者がいないため、悪い賭けで損をするのは自社の投資家だけだ、と彼らは言う。 彼らは顧客の預金を基に貸付を行っていないため、銀行の取り付け騒ぎに対して脆弱ではない。
ブラックストーンのシュワルツマシCEOは3月、アナリストらに対し、「われわれの顧客と相手方は、われわれとの取引には本質的に安全性があることを学んだ。私たちは、高度にレバレッジされたバランスシートで、資産と負債のミスマッチが原因で問題に陥った金融会社のようなリ事業を行っていない」と語った。
しかし、1998 年にロング ターム キャピタル マネジメントが破綻し世界中の市場が下落したときのように、プライベート ファンドは過去に会社を超えた痛みを引き起こした。 影の銀行が互いに融資すればするほど、相互連鎖が強化され、より広範な経済に波及する可能性のあるリスクが増大する。
「『我々はリスクをうまくコントロールしている』と彼らは言うが、彼らは何らかの方法でより高いリターンを生み出している。その上に儲かる上手い話はない」と、Americans for Financial Reformの上級政策アナリスト、アンドリュー・パークは述べた。

(水島注:NBFIには預金が無いから信用不安になっても取り付け騒ぎが起きることはない。自己資本規制や準備率規制もない。一社当たりの貸出上限規制もない。こうした当局からの規制を受けないために、銀行にくらべ巨額の貸し出しが容易だ。
独立系の投資ファンドの巨人が林立する米国では、NBFIからの企業や個人向けの資金提供が広範に行われているようだ。
日本では金融機能では銀行の機能が圧倒的で、投資ファンドの多くも資金供給を金融機関に頼っているのでNBFIの存在感は今しもだ。
しかし、金利上昇が継続すると、逆ザヤが進み、貸し出しに消極的になり、さらには貸し剥がしに向かう金融機関が出てくるかもしれない。
三菱UFJ銀行が、窓口での送金手数料を大幅に値上げするとかATMの24時間運用を止めるという報道が矢継ぎ早に出た。窓口に来る小口客は無視しようという企図のようだ。
銀行自体の収益力を強化するのは当然だが、やりすぎると、借入企業を失い、大口預金客も失うことになりかねないことは、十分理解して進めることが肝要だ。

2023年5月7日 日曜日

5月6日

長かったGWの連休も終わりに近づいた。
那須の人出も少なくなり道は空いている。高速上り線の渋滞報道もなくなった。

昨日能登で大きな地震があり、今日は英国のチャールズ国王の戴冠式があるので、ニュースにやや広がりが出てきたが、昨日までは、GWでの観光地の賑わい、新幹線と高速道路の混雑の報道だけで、見ていて疲れた。

米国ではまた中小銀行の経営が揺るぎそうだ。欧州では中央銀行が利上げを決めた。ウクライナでの戦争は終わらない。クレムリンでのドローンの爆破は誰の仕業なのか。スーダンの戦乱は続く。イスラエルでは内閣が決まらない。世界は動乱している。

30年間の無成長で日本はすっかり世界的に存在感を失い、国民所得は韓国や台湾に抜かれたという。とはいえ、このぬるま湯は国民が求めたものでもあるのだ。金利が低くなければゾンビ企業が存続できない。コロナ対策で無利子の金を貸してくれ。需要が乏しいので国債を増発して景気を刺激してくれ。我々はいつからこんなに「お上」に依存するようになったのだろうか。

自民党政権は国民の期待に応えて見事な国家運営をしてくれた。選挙で自民党が負けることは考えられない。何故なら国民の期待に応える政治を見事にしているからだ。

連休で憲法改正と少子化の持論が取り上げられることが多かった。ここ30年程の課題だが、一歩も進まない。国民に我が事としての認識が無いことが最大の問題だろう。

どうすれば政治が変わるのか。どうすれば日本の企業は独立心を取り戻すのか。解けないパズルを解こうとしても疲れるだけか。。

もう少しまともなエッセイを書こうとしたが、連休疲れで思い浮かばない。ダメだなー。

2023年5月6日 土曜日