世界の動き 2023年5月16日 火曜日

今日の言葉:
「熊の被害」
 北海道で釣り人がクマに襲われ亡くなった。ここ数年毎年150件ほどの熊による人への襲撃事件が出ており死者は令和3年には5人に上っている。
 「森のくまちゃん」に万一であったらどうするか。すたこら逃げてはいけないらしい。相手を見ながらじりじり後ずさりをして安全を確保するというのが定説だが、そんなことが実際できるのだろうか。

ニューヨークタイムズ記事より
1.トルコ選挙、決選投票へ
【記事要旨】
 エルドアン大統領はトルコ大統領選挙で第1回投票で勝利を収めることができず、5月28日の決選投票に臨むことになったが、彼はさらに5年の任期を勝ち取るのに十分な立場にあるようだ。
 日曜の投票ではエルドアン氏が49.5%を獲得し、主な挑戦者であるケマル・キリクダログル氏の44.9%を上回った。 選挙戦から敗退した第3候補のシナン・オーガン氏の右派支持者は決選投票でエルドアン氏に投票する可能性が高く、エルドアン氏が勝利する可能性が高まっている。
 エルドアン大統領の党とその同盟者らは、日曜に行われた議会選挙で圧倒的多数を維持した。 それはおそらくエルドアン大統領の再選の可能性をさらに高めるだろう。
 しかし、エルドアン大統領が過半数を獲得できなかったという事実は、選挙活動に国家資源を活用し、メディアに頼って競争の場を自分に有利に傾けたにもかかわらず、一部の有権者が彼の財政管理と権力の強化に不満を抱いていることを示している。
 暫定結果によると、2018年の大統領選挙と比較して、国内のほぼすべての地域がエルドアン氏に反対する方向に傾いた。 最も厳しい非難は、トルコの二大都市であるイスタンブールとアンカラの周辺地域からのものだった。
 専門家らは、この結果はエルドアン大統領の恐るべき生存能力を示す例にすぎないと述べた。
【コメント】
 反エルドアン勢力の統一候補は意外に伸びなかった。確かにエルドアンの生存力の高さがわかる結果だった。20年の権力の座がさらに4年続くのをトルコの国民が本心から支持しているのだろうか。

2.タイ野党、連立政権樹立に合意
【記事要旨】
 タイの2つの野党は昨日、週末の総選挙で圧倒的多数を獲得したことを受け、連立政権樹立に向けて連携すると発表した。 しかし軍事政権が簡単に権力を移譲するかどうかは依然として不透明だ。
 前進党党首のピタ・リムジャロエンラット氏は連立政権構築の取り組みを主導し、首相に就任する可能性もある。 同氏は、軍部が任命した上院の反対が依然として自身の指名を阻止する可能性があることについては懸念していないと述べた。 「タイ国民がそんなことを許すとは思えない」と彼は語った。
 しかし、歴史が何らかの指標であるとすれば、軍がすぐに権力を手放す可能性は低い。 将軍たちは2017年に憲法を書き換え、上院と同盟し、軍が次期首相を決定することを確実にした。 アナリストらは、ピタ氏が国を率いることを阻止しようとするいかなる取り組みも抗議活動を引き起こす可能性が高いと述べた。
 「現在、多くの人がピタ氏を新首相として念頭に置いている」と専門家は語る。 「ピタ氏が首相になれず、前進党が政権を樹立できなければ、国民の心は引き裂かれるだろう。 そしてそれは非常に悪いものになるだろう。」
【コメント】
 上院250議席の力は侮れない。下院には意見の異なる多数の少数政党があり、それらを上手く統合できるかが野党政権が出来るかどうかのポイントになる。

3.中国人労働者が海外で脅威に直面
【記事要旨】
 3月には武装集団が中央アフリカ共和国の人里離れた鉱山を襲撃し、そこで働いていた中国人労働者9人を殺害した。 この攻撃やその他の同様の攻撃は、中国が海外で自国民を保護する能力に疑問を投げかけている。
 中央アフリカの政府は攻撃の原因は反政府勢力だと非難した。 反政府勢力はロシアのワグナー傭兵団を非難し、傭兵団も反乱軍を非難した。 どの側も証拠を提示していない。 外交官によると、十数人が現場にいたはずだが、現場を守っていた政府軍兵士はわずか4人だった。 4人全員が生き残った。
 この不透明さは、中国企業の拡大に伴い中国政府が直面する安全保障上の課題の増大を浮き彫りにした。 多くの場合、彼らは保護が限られた紛争地帯の真ん中でビジネスを行っている。 中国は、中国人労働者を保護するために地元の軍人、傭兵、民間企業のパッチワークに依存することが多い。
 「世界で最も統治が行き届いていない地域に参入し、紛争を激化させているという意味で、中国は薄氷の上にある。そして攻撃が起こるたびに中国国民は怒り、中国はこの直接介入しないやり方を再考せざるを得なくなる」と中国の開発金融の専門家は語った。
【コメント】
 治安の悪い途上国で国策ビジネスのまい進するのが中国企業のビジネスのやり方だが、このやり方で中国はアフリカでの影響力を拡大してきた。直接介入するとは中国人労働者保護のために保護人員を派遣することだろうか。一層現地の反発を招くだろう。

その他:
ジャニー喜多川の記事
 One of Japan’s top entertainment production companies issued an apology over sexual assault claims against its late founder.
EUはゲーム企業の買収を承認
 The E.U. approved Microsoft’s $69 billion takeover of Activision Blizzard, after U.S. and British regulators both moved to block the deal.
ウクライナの戦争
 Britain promised a large package of missiles and attack drones to Ukraine as President Volodymyr Zelensky paid a visit.
 Ukraine made further advances around Bakhmut, the country’s deputy defense minister said.

2023年5月16日 火曜日

世界の動き 2023年5月15日 月曜日

今日の言葉:今日がまさにそうだが、
 「Rainy days and Mondays(雨の日と月曜日は)」

 Talking to myself and feeling old
Sometimes I’d like to quit, nothing ever seems to fit
Hanging around, nothing to do but frown
Rainy days and Mondays always get me down
 とても奥深い言葉が並ぶカーペンターズの名曲だ。

ニューヨークタイムズ記事より
1.タイの有権者は変化を支持
【記事要旨】
 タイの有権者は10年近い軍事政権の終焉を求め、軍と王政という2つの強力な保守組織の力を抑制すると約束した2つの野党に賛成票を投じた。
 今朝の開票率97%の時点で、定数500の下院で前進党(ムーブ・フォワード)は151議席、ポピュリスト政党のタイ貢献党は141議席を獲得した。
 ISEAS-ユソフ・イシャク研究所は、「今回の選挙を、タイ政治における伝統的な権力中枢に対する国民投票としてみるることができる。人々は単なる政権交代ではなく構造改革を望んでいる」と見る。
 この結果は、2014年にクーデターで権力を掌握したプラユット首相にとって屈辱的な打撃である。
 前進党は強制徴兵の廃止と王室批判を犯罪とする法律の改正を目指している。 都市部の若者や首都バンコクの有権者を魅了し、目覚ましい躍進を遂げた。
 タクシン元首相によって設立されたタイ貢献党は、2006年に汚職疑惑のさなかクーデターで追放された後も、貧しい人々の擁護者として今でも懐かしく記憶されている。 世論調査によると、タクシン氏の娘が首相候補の第一候補となった。
 タイ貢献党と前進党はどちらも過半数を形成するのに十分な議席を持っていないため、連立を確立するには他の政党と交渉する必要がある。 しかし、クーデター後に軍が作成したタイの現行制度の下では、軍事政権は依然としてキングメーカーの役割を果たすことになる。 誰がリーダーになるかの決定には数週間、場合によっては数か月かかる可能性がある。
【コメント】
 あれほど国民の尊敬を受けていたプミポン国王が亡くなった後どうしようもない皇太子が王位に就いたあと王室への批判が出てきた。
 英国王室やさらには日本の皇室への示唆もある。
 軍事政権から民主主義政権へ波乱なく移行して欲しいものだが多分一波乱あるのだろうと見る。

2.トルコの重要な選挙
【記事要旨】
 昨日トルコの有権者が投票に行ったとき、エルドアン大統領は、20年間の政権に対する最も激しい政治的挑戦に直面しており、選挙結果はトルコの内外政策を再構築する可能性がある。
 結果はまだ出ていないが、国営通信社は開票当初の結果ではエルドアン氏が優勢であると報じた。エルドアン大統領の最有力挑戦者ケマル・キリクダログル氏はツイッターに「我々がリードしている」と書き込んだ。
 どの候補者も過半数を確保できなかった場合、最有力候補 2 名が 5 月 28 日に決選投票に進むことになる。
  この投票は、エルドアン大統領の20年間を問う国民投票だ。2018年以来の痛みを伴うインフレに見舞われている経済状況に対する国民の怒りが主な理由で、非常に接戦となった。
 この投票はまた、トルコで地震により5万人以上が死亡した3か月後に行われ、エルドアン大統領が開発促進に重点を置いたために安全でない建物が生み出されたのではないかという疑問が生じた。
 トルコは本格的な民主主義でも本格的な独裁制でもない。エルドアンは過去 20 年間、自分に有利な方向に政治を傾けてきた。
 エルドアン大統領の敗北は西側諸国にとっては恩恵であり、ロシアにとっては損失となるだろう。 エルドアンはモスクワとの貿易を拡大し、プーチン大統領との緊密な関係を追求し、NATOの拡大を妨げてきた。
【コメント】
 20年の長期政権が倒れるのか注目したい。

3.サイクロン「モカ」が上陸
【記事要旨】
 ここ10年以上で最も強いと予想されているサイクロン・モカが昨日、ミャンマー西部のバングラデシュ国境近くに上陸した。少なくとも6人が死亡したが、これまでのところ当局が懸念していた人道的大惨事には至っていない。
 サイクロンの被害を受けた地域には、世界で最も貧しい人々が住んでいる。 嵐は世界最大の難民キャンプがあるバングラデシュの都市コックスバザールを通過したが、当局者らは現地での被害報告はまだ受けていないと述べた。
 世界食糧計画は大規模な緊急対応の準備を進めていると述べた。 しかし一部の当局者は、陸地では暴風雨が弱まるため、この地域は最悪の被害を免れることができるとの期待を表明した。
【コメント】
 多くの低地が水没する見慣れた光景が繰り返される。モンスーン地帯の悲劇がいつまでも繰り返される。

その他:
中国で外国企業への逆風
 Beijing’s crackdown on companies with foreign ties has spooked some business executives. The country’s focus on bolstering national security may harm its economic growth.
 China ordered Tesla to recall 1.1 million vehicles over braking risks.
中国が和平への道を開くか
 A Chinese envoy will visit Ukraine and Russia this week in an attempt to negotiate an end to the war.
昔コニー・チャンというキャスターがいました
 Many Asian American women are named after Connie Chung, a veteran U.S. television journalist. The writer Connie Wang explored the phenomenon, which she calls “Generation Connie.”

2023年5月15日 月曜日

弱肉強食

四字熟語の定番だ。お笑いでは「■肉■食」の穴埋め問題で「焼肉定食」を正解にするのが流行ったことがある。

今朝新聞を見ていて、竹中平蔵氏がAIのコンファレンスのキースピーカーで挙がっており、ああ、この方はまだ頑張っているんだと思い、竹中さんが経済財政+金融担当相になって大手銀行の不良資産を処分する政策を推し進め、大手銀行や証券会社が倒れ、実質債務超過の借入過多企業が沈み、貸剥がしのため中小企業が青息吐息になり、日本にもついに「弱肉強食」の時代が来たと考えたのを思い出したのだ。

私は2000年に銀行を辞めプラベートエクイティ(PE)業界に転じたのだが、ダイエーが倒れ、日産自動車がゴーン改革で子会社の多くを整理したこの時期は、それらの会社が案件の多くを供給してくれたPEにとっては良き時代だった。これで日本も資本主義化し「失われた10年」にも終止符が打たれると思いきや、そうはならなかった。

次第に「痛いのは、やっぱり、嫌だよね」と言うのが国民の多数派になり、嗅覚の鋭い政治は、国債を増発し増税を先延ばしして、国民の支持を得るのに一生懸命だった。資本主義は定着せず、悪しき平等主義・社会主義に逆戻りした。

コロナ禍も産業構造を改革する良い機会だった。生産性の低い企業は潰れざるを得ないのが資本主義の大原則だが、ゼロゼロ融資や、雇用調整助成金で、本来退場すべき企業の多くが生き残り、保守層の岩盤支持層になっているのだ。

日銀が長期金利を調整し、国債の増発分を生き受け、ETFの購入で株式市場を支えている状況は「常軌を逸している」のだが、そういう声はむなしく、金融緩和をいつまでも続けるリフレ派の声が強く、若者の支持も厚い。

頼みの綱だった自動車業界のトヨタでさえ、EVでは本当に出遅れた。日本発の産業に見るべきものが無いと言うと言い過ぎだろうか。

「インバウンド」に期待して生き残りを図る国策には観光しか生き残るすべのないギリシャやスペインの姿に重なる。ああ。

2023年5月14日 日曜日

沸騰する旅行需要

 木曜日金曜日と四国に小旅行をした。

 往復には羽田と徳島便を利用。木曜早朝の羽田発。金曜夜10時過ぎの羽田着だったが、いずれも満席だった。空港は早朝も夜遅くも人でごった返しており、航空業界の復調ぶりを肌で感じた。

 四国の観光地の人出はまずまずと思われた。ホテルもかなり埋まっている印象で、宿泊業も復調している様子だった。ホテルのエレベータでタイの若者4人と乗り合わせ、昔タイに赴任していたことがある身としては、タイの若者が安い日本に個人で来る時代だと思い、日本の観光業者がインバウンドインバウンドと念仏を唱えている理由がわかる気がした。

 ただ、観光地以外の地方都市は人出が少なく、シャッタの閉まった商店街も散見された。構造的な問題にメスを入れないとインバウンドに浮かれていては地方都市の再生は無いと思った。

 最近旅行会社から海外旅行の案内メールがたくさん届くようになった。案内を開くと、多くのツアーで「キャンセル待ち」とか「残り数席」という字が目につく。特にビジネスクラスの旅行に顕著だ。

 コロナで抑えられていた高齢層の海外旅行需要(ペントアップ需要)に火が付いているのだろう。世界中で旅行需要が沸騰し、内外の旅行関連株式に注目すべき数年になるだろう。

2023年5月13日 土曜日