目詰まりを防ぐには(1)

日本のPCR検査数が増えない理由を安倍首相は記者会見で「目詰まりしていた」と言っていた。

保健所が中心となったコロナの防疫体制では、
・問い合わせが集中して保健所に連絡が取れない。
・37.5度以上の発熱が4日つづかないとまともに対応してもらえない。
・保健所で検査する能力が乏しい。
・保健所から採取した検体を検査機関に破棄部人員が不足している。
・保健所から区・都への連絡が悪い。
・文書の転記に誤りが起こる。
といったいろいろな欠陥が挙げられてきた。これらが目詰まりを起こした原因だろう。

欠陥解消のために保健所の人員数を抜本的に拡大すべしという議論がなされていたが、誤った対応だ。
その後目詰まりがどう解消してきているのかTV報道もほとんどないのでわからない。

卑近な例だが、我が家の2台の洗濯機を例にあげよう。
東京の家ではPANASONICのドラム式を使用している。
湿気を吸収するタイプだという説明であまりしっかりと乾かない。しかも、乾燥するたびに綿埃がたまり「埃を除去してください」というサインがでる。
那須の家では東芝のドラム式を使用している。
温風を噴き出して乾かすタイプだとかでしっかり乾く。生地が縮むきらいがあるが乾くほうが重要だ。
さらに、
この洗濯機には綿埃がたまる機構がない。
従って綿埃はたまりようがない。

我々が目指すべきは、目詰まりを防ぐために人海戦術で対応するのではなく、目詰まりしないシステムを作り上げることなのだ。(この項続く)

(2020.6,27)

Nobody does it better!

レンタカー大手のHertzがChapter 11(日本の民事再生法に相当)を5月22日に申請し(日本流に言うと)倒産した。

私が昔UCLAのビジネススクールに留学していたころ(1978-1980)当時アメリカンフットボールのスーパースターだったOJ Simpsonをコマーシャルに起用し、業界No.1のブランドを確立していた。空港につくとHertzの駐車場との間をひっきりなしに専用のバスが結び、駐車場では待たないですぐに車を借りることが出来るサービスはHertzが確立した。
私が貧乏学生の時はなかなかHertzでレンタカーは出来ず(値段が若干高かったので)、BudgetとかThriftyとかいう2nd tierでレンタカーをしたものだ。

Nobody does it better.というのはその背景に流れていた曲で、1980年ごろ中学生以上のアメリカ人であればほぼ100%の人が知っていることだろう。

Wikipediaで調べていくつか驚いたことが有る。
・Hertzは1918年の創業で最初は10数台のT型フォードから事業を始めたこと。T型フォードの時代からレンタカーは米国にはあったのだ。
・2012年にはDollarとThriftyという会社を吸収して業界大手の地位を確立した。これらがHertz傘下とは全く知らなかった。
(因みに私が愛用したBudgetはやはり業界大手のAvisに買収されていた。)
・このように規模の競争が進んだ業界だったがコロナ禍でレンタカー需要が激減し、倒産に至った。

規模を拡大し、コストを下げ、ブランドイメージを高め他社より若干高めの価格設定をし、より良いサービスを提供し顧客満足度を高める。これは優良企業の定石だ。

このように定石通りの事業展開をしていても倒産することはあるというのが今回のコロナ禍がもたらす痛手だ。

エアーラインや旅行業界に比べ話題にならないが、我が国のレンタカー会社はサバイブできるのだろうか。

(2020.6.26)

テレビを買って考えた。

13年間(と言っても別荘での実質的な使用期間は一年ほど)視聴した40インチのPANASONICのプラズマテレビが真空管が破裂するような音を立てて一瞬にしてうんともすんとも言わなくなった。

買い替えの機会を逃していいたが、先日やっと量販店を訪問する機会があった。
その際驚いたこと。
・液晶はプラズマに比べ解像度が格段に低い。
・液晶にくらべ有機ELのテレビがよく映る(プラズマには劣る)

何故画質の良いプラズマがダメになったかと納得できないので販売員に問うと
・電気を食うのでコストが高い、重い、液晶比価格が高い
という理由を挙げた。

私が13年前に購入したころは同じような値段だった。
日本人のコスト意識が液晶を勝利に導いたということだろうか!?量産化に失敗したプラズマがコスト競争力を失ったということか。

ビデオの規格をめぐってはβ対VHSの競争はいろいろ取り上げられたが、液晶対プラズマは寡聞にしてあまり知らない。勝った液晶陣営も青息吐息だからだろうか。

もう一つ店頭で気付いたこと。
・壊れた40インチは当時大型だった。が今は小型だ。
・結局55インチの有機ELを購入したがもっと大型のものが多く展示されている。
この間日本人の住宅事情が改善したとも思えないが皆さんどうしているのだろうか。(余計なお世話だが)置き場所に困らないのか心配だ。
さらにもう一つ。
・東芝と東芝を買収したハイセンスのTVを比べると東芝製が2倍する。
日本人の国産ブランドへの信頼は信仰だ。

今日配達されて驚いたこと。
多分、殆どの方には既知のことだろうが、
・ネットにつながる。
・YouTube, NetFlix, Amazon Primeのボタンがありすぐに見ることが出来る。

これではPCとあまり変わらない。

以上からもたらされる推論は、
・家に大型のTVを置ける人は大型を買う。
(だから、国産ブランドへの信仰があるのでまだ国産メーカーが細々と生き残っている)
・家に大型のTVを置けない若者はTVを買わない。
(だから、TVは売れない。生き残っているメーカーにとってもお荷物だ)
・TVでやる番組にろくなものはない。
(だから、TVは見られない。見られないTVの視聴率争いをしているテレビ局は恐竜のようだ)
・YouTubeやNetFlix,AmazonPrimeを見たい若者はPCで見る。
・PCの操作に劣る老人は大型TVでこれらを見る。
(だから、やたらに機能満載で使いにTVが市場に出回る。国産メーカーは世界市場で勝てなくなる)
とまあ、こんなことを思った次第。

そうそう、BicCamera Kojimaで購入したが、配送の方がとても親切で良かった。私一人ではTVとビデオをつなげるのも困難だったに違いない。実小売業がAmazonに対抗するには、最後の一マイルでのサービスを磨くのが一番だ。

TV一台でいろいろ考えることが出来たのは良かった。

(2020.6.24)

馬に水を飲ますには

You can take a horse to the water, but you can’t make him drink.
というイギリスのことわざが日本でも「馬を水辺に連れていくことは出来るが水を飲ませることは出来ない」という表現で広まっている。

確かにそうだ、と思う人が多いと思われる。

小さな子に勉強の大切さを言い聞かせても聞き分けよく勉強する子は少ない、という経験を持っ親は多かろう。

ビジネスでも、同じだ。立ち上がりのベンチャー企業で、自分で目標をきちんと立て、地道に実行して行ける企業は少ない。
ある顧問先企業での話。PDCAのフォーマットを作る時間が無いというのでこちらで作成したところ、記入する時間が無いとの説明。 椅子からずり落ちそうになる。

どうすればよいか。名案はない。

子供であれば、やっぱり勉強しておいたほうがよさそうだと自分で気づくか、ゲーム感覚で相手に勝ちたいと思うような状況が現出しないと難しかろう。

ベンチャー企業であれば、可能性のある計画を立て、計画を実現することはステークホルダーへのコミットメントの実現だという心持ちを経営者が持たない限り無理だ。

ヒンヒン鳴きながら走りまわる馬は多いが、長距離を走るためにゆっくり水を飲むことのできる馬は非常に少ない。
さてさて「しっぽの短い馬」を見つけるのは難しい。

(2020.622)

If you build it, he will come.

この言葉はKevin Costner主演のField of Dreamsで神の啓示のように主人公に聞こえる言葉だ。この映画を見た人には終生耳に残る言葉と成ると思う。

It は主人公が持つトウモロコシ畑を切り開いて作る野球場を指す。
Heが誰を指すかは是非映画を見て下さい。
筆者は映画の舞台を訪ねてアイオワ州の片田舎を訪問した。

この映画は、野球場を作ると彼が現れ、おしまいには野球場に試合を見に来る車の列が映し出され、破産して農場を取られそうだった主人公が何とか切り抜けられそうだというハッピーエンドに終わる。

さて、現実世界でもこの言葉が当てはまるだろうか。

筆者が支援するあるスタートアップ企業。
技術には自信あり。ただ見込み顧客の要望を聞きたがらない。
自分たちの技術がデファクトスタンダードになれば
カスタマイズはミニマムで済むと強気だ。

If you build it, they will come.になるかどうか。
Let’s wait and see. Time will tell.

(2020,6,21)