120分待ち@羽田で考えたこと

今日羽田空港にスーツケースのキャスターを修理に行った。重いものを入れたせいで4つのキャスターすべてが壊れたのだ。調べたら、すぐ直してくれるところが羽田空港第二ターミナルにあるので、そこへ車で向かったのだ。

ケースの持ち主である息子をターミナル前で下してP4駐車場に車を入れようとすると120分待ちの表示が出ている。連休の羽田の駐車場はものすごく混むと以前聞いたことはあったが120分待ちは、ちょっと凄い。

昔習った行列の待ち時間を簡便に計算するリトルの公式を思い出したが、どんな条件だと120分になるのだろうか?(リトルの法則:ウィキペディアに載っています)
駐車場の台数が2000台。一台の滞時間が平均30時間だとすると1800分。そうすると1分当たり出庫する車の数が約1台。出庫に2分かかり、待っている車の数が60台だとすると、待ち時間は120分。ということかな???? 全く自信がありません。

ニューヨークに住んでいたころは、空港、野球場、デパート、どこに行くにも車だったが、これほど酷い混雑は無かった。日本ではやはり公共交通が都市のOSだと痛感した次第。東京の我が家は駅に徒歩4分。コンビニは徒歩1分。の交通至便さ。コンビニさえあれば老後は何の心配もない。コンビニ万歳!

一方、空気が良く時の流れが穏やかな那須に引きこもる気持ちもあり。但し、そこではコンビニまで歩いて15分。駅に行くバスは一日に3本しかない。地元の方々は一家で車数台は当たりまえになっている。車社会では公共交通の出る幕はない。

超老齢化を迎え、多くの人は、このままではやっぱり都会に住み続けざるを得ないだろう。そういえば田舎から出てきて都会で一生を終えた私の父も母も車の運転はできなかったなあ。車に乗せてあげると喜んだものだ、などと、ひととき感傷にふける。

(健康のため、東京一局集中を改善するため、地方の活性化のため、直下型地震のリスク管理のため)老齢者の地方への移転・移住を促進するためには、Uberの解禁や、小型の自動運転電気自動車の実用化が一刻も早く望まれる。実効のある交通網の整備なしには老人は地方に安住できない。
(2019.11.3)

きんざい金融内部監査人養成講座 祝50回!

金融財政事情研究会(きんざい)の金融内部監査人養成講座は、金融機関の内部監査に配属された人にとって必修の講座になってきている。
以前は年2回、10年ほど前からは年3回、1週間で内部監査の基礎から実務まで幅広い知識を得ることができる講座だ。毎回30人以上が受講するから、既に卒業生が1500人を超えている。
今回(50回目)は10月28日から11月1日までが講義で、今日は認定試験が実施される。今回は受講生は33名で21名が民間金融機関から、12人が政府系金融機関と財務省からの受講生だった。金融機関の参加者に二人の執行役員監査部長がいて、内部監査の組織内の位置づけの向上を実感した。
私は、50回のすべてで講師を務め、5日間のコースの最初の一日半を担当している。内部監査を取り巻く環境変化、内部統制の概論を話すのが私の役割だ。5日間の講座に占める私のリスク量は(一日半)30%であり、毎回緊張して準備する。最近は金融庁の動きや、新商品、デジタライゼーション等から目が離せず、受講生に伝えている。
講座の終わりに、私が伝えたかったメッセージは「内部監査はとても重要でやりがいのある仕事です」という結論で終わる。多くの受講生に何らかの動機づけが与えられたとしたら講師冥利に尽きるというものだ。

(2019.11.2)

甘酸っぱくほろ苦い

先日、高校時代の仲の良い友人二人と飲みに行った。
台風で被害のあった武蔵小杉で落ち合った。私は文科系だが他の二人は理科系で二人とも優秀な国立大学の工学部の出身で、日本を代表する電機企業に勤め、武蔵小杉近辺で会社生活を送ったのだ。
高校時代の昔話で大いに盛り上がった後、どうして日本の会社がここまで落ちぶれたかという話になった。行くつくところは日本企業の経営力ということになった。
3人ともトップ経営者をやったことのない気楽さで経営層の欠点をいろいろ挙げて考えた。Japan as Number 1 と言われたころから、日本企業の経営者は、後任に自分の息のかかった無難な人を選び。経営者に選ばれた人間はリスクを冒さずナンバー1を維持するための事なかれ主義に陥った。維持が目標になるとトップのポジションを維持するのは不可能だ。

企業時代の話をするとなかなか名前を思い出せない。一方、高校時代以前は、氏名が鮮明に思い出される。なぜだろうという話になった。
以前の職場の集まりを久方ぶりにして、数十年あっていなかった友人と会えると一度に昔を想いだす。いくばくかの悔悟と、多くの諦観と、いくばくかの希望がまぜこぜになり、時の流れを調味料に、過去を思い出す。

思い出は、甘酸っぱくほろ苦い。けだし至言であろう。

(2019.11.1)

アリとキリギリスの英訳

アリとキリギリスの英訳

夏の間、家の中にまで現れて邪魔者だったアリは秋風が吹くとともにその姿をばったり見せなくなった。晩夏からここぞとばかりに鳴いていた秋の虫の声も今は弱弱しくなっている。
この時期に思い出すのは、イソップ寓話でも最も有名なお話の一つ、アリとキリギリスだ。英語のタイトルは何だろうとおもって調べてみると、The Ant(s) and the Grasshopper となっている。この話の寓意はいくつかあるが、最もわかりやすいのは、「遊び惚けていて、しっかり貯えておくことを怠ると後で困ったことになるよ」ということだろう。老後に2000万円必要という金融庁の)(幻の)報告書もこうした常識から逸脱したものではない。
このような考えを表現するのにふさわしい英語の言い方を最近覚えた。Delayed gratification という言葉がそれにあたる。Gratificationは満足である。Delayed gratificationは「将来のより大きな満足のために、自己の欲望や衝動をコントロールし目先の欲求を押さえる能力」を指す。若い時から収入の10%を貯蓄しておこう、という先人の教えを守っておけば楽勝だったのにと思う人は私に限らず多いだろう。これは蓄財にとどまらず、研究開発や技術進歩といった経済活動の多くを成功に導く能力であろう。そうそう、Delayed gratificationの反対語はInstant Gratificationなのでこれも覚えておくと便利です。
最近話題のMMTは、金融はどんどん緩和すべきだ。財政出動もどんどん拡大して経済を成長させるべきだと主張しているように読める。考え方の本質がInstant Gratificationに過ぎるのが、多くの人に胡散臭く思われる所以のではないだろうか。
(2019.10.22)

Whistleblowerか内部告発者か

大分昔ニューヨークで不動産投資金融会社のMDをしていたころ、ユダヤ人の社長からconnotation(日本語訳は含意)ということを何回も教えられた。
例えば、日本ではスキームという言葉をよく使う。複雑な不動産金融取引のやり方を、「この案件の金融スキームは・・・」という言い方を普通にする。このスキームという表現は米国人には絶対してはいけないと言われた。では何といえば良いか?ストラクチャーと言うべきだ。スキームは人を欺くというbad connotationがあるのだ。ストラクチャーはニュートラルな言葉であり、悪いconnotationは無い。
もう一つの例。海外にある日本の会社では、現地採用の社員のことをローカルとよく呼ぶ。この言葉には現地の人を下にみる考えが滲んでいる。現地採用の米国人であればAmerican employeeとか表現すべきであり、bad connotationを持つ言葉の使用は控えるべきだ。
トランプ大統領の弾劾プロセスを民主党が進めようとしている。大きな原因はトランプ政権(あるいは国務省等の行政機関の要職)にいるwhistleblowerによる内部告発だ。トランプがウクライナの大統領に軍事支援と引き換えにバイデン元副大統領の息子の不正行為を調べるように依頼したという情報がwhistleblowerにより表に出たのだ。
日本語では内部告発者(このまま英語に訳すとinternal accuserだろうか)という言葉を使うが、この言葉には私にはまだ違和感がある。裏切って重要情報を社外にもらし会社や上司を告発するというbad connotationがある。社内ホットラインの受け手役に何社かなっているが内部告発は非常に少ない。これには内部告発という語感の問題もあると強く思うのだ。
一方、Whistleblowerという言葉には、本来社会が知らないといけない隠された状況・情報を明らかにしてくれたということでneutralかpositiveなconnotationがあると思う。Time紙恒例のPerson of the Yearにおいて2002年はThe Whistleblowersとして、Enron, World Com, FBIで内部告発した3人の女性が取り上げられた。困難な状況で正義の告発をした人たちとして英雄視され、whistleblowerという言葉も広く知られるようになった。(余談だが、Time紙の2001年のPerson of the Year は今トランプの顧問として糾弾されているジュリアーニ市長でした。歴史の皮肉を感じますね)
2019年1月に公開されヒットした邦画「七つの会議」をご存じだろうか。池井戸潤原作、野村萬斎、香川照之主演の、企業犯罪エンターテインメントである。広告によれば「ぐうたら社員の告発による社内のパワハラ騒動を機に、会社の闇が暴かれてゆく」ということだ。飛行機で見たが大変面白い作品だった。

機内では英語の字幕があるのですが、英語のタイトルは何だと思いますか? Whistleblowerでした。        (2019.10.10)