甘酸っぱくほろ苦い

先日、高校時代の仲の良い友人二人と飲みに行った。
台風で被害のあった武蔵小杉で落ち合った。私は文科系だが他の二人は理科系で二人とも優秀な国立大学の工学部の出身で、日本を代表する電機企業に勤め、武蔵小杉近辺で会社生活を送ったのだ。
高校時代の昔話で大いに盛り上がった後、どうして日本の会社がここまで落ちぶれたかという話になった。行くつくところは日本企業の経営力ということになった。
3人ともトップ経営者をやったことのない気楽さで経営層の欠点をいろいろ挙げて考えた。Japan as Number 1 と言われたころから、日本企業の経営者は、後任に自分の息のかかった無難な人を選び。経営者に選ばれた人間はリスクを冒さずナンバー1を維持するための事なかれ主義に陥った。維持が目標になるとトップのポジションを維持するのは不可能だ。

企業時代の話をするとなかなか名前を思い出せない。一方、高校時代以前は、氏名が鮮明に思い出される。なぜだろうという話になった。
以前の職場の集まりを久方ぶりにして、数十年あっていなかった友人と会えると一度に昔を想いだす。いくばくかの悔悟と、多くの諦観と、いくばくかの希望がまぜこぜになり、時の流れを調味料に、過去を思い出す。

思い出は、甘酸っぱくほろ苦い。けだし至言であろう。

(2019.11.1)