勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。

名将、野村監督の有名な言葉だ。
平常時には良く当てはまる。他社に優る戦略を考え、計画を立て、実行することにより事業の成功がもたらされるとすれば、それぞれの段階で他社を凌駕する行動をとれば成功する/少なくとも負けない確率は高まる。

今回のコロナ禍はではどうか。
消え去りつつある業界がある。航空業界、旅行業界、宿泊施設、飲食業(特に居酒屋チェーン)、ナイトクラブ/カラオケ業等々だ。
不要不急の要件では外に出ない(考えてみるとほとんどの用事は不要不急だった)、3密を避ける(居酒屋での宴会、クラブ・キャバレー、カラオケはもってのほか)、という生活パターンが今後も定着すると思われ、日本全体の草食化がますます進むに違いない。

「開けない夜は無い」とはいうものの、「どう頑張っても負けるに決まっている」業界もあるのかもしれない。まだそんなビジネスやっているのですか、いまどき!

コロナ禍がもたらすパラダイムシフトが、絶滅をもたらすのか、「不思議に」生き残った者が新しい繁栄をもたらすのか注視したい。

・高齢者にはお金と時間があり、使え無い海外旅行向けのお金がたまっている。
・コロナウィルスへの警戒感は高齢者が強い。
・VRやZoomが新しい疑似接触感を生み出している。 等が生き残りのヒントになりそうだ。

(2020.5.23)

百発百中の砲一門は百発一中の砲百門に相当する

日本海海戦を勝利に導き死後は神となった東郷平八郎元帥の言葉だ。
たしか連合艦隊司令長官を辞める際に、訓練の重要さを説いた言葉とされている。
この言葉が最初に言われた時には、そりゃおかしいという声を上げた海軍士官が多かったと聞く。敵が百門の砲に一発づつ砲弾を持っていて一斉射撃すれば、こちらの一門の大砲は最初の数回の一斉射撃を生き延びたとしても、ほどなく破壊されるだろうという論理的な考えだ。それが太平洋戦争に近づくにつれて批判の言葉は消え「月月火水木金金」の猛訓練に支えられた帝国海軍は無敵という精神主義神話化していったと聞く。
今回のコロナ感染についての日本の対応も似ている。
日本では今でもクラスター感染を押さえて関連する感染者をつぶそうという考えだ。少数の砲撃の精度を高めよう。夜の海戦に備えて監視員の視力を極限まで高め敵を早く発見しようという考えだ。このやり方は昭和17年初めまでは良かった。
17年半ばになると、米軍はレーダーを装備しORに基づいて沢山の砲弾をつぎ込んで日本軍の艦艇を殲滅した。PCR検査の件数を飛躍的に増やし(レーダーの装備)感染者の動きをAIでフォローする(ORの活用)ことで感染の経路の殆どがつかめるようになったのとそっくりだ。
日本の保健所のあり方や、都の感染者の把握の仕方、感染者病棟の準備のあり方を見ると、人力に依存し、デジタル化の遅れに唖然とすることばかりだ。
そのような現象の根本には、戦前から続く、「百発百中の砲一門は百発一中の砲百門に相当する」という精神主義があると思われる。

(2020.5.21)

Bullshit Jobs

すっかりブログを更新していないというご指摘を読者から受けました。振り返ってみると4月はまるで更新していませんでした。

3月の終わりから山奥に蟄居しており単調な日常を送っています。ほとんどの仕事がテレワーク化し、重要な会議もZoomやTeamsで出来ます。時間は山ほどあっても緊張感がありません。仕事や読書は細切れの時間を捻出してこそはかどるのだと痛感しました。

さて、多くの時間があり読みたかった本を初読・再読していますが、再読した『未完の資本主義』PHP新書は刮目すべき本でした。ポール・クルッグマンをはじめとする7人の碩学とのインタビューをまとめた読みやすい本です。

特に面白かったのは、デビッド・グレーバーDavid Graeberの
「職業の半分がなくなり『どうでもよい仕事Bullshit Jobs』が急増する」という主張でした。

Bullshit Jobs(BS職)の5分類が面白い。
Flunkies 太鼓持ち (具体例:受付嬢、秘書、大物の家来)
Goons 用心棒 (弁護士、ロビイスト、広告・広報)
Duct Tapers 落穂ひろい (不具合の対応者)
Box Tickers 社内官僚 (本当はしていないことをあたかもしているように見せる仕事、殆どの会社の仕事)
Task Makers 仕事製造人 (殆どの中間管理職)

BS職に共通する要素は、「その仕事をしている人がいなくなっても何の不都合も生じないか、あるいは世の中が少し良くなるかもしれないと、BS職をしている人自身が知っていることだ」とグレーバーは述べています。

コロナ禍を経験して痛感するのは、医師、看護師、救急車の乗員、消防士、警官、自衛官、介護スタッフ、保育士といった人たちの重要さです。医療体制、人命救助、最低限の社会機能の維持に彼らの活動は欠かせない。

グレーバーはこのような人たちが相対的に低賃金で、社会的な価値を全く生まないBS職に就いている人たちが高給を食んでいる矛盾を鋭く突いています。ウォール街選挙活動のスローガンとなった”We are the 99 percent.”はグレーバーの発案だと言われています。

自分の職歴を振り返ると、銀行の企画部門や監査部門に居た際には人や社会の役に立っているという感覚は無かった。
大阪の都心店で融資係をして中小企業のお客さんに接しているときがもっともやりがいがあった記憶があります。
コロナ禍に苦しむ中小企業・零細企業・個人事業者へ資金を供給するために中小金融機関の融資担当者には全力を挙げてもらいたい。人の役に立っていることを金融機関で実感できる数少ないチャンスだ。

さて、
非常時になればなるほど社会に巣喰うBS職が目に付く。
まあ一番のBS職は多くの国会議員ですね。

こんな求人広告があったという。
総理求む。
原稿を読むだけの簡単な仕事。
リーダーシップ不要。漢字が読めなくても可。

(2020. 5. 1)

雪が降る

今日は未明から雪が降っている。雪が降るのを見ると心が洗われる思いがする。なぜかと考えると、思い当たる3つの文芸作品がある。

三好達治の「雪」

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪降り積む。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪降り積む。

場所はどこだろうか。時期はいつだろう。
太郎と次郎は兄弟だろうか。年齢は。
雪を見るといつも思い出す詩だ。たった二行だが、読者の想像を膨らませる。

アダモの「雪が降る」

Tombe la neige
Tu ne viendras pas ce soir
雪は降る
あなたは来ない

フランス語を見事に日本語に翻訳している。安井かずみさんの翻訳が秀逸で日本ではフランスを上回るヒットを記録している。

藤原伊織の「雪が降る」

2007年に59歳で没した作家が1998年に発表した6編からなる短編集の表題作だ。
6編のすべてが信念を曲げずに生きていく男たちの生きざまを限られた短編の枠内で見事に表現している。
本作はその中でも、会社員が主人公で、作品群の中で最も共感を覚える作品だ。

(2020.3.29)

Another letter from La Grenouille

La Grenouille will be closed until further notice, per Mayoral executive order.
We wish you all to remain safe with patience, faith and fortitude through this difficult and severe crisis that we will overcome together.
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Oh, Zannen!     (2020.3.18)