雪が降る

今日は未明から雪が降っている。雪が降るのを見ると心が洗われる思いがする。なぜかと考えると、思い当たる3つの文芸作品がある。

三好達治の「雪」

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪降り積む。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪降り積む。

場所はどこだろうか。時期はいつだろう。
太郎と次郎は兄弟だろうか。年齢は。
雪を見るといつも思い出す詩だ。たった二行だが、読者の想像を膨らませる。

アダモの「雪が降る」

Tombe la neige
Tu ne viendras pas ce soir
雪は降る
あなたは来ない

フランス語を見事に日本語に翻訳している。安井かずみさんの翻訳が秀逸で日本ではフランスを上回るヒットを記録している。

藤原伊織の「雪が降る」

2007年に59歳で没した作家が1998年に発表した6編からなる短編集の表題作だ。
6編のすべてが信念を曲げずに生きていく男たちの生きざまを限られた短編の枠内で見事に表現している。
本作はその中でも、会社員が主人公で、作品群の中で最も共感を覚える作品だ。

(2020.3.29)