Bullshit Jobs

すっかりブログを更新していないというご指摘を読者から受けました。振り返ってみると4月はまるで更新していませんでした。

3月の終わりから山奥に蟄居しており単調な日常を送っています。ほとんどの仕事がテレワーク化し、重要な会議もZoomやTeamsで出来ます。時間は山ほどあっても緊張感がありません。仕事や読書は細切れの時間を捻出してこそはかどるのだと痛感しました。

さて、多くの時間があり読みたかった本を初読・再読していますが、再読した『未完の資本主義』PHP新書は刮目すべき本でした。ポール・クルッグマンをはじめとする7人の碩学とのインタビューをまとめた読みやすい本です。

特に面白かったのは、デビッド・グレーバーDavid Graeberの
「職業の半分がなくなり『どうでもよい仕事Bullshit Jobs』が急増する」という主張でした。

Bullshit Jobs(BS職)の5分類が面白い。
Flunkies 太鼓持ち (具体例:受付嬢、秘書、大物の家来)
Goons 用心棒 (弁護士、ロビイスト、広告・広報)
Duct Tapers 落穂ひろい (不具合の対応者)
Box Tickers 社内官僚 (本当はしていないことをあたかもしているように見せる仕事、殆どの会社の仕事)
Task Makers 仕事製造人 (殆どの中間管理職)

BS職に共通する要素は、「その仕事をしている人がいなくなっても何の不都合も生じないか、あるいは世の中が少し良くなるかもしれないと、BS職をしている人自身が知っていることだ」とグレーバーは述べています。

コロナ禍を経験して痛感するのは、医師、看護師、救急車の乗員、消防士、警官、自衛官、介護スタッフ、保育士といった人たちの重要さです。医療体制、人命救助、最低限の社会機能の維持に彼らの活動は欠かせない。

グレーバーはこのような人たちが相対的に低賃金で、社会的な価値を全く生まないBS職に就いている人たちが高給を食んでいる矛盾を鋭く突いています。ウォール街選挙活動のスローガンとなった”We are the 99 percent.”はグレーバーの発案だと言われています。

自分の職歴を振り返ると、銀行の企画部門や監査部門に居た際には人や社会の役に立っているという感覚は無かった。
大阪の都心店で融資係をして中小企業のお客さんに接しているときがもっともやりがいがあった記憶があります。
コロナ禍に苦しむ中小企業・零細企業・個人事業者へ資金を供給するために中小金融機関の融資担当者には全力を挙げてもらいたい。人の役に立っていることを金融機関で実感できる数少ないチャンスだ。

さて、
非常時になればなるほど社会に巣喰うBS職が目に付く。
まあ一番のBS職は多くの国会議員ですね。

こんな求人広告があったという。
総理求む。
原稿を読むだけの簡単な仕事。
リーダーシップ不要。漢字が読めなくても可。

(2020. 5. 1)