世界の動き 2025年12月3日 水曜日

今日の一言
「Bitcoin急落」
 Bitcoinの最近の急落を強気の投資家Keith Fitz-Geraldはどう見ているか。今朝彼の長文のコメントがあったので紹介したい。
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 単に「有望な銘柄を探す」や「強い信念で投資する」だけでは不十分であり、市場の仕組みを理解することが成功の鍵だ。特に仮想通貨市場では以下のポイントが重要だ。
– ビットコインは高リスク資産
  安い資金で繁栄し、金利上昇で急落する。米国10年国債利回りの上昇が資金コストを高め、売り圧力を強めている。
– 機関投資家の参入は大規模レバレッジを伴う
  ETFや先物、構造商品などで資金が膨らみ、資金調達が厳しくなると一斉に強制清算が起こり、売りが雪崩のように広がる。
– 流動性の階層構造
  資金が逼迫すると投資家は「売りたいもの」ではなく「売れるもの」を売る。米国債やドルは守られるが、仮想通貨は最下層にあり必ず打撃を受ける。
– 神話に惑わされるな
  「機関投資家が救う」「ETFが下値を支える」「半減期が万能」などの物語は繰り返されるが、市場を動かすのは資金であり、神話ではない。
– ビットコインは壊れていないが、多くのトレーダーは壊れている
  恐怖に駆られた資金は利益を生まない。市場の仕組み(レート、レバレッジ、流動性、強制売却)を理解して冷静に動ける者がチャンスを掴む。
結論
  ビットコインの急落は「市場の仕組み」を理解していない投資家にとって混乱だが、冷静に仕組みを見抜ける者には大きなチャンスとなる。勝ちたいなら市場の構造を学び、恐怖に流されず戦略的に動くべきだ。
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 日本国内ではまだBitcoinETFが買えないため、米国市場のETFを証券口座経由で検討するか、複数の仮想通貨を分散投資してETF的な効果を再現するのが現実的だ。
– 安定性を重視するなら BlackRockのIBTC、コスト重視なら ARKB が注目度高い選択肢になる。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.独立した報道には厚い皮膚が必要
【記事要旨】
 ニューヨーク・タイムズの編集責任者ジョー・カーン氏が読者からの質問に答えた内容をまとめた記事だ。主なポイントは以下の通りです。
●独立した報道の姿勢
– インターネットには膨大な意見や解説があり、読者は自分の世界観を裏付ける情報を容易に得られる。
– 新聞社の役割はそれを補強することではなく、事実を掘り下げ、多様な視点を提示し、公共の関心事に対して説明責任を果たすこと。
– トランプ大統領の権力行使や民主的規範の軽視についても継続的に検証している。
●中国報道の視点
– 中国はかつて「追いつく存在」だったが、現在はインフラやEVなどで世界をリードしている。
– 米中関係の報道では客観的事実に基づく取材を重視しているが、米中間の緊張により現地に常駐できる記者が減っていることを懸念している。
– 現地に住み込む記者の存在は不可欠だと強調。
●イスラエル・パレスチナ報道の偏向批判
– 一部読者は「イスラエル寄り」、別の読者は「パレスチナ寄り」と感じるが、記者の基本姿勢は広く取材し、文脈を示し、事実に基づく調査報道を行うこと。
– 過激な対立の中では、権威ある事実報道を広い読者層に届けることが一層重要になる。
●独立報道の難しさ
– 読者の中には自分の立場に沿った報道を求める人もいるが、新聞社は政党や政府、企業などに縛られない独立したジャーナリズムを貫く。
– 独立報道を続けるには「厚い皮膚(批判に耐える強さ)」が必要。
– 民主主義は共通の事実基盤に依存しており、対立する側からも尊敬される報道機関が不可欠だが、批判の声は常に強い。
【コメント】
 ジョー・カーン氏は「独立したジャーナリズム」を守ることの重要性を強調し、政治的圧力や読者の期待に左右されず、事実に基づく報道を続ける姿勢を示している。民主主義において、信頼される独立報道は不可欠であり、そのためには批判に耐える覚悟が必要だという信念がうかがえる記事だ。

2.クレムリンで重要な会談
【記事要旨】
 ウラジーミル・プーチン大統領は昨日、トランプ大統領の特使スティーブ・ウィトコフ氏と、米国大統領の義理の息子ジャレッド・クシュナー氏と会談し、ウクライナ紛争について協議した。ロシアメディアは、二人がクレムリンの大きな白いテーブルに着席する様子を報じた。
 ウィトコフ氏は、ウクライナ紛争終結に向けた最新版の計画を発表すると予想されていた。しかし、同日早朝の発言で、プーチン大統領はトランプ政権の和平計画に難色を示す欧州諸国を批判し、ウクライナの欧州同盟国を脅迫した。「我々は欧州と戦うつもりはないが、もし欧州が突然我々と戦争を始めれば、我々は今すぐにでも準備を整えている」とプーチン大統領は述べた。
【コメント】
 プーチンの戦闘モードは不変だ。対外的にも国内的にも、ずっと取り続けないといけないスタンスなのだろう。

其の他の記事
・インドは、犯罪防止のため、すべてのスマートフォンに追跡アプリをプリインストールするよう命じた。野党はこれを大規模監視の道具だと非難した。
・トランプ大統領はソマリア移民に対し、米国にいさせたくない「ゴミ」と呼び、外国人排斥の激しい非難を浴びせた。
・レバノンでは、2020年のベイルート港爆発現場にて、教皇レオ1世が執り行うミサに数千人が参加した。
・英国は、膨大な未処理案件を解消するため、3年以下の刑期の犯罪に対する陪審裁判を廃止する計画を発表した。
・米国で麻薬関連罪で有罪判決を受けたホンジュラスの元大統領、フアン・オルランド・エルナンデス氏は、トランプ大統領の恩赦を受けて釈放された。
・韓国警察は、性的搾取を目的とした資料を入手するために12万台の家庭用カメラがハッキングされたと発表した。
・ニューヨーク・タイムズ紙は本日、ディールブック・サミットを開催する。主役には台湾の頼清徳総統や、チェスチャンピオンでロシアの野党政治家のガルリ・カスパロフ氏も含まれる。

2025年12月3日 水曜日

世界の動き 2025年12月2日 火曜日

今日の一言
「Professional Skepticism :職業的懐疑心」
内部監査人に求められる言葉だ。
日本を代表する一流企業で品質に関する不正がここ数年続いてきた。東芝は不正会計に端を発して消滅した。NIDECも不正会計の全貌がわからない。地方の信用組合が考えられないほどの乱脈計をしていた。最近は電力会社の役員による独断の支払い約束が明るみに出た。
社内で、企業活動の中枢を観察できる立場にいた内部監査人は何をしていたのだろうか。「職業的な懐疑心」をもっていれば、これはちょっとおかしいなと必ず気が付いたはずなのだが。

ニューヨークタイムズ電子版より
1,反分極化の教皇レオ1世
【記事要旨】
– フランシスコ教皇との比較的文脈
フランシスコ教皇は2013年、移民の玄関口ランペドゥーサ島を訪問し、移民・難民・弱者への関心を鮮明にした。これに対し、2025年に選出されたレオ1世教皇については「前任者とどれほど似ているか、どれほど違うか」が注目されている。
– 中東訪問の象徴性
レオ1世はトルコとレバノンを訪問し、キリスト教徒が少数派で紛争が続く地域に強い関心を示した。就任時の最初の言葉が「平和」であったように、訪問中も平和を一貫して強調している。通常ならカトリック多数派の国を最初に訪れるのが自然だが、敢えて中東を選んだ点に象徴性がある。
– イスラエル・パレスチナ問題への姿勢
フランシスコが「ガザでの出来事はジェノサイドの可能性」と強い表現を用いたのに対し、レオ1世はより外交的で、二国家解決支持を改めて表明。さらに、国務長官がハマスの攻撃とガザ戦争双方を「虐殺」と呼んだことも重要な発言として記録されている。
– 価値観と政策の特徴
基本的な価値観はフランシスコと大きく変わらないが、AIのリスクを強調する点が特徴的。環境保護や弱者の尊厳をさらに強調し、最初の公式文書は貧困問題に関するもの。米国司教に対して大量国外追放を非難するよう強く促すなど、社会的弱者への配慮を前面に出している。ただし、直接的な非難や攻撃的な言葉は避け、柔らかいアプローチを取る。
– 「反分極化の教皇」としての役割
世界が分断と対立に満ちる中で、彼は平和と統一を最大の課題と位置づける。教会内部でも女性の叙階、離婚・再婚者の聖体拝領、同性婚など論争的課題が山積しており、分極化への対応が不可欠。
– アメリカ的背景と個性
初のアメリカ出身教皇だが、ペルーで20年過ごし、スペイン語・イタリア語を流暢に話すなど「典型的なアメリカ人」とは異なる側面を持つ。一方で中西部特有のアクセントや映画の趣味(『サウンド・オブ・ミュージック』『素晴らしき哉、人生!』『普通の人々』『ライフ・イズ・ビューティフル』)にはアメリカ的要素が表れている。選んだ映画は必ずしもカトリック的価値観に合致せず、むしろ人間関係や葛藤を描く作品が含まれている点が興味深い。
– 人物像
遊び心があり、ユーモアのセンスを持ち、謙虚な印象を与える。政治家や外交官のように「自分が最重要人物だ」と振る舞うことはなく、観察者として場にいる姿勢が際立つ。
【コメント】
要するに、レオ1世はフランシスコの価値観を継承しつつも、より外交的で柔らかいアプローチを取り、分極化した世界と教会に「平和と統一」を掲げる存在として登場した新しい教皇ということのようだ。

2.ロシアは米国特使の提案を待ち望んでいる
【記事要旨】
トランプ大統領の特使であるスティーブ・ウィトコフ氏は、本日モスクワでウラジーミル・プーチン大統領と会談する予定だ。
ウィトコフ氏は、ウクライナ紛争終結に向けた新たな外交努力のきっかけとなった物議を醸した和平案の起草に尽力した。しかし、最近の活発な会談にもかかわらず、両者間の溝が縮まった兆候はほとんど見られない。それでも、EUの外交政策トップは記者団に対し、今週は「外交にとって極めて重要な週になる可能性がある」と述べた。
【コメント】
ロシアの代弁者に近いが、何もやらないよりは、紛争解決への関心を高める効果はありそうだ。

3.スリランカで甚大な災害
【記事要旨】
アヌラ・クマラ・ディサナヤケ大統領は、先週スリランカを襲ったサイクロンについて、「スリランカ史上最大かつ最も困難な自然災害」と宣言した。
サイクロン・ディトワによる死者は350人を超え、洪水と土砂崩れの被害は100万人以上に達した。昨年、大規模な抗議運動によって強大な政権が倒された後に政権に就いた政府にとって、復興は大きな課題となるだろう。
異例の破壊的なモンスーンシーズンは、インドネシア、タイ、ベトナムにも襲来した。少なくとも1,200人が死亡した。
【コメント】
日本人が閉じ込められたせいでインドネシアの報道が多いが、モンスーン地帯の台風被害は格別に多いようだ。日本政府は支援に資金と人を提供するべきだ。

其の他の記事
・香港のアパートで火災が発生し、150人以上が死亡した事件で、建設業者は安全基準を満たさない足場ネットを使用し、それを検査官から隠そうとしていたと当局は述べた。
・ホンジュラス大統領選挙の暫定結果では、トランプ氏が支持する候補者と対立候補が接戦となった。
・控訴裁判所は、トランプ氏を代理した弁護士のアリーナ・ハッバ氏が、ニュージャージー州の米国検事として違法に職務を遂行していたと判断した。
・英国は、米国の潜在的な関税を回避するため、医薬品への支出を増やすことに同意した。
・ロシアが国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士や物資を送るために使用する発射台は、先週の事故により使用不能となっている。

2025年12月2日 火曜日

世界の動き 2025年12月1日 月曜日

今日の一言
「一年の計は師走にあり」
 今日から12月。あっという間に今年ももう一月しかない。さあ、何をしようか。
 まずは、今年を振り返り、何をしたか・出来たかを考えたい。感謝すべき出来事や嬉しかった瞬間があっただろうか。次に、身の回りの整理だ。今年中に物とデジタルで片づけたいものを断捨離したい。「今年やり残していて、まだ間に合うこと」に優先的に取り組みたい。さらには、来年のイメージをざっくり描き、「仕事・お金・健康・家族・学び」という分野で、やるべきことの一部に、着手することが考えられる。新年からいきなりではなく、12月のうちに小さな新習慣を試し始めて、助走をつけることが考えられる。
 こう考えると、まさに一年の計は師走にありと言えそうだ。
 健康に感謝して寒い時期を乗り越えたい。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.帝国的なイスラエル
【記事要旨】
●イスラエルの軍事行動
– 2023年10月7日のハマス主導攻撃以降、イスラエルは圧倒的な軍事力を展開。
– レバノン郊外でヒズボラ幹部ハイサム・アリ・タバタバイを空爆で暗殺。こうした攻撃は日常化し、多くは報道されない。
– 標的はヒズボラ幹部だけでなく、一般市民が巻き込まれることも多い。
●「戦争と平和の狭間」
– イスラエルとヒズボラの停戦は崩れかけている。米国は年内のヒズボラ完全武装解除を要求するが、実現は困難。
– イスラエルは「ヒズボラが武装解除しない限り撤退できない」と主張し、ヒズボラは「イスラエルが攻撃を続ける限り解除できない」と応酬。
– 各攻撃は敵の抵抗心を強め、和平の可能性を遠ざけている。
●レバノンの脆弱性
– 政府は国家独占の武装権を確立しようとするが、イスラエルの攻撃が妨げとなっている。
– 米国元大使は「イスラエルのさらなるエスカレーションが、近年まれに見る有能なレバノン指導者を弱体化させる」と警告。   ●地域構造の変化と課題
– イラン主導の「抵抗の枢軸」は弱体化。イランはイスラエルとの短期戦で打撃を受け、シリアもアサド政権崩壊後はイラン寄りではなくなった。
– しかし軍事的支配だけでは平和の基盤にならず、パレスチナ国家問題が未解決のまま残る。
– 「支配」だけでは行き詰まりであり、外交的対話の道が必要だと示唆されている。
【コメント】
 要するに、イスラエルの圧倒的軍事力は中東で「帝国的存在」として機能しているが、その支配は和平を遠ざけ、レバノンやガザを「戦争と平和の狭間」A gray zone between war and peaceに置き続けているという記事だ。記事の行きつ戻りつの分析が、現状の複雑さをよく示している。

2.ウクライナの首席交渉官が辞任したが、協議は継続中
【記事要旨】
 ウクライナ当局者は昨日、フロリダでトランプ政権高官らと会談した。トランプ政権は、ロシアとの戦争終結に向けた提案への同意をキエフに迫ってきた。マルコ・ルビオ国務長官は会談後、「やるべきことはまだたくさんある」と述べた。
 ウクライナ側からは、ゼレンスキー大統領の右腕であり首席補佐官だったアンドリー・イェルマーク氏が欠席した。イェルマーク氏は汚職捜査のさなか、金曜日に辞任した。会談は、ロシアがウクライナをドローンとミサイルで約10時間にわたって攻撃した翌日に行われた。
【コメント】
 トランプ政権内でもウィトコフ特使とルビオ長官の間で主導権争いがあるようだ。双方の責任者がぐらついていると、まとまるものもまとまらないだろう。

3.トランプ大統領、ベネズエラへの圧力を強める
【記事要旨】
 トランプ大統領は航空会社とパイロットに対し、ベネズエラ近海の空域を封鎖すると警告し、政権が「麻薬カルテルとの戦い」と位置づける作戦を強化した。
 しかし、ワシントン・ポスト紙がヘグセス国防長官が麻薬密輸の疑いのある船舶の乗組員全員の殺害を命じたと報じたことを受けて、カリブ海における米国の軍事作戦の激化は議会の厳しい監視対象となっている。この報道を受け、軍司令官は9月初旬の攻撃で生き延びた人々を殺害するため、二度目の攻撃を実行した。議会の共和党と民主党の有力議員は、この二度目の攻撃は戦争犯罪に当たる可能性があると示唆した。
【コメント】
 この記事は「軍事的優位を誇示する戦略」と「国際法・人道的規範との衝突」という二重のテーマを含んでいる。前のイスラエルの記事と同様に、軍事力の行使が安全保障を強めるのか、それとも逆に政治的・倫理的リスクを高めるのかという問いが浮かび上がる。

其の他の記事
・インドネシア当局は、壊滅的な洪水の後、行方不明となっている数百人の捜索を行った。
・ホンジュラスでは新大統領を選出する選挙が行われているが、トランプ大統領が候補者を支持し、不人気な前大統領の恩赦を発表したこともあって、多くの人が選挙が不安定になるのではないかと懸念している。
・パキスタンは、タリバンとの関係が急激に悪化する中、アフガニスタン人の大量追放を強化している。
・ローマ教皇レオ14世は、イスラエルとパレスチナが二国家解決に向けて交渉できるよう支援する方法についてトルコ大統領と協議したと述べた。
・香港のアパート火災では、少なくとも8人の移民家事労働者が死亡し、生き残った人々も職を失うことを恐れている。この火災による死者数は現在146人となっている。

2025年12月1日 月曜日

角野隼斗コンサート

昨夜、横浜のKアリーナにピアニスト角野隼斗氏のコンサートを聴きに行った。大変多くの聴衆が集まった。以下中日スポーツの記事から引用する。
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30歳のピアニスト、角野隼斗(すみの・はやと)が29日にKアリーナ横浜で開催したリサイタル「“Klassik Arena” supported byロート製薬」の公演チケットが1万8546枚を売り上げ、「屋内のソロピアノリサイタルで販売されたチケットの最多枚数」としてギネス世界記録に認定された。
幼少期からピアノを学んだ角野は開成高等学校、東京大学工学部を経て、東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程を修了した知性派ピアニストとして知られる。音楽と情報工学の両面での研究成果が評価され、東京大学総長賞(学長賞)を受賞。2021年には第18回ショパン国際ピアノコンクールでセミファイナリストとして世界的に注目を集めた。
ベルリンを本拠地とするレーベル、ソニークラシカルインターナショナルと専属ワールドワイド契約を締結してリリースした世界デビューアルバム「Human Universe」は、日本ゴールドディスク大賞「クラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞。ニューヨークのカーネギーホールやベルリン・フィルハーモニー大ホールでの協奏曲デビューを果たし、ドイツの権威あるクラシック音楽賞「オーパス・クラシック賞2025」では、優秀若手アーティスト賞と優秀ライブ・パフォーマンス賞(ソリスト部門)の2部門を同時受賞。単独アーティストによる複数部門受賞は史上初の快挙となった。
甘いマスクでも人気を集め、近年はAERAの表紙を飾るほか、フィギュアスケート鍵山優真選手への楽曲提供などで音楽活動の幅を広げている。来年1月21日には、新作アルバム「CHOPIN ORBIT(ショパン・オービット)」をリリースする。
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当方が、彼に注目したのは2021年のショパンコンクールで優勝者が決まっていく過程のTV番組だった。スタインウェイ、ヤマハ、カワイといったメーカーが演奏者を全力を挙げてサポートしてゆく姿を追った番組だった。東大の工学部でピアノの達人である角野は番組の中でも目立った存在だった。2位に日本人最高位で入賞した反田恭平さんよりも注目されたと言ってよいかもしれない。
先日、彼のポーランドをめぐるNHK特集を見たが、ワルシャワのショパンコンクールの会場や、ジャズのライブクラブ、第二次大戦のユダヤ人収容所をめぐる旅だった。ちょうど夫婦でポーランド旅行を終えたばかりだったので、とても懐かしく拝見した。
彼の演奏の特徴は、代表作のピアノ版のボレロのように全力で鍵盤をたたく奏法にあるとおもう。昨夜は2台のピアノ(1台は細工がしてあり変な音が出る)を使うピアノソナタで全力の演奏を見ることができた。腱鞘炎が心配だ。

引用した中日新聞の記事で、商業的に大成功していることがよくわかった。
まだ東大に在籍して情報工学を追及しているところは、見上げたものだと思う。

本人も意識しているのだろうが、ショパンに面持ちがそっくりなところも女性ファンを引き付けるところだろう。昨夜の18546人の聴衆の9割は女性客だった。

2025年11月30日 日曜日

2025年11月の株式市場動向 備忘録

【総論】
11月は、米国株は「やや軟調〜まちまち」、日本株は「中旬以降の調整で月間マイナス」という動きでした。 主要指数の月間騰落率は概略ベースで、米国は小幅なプラス・マイナスが入り混じり、日本は日経平均が▲4%前後、TOPIXがやや小さめのマイナスです。​

米国株式市場(11月全体)
S&P 500 は、月末にかけての反発で「ほぼ横ばい〜ごく小幅なプラス」で11月を終えた。​
ダウ平均(Dow Jones Industrial Average )は、月間を通じて相対的に底堅く推移し、11月トータルではプラス数%。​
ナスダック総合(Nasdaq Composite)は大型テックの調整の影響で他指数より弱く、11月は▲1〜2%程度の下落。7カ月続いた上昇トレンドに一服感が出た。​

日本株式市場(11月全体)
日経平均株価(Nikkei 225)は、11月5日前後にAI・半導体関連の急落を伴う大きな調整があり、月間では▲4%前後の下落で「2011年以降で最も厳しい11月」。​
TOPIX は構成銘柄の裾野が広いぶん日経平均より下落が緩やかで、月間では▲3%前後のマイナス。AI・高PER銘柄中心の調整という色彩が強かった。​

背景要因の概略
米国では、AI関連・大型テックのバリュエーション警戒や、Fedの追加利下げペースに対する思惑が交錯し、途中の急落と月末のリバウンドが混在する「ボラティリティの高い1カ月」となりました。​
日本では、年初からの大幅上昇で偏っていたAI・半導体・高額値がさ株への「ポジション調整」が11月に顕在化しつつ、米利下げ期待や国内景気指標の底堅さが中下旬の押し目買いを支えた形です。​

【金利と為替】
11月は、米金利は「やや低下」、日金利は「緩やかに上昇」、為替はドル高・円安基調(USD/JPY上昇)という組み合わせでした。 概略として、米10年金利は4%前後に低下、日10年金利は1.8%近辺に上昇し、ドル円は153円台前半から156円台方向へ円安が進行しました。​

米国金利(11月)
米10年国債利回りは11月末時点で約4.0%(4.02%)で、月間ではおおよそ▲0.06%ポイント低下(4.08%→4.02%程度)と報じられ、FRB追加利下げ期待が長期金利を押し下げました。​
イールドカーブ全体では2年〜10年スプレッドのマイナス幅がやや縮小する動きが続き、景気減速懸念と利下げ観測を背景に中長期ゾーン中心に利回り低下圧力がかかりました。​

日本金利(11月)
日本の10年国債利回りは、11月末に約1.81%とされ、1カ月で約+0.15%ポイント上昇(おおよそ1.66%→1.81%)しており、YCC終了後の「長期金利の自律的な水準調整」が続いた形です。​
政府の大型経済対策や国債増発観測に加え、インフレ率の高止まりを背景に、日銀の長期的な正常化を意識した金利上昇圧力が意識されています。​

為替(ドル円)(11月)
USD/JPYは、11月1日時点で1ドル=約153.99円から月末には約156.1円へと上昇し、月間でおおよそ+1〜1.5%程度のドル高・円安となりました。​
米金利低下にもかかわらず、日米金利差が依然として大きいことや、日本の10年金利上昇が相対的に小幅にとどまっていることが、円売り・ドル買い基調の継続要因とみられます。​

【12月の見通し】
12月は、米国株・日本株ともに「年末ラリー期待はあるが、政策イベントとAI関連の調整リスクに要注意」という相場付きになりそうです。 米国はFRB、 日本は日銀会合と金利動向が最大のテーマで、指数全体よりもセクター・個別物色の色彩が強まりやすい局面とみられます。​

米国株式市場の見込み
例年12月は統計的にダウ平均(Dow Jones Industrial Average )やS&P 500 にとって上位の「強い月」であり、今年も年末ラリーへの期待が意識されています。​
一方で、AI関連・大型テックの高バリュエーション調整が尾を引いており、ナスダック総合(Nasdaq Composite )を中心に、FRBの12月FOMCのトーン次第では一時的な下振れリスクも指摘されています。​

米国株の注目イベント・ポイント
12月上旬〜中旬の雇用統計・CPIと、12月FOMC(利下げ有無とドットチャート)が最大イベントで、「利下げ+ハト派トーン」なら株高、「据え置き+タカ派寄り」ならAI・高PER株中心に再調整というシナリオが意識されています。​
税損売り・ドレッシング(アンダーパフォーマー売りと勝ち組銘柄の買い増し)など、フロー要因によるボラティリティ上昇もリスクとして挙げられています。​

日本株式市場の見込み
日本株は11月の調整でバリュエーションがやや落ち着いた一方、年初来では依然として高水準にあり、「長期の上昇トレンドの中で一服局面にある」という見方が多い状態です。​
12月18〜19日の日銀会合での追加利上げの可能性が市場で意識されており、金融株には追い風、輸出・グロース株には逆風となり得るため、指数全体よりスタイル間のパフォーマンス差に注目が集まっています。​

日本株の注目イベント・ポイント
日銀の政策金利・長期金利誘導のスタンス(12月利上げか、来年以降への先送りか)、および総裁会見での物価・賃金認識が、円相場と日本株の方向感を左右します。​
コーポレートガバナンス改革、自己株買い・株主還元強化といった構造要因は引き続き日本株の中長期の支えとされており、短期の政策イベントでの調整は「押し目待ちの海外投資家の買い場」になり得るとの見方もあります。​

共通のリスク・チャンス
共通リスクとして、AI・ハイテク関連のバリュエーション調整継続、流動性の薄くなる年末特有の急変動、地政学リスクや米大統領の政策不透明感などが挙げられています。​
一方で、金利ピークアウトとインフレ鈍化が確認されれば、「グロース+クオリティ」株中心のリスク資産全体にとっては、来年に向けた再評価の起点となる可能性も意識されています。​

【PE市場とプライベートクレジット】
PE(プライベートエクイティ)市場とプライベートクレジット市場はともに「成長は続くが、資金循環とリスク管理が主要テーマ」という局面にあります。 PEはディール・エグジットの停滞による流動性制約が続き、プライベートクレジットは銀行融資の空白を埋めつつ規模とリスクがともに拡大している、という構図です。​

PE市場の現状と特徴
グローバルPEのファンドレイズは2021年ピークから減速したものの、2025年上期だけで約4,250億ドルを調達しており、年ベースでは直近数年の水準を維持し得るペースです(件数は減少し1ファンド当たり規模は大型化)。​
ディール件数・エグジットは依然2019〜2021年水準を下回り、「NAVが古いビンテージに滞留し、DPI(キャッシュ回収)が伸びない」流動性クランチが続き、セカンダリー取引が過去最高ペースで拡大しています。​

PEの構造変化・リスク
LPは「高IRRより現金回収の早さ(DPI)」や専門性を重視し、メガ・バイアウト一辺倒から、成長株・セクター特化・共同投資などへ配分をシフトさせています。​
IPO出口の細りや高金利環境の長期化でレバレッジ負担が重くなり、バリュエーション調整・デフォルトリスク・エクイティリターン低下の可能性が指摘されています。​

プライベートクレジット市場の現状
プライベートクレジット(ダイレクトレンディング等)は、オルタナの中で最も高いパフォーマンスを示すアセットの一つとされ、オウム全体は2024年時点で約1.8兆ドルから2025年に2兆ドル規模へ拡大するとの推計もあります。​
高金利環境の下で、公募債より高いスプレッドとカスタマイズされた条件を武器に、LBOファイナンスやリファイナンス需要を取り込み、特にミドル・ローワーミドル市場向け直接融資の伸びが目立ちます。​

プライベートクレジットのリスク・論点
直近ではディールボリューム鈍化や返済増加により、案件獲得競争が激化し、SOFR+500bp未満の案件が増えるなどスプレッド圧縮が進行しており、リスクに見合うリターン確保が課題になっています。​
欧州を中心に、機関投資家のオルタナ配分拡大が「流動性の低いローン・複雑なストラクチャー・グループ内のインセンティブ不整合」を通じて金融システムへの波及リスクを高めているとの規制当局の警戒も強まっています。​

投資家視点での位置付け
マクロ減速と金利ピークアウト局面では、PEよりも金利連動の収入が得られるプライベートクレジットや短期クレジットを好む機関投資家が増えており、「PE<プライベートデット」という相対評価が多くのハウスの見立てです。​
一方で、バリュエーション調整後のPEビンテージ(2024〜2026年頃)を「長期的な妙味が大きい投資タイミング」とみる見方も根強く、セカンダリーや共同投資を通じてコストを抑えつつエクスポージャーを取る戦略が提案されています。

2025年11月29日 土曜日