世界の動き 2025年11月6日 木曜日

今日の一言
「熊がいない場所」
いたるところで熊が出没する状況だ。熊のいない所を捜してみた。
本州で熊がいない県が身近にある。千葉県は「クマが生息していない唯一の県」とされている。千葉県にクマがいない理由は以下だ。
– 地理的な隔絶性
房総半島は他の大きな山塊と連続しておらず、ツキノワグマが移動してくる「通り道」が存在しにくい構造だ。
– 森林の規模と構造
千葉県内の山域・森林は、クマが定着・繁殖するには規模が小さく、周囲が海・平野・河川に囲まれているため、他地域からの拡散が困難だ。
– 縄文時代からの痕跡の欠如
遺跡調査でも、イノシシやシカの骨は見つかる一方で、クマの骨や化石はほとんど発見されていない。これは古代からクマが定着していなかった可能性を示唆する。
– 都市化と人口密度の高さ
千葉県は都市部が広がっており、人間の活動が活発な地域が多いため、クマが安全に生活できる環境が限られている。
世界を見ると、日本と似通った地形を持つイギリスにも熊がいない。かつてはヒグマがいたものの、約3000〜1500年前に絶滅したと考えられている。
イギリスにクマがいない理由は以下だ。
約7000年前にはイギリス全土にヒグマが広く分布しており、シカやバイソンなどを捕食していた。
– 地理的な孤立化
約8500年前の氷河期終焉により、イギリスはヨーロッパ大陸から切り離され、クマの移動が不可能になった。
– 環境変化と森林伐採
気候変動により森林が牧草地へと変化。クマの生息環境が失われ、食糧源も減少した。
– 人間による狩猟と定住拡大
狩猟と土地開発により、ヒグマは徐々に数を減らし、中世初期には絶滅したとされる。
– 絶滅時期には諸説あり
考古学的調査では、新石器時代後期(約3000年前)または中世初期(約1500年前)に絶滅した可能性があるとされている。
さあ、安心して千葉県とイギリスに旅行しましょう。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.ゾーラン・マムダニのアフリカのルーツ
【記事要旨】
人物概要
– 34歳の民主社会主義者で、ニューヨーク市長に選出された。
– ウガンダ生まれ、インド系イスラム教徒の家庭出身。
– 幼少期はウガンダで過ごし、その後マンハッタンで育つ。
– 両親は知識人(父:政治学者マフムード・マムダニ、母:映画監督ミーラー・ナイル)。

ルーツと価値観形成
– ウガンダでは南アジア系住民が黒人ウガンダ人よりも裕福で、1972年にイディ・アミン政権によって父が追放された経験がある。
– 幼少期に人種・階級の分断を体感し、帝国主義の影響を強く意識。
– 「私はインド人ではない。ウガンダ人だ」と語った逸話も。
– 音楽活動を通じて植民地主義の影響を表現。

政策と政治的立場
– 住宅の手頃さ、無料バス、ユニバーサル・チャイルドケア、市営食料品店、家賃凍結などを公約。
– 親パレスチナ政策を掲げ、イスラエルでは反発を招く一方、パレスチナでは歓迎された。
– 民主社会主義の象徴的存在として、世界中の若者や移民に共感を呼ぶ。

国際的反響
– インドやトルコなどで「自分を重ねる存在」として注目。
– 一部ではバラク・オバマと比較されるが、アフリカ生まれのため米大統領にはなれない。
– ウガンダでは知名度は低いが、彼の勝利は世界的な政治的波紋を呼んでいる。
【コメント】
マムダニ氏は多くの公約を掲げているが、財源はどうするのか。
具体的には、州法人税を7.25%から11.5%に引き上げ、ニューヨーク市で年収100万ドル以上の3万4000人の住民に一律2%の税率を導入したいと考えている。これらの政策によって100億ドルの歳入が見込まれ、60億ドルのユニバーサル・チャイルドケアの費用と8億ドルのバス無料乗車券の費用を賄うのに十分な額になると彼は主張している。
ただ、州法人税の引き上げには、ニューヨーク州議会とキャシー・ホークル知事の承認が必要だ。ホークル知事は来年再選を控えているため、は特に困難だと思われる。次に、市議会と州議会の両方が、年収100万ドル以上の住民への追加税を承認する必要がある。最後に、これらの措置はニューヨーク市の金融界からの大きな反対に直面するだろう。彼らの多くは、マムダニ氏の主な対立候補である元ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ氏を支持していた。
彼が公約をどのように実現するか、今後の行方に注目したい。

2.殺人ドローンからの逃走
【記事要旨】
ロシアとウクライナは共に、戦場を監視し、標的を発見次第追跡する遠隔操縦ドローンを運用している。しかし、この新たな形態の戦争では、依然として運が重要な要素となる。
​​兵士の集団を発見した場合、ほとんどのドローンは全員を攻撃することはできない。パイロットは判断を迫られる。「この人?」「あの人?」「つまずいて逃げている兵士で、簡単に仕留められるかもしれない人?」それとも、一緒に走っている二人組で、一撃で倒せるかもしれない人?」
ドローンが蔓延する前線からウクライナ兵士を救出することが、かつてないほど困難になっていることをTimesの同僚はハリコフ州から報告した。
【コメント】
まだドローンは人が操縦している。これがAIに置き換わられるのは時間の問題だろう。本当に怖い状況だ。

其の他の記事
・米国最高裁判所は、トランプ大統領が緊急権限を行使して広範な関税を課すことに懐疑的な見方を示した。
・ベネズエラは、米国からのいかなる攻撃にも対応できるよう、ロシア製の兵器と武装民間人を保有している。
・フランスは、オンライン小売業者Sheinが小児型セックスドールを販売していたことを受け、同社のアクセスを遮断した。
・ブラジルは、熱帯林の保全に尽力する各国に資金を提供する新たな気候変動基金を発表する予定だ。

2025年11月6日 木曜日

世界の動き 2025年11月4日 火曜日

今日の一言
「次は何か」
 2018年にNVIDIA株の高騰を、2020年にはAIの興隆を予言したアナリストで投資家であるStephen McBrideは今何を言っているのか?
 NVIDIAはあまりに高くなりすぎで注意すべきだという見方だ。彼が今注目しているのは、AIブームを支える裏方企業だ。AIデータセンターは人類史上最大の建築プロジェクトであり、今後も高成長が見込まれるとしている。
 個別株ではSuper Micro Computerの名前を挙げている。ただ、この会社は内部統制に大きな懸念がありそうだ。ETFでは、iShare Best AIやGlobal X AI &Big Dataなどが面白そうだ。これらは彼が推奨しているわけではないが、日本で上場しているので簡単に購入できる。
 アメリカのゴールドラッシュで誰が一番儲けたのか。金鉱を掘り当てた人たちではなかった。彼らにつるはしやバケツを売った人たちだったという話と似た発想だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.インド女子クリケットの男世界での躍進
【記事要旨】
– 歴史的快挙:インド女子クリケット代表がワールドカップで優勝。ムンバイのスタジアムには4万人が集まり、全国で祝賀ムードに包まれた。
– 男子中心の構造:これまでクリケットは男性中心のスポーツであり、経済的・社会的恩恵も男性に集中していた。
– 女子クリケットの変化:
– 数年前まで女子選手はセミプロ扱いだったが、5億ドルの民間投資により女子プレミアリーグが設立。
– スミリティ・マンダナなど一部選手は月50万ドル近くを稼ぎ、スポンサー契約も急増。
– とはいえ、報酬は男子の10分の1以下で格差は依然存在。
– 社会的インパクト:
– 女性の労働参加率が低いインドにおいて、女子クリケットの成功は性別役割の固定観念を揺るがす可能性がある。
– 地方出身の選手が活躍することで、地方の少女たちに希望を与え、家族の価値観にも影響を与える。
– 試合会場には家族連れが多く、父親が娘に技術的助言をするなど、世代を超えた関心が見られた。
– SNSの反応:
– 一部では性差別的な投稿もあったが、インドが強豪オーストラリアを破ったことで、投稿者が謝罪する場面も。
【コメント】
 この勝利は、インドにおける女性の社会的地位や可能性に新たな光を当てる出来事となった。クリケットは世界で最大規模の競技人口だそうだが、ルールもよくわかりません。

2.ニューヨーク市民が次期市長を選ぶ
【記事要旨】
ドナルド・トランプを世界に輩出したニューヨーク市は本日、民主社会主義者で政界の新人、ゾーラン・マムダニ氏を次期市長に選出する見通しだ。同氏は、同市を率いる初のイスラム教徒でミレニアル世代となる。
 ​​選挙運動中、自身の信仰、インド系ウガンダ人のルーツ、そして親パレスチナ活動について語ってきた34歳のマムダニ氏は、圧倒的な有力候補だ。マムダニ氏は、民主党予備選でマムダニ氏に敗れ無所属で出馬する元ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ氏と、共和党候補のカーティス・スリワ氏に2桁の支持率差をつけている。
 マムダニ氏は、住宅価格の高さを選挙運動の主要課題に掲げ、市バスの運行無料化と国民皆保険の実現を目指している。批判的な声は、彼の政治経験の少なさを指摘している。トランプ氏はマムダニ氏を「私の小さな共産主義者」と呼び、市への連邦政府の資金拠出を停止すると警告している。
【コメント】
 彼の急進的な政策は実現するのだろうか。彼の当選は米国全体の政治にどのような影響を与えるのだろうか。注目だ。

其の他の記事
・アフガニスタン北部で発生した大地震により、少なくとも20人が死亡し、マザリシャリーフの有名なブルーモスクが損壊した。
・トランプ大統領は、米国はベネズエラとの戦争を計画していないと述べたものの、同国のニコラス・マドゥロ大統領は退任すべき時だと示唆した。
・OpenAIは、Amazonから380億ドル相当のクラウドコンピューティングサービスを購入することに合意した。

・キンバリー・クラークは、タイレノールの製造元であるケンビューを400億ドルで買収することに合意した。同社は、トランプ政権によるタイレノールと自閉症との関連性に関する未証明の主張に異議を唱えている。
・テスラの株主は今週、イーロン・マスクに約1兆ドル相当の株式を付与するかどうかを決定する予定だ。

2025年11月4日 火曜日

世界の動き 2025年11月3日 月曜日

今日の一言
「惜敗」
 あとアウト一つまで迫った世界一の座がこぼれおちた。
 ブルージェイズが92年、93年と連覇したときにトロントに在勤していた。今でもスターティングラインアップが目に浮かぶ素晴らしいチームだった。
 抑えのエースをあと一人補充すれば、来年の世界一は間違いない。
 Go Jays!

ニューヨークタイムズ電子版より
1.古い戦場での新しい戦い
【記事要旨】
 エル・ファシャル陥落と虐殺の再発
– 西ダルフール州の主要都市エル・ファシャルが準軍事組織RSFに制圧され、民間人への虐殺・処刑・銃撃が確認されている。
– 住民は脱出中に攻撃され、飢餓・恐怖・死を体験。動画や証言が残虐行為を裏付けている。
 20年前との類似と悪化
– RSFはかつてのジャンジャウィードの流れを汲む組織で、民族間対立を背景に暴力を拡大。
– 以前は西側諸国の圧力があったが、今回は著名人の関心も薄く、不処罰が蔓延。
 武装化と外部支援
– 現在の戦闘員は装甲車・ドローン・重火器を使用し、UAEからの支援を受けていると報道(UAEは否定)。
– RSFは2023年4月からスーダン軍と交戦中で、南ダルフールに独自政府を設立。
 人道危機と国際的非難
– RSFはザガワ族を標的に戦争犯罪・ジェノサイドを実行。性暴力も蔓延。
– 包囲されたエル・ファシャルでは25万人が孤立し、医療崩壊。病院では動物飼料が子供の栄養源に。
 国際社会の対応の限界
– 20年前はジョージ・クルーニーらが注目を集めたが、現在は国連や一部議員の非難にとどまる。
– 停戦交渉は進まず、交渉参加国に紛争関与が疑われるアラブ諸国が含まれている。
– 米国はジェノサイドを非難するも、UAEの関与には沈黙。外交的圧力は限定的。
【コメント】
 スーダンはエジプトの真南にある人口4700万人の国。名前を聞いてもどこにあるか思い浮かばない。

2.ウクライナ、戦争をゲーム化
【記事要旨】
 ウクライナ軍は、敵の標的を攻撃したドローン操縦者にポイントを付与するシステムを導入している。ロシア兵を負傷させたら8ポイント。ドローンの助けを借りてロシア兵を生け捕りにすれば、なんと120ポイントのジャックポットが与えられる。
 当局は、このコンテストが3年半の戦争を経て兵士たちの士気を高めていると主張している。
【コメント】
 日本の自衛官不足に対する究極の回答のような気がする。

其の他の記事
・トランプ大統領は、ナイジェリアのイスラム過激派に対する軍事行動を警告し、政府がキリスト教徒を保護していないと非難した。
・列車内で発生した刺傷事件で11人が重傷を負った事件に関連して、英国人男性が殺人未遂の疑いで逮捕された。
・バラク・オバマ大統領は、ニューヨーク市長候補のゾーラン・マムダニ氏に電話をかけ、将来について「相談相手」になることを申し出た。

スポーツ
・ランニング:ケニア出身のベンソン・キプルト選手とヘレン・オビリ選手がニューヨークシティマラソンで優勝しました。オビリ選手は2時間19分51秒という女子の大会記録を樹立しました。
・野球:ロサンゼルス・ドジャースがワールドシリーズ第7戦でトロント・ブルージェイズを破り、連覇を果たしました。
・テニス:ダブルス王者のロハン・ボパンナ選手が、記録破りのキャリアに幕を閉じ、引退します。
【コメント:ワールドシリーズ最終戦はたった2行の扱いでした】

2025年11月3日 文化の日 月曜日

証券アナリスト・証券セールスは必要か

 ひと月前に、10月末に日経平均が50000円を突破すると予想したアナリストは皆無だった。
 今年の年末の日経平均の終値を、現時点で、大手証券会社はどのように予想しているか調べてみた。

 野村証券:49000円 材料:「高市政権の景気刺激策が企業収益を押し上げる」「サナエノミクスにより名目成長率が金利を上回る環境が生まれ、株式市場にポジティブ」
 SMBC日興証券:47000円 材料:「次世代エネルギー・サイバーセキュリティ・防衛力強化など政策テーマ株に注目」「政策期待が想定以上に株価を押し上げた」
 大和証券:49000円 材料:「高市氏の総裁就任で成長期待が高まる」「米景気軟着陸期待と政策期待が重なり、緩やかな上昇を見込む」
 みずほ証券:52000円 説明:「我々の日経平均の予想が市場の後追いになっていることを認めざるを得ない。高市政権への財政拡大策への期待、日本維新の会の閣外協力、バブルの様相を呈する世界的なAI相場が中長期的に続くかどうかは分からないが、少なくとも年内は大きな期待外れにはならないと想定するため、2025年末の日経平均予想値をトラテジーマンスリー9月号での45,000円から52,000円へ引き上げる」

 みずほ証券が正直に言っているように、アナリストの予想は、市場の後追いだ。それでは投資家に価値を提供するのは困難だろう。

 今ではAIがアナリストやセールスマンの仕事の多くを代行してくれる。市場への深い洞察(インサイト)と将来への知見(フォーサイト)を磨くのは、証券マンにとっての大きな課題であり、投資家としての我々の課題でもある。

2025年11月2日 日曜日

週間市場動向 2025年10月27日ー10月31日 備忘録

【株式市場の動き】
米国と日本の株式市場は先週(10月27日から31日)ともに上昇し、代表的な指数はいずれも過去最高値を更新した。特に米国市場はTech主導、日本市場は新首相による大型経済対策期待が背景にある。​

米国・日本主要株価指数の終値・騰落率
指数 10/31終値 週間騰落率
ダウ平均 47,562.87 +1.2%​
NASDAQ 23,204.87 +1.2%​
S&P500 6,840.20 +0.7%​
日経225 52,411.34 +3.6%​
TOPIX 3,325.47 +1.5%​
米国市場はインフレ沈静化やFOMCの利下げ、GAFAMなどの好業績主導で全面高となった。日本市場は新首相による大型経済対策と円安が強気要因だ。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は10月28、29両日に開催した定例会合で、主要政策金利を0.25ポイント引き下げることを決定した。軟化する労働市場を支えるための利下げは、2会合連続となった。またバランスシートのランオフ(償還に伴う保有証券減少)を12月1日で終了するとも明らかにした。
 ただ米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、12月の追加利下げを当然のこととして想定すべきではないと、市場に警告を発した。

【金利・為替動向】
米国債長期金利は週内でじりじり上昇し、10年債利回りは4.65%近辺まで上昇しました(金融政策見通しによる変動)。為替はドル高・円安が進み、10月31日時点のドル円は154円付近まで円安が進行した。​

【今週(11月第1週)注目イベント】
米国雇用統計(11/1発表)BLSによる雇用統計は予定日に発表されるが、連邦政府閉鎖が長期化した場合は更なる遅延や追加の統計歪みのリスクも残る。​
市場参加者やFRBは今月発表の雇用統計を「一過性の歪み」として取り扱う見通し。

米大手企業決算(Amazon, Nvidia, TeslaなどTech大手)​
注目セクター・注目株
注目セクター:IT(特に半導体とハードウェア)、金融、ヘルスケア。また米国ではクリーンエネルギー、AI関連に注目。​
注目株:米AMD(半導体7.6%高)、Tesla、Google (NVDAも大幅高)、Amazon、日本ではトヨタやキーエンスなどグローバル展開企業​

【PE市場・プライベートクレジット市場動向】
PE(プライベート・エクイティ)市場は低金利環境や株高の継続で投資案件が拡大傾向にあり、M&A件数も高水準が続いています。特にテック・ヘルスケア領域への資金流入が顕著。
プライベートクレジット市場も金利環境の安定で資金流入が続き、レバレッジドファイナンスやクロスボーダー案件が活発化している。​

【特記事項:信用リスクの広がり】
ただし、自動車部品関連企業の倒産は、プライベートクレジット市場と金融市場に複数の重要な影響をもたらしている。最近の米国自動車部品メーカーFirst Brandsなどの大型倒産は、民間の融資ファンドやCLO(ローン担保証券)などを通じて広く影響が及んでいる。​
市場への即時的影響
プライベートクレジットファンドや投資銀行(Jefferies、UBSなど)は、First Brandsへの融資債権で数千万〜数億ドル規模の損失が発生している。​
倒産件数の増加により、金融機関や投資家は潜在リスクの再評価を迫られている。「レバレッジドローン」「コベナントライト(契約条件の緩い)」「サプライチェーンファイナンス」などの高リスク融資が、資産価格下落やファンド流出の要因になっている。​
信用リスク拡散と投資家心理
投資家や限定責任組合員(LP)はこれまで以上に審査やリスク管理を厳格化する必要が高まっています。流動性・時価評価の難しさを背景に、資産の現状把握・ストレステストへの関心が高まっている。
金融システムへの波及リスク
2008年の金融危機時のCDO問題と構造的には類似し、CLOや高リスクトランシェ(債券の区分)を経由したリスクの不透明性、流動性低下、資産価値下落という懸念が指摘されている。ただし市場規模や規制の強化もあり「システミックリスク」は現時点で限定的とされている。​英・欧州の市場でも、一部大手ファンドの損失や監督強化の動きが見られます。​
自動車部品倒産によるプライベートクレジット市場への影響は、ファンド損失・流動性低下・信用リスク拡散・審査厳格化・一部資産の価格下落として顕在化しています。今後はさらなる透明性・情報開示とストレステスト実施への関心が高まり、業界構造自体の分岐点となる可能性もある。​

【株式市場のまとめ】
米国も日本も株式市場はTech主導の強気、金利・為替はドル高・円安。資金は実体経済の回復期待とインフレ沈静化への期待からリスク資産へ継続的に流入している。

2025年11月1日 土曜日