世界の動き2022.1.3

New York Timesの朝一の電子版による記事を使って、日本では殆ど報道されない世界の動きを紹介したい。

1.南アフリカの国会議事堂の火災
国会と隣接する旧議会ビルも大きな被害を被った模様。人の被害が無かったのは不幸中の幸い。50代の男が逮捕されたが詳細は不祥。ツツ司教の死去(2021.12.26)が政情の不安定要因になっているおそれ。
The blaze broke out a day after South Africa bid farewell to the archbishop with a simple funeral. Tutu’s death has reignited a conversation about the country’s reconciliation process and its democracy.

2.韓国と北朝鮮間の非武装地帯をめぐる違反
韓国軍は1月2日に不明者が韓国から非武装地帯を越え北朝鮮へ入国を図ったと発表。北と南は平和条約は結んでおらず休戦状態。
The two Koreas have technically been at war for decades — the Korean War halted in 1953 with a truce〈(休戦), not a peace treaty. Some 33,800 North Koreans have defected to the South since famine struck the​ North in the 1990s.
金正恩は北のトップになってすでに10年たった。難しい舵取り。
Kim Jong-un has begun his second decade as North Korea’s leader with a vow(誓い) to alleviate the country’s chronic food shortages, a problem that he inherited from his father 10 years ago.

3.中国は女性の権利を改善するとアピール
最近の女性の権利に関する法律の改善は大きな勝利と中国政府が喧伝。
But many women are skeptical that real progress will follow.
The government has sought to control China’s fledgling (未成熟の)#MeToo movement.
習近平は旧時代的で女性の地位向上に後ろ向き。Peng Shuaiの事件のごとく臭い物には蓋。
Peng Shuai(彭帅), a star tennis player, was censored within minutes after she said on social media that a top Chinese leader had pressured her into sex.
Women have been increasingly pushed out of the workplace and into traditional roles since China’s leader, Xi Jinping, assumed power.

(2022.1.3)

「命の経済 パンデミック後新しい世界が始まる」ジャック・アタリ 

読まなかった本の感想文(第一回)

この本はずっと枕元に置いていたが、年末年始の時間にやっと読むことができた。

印象:博覧強記の政治家であり作家、当代きっての文化人の謦咳に触れることができる。

表題の命の経済とは:

 著者の説く「命の経済」の概念を要約するのはとても難しい。
 パンデミック禍に株式市場ではStay at home銘柄が注目されたが、命の経済の大宗は市場の外にあるエッセンシャルな人的サービスによりもたらされるものだ。
 社会的/国際的な弱者を含む人の命を守ることを優先した経済システムを確立すべきであり、そのためには、教育は死活的に重要であり、食生活の改善や、環境保護も重要だ。
 こうした動きは営利追求型経済から非営利型経済への変化をもたらすことになる。こうした動きは、従来の資本主義とそれを支える人と物の狂った発展にその限界を見出させることになるかのようだ。

利他主義:

 著者の根底には、限られた地球の中で利己主義では生きて行けない、Altruism is the most rational form of selfishness. という考えが透徹している。こうした考えこそがポストコロナの時代に希望を持たせることになる。

 

結論:

専制主義に打ち勝つ「闘う民主主義の5原則」や、米中の覇権争いの行方への洞察等々、全編にわたり目からうろこの連続の良書。一読をお勧めします。

(2022.1.1)

年々や猿に着せたる猿の面

ブログの更新をさぼっていたので読者の皆さんから「何しているんだ」というお叱りを時々頂いた。

今日は大晦日。
うっとうしかった2021年も大団円である。
年の終わりにあたり、意を強くして、久しぶりに更新する次第だ。

題名は、正月を読んだ芭蕉の句だ。
アメリカの友人が年末の挨拶メールで引用していたので
久しぶりに思い出した句だ。

解釈は簡単ではない。
「年々猿回しが正月になると家にやってくる。
猿に猿の面をかぶせても中身は猿のままで変わりはしない。
人間も同じで新年だと言って改まって見せても変わりはしない。」
という意味だ。

久保田万太郎の名句。「去年今年 貫く棒の 如きもの」でも変わらない歳と人間が述べられており、こうした考えは我々の好みなのかもしれない。

コロナ禍で心も身体も鈍ってきており、このままではちょっと不甲斐ない。
今年は今年の抜け殻として、
来年はより良き年にするために少し歩を進めたい。

(2021.12.31)

内部統制が機能しないという言い訳(2)

前回の記事で最も気になるのは、「カンタツ内部の問題とともに、グループ内部統制の機能が奏功せず、親会社としての管理が不十分であった」というシャープの説明だ。

内部統制が機能しなかったので不正会計事象が発生した、という説明は、東芝(利益かさ上げのための不正会計事件)でも、商工中金(全店を挙げて顧客の資料を改ざんしてまで災害融資を拡大)でも、日本郵政(かんぽで顧客を無視した保険の継続や解約によるノルマの達成)でも見られたことだ。

この「内部統制が機能していないから事件が起きた」という説明は一流大企業で使われ、わが国では広く受け入れられているように思われる。しかしながら、これは「試験勉強が出来なかったからテストの出来が悪かった」というようなもので、説明になっていない点を認識すべきだ。何故試験勉強が出来なかったを説明すべきなのだ。

内部統制が機能しなかったとすれば、何故機能しなかったのか、そもそもまともな統制が整備されていたのか、曲がりなりにも整備されていたとすると、内部統制のどこに不備があったか、なぜ機能していなかったかを分析しなければならない。

こうした分析の第一歩は、我が国の金融商品取引法における内部統制整備において求められる≪内部統制の基本的要素≫が組織に具備され有効に機能しているか確認することだ。

内部統制の基本的要素は以下の6つだ。
統制環境
リスクの評価と対応
統制活動
情報と伝達
モニタリング
IT(情報技術)への対応

今回はここまで。
次回は、これらの基本的要素の勘所を説明したい。

(2021.3.14)

内部統制が機能しないという言い訳(1)

シャープの子会社であるカンタツをめぐる不正会計事件が発生した。シャープの当該事件に対する説明は、日本の大企業によくある典型的な説明になっているのでどこが問題か指摘したい。

事件について詳しくPHILE WEBの記事(2021.3.12 徳田ゆかり氏による)を引用して説明したい。
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 シャープ(株)は、本日の2020年度3Q決算説明会において、「調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」として発表された、同社の連結子会社であるカンタツ(株)の不適切な会計処理についての説明と謝罪を行った。

 カンタツはスマートフォン等に搭載されるカメラのマイクロレンズユニット分野で有数の企業と説明されている。シャープでは、従前から同社が製造するレンズユニット製品を仕入れ、これを組み込んだカメラモジュール等の製造・販売を行い、カンタツへの出資も行っていたが、2018年1月、仕入れから製造販売まで一気通貫のグループ体制を構築すべく、カンタツが発行した新株予約権付社債を普通株式に転換することにより子会社化したもの。

 シャープでは、カンタツにおいて多額の売掛金の滞留があったことからその経過・原因について調査を実施した結果、2018年度から2020年度まで取引先からの注文がないままに売上が計上されていること(架空売上)などの複数の不正や誤謬の事象を確認したという。これらによるシャープの連結決算への影響額は、売上高で75億円、調整前当期純利益で76億円と報告された。

 こうした背景として、シャープの執行役員 管理統轄本部 管理本部長 榊原聡氏は、「カンタツ内部の問題とともに、グループ内部統制の機能が奏功せず、親会社としての管理が不十分であった」と説明。「2度と起こさないため、会計基準の遵守等のコンプライアンスに関する意識の醸成や会計知識の強化などの再発防止策を講じる必要がある」とした。

 シャープの代表取締役社長 兼 COO 野村勝明氏は、「皆様にご迷惑とご心配をおかけしておりますことを非常に重く受けて止めております。株主や投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。再びこのような問題を起こさないよう、再発防止策を確実に実行し、継続的にさらなるガバナンスの強化に取り組んで参ります」と謝罪の言葉を述べた。
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長くなるので、論考部分は、次回で説明させてください。

(2021.3.14)