世界の動き 2023年12月5日 火曜日

今日の言葉
「新生児の名前ランキング」
赤ちゃん本舗の2023年名前ランキングでは、男の子「陽翔」(はると)、女の子「さくら」がどちらも2年ぶりの1位を獲得した。男の子・女の子ともに「陽」の漢字や多いことや、女の子では「ひなた」「ひかり」「あかり」などの読みにある、あたたかく明るい、光のあたる未来へのイメージを連想させる名前が多くランクインしたそうだ。
大谷翔平人気にあやかって、「翔」と組み合わせる名前も増えているそうだ。
子供の健やかな成長を願う親心が現れているが、これからの数十年はどんな世界に代わっているのだろうか。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.イスラエル、ガザ全域に作戦を拡大
【記事要旨】
イスラエルは昨日、ガザ南部のハマスに対する軍事作戦を拡大し、装甲車両が都市部を攻撃した。
イスラエルはここ数日、南部への地上侵攻の準備を進めていると示唆しており、ハマスの戦闘員や司令官が南部に隠れているとしている。 イスラエル軍は地上軍と空軍が「ガザ地区全域で作戦を続けている」と述べた。
イスラエルは再び民間人に対し、この地域最大の都市であるハーンユニスの一部を離れ、エジプト国境にあるラファを含むさらに南に向かうよう指示した。 しかし援助機関は、南部の避難所はすでに超満員だと警告した。
月曜日にガザを訪問した赤十字国際委員会のミルジャナ・スポルジャリッチ委員長は、「人間の苦しみのレベルは耐え難い」と語った。 「ガザで民間人に安全な居場所がないことは容認できない。また、軍事包囲が行われているため、適切な人道的対応もできない。」
タイムズの分析では、10月7日にガザから発射されたロケットが、核搭載可能なミサイルを収容していると考えられるイスラエル軍基地に着弾したことが判明した。
イスラエルは、10月7日の攻撃中に多数の女性に対して性的虐待を行ったとしてハマスを非難した。 抗議活動参加者らは国連に対し、暴力行為を非難するよう求めている。
ネタニヤフ首相:への汚職裁判が昨日再開され、戦争を指揮しているにもかかわらず首相が直面している法的・政治的課題に再び焦点が当てられた。
【コメント】
戦争はガザ全域に拡大したようだ。もう誰も止めることは困難になった。

2.化石燃料に関する発言をめぐり気候変動サミットで大騒動
【記事要旨】
ドバイで開催されているCOP28国連気候変動協議を主導している首長国石油幹部のスルタン・アル・ジャベル氏は、前回の発言がサミットで大炎上を引き起こしたことを受け、化石燃料使用の廃止に関する自身の立場を擁護した。
2週間前に撮影されたビデオが公開され、その中でアル・ジャバー氏は、地球の平均気温が産業革命前に比べて摂氏1.5度以上上昇するのを防ぐために化石燃料を段階的に廃止しなければならないという考えの背後に「科学はない」と述べている。 これを超えると人類は気候に適応するのに苦労するだろうと科学者は言う。
アル・ジャベル氏は昨日、ビデオで自分が言っているように聞こえる内容を発言していないと示唆し、そうでないと主張する者はCOP28での同氏のリーダーシップを弱体化させようとしていると示唆した。 このコメントと反発は、世界有数の産油国で気候変動サミットを主催することのジレンマを浮き彫りにしている。
サミットの詳細: 今年のイベントでは、お金が非常に大きな問題点となっている。 問題の一部は、米国の約束がしばしば果たされないことだ。
【コメント】
再生可能エネルギーへのファイナンスが問題になっている。先進国でのプロジェクトには民間金融機関の資金が提供されるが、最もエネルギー開発を必要とする途上国でのプロジェクトには国際開発機関からの資金か提供されないからだ。

3.台湾では若い有権者が第三党を推進
【記事要旨】
台湾の総統選挙が来月に近づく中、候補者らは台湾と中国との不安定な関係に誰が最もよく対処できるかに焦点を当てている。 しかし、多くの有権者、特に20代と30代の有権者は、地政学にはうんざりしており、住宅費の上昇、所得の伸びの鈍化、キャリアの見通しの狭まりなど、自分たちの懸念事項にもっと重点を置いた選挙運動を切望していると述べている。
台湾の 2 つの主要政党に対する彼らの幻滅は、第 3 の政党である台湾民衆党の台頭を促進するのに役立っている。台湾民衆党は、特に若者の間で、パンとバターの問題に対する不満を一部利用することによって、世論調査で注目を集めている新興政党です。 若者が最終的に誰に投票するか、そして何人が投票するかが、1月13日の大統領選挙を決定する重要な要素となる可能性がある。
【コメント】
なるほど。台湾民衆党は若者の支持が強いのか。民進党と国民党の対中政策での喧嘩よりも、自分たちの暮らしと将来を明るくしてくれそうな第三党を支持するということのようだ。選挙の行方に注目だ。

その他の記事より:
・インドネシアでの火山噴火
A volcanic eruption in Indonesia killed at least 11 hikers whose bodies were found on the slopes of Mount Marapi. Twelve climbers were still missing.
・オスプレイの墜落続報
Days after an Osprey aircraft went down off the coast of Japan, the U.S. Air Force said that the bodies of five crew members had been found.
・周庭さんカナダに
Agnes Chow, a pro-democracy activist in Hong Kong who was arrested as part of a crackdown, fled to Canada and isn’t likely to return.
(無事カナダに出国していたのに驚きかつ喜んだ。中国の監視の目はカナダにも張り廻られているので、しばらくは自嘲し、平穏な生活を送ってもらいたいものだ。)

2023年12月5日 火曜日

世界の動き 2023年12月4日 月曜日

今日の言葉:
「アバターは永遠に」
 50年のキャリアを誇る米国の人気ロックバンド「KISS」。メンバーが引退した後も、バンドは3次元(3D)アバターとして生き続けることになる。
  KISSは2日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで「最終公演」を行った。そこでの最後の曲、「ゴッド・ゲイヴ・ロックンロール・トゥ・ユー」ではリードボーカルのポール・スタンレー、ベースのジーン・シモンズ、ドラムのエリック・シンガー、ギターのトミー・セイヤーのアバターたちが登場し、演奏を披露した。アバターはジョージ・ルーカス氏の視覚効果会社インダストリアル・ライト&マジックが制作した。
  KISSはこれまでに44枚のアルバムを発表し、累計販売は1億枚を超える。バンドのフロントマンを務めるスタンレーは「自分たちが成し遂げてきたことは素晴らしいことだが、それだけでは十分ではない」と録画されたビデオ内でコメント。「バンドは生き続ける価値がある。バンドは自分たちよりも大きな存在なのだから」と語った。
  KISSがアバターによるコンサートツアーを開始するのは2-3年先になるとみられる。それまではゲームやメタバース、「エンタメビジネスのまったく新たな手法」に登場することになりそうだと、ポップハウスのパール・スンディン最高経営責任者(CEO)は述べた。
  人間が消滅してもアバターは不滅だということだ。人間が電脳世界で永遠に生存する世界がすぐそこに来ているようだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.モディ首相の党が州選挙で勝利
【記事要旨】
 インド北部の州での選挙は、モディ首相とインド人民党(B.J.P.)にとって大きな試練とみなされたが、結果は、党が主要な人口密集地域での支配力を拡大したことを示した。
 この結果は、最大野党であるインド国民会議派にとってさらなる打撃となり、マディヤ・プラデシュ州、チャッティースガル州、ラジャスタン州の3州でモディ首相のBJPと争って敗れた。 国民議会派が勝利したのはテランガーナ州のみだった。
 モディ氏は今、春の総選挙に向けてさらに強い立場にある。 来月、モディ首相はウッタルプラデーシュ州の破壊されたモスクの跡地に建設中の新しいヒンズー教寺院の落成式を行い、自身の拠点をさらに活性化させる予定だ。
 数カ月にわたる民族暴力と、北東部州から焦点を移そうとする政府の努力の後、マニプールの遺体安置所は依然として引き取り手のない遺体でいっぱいだ。 家族らは、愛する人を迎えに行くのが怖くて出来ないと話している。
 米国でシーク教徒分離主義者殺害の疑いのある計画は、手の込んだおとり捜査によって阻止され、殺し屋を装った潜入捜査官と1万5000ドルの現金札が関与した。
【コメント】
 タイムズはモディ政権に批判的だが、政権は着々とヒンズー教徒の優越政策を進め支持を増やしている。カナダと米国でのシーク教徒の暗殺計画を見れば、動きはインド国内にとどまらず世界中で反政府の動きを見張っており、ロシアや中国と変わらない。

2.イスラエル、ガザ南部への地上侵攻を準備
【記事要旨】
 イスラエルによる週末の空爆で休戦が終了したことを受け、イスラエルは昨日、ガザ南部での避難命令を拡大した。 イスラエル軍は、北部で戦闘が始まった際に多くのガザ人が避難した南部への地上侵攻の準備を進めているようだ。
 米政府高官らは、戦闘が激化する中、ガザ地区の民間人を救うための行動をイスラエルに要請した。 多くのガザ人はどこに行けばいいのか分からない。この地域はすでに過密状態で、戦闘が始まって以来、ガザ人の80パーセントが家を離れている。
 米国防総省は、昨日紅海で米海軍駆逐艦が攻撃を受けたが、これはイラン支援の民兵組織との緊張激化の兆候である可能性があると発表した。
 タイムズ紙は、イスラエル高官がハマスの攻撃計画に関する諜報報告を無視または却下したことを示唆する証拠を発見した。 戦争が終わったら、彼らは辞職するか解雇されるかもしれない。
 パリでのナイフ襲撃事件:当局は、容疑者は精神障害を患っており、ガザを含む世界中でイスラム教徒が死亡したことに腹を立てていると警察に供述していたと発表した。
【コメント】
 結局戦闘の停止は永続せず、停戦の希望は絶たれた。

3.フィリピンで死者を出した爆発テロ
【記事要旨】
 イスラム国ISは、フィリピン南部の都市マラウィでカトリックのミサに参加していた少なくとも4人が死亡、数十人が負傷した爆発事件の犯行声明を出した。
 この爆発は、手榴弾または手製爆弾によって引き起こされたと考えられており、2017年に武装勢力との激しい戦闘の中心となったミンダナオ州立大学の体育館を破壊した。国軍参謀長は、この爆撃は「 過去数日間南部で武装勢力と衝突があった後の、報復攻撃かもしれない」と述べた。
【コメント】
 フィリピンでの地震は大きく報じられたが、この事件は知らなかった。宗教間の対立が抑圧された側からのテロ攻撃の引き金になる。こうした事件は世界中で起きる可能性がある。

その他記事:
・日本の津波警報
 Tsunami warnings in Japan and the Philippines were lifted after a powerful earthquake struck the region on Saturday.
・中国恒大集団の香港での倒産処理
China Evergrande may be on its last legs: A judge could force the property developer to liquidate and pay back creditors, who are owed tens of billions of dollars.
・中国のカナダ選挙への関与
 Han Dong, a member of Canada’s Parliament, may have received election support from the Chinese Consulate.

2023年12月4日 月曜日

キッシンジャーの名著”Leadership”について

キッシンジャーはその生涯に回顧録を含め多くの本を著している。その多くは批評家に客観性に欠けるとか自慢話だと批判されている。彼が自分で会ったことのある世界の指導者について述べたこの本はそうした批判を免れている。

この本の本質を説明するために、Amazonの書評を紹介したい。
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ヘンリー・キッシンジャーは、この説得力のある本の中で、「リーダーは 2 つの軸の交点で考え、行動するものである。
二軸の一つ目は、必然的に過去から得られる知識と、本質的に推測的で不確実な未来について直観することとのバランスを取ることだ。ニつ目は、彼らが率いる人々の不変の価値観に従うことと願望を奮い立たせることのバランスだ。 方向性を直感的に把握することで、リーダーは目標を設定し、戦略を立てることができる」と述べている。

キッシンジャーは、『リーダーシップ』の中で、6 人の傑出した指導者の人生を、彼らが体現したと信じている独特の国家戦略を通じて分析している。
第二次世界大戦後、コンラート・アデナウアーは、キッシンジャーの言うところの「謙虚の戦略」によって、敗北し道徳的に破綻したドイツを国際共同体に復帰させた。
シャルル・ド・ゴールはフランスを勝利した連合国に並べ、「意志の戦略」によってその歴史的威厳を新たにした。
冷戦中、リチャード・ニクソンは「均衡戦略」によって米国に地政学的優位性を与えた。
25年間にわたる紛争を経て、アンワル・サダトは「超越的な戦略」によって中東に平和のビジョンをもたらした。
逆境をものともせず、リー・クアンユーは「卓越性の戦略」によって強大な都市国家シンガポールを築き上げた。
そして、マーガレット・サッチャーが権力を握ったとき、英国は「ヨーロッパの病人」として知られていたが、彼女は「信念の戦略」によって自国の士気と国際的地位を新たにした。

キッシンジャーは、これらの研究のそれぞれに、歴史認識、公的経験、そして――彼はそれぞれの主題を知っており、彼が説明する出来事の多くに参加していたので――個人的な知識をもたらしている。 リーダーシップは、キッシンジャーだけが下すことができた洞察と判断によって豊かになり、世界秩序と今日のリーダーシップの不可欠性についての彼の考察で締めくくられている。
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いま捜したが、日本語訳はみつからない。AmazonでKindle版が1000円で読める(但し英文です)ので、年末休暇で時間があるときに読んでみたい。

2023年12月3日 日曜日

米国大統領選候補の討論会

 共和党でトランプに次いで第二位の候補につけているフロリダ州知事と、民主党で2028年を狙っているカリフォルニア州知事が討論会で舌戦を繰り広げた。以下、日本のメディアで詳しく報道している毎日新聞の記事を紹介したい。
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 米西部カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(56)=民主党=と南部フロリダ州のロン・デサンティス知事(45)=共和党=が11月30日、南部ジョージア州で討論会に臨んだ。2028年の大統領選への出馬を視野に入れるニューサム氏は、24年大統領選を目指すデサンティス氏を相手に舌戦を展開。「民主党の代表」として存在感を誇示し、「ポスト・バイデン」に向けて布石を打った。

 討論会は保守系のケーブルテレビ局「FOXニュース」が企画した。民主党が優勢な「青い州」と共和党が優勢な「赤い州」で政策を競うのが主題で、大規模州の知事で2大政党の有望株でもある両知事が招かれた。FOXは共和党寄りの姿勢で知られ、ニューサム氏は「敵地」に乗り込む形になった。

 ニューサム氏は10月にイスラエルや中国を相次いで訪問するなど、知事の枠を超えた活動が目立っており、「バイデン氏が健康問題などで出馬を断念した場合に備えて、24年大統領選の準備をしている」との風評もある。

 討論会の冒頭では「我々は2人とも24年の党候補には指名されない」と強調。共和党候補指名争いでトランプ前大統領に独走を許すデサンティス氏をからかいながら、自身の24年大統領選への「野心」を否定。再選を目指すバイデン氏の「実績を説明するために来た」と説明した。

  討論会では、人工妊娠中絶や性的少数者に関する教育、投票権を巡って規制を強化するデサンティス氏を「(産科の)医師や生殖医療を望む女性、教員らを刑罰の対象にして、投票するのを難しくしようとする男だ」と批判。デサンティス氏が81歳のバイデン氏の「認知能力」に疑問を投げかけると、「デサンティス氏が何歳であろうと、100歳のバイデン氏の方を支持する」と擁護した。

 一方、カリフォルニア州での人口流出や物価高騰、治安悪化といった自身に不利な問題では、司会者の質問に正面から答えない場面も目に付いた。

 ニューサム氏には、保守派知事の代表格であるデサンティス氏と討論することで、全米レベルでの知名度や党内での声望を高める狙いがあったとみられる。民主党中道左派に近いシンクタンク「第三の道」共同創設者のマット・ベネット氏はニューサム氏について「28年大統領選に向けた準備をしているのは間違いない」と指摘する。ただ、バイデン氏が何らかの理由で出馬を断念した場合、24年大統領選でもカマラ・ハリス副大統領(59)らと並ぶ有力候補となる。

 カリフォルニア州憲法には「3選禁止条項」があるため、現在2期目のニューサム氏は26年の次期知事選には立候補できない。今後もバイデン氏を側面支援しながら、党内での存在感向上を図るとみられる。【ワシントン秋山信一】
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 米国のメディアではもちろん大きく取り上げられているが、大勢はニューサム氏に分があったという見方だ。
 バイデン大統領が健康上の理由で来年出馬が難しくなったら、ニューサム氏が出てくる可能性が高そうだ。同氏が中国やイスラエルを州知事として訪問していたのも、外交にも強く、海外にも顔が売れているという主張のための布石だったとわかる。とても戦略的なひとでもありそうだ。デサンティス氏は来日したことがあり自民党の政治家は面談していたようだが、ニューサム氏にコンタクトの有る政治家はいるのだろうか。

 年末が近づき日本の政局も動いてきた。ポスト岸田は、派閥の合従連衡はいい加減やめて、世界の地政学の状況や海外とのコミュニケーション能力をみて決定されるべきだ。(といtっても誰も思い浮かばないのが寂しい!)

2023年12月2日 土曜日

世界の動き 2023年12月1日 金曜日

今日の言葉:
「円は上昇する」
 弱い円で輸入価格の上昇に悩んだ一年だったが、来年は円をトップに選ぶ見方がある。
 Bloombergは、『ピクテ・アセット・マネジメントでは、日本銀行が金融政策を来年さらに正常化させるとの期待を踏まえ、円を2024年のトップ推奨にチーフストラテジストのルカ・パオリーニ氏は挙げている。円は対ドルで1ドル=135-140円に向かうと予想。日銀は早ければ1-3月(第1四半期)にもマイナス金利から脱却し、他国・地域の金利が上昇しない限り、円上昇につながる可能性があるとしている』と報じている。
 ありがたい見たてのようだが、通貨は年間10% 程度は変動するので、135円程度の円高は、通常の変動の範囲内だ。第一四半期に日銀の金融政策が正常化するというのも、市場の大方の予想に近い。この見立てで、ピクテの投資家が円債券への投資を増やすかどうか注目だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.気候サミットが貧しい国を支援する基金を承認
【記事要旨】
 国連のCOP28会議の初日、約200カ国の外交官が、富裕国が吐き出す汚染によってさらに悪化する気候災害に見舞われている脆弱な国を支援する基金の計画草案を承認した。
 30年以上にわたり、発展途上国は、地球温暖化によって引き起こされる破壊的な嵐、熱波、干ばつの費用に対応するために、裕福で先進国に補償を求めてきた。 この基金はドバイで2週間にわたって開催されるサミットに向けて明るい兆しと広く見られており、今年稼働することが期待されている。
 拠出国の中で、アラブ首長国連邦とドイツはそれぞれ1億ドルを約束し、英国は約7,600万ドルを約束し、日本は1,000万ドルを提供すると述べた。 EU 気候変動委員会は、組合は少なくとも約2億4,500万ドルを寄付すると述べた。 米国は1,750万ドルを約束したが、この金額は世界最大の経済大国にとって低すぎると一部の活動家が批判した。
 当初の約束額は合計約5億4,900万ドルに上るが、気候関連の損害は2030年までに発展途上国に年間2,800億ドルから5,800億ドルの損害を与えると予想されている。
 気候に関する偽情報:新たな報告書によると、ロシアや中国を含む影響力のある国々は、化石燃料を採掘する企業や、地球規模の気象に関する主張を共有して金儲けをするオンライン扇動者と同様に、世界の気象に関する虚偽または誤解を招く温暖化はデマだという情報の最大の拡散者であることが判明した。
 地球温暖化と戦うために、米国の航空会社はジェット燃料をトウモロコシから作られたエタノールに置き換えたいと考えているが、そうするには、もう一つの貴重な資源である地下水がさらに枯渇する必要がある。
【コメント】
 日本のコミットは随分少ない印象だ。最後のエタノールの増産は地下水の減少を招くというのは、エタノールを植物からとるためには植物を育て無いといけないからというロジックだろうか。

2.キッシンジャーの複雑な遺産
【記事要旨】
 最も強力な国務長官だったヘンリー・キッシンジャー氏が水曜日、コネチカット州の自宅で100歳で死去した。彼の死去は世界中で鋭く分かれた意見を引き起こした。彼は称賛されると同時に非難されることもあった。
 キッシンジャーは、米国の中国への開放を画策し、ベトナムからの撤退交渉を行い、米国とソ連との力関係を再構築し、そのために時には民主主義の価値観を踏みにじった。
 ベトナム:1973年、キッシンジャーは、ベトナム戦争への米国の関与を終わらせた和平協定の交渉によりノーベル平和賞を受賞した。 しかし批評家らは、何年も前に和平の枠組みができていたのに、不必要に紛争を長引かせたと同氏を非難した。
 カンボジア:1969年と1970年に行われたカンボジアへの極秘絨毯爆撃を承認するというキッシンジャーの決定は、米国が戦争犯罪を犯したかどうかについての長年の議論に火をつけてきた。
 中東: 1978 年にイスラエルとエジプトの間の和平を確立した彼の役割は、数十年にわたってこの地域を形作った。彼の遺産は現在のガザ戦争に反映されている。
 私の同僚のデビッド・サンガーは、キッシンジャーへのインタビューを軍備管理協定の交渉に例えました: 複雑さ、微妙なニュアンス、言い逃れ、そして確認しなければならない宣言に満ちている。
【コメント】
 日本では通常絶賛されることの多いキッシンジャー氏に対して、随分、批判的な記事だ。ああ実はそうだったのかと思わせる部分もある。
 個人的には1992年頃、マンハッタンで同氏に合ったことがある。紳士服店に入ろうとしたら回転ドアから氏が出てきたのだ。背丈は私とほぼ同じ。太い眉と鋭い眼光が印象的な人だった。

3.米国は戦争を次のステップを導こうとしている
【記事要旨】
 ブリンケン国務長官は昨日、イスラエルとハマスの間の脆弱な停戦(今日終了する予定)の延長を図るとともに、ガザの民間人の状況を改善し、イスラエルが次に誓う内容に影響を与えるためにイスラエル指導者らと会談した。
 ネタニヤフ首相は、ハマスを鎮圧するという自国の目標を繰り返し述べたが、イスラエルと米国当局者は、その任務はまだ完了には程遠いとしている。 攻撃の新たな段階はガザ南部に集中すると予想されており、米国とイスラエルの当局者らは、ハマスの上級指導者らはガザ南部に群がっていると述べている。
 国務省は会談後に声明を発表し、ブリンケン氏が「ガザ南部での軍事作戦の前に、ガザ南部での人道的および民間保護のニーズを考慮することが不可欠であると強調した」と述べた。
 ハマスはガザで人質となっていたさらに2人の女性を解放した。 解放された人々は暴力、飢え、恐怖の話を語り、栄養失調と精神的な傷を負って戻ってきた。
 エルサレム郊外のバス停でハマス所属の武装集団2人が発砲し、少なくとも3人が死亡、6人が負傷したとイスラエルが発表した。
【コメント】
 米国の努力で脆弱な戦闘の停止が継続し、その間に、暴力の輪廻を絶つ多国籍な枠組みの構築が必要だ。

その他記事より:
・シーク教独立主義者のインドによる暗殺計画
 An indictment by U.S. federal prosecutors describes a chilling plot by an Indian official to arrange the killing of a Sikh American on U.S. soil. Why would India take the risk?
 The Sikh separatist named as the target of the plot, Gurpatwant Singh Pannun, said in an interview that he was not surprised that India wanted him dead.
 The scheme as described by prosecutors could upset a key element of President Biden’s foreign policy agenda: bolstering ties with India.
(その他記事としては異例に長く、タイムズの問題意識を表している。米国内で政治テロをするような、こんな国(インド)と親しくしていいいのかというバイデン政権の外交政策への警告も含んでいる)
・EUのインフレは大幅に沈静化
 E.U. inflation fell to a two-year low in November, dropping much faster than expected as a result of high interest rates and efforts by countries to ease prices for energy and food.
(欧州中銀の金利引き上げは終わり、来年には引き下げに転ずる可能性が高そうだ)
・英王室のゴシップ
 A book publishing “mistake” reignited a furor by naming the British royals who were said to have asked about the skin color of Prince Harry and Meghan’s baby.
(王室を離れてもお二人はゴシップを飯のタネにしているようだ)

2023年12月1日 金曜日