出生減少がもたらす未来

   2月28日の日経新聞のトップ記事は「出生数最少72万人」だった。国の推計では72万人まで減少するのは2039年だったので、それより15年も早く少子化が進んでいる。ここ数年政府は異次元の少子化対策を進めて来たが全く効果は無いようだ。政府の対策は子供を育てる費用が親にかからない政策が主体だが、そもそも結婚して子供を育てるという人生のモデルが魅力が無いので、少子化に歯止めがかからないようだ。結婚しても3組に一つは離婚する時代だし、子供を一人前に育てるのは喜びはあるものの、とても面倒な作業だ。お金がかからなければ子供を沢山持とうと考える人は稀有だろう。少子化が、そうした人生観によるものだとすれば、その転換は難しい。

 欧米でも出生率の低下はほぼ普遍的な現象となっている。米国では過去20年間で出生率が約20パーセント低下した。人類の終焉がどんなものになるか、もうじきわかるかも知れない。

 右翼活動家は人口減少を気候変動よりも大きな人類への脅威とみなしているが、左翼はこうした動きは生殖を選択する権利への脅しだと呼んでいる。

 NewYorkerの今週号で、ギデオン・ルイス=クラウスは、世界で最も出生率が低く、おそらく記録史上最低の韓国を訪れ、出産が減少傾向にある他の国々の将来がどうなるのかを調べた。韓国の出生率は0.75。G7でも1を下回る国は無い。

 同氏は、韓国では「荒廃の前兆が至る所にある」と指摘する。

 約200のデイケア施設が老人ホームに転用され、田舎の学校が猫の保護施設に転用され、放課後プログラムでは卓球を一人でプレイするための器具が提供されている。

「世界の終わりは、通常、激動と熱狂としてドラマ化されるが、人口減少は段階的に進んで行く黙示録である。」と彼は結論付ける。

2025年3月1日 土曜日