世界の動き 2023年5月2日 火曜日

今日の言葉:
「ファーストリパブリックバンクの救済」
 タイムズの記事より引用
 『米国の規制当局は、ファースト リパブリック バンク(FRC)を押収し、JP モルガン チェースに売却しました。 売却は最近の銀行危機を反映しているが、FRCの問題は抑えられるようだ。』
 日本で言えば福岡FGに相当する規模の銀行の破綻だ。
 詳細は、Bloombergの記事より引用
 『JPモルガン・チェースは公的管理下に置かれた米地銀FRCを買収する。米連邦預金保険公社(FDIC)が実施した緊急入札で落札した。民間セクターが一時救済を図ったが、FRCのバランスシートの穴を埋めることができず、顧客の預金引き揚げが続いていた。JPモルガンは買収代金としてFDICに106億ドル(約1兆4500億円)を支払う。また、FDICは新たに500億ドルの5年物固定金利ターム融資を提供する。JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は「米銀行システムは極めて健全だ」としながらも、銀行融資はしばらく今回の一連の破綻による影響を受けるだろうと述べた。』
 FRCのHPを見るとJPモルガン・チェースが買収が発表し預金者に安心するように呼び掛けている。昔NYCに駐在中に私が住んでいたスカースデールにも支店があった。個人富裕層取引に特徴のある銀行だ。
 JPモルガンの買収で収まればよいが、銀行の信用に依存したビジネスは信用が毀損すると脆い。JPモルガンですら預金が10%も流出すれば経営危機に陥る。噂話でも預金の取り付け騒ぎが起こりうる。
 豊川信用金庫事件(以下wikipediaより)はよい教訓だ。
『1973年(昭和48年)12月、愛知県宝飯郡小坂井町(現・豊川市)を中心に「豊川信用金庫が倒産する」というデマが流れたことから取り付け騒ぎが発生し、短期間(二週間弱)で約14億円もの預貯金が引き出され、倒産危機を起こした事件である。
 警察が信用毀損業務妨害の疑いで捜査を行った結果、女子高生3人の雑談をきっかけとした自然発生的な流言が原因であり、犯罪性がないことが判明した。デマがパニックを引き起こすまでの詳細な過程が解明された珍しい事例であるため、心理学や社会学の教材として取り上げられることがある』

ニューヨークタイムズ記事より
1.ホワイトハウスのマルコス
【記事要旨】
 フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領は、昨日ワシントンでバイデン大統領との会談で4日間の米国訪問を開始した。 この訪問は、マルコスが中国と米国との関係を深めることを計画しているというメッセージを中国に送ることを目的としている。
 バイデンは大統領執務室でマルコス氏に対し、「我々は新たな課題に直面しており、あなた以上のパートナーは思いつきませんでした。 米国はフィリピンの軍事近代化を引き続き支援する」と語った。
 マルコスの訪問は、中国の影響力を抑えることを目的として、米国とフィリピンが南シナ海でこれまでで最大の合同軍事演習を行った数日後に行われた。 両国は2月、米軍がフィリピンでのプレゼンスを拡大することを許可する協定に調印した。
 大統領執務室でマルコス氏は、「フィリピンが世界で唯一の条約を結ぶパートナー国に、 南シナ海とアジア太平洋周辺で現在見られる緊張に対し関係を強化し再定義することを期待するのは当然のことだ」と述べた。
 米国は、独裁者の息子であるマルコス氏が10か月前に就任して以来、彼を地域の同盟国として育成することに注力してきた。 彼の前任者であるロドリゴ・ドゥテルテは、中国に対してより融和的であり、時には米国に対してより対立的だった。
 フィリピンの最北端の島は、台湾から 100 マイル以内にある。米軍のプレゼンスが高まることで、中国との戦争で迅速な軍隊の対応が可能になる。
 先月、中国の外相がフィリピンを訪問した際、彼は「フィリピン政府が、台湾と南シナ海に関連する問題を「適切に処理」し、サイドを選択しない以前のコミットメントを維持することが重要だ」と述べた。
【コメント】
 韓国の尹大統領が帰国したと思ったら次にはマルコス大統領と会談する。米国の大統領は忙しい。防衛は米国に依存し経済は中国に依存するという政策は(日本もそうなのだが)維持するのが困難だろう。

2.ウクライナで戦闘激化
【記事要旨】
 ロシアとウクライナの両方が、ここ数日攻撃がエスカレートしていると報告しており、予想されるウクライナの反撃に先立って戦闘が激化していることを示している。
 ロシアは昨日、4 日間で 2 回目のウクライナ全土で夜明け前の広範な空中攻撃を開始した。ゼレンスキー大統領は演説で、パブログラード中心部でのロシアの攻撃で2人が死亡し、40人が負傷したと述べた。
 ウクライナは昨日、過去 24 時間に 4 回ロシア軍への攻撃を行ったと述べた。 昨日、国境近くのロシアで貨物列車が爆発で脱線したが、ロシアの当局者は誰の責任かを明らかにしなかった。 週末にかけて、ロシア軍の戦線の背後で一連の爆発が発生した。
 ウクライナの国防相、オレクシー・レズニコフは国営テレビで、軍は反撃の準備がほぼ完了していると語った。
 この地域では何週間も雨が降り続けており、地面は異常に濡れている。 ウクライナの新しい高度な兵器は、黒くてスープのような土壌にはかなわないことが懸念される。
【コメント】
 史上最大の近代的な地上戦がもうすぐ始まる。毎日毎時戦況が報道されるだろう。地上で血を流す兵士までは映らないので我々はTVゲームを見るような感覚だ。とても恐ろしい。

3.イランのイギリスのスパイ
【記事要旨】
 イランの高官であり、信頼できる国防機密の番人は、英国のスパイでもあった。 タイムズの調査によると、政府高官のアリレザ・アクバリが漏らした情報が、イランの核計画に対する世界の見方を覆し、1 月の処刑につながったことが明らかになった。
 革命防衛隊の上級軍事司令官だったアクバリは、イランの権力の内部に自由にアクセスでき、主要な国家政策について助言した。 彼はまた、16年近く英国のためにスパイ活動を行っていた。 諜報筋はタイムズ記者にアクバリがテヘラン近くに隠されたウラン濃縮施設の存在を明らかにしたと語った。
 英国がイスラエルや他の西側の諜報機関と共有したこの暴露は、イランを注意深く監視していた人々にさえ衝撃を与えた。 この施設の発見は、イランが核兵器を追求しているという疑いを取り除き、核計画に対抗するための西側の軍事計画とサイバー計画を修正する上で重要であることが示され、イランに対する広範な制裁を課すよう世界を説得する上で重要であることが証明された。
 アクバリを知る人々へのインタビューによると、彼はイスラム共和国の理想への熱狂的な忠誠とイランの指導者たちの揺るぎない支持を示したありそうもないスパイだった。
【コメント】
 長い歴史を持つ英国の諜報力はさすがに凄い。また、アクバリは何も求めてスパイ活動をしたのかも気になるところだ。

その他:
フランスでは依然大規模スト
 On May Day, some 800,000 French workers took to the streets across the country to protest the new pension plan.
パラグアイは台湾との関係維持
 Paraguay elected Santiago Peña, a conservative economist, as president, resisting Latin America’s recent leftward shift.
ポートスーダンの混雑
 Thousands of people fleeing the war in Sudan have overwhelmed Port Sudan, a city on the Red Sea, in their efforts to get to Saudi Arabia.

2023年5月2日 火曜日

世界の動き 2023年5月1日 月曜日

今日の言葉:
「五月晴れ」
 五月晴れは実は俳句では梅雨の季語だ。
 旧暦の5月は、おおよそで太陽暦の6月にあたるので、五月晴れは、梅雨の晴れ間を指す言葉だったのだ。それゆえ、旧暦の季節を継承している俳句では、今でも五月晴れを梅雨の季語として使っているのだ。今日から5月。もう年の3分の1が過ぎた。ねじを巻きなおしましょう。

ニューヨークタイムズ記事より
1.ウクライナは軍事的攻勢を準備
【記事要旨】
 ウクライナの兵士は春の攻勢に向けて準備を進めており、国は、兵士と民間人の士気を高め、西側諸国の支援を強化し、奪われた領土を取り戻すことにある程度の成功を収める圧力を受けている。
 東部ドンバス地域での戦闘が血なまぐさい膠着状態に陥る中、ウクライナ南東部のザポリージャ地域の一区画が、反転攻勢の戦場になる可能性がある。タイムズ紙はそこの前線近くで 2 週間過ごし、塹壕での生活を記録した。
 戦う兵士のほとんどは現在ロシアが占領している地域から来ている。 「私たちは彼らを私たちの土地から追い出したいだけだ」「帰るところがなくなる」と32歳の元教師は言う。
 ザポリージャは、ロシア領と占領下のクリミア半島を結ぶ陸路の中心を構成しています。 軍事当局者や専門家は、ウクライナによる軍事的圧力は理にかなっている、と述べている。成功すればロシア軍を分裂させ、重要な補給線を切断する可能性がある。
 ウクライナは、ロシア軍が過去 10 か月かけて強化した防御線を突破しなければならない。14 か月にわたる絶え間ない戦闘の後、ウクライナの兵士は疲れ果てており、大砲の供給は減少している。 米当局者は、反撃が勢いを大きく変える可能性は低いと述べている。
【コメント】
 これだけ攻撃が喧伝されロシアが防衛線を準備しているところでウクライナの反攻が成功するのだろうか。西側の先進兵器はどれだけ有効なものだろうか。5月中旬には反攻が開始される見込みだ。ワグネル創始者はロシア軍が壊滅的な打撃を受けると言っているそうだ。

2.ダルフールでは内戦の恐怖
【記事要旨】
 スーダンでの 2 週間の戦闘は、30 万人もの死者を出した 20 年間の大量虐殺紛争に苦しんだダルフール地域での暴力を再燃させた。 専門家は、民兵や武装した部族が内戦を起こす可能性を懸念している。
 武装集団は医療施設を略奪し、家屋を焼き払い、市場は炎上した。 民間人は、スーダン軍と戦っているRapid Support Forces(RSF)だけでなく、各種の民兵に対しても武装している。
 最近の不安定さは 2000 年代初頭にさかのぼる。軍と元独裁者がアラブの戦闘員「ジャンジャウィード」と同盟を結び、主に非アラブの反乱グループを鎮圧した。 レイプ、殺人、民族浄化の広範なキャンペーンが続いた。 2010 年代、ジャンジャウィードはRSFになり、現在は以前の同盟国であるスーダン軍と戦っています。
 スーダン医師労働組合は、数日後に医療制度が完全に崩壊する可能性があると警告した。
 土曜日は停戦期間中だったが、首都ハルツームが砲撃と空爆を受けて崩壊している。
【コメント】
 人種間、部族間、宗教間の複雑な争いだ。何故最貧国でこのような内戦がおこりがちなのか。最大の要因は貧困だと思うが、世界からの援助も中止させるコップの中の争いは愚かだと思うのだが、誰も何も出来ない現状だ。

3.ユンの肌寒い韓国への帰国
【記事要旨】
 ユン・ソクヨル大統領は先週、ワシントンでバイデン大統領から温かい歓迎を受けたが、自国に帰ると批判に直面している。韓国国民は、ユン氏の外交政策が、韓国を米国や日本とより緊密に連携させることに深い懸念を抱いている。
 多くの人はまた、北朝鮮が先に核攻撃を開始した場合、韓国を核兵器で防衛するという米国のコミットメントを成文化した米国との新しい核協定である「ワシントン宣言」の効力を疑っている。見返りに自国の核兵器を追求するいかなる努力も否定したことも批判されている。
 この協定は現実的だと言う人もいる。 しかし批評家たちは、尹があまりにも多くのものを与えたのに得たものはあまりにも少なすぎると感じている懐疑的な韓国人が多いと述べた。
【コメント】
 何度も書くが尹大統領の支持率が回復して欲しいものだ。

その他:
中国人がチェスの世界チャンピオンに
 Ding Liren won the world chess championship, becoming the first Chinese man to hold the title.
明治神宮外苑の再開発
 A redevelopment plan threatens to raze Meiji Jingu, a famed baseball stadium in Tokyo. (野球場が問題ではないのですが?)
オーストラリアでの脱石炭火力
 The Australia Letter: Experts say that Australia needs a clearer plan to manage its exit from coal power.

2023年5月1日 月曜日

表年 裏年

 連休中は那須で過ごす予定だ。楽しみの一つは、野山や家庭に咲く花々を見ることだ。
 今年は那須一帯ではつつじが見事に咲いており、つつじの表年のようだ。我が家の裏庭の山つつじはこれまで10数年間一度も花をつけたことはなかったが、今年初めてうすい朱色の花を咲かせてくれた。ピンクのクロフネつつじも見事に花をつけた。既に散ったがモクレンも花が多く表年だった。
 アジサイは、表裏がはっきりしている代表の花だと思うが、どうも今年は裏年のようだ。花芽がまだ全く見えない。
 植物の表年裏年については果樹を中心に研究が進んでいるようだ。果樹ではある年に花芽が沢山形成されると翌年は押さえられるが、これは光合成や摘果、剪定などの要因によるらしい。というわかったようなわからないような説明がされている。これでは個々の果樹への説明にはなっても、果樹全体の傾向への説明は難しい。
 花や果樹は平穏な話だが、世界の政治経済ではどうだろうか。昨年はロシアのウクライナ侵攻があり、表年と思われた。今年は少し落ち着くと思いきや、米国での金融不安、ロシアウクライナ戦争の拡大、生成AIの発達等々、危ないニュースは増嵩している。
 世界的な危機にはもはや裏年はなくなり、表年の連続になるのかもしれない。

 今日は本格的な雨だ。自宅のアジサイやヤマボウシの表年裏年に一喜一憂しているのは、人生の楽しみ方としては上等だろうか。

2023年4月30日 日曜日

脆弱な銀行ビジネス

【ファーストリパブリックバンク】
 CNNによれば、ファーストリパブリック銀の株価は今週、約75%下落。24日発表の1~3月期の決算が期待外れだったことから銀行危機への市場の不安が再燃し、同行株からの資金流出を招いた。
 27日には株価が9%反発し、「ホワイトナイト」の出現が期待されたが、事態は悪い方向に転んだ。
 政権情報筋は28日、CNNの取材に、ファーストリパブリック銀を救済する新たな計画はないと述べ、政府介入への期待を打ち消した。米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に入る可能性が高いとの報道が相次ぎ、株価は約37%下落した。
 ファーストリパブリック銀が経営破綻(はたん)するかどうかは依然として不透明だ。存続できる可能性もあるが、資金注入なしでは存続は難しいとみられる。ファーストリパブリック銀はすでに先月、大手銀行団から多額の支援を受けた。
 雲行きが怪しくなり始めたのは今週。1~3月期に預金残高が41%減り、1045億ドルに減少したと同行が報告したのがきっかけだ。アナリストが予想していた預金残高は1367億ドルだった。
 マイケル・ロフラー最高経営責任者(CEO)は記者会見で預金の動きは3月末から安定していると述べ、動揺する株主を安心させようと努めた。大手銀行団から受け取った300億ドルを除き、4月4日時点で保険対象外の預金の倍の手元資金があるとも明らかにしたが、投資家の懸念は収まらず、今週1週間で株価は75%下落した。

【信用創造】
 銀行のビジネスは顧客からの信頼で成り立っている。銀行ビジネスの基本である「信用創造」について説明しよう。
 信用創造(Credit Creation)とは、市中銀行の受け入れた預金が、貸し出しを通じ、さらなる預金を生み出し、これによって預金通貨が創造される仕組みである。
 今、当初預金1単位を受け入れた市中銀行はr単位を預金準備として中央銀行に預け、残りの1-rを貸し出す。この貸し出された資金は、何らかの経済取引に用いられ経済内を循環し、新たな預金としてどこかの市中銀行に戻ってくる。
 次に、預金1-r単位を受け入れた市中銀行はr(1-r)単位を預金準備として中央銀行に預け、残りの(1-r)2単位を貸し出し、この資金は新たな預金として別の市中銀行に戻ってくる。
 このプロセスが繰り返されることにより、最終的には預金通貨は、当初預金を含め最大限1/rに増大することになる。
 当初預金が100万円で、準備率が10%とすれば、預金の総額は100/0.1=1000万円になる。

【銀行での信用の収縮】
 銀行への急速な預金の引き出し(取り付けと言われる)が起こると上記の信用創造の逆回転が起きる。預金が急に10%減ると、預金準備率を10%とした場合、貸し出しが銀行システム全体でその10倍減少することになる。
 ファーストリパブリックバンクのように1か月で41%も預金が減少すると、減少した預金を誰かが補填してくれないと(大手銀行による救済資金の提供か預金保険機構による預金者の救済)、貸し出しを維持することが出来ず、破綻は不可避だ。

【大手銀行も安全ではない】
 取り付けに伴う預金の急減に対して極めて脆弱なのは、最強の米銀と言われるJP Morgan Chaseや邦銀最強と思われる三菱UFJ銀行でも全く同様だ。
 金融市場への信頼を維持するためにFRBや日銀が「金融システムは安全だ」と繰り返しても預金保険を上回る預金は(米国では25万ドル、日本では10百万円)通常保護されないので、警戒心の強い大口預金者は預金引き出しに走る恐れは払しょくできない。
 自分が預金している銀行を不安視して預金を引き出しに走ると、
そうした行動は「自己実現的になる」のが恐ろしい。

2023年4月29日 土曜日

世界の動き 2023年4月28日 金曜日

今日の言葉:
「女性役員比率30%」
 岸田首相が東証プライム上場企業は女性役員の比率を30%にするべきと発言したようだ。
 「役員」が取締役を指すのであれば、女性社外役員の多くは、元官僚、法曹、会計士、大学教授だった。女性を増やせと言う社会的要請が強いので、今では、有名スポーツ選手やアナウンサーが引っ張りだこだ。今後はもっと過熱化するだろうが「仏作って魂いれず」という事態になるのを危惧する。
 会社を実際に動かす「執行役員」レベルまで範囲を広げると、女性を増やすのは簡単ではない。企業として腰を据えた態勢整備が必要だ。

ニューヨークタイムズ記事より
1.ロシアのガス輸出の縮小
【記事要旨】
 ロシアのニュース報道によると、パイプラインによるロシアの天然ガス輸出量は、今年、昨年から 50% も減少する恐れがある。これは、ウクライナ侵攻以来、ロシアの重要なガス輸出産業への打撃を示している。
 かつてヨーロッパの主要な天然ガス供給国だったロシアは、2022 年 2 月の侵攻以来、西側諸国は需要と調達源の多様化を上手くやってきた。
 ロシアは西側の禁輸措置にもかかわらず、石油市場で独自の地位を維持することができたが、ガスは依然としてほとんどが固定パイプラインを介して輸送されているため、ガスの新しい顧客を見つけることははるかに困難だ。ロシアは、中国とトルコへのガス販売でいくらかの利益を得る可能性が高いが、天然ガス輸出産業が崩壊している可能性がある。

戦争に関するその他のニュース:
 教皇フランシスコは、バチカンでの非公開の謁見で、ウクライナのデニス・シュミハル首相と和平への取り組みについて話し合った。
 予想される反撃に先立ち、ウクライナ軍が西側からの重砲を待っているため、戦争の最前線で死傷者が増えている。
 アメリカの 3 つの主要な新聞の編集者と発行者は、ロシアに対し、ウォール ストリート ジャーナルのレポーターであるエヴァン ガーシュコビッチを直ちに釈放するよう共同で呼びかけた。
 昨年ロシアで 10 か月近く拘留されたアメリカのバスケットボールのスター、ブリトニー・グリナーは、釈放後初めて記者団と話をした。
【コメント】
 日本もロシア産の天然ガスの大口需要家だ。ガス開発にもコミットしている。ガスに依存できないため再生エネルギーに転換する欧州と日本の動きは好対照だ。

2.尹氏が米国議会で演説
【記事要旨】
 米国への公式訪問の 4 日目に、韓国のユン・ソクヨル大統領は、北朝鮮からの核の脅威に立ち向かう必要性に触れた議会演説を行った。
「間違った道を歩むことを決意した政権が1つあります。それは北朝鮮です。北朝鮮の核計画とミサイルによる挑発は、朝鮮半島とその先の平和に深刻な脅威をもたらしています。」と彼は語った。
 尹氏はまた、北朝鮮の核開発計画に対抗するために日米韓の協力を強化するよう呼びかけ、幅広い演説でウクライナの復興努力を積極的に支援すると約束した。
 この演説は、バイデン大統領が韓国を守る米国の核の傘を強化することに同意し、北朝鮮によるいかなる核攻撃も平壌政府の「終焉をもたらす」と誓った翌日に行われた。
 「アメリカン パイ」: ユン氏の訪問で明るい瞬間の 1 つは、ホワイト ハウスでの公式晩餐会だった。 バイデンからの説得で、ユンは彼のお気に入りの曲の1つである「アメリカンパイ」を歌った。
【コメント】
 長い訪問が尹政権の浮揚につながることを期待したい。小泉首相の訪米時を思い出す。
 (引用)
 小泉首相がエルヴィス・プレスリーを訪ねた。先日、グレイスランドに降り立ったのは、エルヴィスの友人知人や音楽関係者ではなく、また“一般”のファンでもない、世界の主導者ブッシュ米大統領と日本の小泉首相。天国のエルヴィスも少し驚いているかもしれない。小泉首相は終始、機嫌が良く、フォトセッションではエルヴィスの名曲「Love Me tender」「Can’t Help Falling in Love/好きにならずにいられない」を歌い出す場面も。また、サングラスをかけて「Battle Hymn of the Republic」の“独自のパフォーマンス”を披露している。2006年7月3日 

3.オーストラリアとニュージーランドの関係リセット
【記事要旨】
 オーストラリアとニュージーランドはお互いを親密なパートナーと表現することがよくあるが、ここ数十年で、ニュージーランドからの移民に対するオーストラリアの扱いが亀裂を引き起こしてきた。 現在、アンソニー・アルバニーズ首相が率いるオーストラリアの中道左派政権は、この論争に対処するための措置を講じている。
 何年にもわたる提案の後、オーストラリアは、オーストラリアに住むニュージーランド人が4年後に市民権を取得するための合理化されたプロセスを発表したが、これは、オーストラリアのニュージーランド人に無制限の就労権を与えた 2001 年の政策を覆したものだ。
 スキル不足と経済の減速を考慮しているニュージーランドでは、オーストラリアへの移民により、ニュージーランドが大きな豪州経済に引き寄せられているという懸念が生じた。野党党首のデビッド・シーモアは、オーストラリア政府が「ニュージーランドの才能を急襲した」とコメントした。
【コメント】
 関係が改善したのかと思ったら両国の野党は反対している。隣国の関係はいずこでも難しいものだ。

その他:
米中関係の緊張を示す2つの記事
 The U.S. consulting firm Bain & Company said its employees in Shanghai were recently questioned by Chinese authorities, in the latest sign of strained economic ties between the U.S. and China.
 An ex-Harvard professor was sentenced in Boston after being convicted of not disclosing financial ties to China.
ロシアの悪ふざけがFRB議長をだます
 Russian pranksters posing as Ukraine’s president seem to have tricked the chair of the U.S. Federal Reserve, who was caught on video answering questions about the economy.
デサンテスはイスラエル訪問
 Ron DeSantis, a likely candidate for the Republican presidential nomination, made a brief visit to Israel to promote his diplomatic credentials.

2023年4月28日 金曜日