世界の動き 2025年7月22日 火曜日

今日の一言
「モートンの熊手」
「モートンの熊手」 (Morton’s Fork) と言う言葉を聞いたことがあるだろうか。どちらも望ましくない2つの選択肢から選ぶというもので、誤った二分法の例とされることが多い。
この言葉は英国貴族への課税についての論証を起源としている。「わが国の貴族が裕福なら、永久に課税しても問題はない。逆に貧しくみえるなら、彼らは質素に暮らして莫大な貯金を蓄えているはずで、やはり永久に課税しても問題はない」とモートンという領主が貴族に課税した考えを示す言葉だ。土地だけ所有していて税として徴収可能な流動資産がない貴族を考慮していないという点で、誤った二分法と言える。
石破総理は続投を表明したが、国政の混乱を避けるためだと説明しているが、彼自身が国政の混乱を招いていることを意図的に無視している。彼はゴールポストを何度でも自分の有利に変更する。国民にとってはモートンの熊手状態の現出だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.バングラデシュ軍のジェット機が学校に墜落
【記事要旨】
バングラデシュ空軍の練習機が昨日、ダッカの学校に墜落し、少なくとも20人が死亡、171人が負傷したと当局が発表した。軍は、墜落の原因は機械的な不具合だと発表した。
墜落現場は、ダッカ国際空港と軍の空軍基地の北に位置する小学生から高校生までの生徒が通っている学校だ。暫定政権のムハマド・ユヌス首相の補佐官によると、負傷者の大半は子供で、25人が重体だという。
詳細:ジェット機は空軍基地を離陸した後、学校の2階に墜落した。軍によると、墜落で死亡したパイロットは、人が少ない場所へ機体を移動させようとしていたという。
【コメント】
またも学校への航空機の墜落という悲劇だ。言葉が出ない。

2.イスラエルはガザにおける今後の対応策出せない
【記事要旨】
週末にイスラエル軍がガザの支援拠点でパレスチナ人に対し発砲するという2件の事件が発生。これは1年以上前の専門家の警告が事実になった。権力の空白状態が続く限り、ガザは無政府状態に陥るだろう。
土曜日の発砲事件はイスラエル支配地域にあるイスラエルの支援拠点で発生し、日曜日には、イスラエルからガザに越境してきた国連の車列から援助物資を奪おうとしたパレスチナ人が銃撃された。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、パレスチナ自治政府の復帰阻止を含む暫定統治システムの創設に繰り返し反対してきた。機能的な統治システムの不在はガザの大部分で混乱を引き起こし、解決策が見つからないことでイスラエルの外交的孤立が深まっている。英国、フランス、日本は昨日、イスラエルの行動を「容認できない」と非難し、イスラエルに戦争の即時終結を要求した25カ国のうちの1つとなった。
国連:イスラエルは、ガザ地区とヨルダン川西岸被占領地における人道支援活動を監督する国連高官のビザ更新を拒否した。
【コメント】
今こそトランプ政権が主体的に動くべきだ。トランプにとってはディールの好機だ。

3.ロシアはウクライナに対し、激しい攻撃を継続
【記事要旨】
ロシアは昨日、ここ数ヶ月で着実に激化しているウクライナへのミサイル攻撃と爆発性ドローン攻撃を実施した。トランプ大統領が先週、軍事援助の増強を約束し、プーチン大統領に50日以内に戦争終結を求めるよう指示して以来、初めての大規模な一斉攻撃だった。
ロシアは現在、イランで開発された「シャヘド」と呼ばれるドローンを使用しており、その攻撃力の大きさからウクライナにとって最も深刻なリスクとなっている。ウクライナ軍によると、ウクライナ国内の標的に命中したシャヘドの数はミサイルを上回っている。ウクライナにとってもう一つの痛手として、ロシアによるシャヘドドローンによる防空網突破率も上昇している。昨年は7%が標的に命中したが、今年はこれまでに11%に達している(空軍の統計による)。
関連記事:ウクライナは、戦争初期のような武器供与の要請ではなく、自国軍の兵器開発のための資金をますます求めている。
【コメント】
戦争の技術は実戦を通じで磨かれ発展する。ウクライナは無視できない軍事大国になりつつある。

その他の記事
日本:日曜日の国会選挙で極右の反体制政党2党が勝利したことは、多くの日本の若者の不満を浮き彫りにした。
【コメント】 極右の2政党とは、参政党とどこを指すのだろうか??
中国:当局は、保健当局と病院職員が250人以上の小児の鉛中毒を隠蔽するため、血液検査結果を改ざんしたと発表した。
宇宙:NASA職員からの公開書簡は、NASAの幹部に対し、トランプ政権が求めている大幅な予算削減を行わないよう求めた。

貿易:クライスラー、ジープ、ラムなどの自動車メーカーであるステランティスは、今年上半期に27億ドルの損失を計上したと発表し、その一因としてトランプ大統領の関税を挙げた。

2025年7月22日 火曜日

世界の動き 2025年7月21日 月曜日

今日の一言
「参院選の結果」
自公の過半数割れが現実になった。立憲民主も伸びず、共産は減少。既存政党の議席減を、国民と参政が奪った結果になった。
40代以下の有権者で、国民と参政の支持率が高く、高齢層の自公支持と、世代間の考え方の違いがはっきりした。「手取りを増やす」「日本人ファースト」という、わかりやすいフレーズが受け入れられ、国民と参政を押し上げた。
自公の過半数割れで政治が不安定化するのは間違いない。以下のタイムズの報道はマイルドだが、参政の躍進が「日本も右傾化」とか「外国人を排斥する政党が躍進」と報道されて行くだろう。不人気の石破首相の続投はあり得ないと思うが、自民党内で、火中の栗を拾う候補が出てくるだろうか。
株式市場は、とりあえずはリスクオフの動きが出てくるはずだ。今日は休日で考える時間は十分あるので慎重に対応して行きたい。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.イスラエル軍、援助を求めるパレスチナ人数十人を殺害、ガザ当局が発表
【記事要旨】
イスラエル軍は昨日、ガザ地区北部に集結し、国連のトラックが同地区に入域した際に提供された援助物資を受け取るために集まっていたパレスチナ人数十人を死傷させたと、ガザ保健省と医療従事者が明らかにした。
保健省とガザ市の病院長によると、ガザ地区とイスラエルを結ぶジキム国境付近で発生したこの攻撃で60人以上が死亡した。近くの野戦病院には負傷者100人以上を含む犠牲者が殺到した。
イスラエル軍は、兵士らが警告射撃を行い、その後「差し迫った脅威を排除するため」に発砲したと発表したが、具体的な脅威の規模は明らかにしなかった。また、報告された暴力行為による死者数は同軍の調査結果と「一致しない」とし、引き続き調査中であると述べた。
国連世界食糧計画(WFP)は、パレスチナ人への食糧を運ぶトラック25台からなる車列がガザ北部に入った際、「飢えた民間人の大群に遭遇し、銃撃を受けた」と発表した。
ガザでは、パレスチナ人が広範囲にわたる飢餓に直面しており、援助物資の配給は混乱に陥っている。イスラエル軍は、食糧やその他の支援を切望するパレスチナ人の大群の近くで繰り返し発砲している。
避難:銃撃事件後、イスラエル軍はパレスチナ人に対し、ガザ北部の人口密集地域とガザ市の一部を「戦闘地域」と呼び、そこから退去するよう警告した。
【コメント】
この状況にトランプはどう対処するつもりなのだろうか。メラニアさん、「まだガザでは毎日人が沢山殺されている」とトランプに教えて下さい。

2.日本の首相は辞任を求める声に直面
【記事要旨】
昨日行われた衆議院選挙の出口調査は、70年近く日本を統治してきた自民党の大敗を示唆した。党の有力議員たちは、石破茂首相の辞任を求めた。
テレビのインタビューで、石破氏は選挙での敗北にもかかわらず、総裁の座にとどまりたいと述べた。同氏の指導の下、自民党は米価高騰、移民に対する反発、米国の関税導入の脅威など、様々な問題への対応に苦慮してきた。
今後の展開:石破氏が辞任に追い込まれれば、トランプ政権との関税交渉に加え、隣国である中国の強硬姿勢が強まる中で、政治が麻痺する可能性があるとアナリストらは指摘している。
ポピュリストの台頭:今回の選挙で最大の勝利を収めたのは国民民主党と参政党だった。両党とも、増加する日本の退職者人口を支える年金やその他の費用を賄ってきた消費税の減税案など、若い有権者にポピュリスト的な訴えをしてきた。
【コメント】
石破さんには期待していたのだが、全くダメな政権だった。ここから政治の流動化に注視してゆきたい。

3.議員ら、エプスタイン被告に関するさらなる資料公開を要求
【記事要旨】
共和党と民主党は昨日、悪名高い金融家ジェフリー・エプスタインの捜査に関するさらなる資料の公開を求めました。これは、エプスタイン事件をめぐって多くの支持者から寄せられた批判や陰謀論を払拭しようとするトランプ大統領の取り組みに新たな障害となった。
議員らは、司法省が先週、エプスタイン事件に関する大陪審の証言の公開を求めたことは不十分だと示唆した。
トランプ大統領と、億万長者の金融家で、服役中に死去した性犯罪者でもあるエプスタインは、2004年頃に不和になるまで、15年近くも親交を深めていた。
【コメント】
この事件は藪の中だ。トランプは従来は民主党の攻撃に使っていたが自分が政権につくと蓋をしようとしている。もし顧客リストが実在するとしたら、トランプは真っ先に名前が載っていそうだ。

その他の記事
ウクライナ:ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、戦争終結に向けたロシアとの協議再開を提案した。ロシアは戦場で勢力を伸ばしている。
ベトナム:土曜日、ハロン湾で数十人の観光客を乗せた船が転覆し、少なくとも35人が死亡した。
中国:ウェルズ・ファーゴの銀行員が出国を阻止され、日本の製薬会社幹部が投獄されたことを受け、外国のビジネスリーダーたちは不安を抱いている。

外交:トランプ大統領は中国の習近平国家主席と直接会談し、貿易交渉を行うことを望んでおり、北京への招待を期待している。

2025年7月21日 月曜日

暗号資産投資の可能性

最初に、NYタイムズの「仮想通貨の可能性は無限大か?」という記事を紹介したい。

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トランプ大統領は、いわゆるステーブルコインに関する新たな規則を制定する法案に署名した。仮想通貨業界に大きな弾みをつける可能性がある。

これは、米国の退職金口座に仮想通貨への投資を許可する可能性と相まって、共和党主導のワシントンにおいて仮想通貨企業がいかに大きな影響力を持っているかを浮き彫りにする。この影響力が、トランプ大統領自身が関わるものも含め、これらの企業の帳簿上の資産の増加をもたらしている。

イーサリアムやリップル(XRP)などのデジタル通貨がここ数日上昇を続け、仮想通貨全体の時価総額は初めて4兆ドルを超えた。今週初めに12万2000ドルを超えたビットコインは、わずかに下落している。

また、Coinbaseやステーブルコイン発行会社のCircleなど、上場している仮想通貨企業の株価も上昇している。

最新情報:下院は、米ドルの価値に連動するトークンであるステーブルコインの規制を定めるGenius Act(天才法案)を可決しました。この法案は、企業(AmazonやWalmartなどを含む)が独自のステーブルコインを発行し、従来の決済ネットワークを迂回できるようになる可能性を秘めている。

Genius Actより重大な影響を与える可能性のある法案が存在する。それは、SEC(証券取引委員会)から一部の監督権限を商品先物取引委員会(CFTC)に移管するなど、暗号資産に対するより広範な規制を定めるClarity Act(透明性法案)だ。暗号資産取引所Coinbaseの政策担当幹部であるKara Calvert氏は、「これは間違いなく、私たちがこれまで推進してきた最も重要な事項です」と述べている。

さらに、金融業界をさらに活性化させるため、トランプ大統領は401(k)プランによる株式や債券以外の代替投資対象として暗号資産への投資を許可する大統領令を発令する見込みだと、Financial Times紙は報じている。そうなれば、数兆ドル規模のデジタル通貨市場が創出され、この分野への資金流入がさらに拡大するだろう。

拡大の動きに対し、いくつかの課題も存在する。上院は独自の市場規制法案を策定する可能性がある。その場合、上院議員の中にはGenius Actのような法案に反対してきた議員もおり、下院と対立する可能性がある。そうなれば、さらなる規制の成立が長期間遅延する可能性がある。

懸念材料としては、多くの民主党議員が反対していることが挙げられる。彼らは、現在議会で審議されている法案は業界に優しすぎると主張している。一方で、他の民主党議員はClarity Actのような法案に賛成票を投じている。また、一部の共和党議員は、FRBによる独自の暗号通貨の発行に対し、現在議会で審議されているものよりも厳しい制限を設けるよう求めている。
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筆者はボラティリティの高さと価格付けの不明確さから暗号資産に投資したことは無かった。しかし、米国での法整備が進み、年金基金401kの投資対象として認められるとなれば、そろそろ検討して良い時期かと思う。暗号資産ETFから始めるのが良いと思うが、ETFの選択については以前書いたので参考にして下さい。

さて、今日は参院選の投票日だ。朝7時過ぎに投票に行った。若者の関心も比較的高いようで、開票の結果に注目したい。選挙結果の株式市場と金融市場への影響がどう出るかはわからない。幸い月曜は市場はお休みなので、結果を咀嚼する時間は少しある。個人投資家としては、慌てずに対応したい。

2025年7月20日 日曜日

Late Showの打ち切りについて

アメリカ生活の楽しみは夜のトークショー番組だ。そうしたトークショー番組の司会者は絶大な人気を誇るが、日本では殆ど知られていない。

筆者は二度米国で暮らしたが一度目の1980年当時はJonny Carsonが、二度目の1990年代はDavid Letttermanが人気を誇っていた。

恥ずかしいことだが、Carsonの番組もLettermanの番組も、見ていて半分も理解できなかった。早口の辛辣なジョークが聞き取れないのが一つ。ユーモアの感覚が日本のダジャレの感覚と違っていて理解できないのがもう一つの理由だ。

LettermanのLate Showの収録はニューヨーク市マンハッタンの7番街・53丁目の「エド・サリヴァン・シアター」で昼間行われており、キャパシティーは2階席含め1000席程ある。番組にゲスト出演するセレブリティが毎日出入りするため、多くのファンが駆け付け、アメリカ人にとっては一つの観光スポットともなっている。ショーの鑑賞はアメリカ人のニューヨーク観光の一つの目玉とも言えるものでチケットの入手は困難で毎日常に満席であり、客席インタビューからも判るとおり全米からの観光客が多い。
日本の「笑っていいとも」を仕切っていたタモリの人気に比すとLettermanの人気が日本人にもわかりやすいだろうか。

Lettermanの引退に伴い2015年9月からLate Showを引き継いだのがSteven Corvert(姓はコルベアと発音する)だ。Wikipediaによれば、「スティーヴン・タイロン・コルベア(Stephen Tyrone Colbert、1964年5月13日 – )はアメリカ合衆国出身のコメディアン、俳優、作家。その皮肉たっぷりのスタイルで知られている。3度エミー賞を受賞している。また2006年と2012年に、タイム・マガジンの「最も影響力のある人物100人」の一人に選ばれている。造語「ウィキアリティ」の考案者として知られる。」ということだ。

ここ数日米国メディアを騒がしているのが、コルベアが司会をするLate Showが来年5月で打ち切りになるというニュースだ。

トランプ政権をジョークのネタとして辛辣に批判するコルベアが現政権と現在のCBSのオーナーに疎まれたからという見方が殆どだ。

CBSと言えば、ウォルター・クロンカイトはイブニング・ニュースの司会者としてアメリカの夕方のニュース番組を支配した。そして、マイク・ウォレスの時代からレスリー・スタールとスコット・ペリーの時代に至るまで、「60 Minutes」は長編テレビ報道の基準を確立した。3大ネットワークの中で最も信頼できるという評価を確立してきた。

こうした評価は最近揺らいでいる。以下The Atlanticの詳細な記事だ。
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問題の始まりとして妥当なのは、2016年だろう。それはトランプが初めて大統領に選出された年であり、CBSの親会社パラマウントのオーナーで、頑固だが高齢のサムナー・レッドストーンが娘のシャリ・レッドストーンに経営権を譲った年でもある。 2023年、シャリ・レッドストーン氏は会社の売却先を探し始め、最終的に2024年にスカイダンス社と合意に至った。合併には連邦政府の承認が必要だ。
2024年大統領選中、テレビ局「60 Minutes」はトランプ氏の民主党の対立候補であるカマラ・ハリス氏にインタビューした。トランプ氏はCBSを提訴し、同局が彼女のインタビューを不適切に編集したと主張した。彼は200億ドルを要求したが、これは法外な金額だった。特に、憲法修正第一条を擁護するほとんどの弁護士が認めるように、この訴訟には根拠がなかったからだ。
しかし、トランプ氏には大きな影響力があった。11月の大統領選挙で勝利し、スカイダンス社とパラマウント社の合併案の承認に関与することができたのだ。最初の任期中、トランプ氏はすでに承認権限を使ってメディア内の政敵を罰する意欲を示しており、AT&Tとタイム・ワーナーの合併を阻止しようとしたが失敗に終わった。
選挙以来、CBSはトランプ大統領を何とか喜ばせようと躍起になっているように見えるものの、合併は自社の決定に一切影響を及ぼさないと主張し続けている。CBSは、連邦通信委員会(FCC)委員長に任命されたトランプ大統領の側近、ブレンダン・カー氏に「60ミニッツ」のインタビュー記録を提出した。4月には、「60ミニッツ」の責任者で、広く尊敬を集めるジャーナリストのビル・オーエンズ氏が辞任した。「会社が私に見切りを付けたのは明らかだ」と、彼は会議中にスタッフに語った。メモの中で彼はさらにこう述べている。「ここ数ヶ月で、私がこれまでやってきたように番組を運営し、『60ミニッツ』にとって、視聴者にとって何が正しいのかに基づいて、独立した判断を下すことは許されないことが明らかになった」。大げさな発言や党派的な発言をしない番組記者の中には、インタビューやスピーチで懸念を表明する者もいた。
今月初め、CBSはトランプ大統領の訴訟を終結させるため、1600万ドルの和解金で合意した。この合意ではトランプ氏に直接報酬が支払われるわけではないが、パラマウントはトランプ氏と共同原告の訴訟費用を負担し、トランプ氏の将来の大統領図書館に寄付することに合意した。トランプ氏は、この合意にはトランプ氏が支持する大義を推進する公共広告とされる、具体的な金額を明示しない「広告」も含まれていると述べた。パラマウントはこれを否定している。そして今、コルベア氏の辞任が迫っている。もし辞任の理由が本当に金銭的なものなら、彼の給与は疑わしい訴訟の和解金と比べてどうなのか疑問が残る。
大統領は現在、この合併に好意的な姿勢を見せている。先月、大統領はオラクルの創業者でトランプ氏の友人でもあるラリー・エリソン氏の息子であるスカイダンスのCEO、デビッド・エリソン氏を高く評価した。しかし、この合意はまだFCC(連邦通信委員会)の承認を受けていない。
パラマウントとスカイダンスの幹部は、CBSのジャーナリズムや編集の独立性を守ることに全く関心がないことを露呈しており、これはCBSの歴史的な評判だけでなく、今もそこで働く多くの優秀なジャーナリストにも悪影響を及ぼしている。ジャーナリズムとコルベアの番組は、パラマウントのポートフォリオのごく一部を占めるに過ぎないため、経営幹部は契約維持のためにこれらを犠牲にすることは、冷酷ではあっても賢明な策略と見なすかもしれない。
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現在のLate Showは日本でもYoutubeで簡単に見ることが出来る。Sephan Corvertが、自分自身で今回の急な契約解除について述べる回も視聴可能だ。
Stephen Colbert Announces The Cancellation Of “The Late Show”をYoutubeで捜すと,突然の解除に対する彼の反応を見ることができる。

私が米国に住んでいたころより技術の進歩がこうしたトークショーを理解するのを助けてくれる。
英語の字幕を表示に設定し、再生速度を80%程度にすれば、早口の、トランプに対する辛辣なジョークも大分理解できるようになる。政治的な圧力にコルベアが今後どのように対処してゆくのか、来年の5月までは彼のショーを見ることが出来るので見て行きたいものだ。

2025年7月19日 土曜日

世界の動き 2025年7月18日 金曜日

今日の一言
「シュレーディンガーの猫」
 もともとは量子力学における重要な概念で、相反する状態が重なり合って存在する状況を指す。量子力学からその後、形而上学的思考実験としてひろまった概念だ。
 この実験では、猫が毒の入った小瓶の入った箱の中にいる。毒が放出され、猫が死ぬ確率は50%だ。箱の中にあって目に見えない間は、それは生きているようでもあり、死んでいるようでもある。
 最近のパウエルFRB議長を巡るごたごたは、まさにシュレーディンガーの猫状態だ。
 トランプ大統領は、別の議長が就任した方が米国は良くなると信じているようだ。解任の噂を意図的に発することで、大統領は市場の反応を試すだけでなく、パウエル議長解任という概念を社会に浸透させ、実際に解任する際に、解任が容易に受け入れられるようにしようとしているのだ。
 シュレーディンガーの猫のように、パウエル議長の状況は同時に生と死を繰り返している。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.シリア人、突発的な暴力事件後の被害状況を調査
【記事要旨】
 シリア人権監視団によると、日曜日以降、シリア南部スウェイダ県を襲った宗派間の暴力で500人以上が死亡した。アサド政権崩壊後、シリアで最も多くの死者を出した騒乱の一つとなった。
 Timesの記者は、政府軍と少数民族ドルーズ派の民兵との衝突が周囲で激しくなる中、数日間自宅に閉じこもっていた33歳のホッサムさんに話を聞いた。ドルーズ派のホッサムさんは昨日、被害状況を確認するために車で各地を回った。行く先々で、路上には血が溢れ、窓ガラスは割れ、死臭が漂っていた。
 スウェイダでの暴力事件は、相当数の少数民族ドルーズ派が居住する隣国イスラエルにも波及した。イスラエル軍がダマスカスへの空爆を実施した後、シリアのアハメド・アル・シャラ大統領は昨日、イスラエルがシリア国内に「混乱」を招こうとしていると非難した。
 今週、シリアのドルーズ派に対する扱いをめぐり、イスラエル国内の小規模ながらも影響力のあるドルーズ派の間で動揺が広がった。彼らは抗議活動を行い、道路を封鎖し、中にはシリア国内に強制的に入国する者もいた。
 イスラエル:イスラエルがシリア南部における長期的な軍事作戦にどれほど真剣に取り組んでいるのか、あるいは今回の攻撃は主にイスラエルのドルーズ派の怒りを鎮めるための短期的な試みだったのかは不明だと、Timesのエルサレム支局長は見る。
【コメント】
 せっかく安定しそうなシリア新政権の足許が揺らいでいる。ここでもイスラエルが不安定さの原因だ。

2.英国、選挙権年齢を16歳に引き下げる計画
【記事要旨】
 英国政府は昨日、16歳と17歳の若者にも投票権を認めると発表した。この計画は、英国において過去数十年で最大の投票権拡大と評されている。
 キア・スターマー首相率いる労働党政権は政策文書の中でこの計画を発表し、英国の制度への信頼低下に対処し、民主主義を刷新すると述べた。16歳への投票権付与は、昨年の総選挙で労働党が勝利を収めた公式綱領の一部だった。
 ある保守党議員は、この計画を「不人気に怯え、協議なしに憲法改正を強行しようとしている労働党による、図々しい試み」と評した。
 影響:英国の投票率は低下傾向にある。世論調査では、若い世代の英国人は左派寄りであることが示されており、これは労働党にとって有利に働く可能性がある。しかし、最近の世論調査では、ナイジェル・ファラージ氏が率いる新たな右派ポピュリスト政党「リフォームUK」への若者の支持が高まっていることも明らかになった。
【コメント】
 高校生にも投票権を与える試みだ。労働党の選挙公約のようだが、実現すればポピュリズムに大きく振れるのではないだろうか。

3.米国、数十億ドル規模の対外援助削減を採決
【記事要旨】
 下院は昨日、トランプ大統領が要求した対外援助と公共放送への90億ドルの支出削減案を承認する準備を進めていた。このうち約80億ドルは対外援助プログラム向けで、残りはNPRとPBSの資金提供団体向けだった。
 上院は水曜日の夜にこの法案を可決した。共和党議員はわずか2人しか反対しなかったが、賛成票を投じた議員の中にも不安を表明する者がいた。上院議員たちは、トランプ政権がどのプログラムが影響を受けるのか詳細を明らかにしていないと述べた。
【コメント】
 対外援助削減の隙間に忍び込むのは中国だ。質の高い米国の公共放送にも大きな打撃だ。毎日PBSのニュースを見ているが今後どうなるのだろうか心配だ。

その他の記事
欧州:英国とドイツは、一方に対する脅威を他方に対する脅威とみなすという両国の誓約を含む画期的な防衛条約に署名した。
日本:日曜日の国会選挙を前に、農林水産大臣は価格を下げ、有権者の支持を得るため、備蓄していた米を放出した。
ブラジル:ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領は来年の選挙で苦戦を強いられていた。しかし、トランプ大統領の関税措置によって状況は一変しつつある。

アジア:中国の空母2隻は、長らく米国が支配してきた太平洋海域で、1か月間にわたり戦闘機とヘリコプターの離着陸訓練を行った。

特集記事
韓国の美容品ブーム
 韓国の美容製品の売上が米国で急増している。ファンは、韓国製品は価格に見合った価値があり、米国製品よりも軽くて刺激が少ないと述べている。そのため、トランプ大統領が韓国からの輸出品に25%の関税を課すと警告したことで、パニック買いが起きた。中には1年分の韓国製マスカラを買い込む消費者もいる。

お悔み:1950年代後半から60年代初頭にかけて、「Who’s Sorry Now」や「Don’t Break the Heart That Loves You」などの曲でヒットチャートを席巻したコニー・フランシスが87歳で亡くなった。

2025年7月18日 金曜日