世界の動き 2025年1月15日 水曜日

今日の一言
「タミフル」
 インフルエンザの流行に伴いタミフルとそのジェネリックが不足しているという報道があった。病気の流行期に医薬品が不足するという開発途上国のような状況だと慨嘆していた。
 今朝、ラジオでドイツ在住の女性医師のコメントを聞き驚いた。英国の有名な医学誌でタミフルの有効性について検証が行われ、「症状の改善を一日程度早める効果しか無い。ただ、薬の異常行動とされる副作用はインフルエンザの症状によるもので薬によるものではない」という結論だったそうだ。つまり、「そんなに効かないし危険性もない薬だ」ということだそうだ。

 タミフルの全世界の消費の75%は日本が占めているそうで、インフルと言えばタミフルという日本の状況は異常なそうだ。
 薬不足は解消して欲しいが、我々に刷り込まれた常識も疑う機会も必要だろう。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ氏の国防長官候補の上院の公聴会
【記事要旨】
 トランプ次期大統領が国防長官に指名したピート・ヘグゼス氏は、昨日の上院での承認公聴会で何時間にもわたる質疑に直面。国防総省(従業員300万人、予算8490億ドル)のトップに立つかどうかの投票は月曜日にも行われる可能性がある。
 共和党はヘグゼス氏を大部分擁護した。民主党は、性的不品行疑惑(ヘグゼス氏は2017年に強姦容疑で告発されている)や飲酒習慣について質問し、軍における女性に対する長年の軽蔑的発言について厳しく追及した。
 共和党の重要人物で、退役軍人で性的暴行の被害者でもあるアイオワ州のジョニ・アーンスト上院議員は、軍における女性の役割や性的暴行の防止に関する質問に対するヘグゼス氏の回答に満足している様子だった。
 ヘグゼス氏は、自分は変わったと述べ、自分に対する告発を「中傷キャンペーン」として否定した。
 「個人的な問題を克服したのか、それとも中傷キャンペーンの標的になっているのか」と、アリゾナ州の民主党上院議員マーク・ケリー氏は尋ねた。「両方になることはできない」。
 今後の展開:ヘグゼス氏が承認に必要な票数を得て公聴会を終えたかどうかは不明だ。上院の民主党議員全員が反対した場合、ヘグゼス氏は上院の共和党議員53人のうち少なくとも50人の支持を確保する必要がある。
【コメント】
 党議拘束のない米国では共和党から数名の反対者が出ることは大いに考えられる。TVの司会者だったヘグゼス氏の経験不足感は否めないように思われるが。

2.強風によりロサンゼルスで新たな火災が広がる恐れ
【記事要旨】
 予想される突風と乾燥した植生が南カリフォルニア全域で新たな火災を引き起こす可能性がある。現在、少なくとも24人が死亡、約24人が行方不明、数千人が避難している。
 最大の火災であるパリセーズ火災は、鎮火には程遠い。複数の死者を出したイートン火災も鎮火には至っていない
 文化的損失:火災で破壊された貴重品の範囲は、形になり始めたばかりだ。パシフィック・パリセーズにある自宅が破壊されたとき、ある住民はアンディ・ウォーホルの作品約30点と、他のアーティストの作品数十点を失った。
 安全な避難場所を求めて:何万人もの避難者が一時的な避難場所を求めて奔走し、アメリカで最も住宅価格の高い都市の一つで住宅不足が悪化している。
【コメント】
 早い鎮火を祈るのみだ。

3.イスラエルとハマスは停戦合意に近づいている模様
【記事要旨】
 イスラエルとハマスはガザでの停戦とそこに拘束されている人質の解放に「合意寸前」にあると、ブリンケン国務長官は昨日述べた。
 月曜日、ハマスの当局者はイスラエルが立場を変えない限り、今後数日中に合意が成立する可能性があると述べ、イスラエルの当局者は昨日、イスラエルは合意を締結する準備ができており、ハマスの対応を待っていると述べた。
 カタール、エジプト、米国を含む調停者は、過去に何度もそうであったように、交渉はいつでも決裂する可能性があると警告した。
【コメント】
 バイデン大統領の在任中に合意に至らないとトランプ氏がご破算に戻す恐れを回避できない。

その他の記事
韓国:
 尹錫悦大統領を解任すべきかどうかの審理が憲法裁判所で開始され、捜査官らは大統領を要塞化された邸宅から再び拘束する準備を進めている。
キューバ:
 バイデン大統領は、2021年の弾圧で投獄された抗議者を解放する取引の一環として、キューバをテロ支援国家リストから削除する。
英国:
 キア・スターマー首相の汚職対策大臣、チューリップ・シディク氏は、バングラデシュでの横領事件の捜査で名前が挙がった数週間後に辞任した。

2025年1月15日 水曜日

世界の動き 2025年1月14日 火曜日

今日の一言
「南海トラフ地震」
 昨夜ラジオを聞いていたら緊急地震速報が鳴り響いた。
 日向灘で震度5弱(マグニチュードは6.8)の地震が発生したのだ。マグニチュードが7以下だったので「南海トラフ巨大地震の発生注意」には至らなかったことを今知った次第だ。
 南海トラフ地震については発生の可能性の計算方法への疑念が呈され、学者の見解も政治や経済的なポジショントークと化している観もある。
 昨夜の地震では南海トラフ全体で揺れが広がったので、地域限定タイプの地震とは明らかに違うと素人には見える。自分で出来る準備は怠りなく行っておきたい。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ロサンゼルスは危険な風に備え
【記事要旨】
 ロサンゼルスの破壊的な山火事では少なくとも24人が死亡し、2つの火災地域で少なくとも16人が行方不明になった。
 強風のため火災危険警報が明日まで発令された。消防隊は風に備えて危険地域に派遣されている。
 火災の原因の調査が進行中で、当局は近くの電線を原因として調査しているが、放火の可能性も排除されていない。
 平常に戻る兆候がいくつかあった。先週、一部の地元の学校が再開し、テレビ番組の制作も再開された。
 格差:地元と州の消防隊が地域全体の火災と格闘する中、裕福な住民が1日数千ドルで雇った民間の消防士が個々の家の監視を続けた。
【コメント】
 山火事の多発で南カルフォルニアでは保険会社が火災保険を引き受けないため、付保率が下がっているそうだ。保険が無ければ普通の家庭では住居の再建は不可能だ。住宅街の復活には膨大な時間と資金が必要だ。

2.韓国大統領の運命が決まる
【記事要旨】
 韓国の憲法裁判所は本日、尹錫悦大統領を弾劾後に罷免すべきか復職させるべきかの審議を開始する。先月、尹大統領は短期間の戒厳令を布告し、この国を数十年で最悪の政治危機に陥れた。
 対立する市民グループは数週間にわたり、どちらの結果にも抗議しており、一部の強硬派は裁判所が自分たちに有利な判決を下さなければ内戦が勃発する恐れがあると警告している。
 今後の展開: 尹大統領が罷免されれば、任期終了前または終了後に追放、投獄、またはその両方を受ける保守派大統領は3人連続となる。復職すれば、将来の指導者が戒厳令を政治手段として使う前例となる可能性がある。
【コメント】
 常識的に考えれば罷免だろうが、憲法裁判所の裁判官6名(現在3名欠員)の一致が必要なのが大統領支持派の頼みの綱だ。

3.ロシア軍の背後にある領土交渉の切り札
【記事要旨】
 ロシアのクルスク地域では、ロシア軍とウクライナ軍がこれまでで最も激しい戦闘を繰り広げている。両軍にとって極めて重要なこの地域は、停戦交渉で重要な役割を果たす可能性がある。ウクライナは、この地域を交渉の切り札として利用したいと考えている。
 現地の状況:北朝鮮の増援部隊の支援により、ロシアは夏の間に失った領土の一部を回復した。ウクライナ軍兵士は、戦闘がこれほど激化している一因は北朝鮮軍にあると述べている。
 関連:捕らえられた北朝鮮兵士が尋問を受けているビデオは、彼らが戦っている戦争についてほとんど何も知らなかったことを示している。
【コメント】
 早くトランプに就任してもらい、血みどろの戦いに一時停電を実現して欲しいものだ。

その他の記事
ガザ:
 停戦交渉は、調停者がトランプ大統領就任前に戦闘停止と人質解放を迫る中、新たな勢いを得ているようだ。
テクノロジー:
 バイデン政権は、中国に先進技術を持ち込ませないようにし、最先端のAIが米国とその同盟国によって開発されることを確実にすることを目的とした新規則を発表した。
中国:
 北京は、輸出が世界を席巻し、昨年の貿易黒字がほぼ1兆ドルに達したと発表した。

日本:
 米国地質調査所によると、同国南部の沖合でマグニチュード6.8の強い地震が発生した。

2025年1月14日 火曜日

世界の動き 2025年1月13日 月曜日

今日の一言
「成人の日」
 英語ではComing of Age Dayと訳されている。あまり海外では聞かない祝日だ。
 相変わらず祝賀行事が全国で繰り広げられているようだ。必ず振袖と白いショールで着飾った女性が映される。
 見るたびに考える。これは日本の麗しき伝統なのか、それとも変われない日本社会の象徴だろうかと。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ロサンゼルスの火災が続く中、行方不明者数増加
【記事要旨】
 日曜日までに、火災により少なくとも16人が死亡し、行方不明者数は時間とともに増加している。
 住宅街全体が破壊され、火事を引き起こした突風は、一時の小休止の後も再び発生すると予想された。パリセーズの火災の勢いは食い止められたが火災リスクは依然として高いままだ。10万人以上の住民が依然として避難命令を受けている。
 少なくとも11人が死亡したイートンの火災は、カリフォルニア史上最悪の死者数となっている。捜索隊は死体捜索犬とともに、炎で焼け落ちた住宅街を捜索した。
 政治批判:次期大統領ドナルド・トランプ氏は自身のサイト「トゥルース・ソーシャル」で州当局者を「無能」と呼び、トランプ氏が破壊を政治利用していると発言しているカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事との長年の確執を再開した。
 受刑者消防士:900人以上の受刑者が、この致命的な火災の拡大を遅らせるために活動している。カリフォルニア州は長年、山火事の消火活動に受刑者を頼ってきたが、この慣行に対する批判が再燃している。
【コメント】
 甚大な損害だ。日本では大震災の後に火災発生が予想されているが準備はしっかりできているのだろうか。

2.スーダン内戦の転換点となる可能性
【記事要旨】
 スーダン軍は今週、ワドマダニ市を、1年ちょっと前に同市を制圧した準軍事組織、ラピッド・サポート・フォース(RSF)から奪還した。
 2年近く前に内戦が始まって以来、最も重要な勝利となり、戦場の様相が一変する可能性がある。RSFのリーダー、モハメド・ハムダン将軍は、同市をすぐに奪還すると誓った。
 スーダンの住民は、ポートスーダンで教会の鐘が鳴る中、勝利を祝うため首都ハルツームの通りに集まった。住民は、このニュースが、虐殺、民族浄化、広がる飢餓につながった内戦の転換点となることを願っていた。
【コメント】
 スーダンはエジプトの南に位置し東は紅海に面している。内戦が断続的に継続。2021年にクーデターが発生し、統治評議会の議長に軍部派、副議長にRSF派が着任した。その後、軍部がRSFを軍に組み込もうとしたことで両者は対立し、2023年4月15日に軍事衝突が発生している。

3.ブラジルでデジタルギャンブルが広がる
【記事要旨】
 動物くじは、ギャンブルゲームとして何十年もの間、多くのブラジル人にとって日常的なものであり、血みどろのマフィアの抗争を煽ってきた。しかし、デジタルギャンブルは人々の賭け方を変え、組織犯罪を覆している。
 2018年にブラジルで合法化されたデジタルギャンブルは、国内で大騒ぎを引き起こし、当局は業界を規制する方法の決定を迫られたが、現在、毎年220億ユーロ以上の賭け金を集めており、アナログギャンブルの10倍である。そのお金の一部は、合法的な賭博サイトを使って収益を洗浄してきた動物くじのボス自身から来ている。
【コメント】
 動物くじ(the Animal Lottery)と言いうのはどういうものかわかりませんでした。サイトは見つかるがすぐプレイすることを求められる。

その他の記事
中東
ガザ:イスラエルの治安当局の責任者らがカタールに到着し、バイデン大統領の退任前に人質を解放する停戦協定について協議した。
シリア:シリア人数千人が、少なくとも部分的にイスラエル軍が支配する地域に住んでいる。イスラエルの一時的な防衛措置とされるものが長期化する恐れがあると懸念する声もある。

アジア太平洋地域
韓国:先月墜落し179人が死亡した済州航空機のフライトレコーダーは、最後の4分間の記録を停止した。
シンガポール:建国の父は長年住んでいた家を博物館として保存するのではなく破壊することを望んだ。その建物は現在、家族の確執の中心となっている。

ヨーロッパ
ウクライナ:ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア西部のクルスク地方で負傷した北朝鮮兵士2人を捕らえたと発表した。
イタリア:バチカンは同国向けの新しい教会ガイドラインで、同性愛者は独身を貫く限り司祭になるための訓練を受けることができると述べた。

2025年1月13日 月曜日

トランプ旋風

 就任前からトランプ旋風が吹き荒れている。曰く、グリーンランドは米国領たるべし。パナマ運河は米国領たるべし。関税を避けたければカナダは米国の51番目の州になるべし。メキシコ湾という呼称はアメリカ湾にすべし。非常事態宣言を出して就任初日から輸入品に一律に関税を課す。等々だ。

 トランプの(少なくとも現状は)バディーであるイーロン・マスクは、ドイツのショルツ政権をこき下ろし、極右のAfDへの支持を公言している。英国の労働党政権も非難の的だ。

 こんなに訳の分からない乱暴者が近くにいたらどうするか。「ジャイアン」の子分の「スネ夫」のように言うことを聞きまくるか、「のび太」のように、いうことを聞くふりをしながら事態の変化を待つか、どちらかだ。本当は「できすぎ君」のようにずば抜けた成績でジャイアンに一目置かれる存在になれば良いのだが、これは中国が取りうる戦略で、現在の日本には一目置かれる材料が乏しい。

 だらだら先延ばしするのは日本の得意技で、「検討します」と言うのは「何もしない」という意味で、「真剣に検討します」と言うのは「少し考え始めてみる」という意味だという政府・官庁用語はわれわれにはおなじみだ。

 とりあえず「検討事項」が積みあがるかもしれないが、その内に潮目は必ず変わるものなので、のらくらと時間をかけて「誠心誠意」対応すれば良いのだ。

2025年1月12日 日曜日

石破総理のマレーシア、インドネシア歴訪

 最初の外訪先としてASEANの当初メンバーであるマレーシアとインドネシアを選んだのは妥当だ。対日感情に問題は無いし、難しい二国間問題も無い諸国だ。

 この外訪を巡り、メディアでは、「同志連合」「(対中を念頭に置いた)防衛協力」「法の支配」といった言葉が躍っているが、能天気と言うほかない。

 今やASEAN諸国の最大の貿易相手国は中国であり、南シナ海を巡る領土問題があるものの、これらの諸国には中国と対立しようという考えは夢にも無い。プラグマティックな諸国は、「同志」「法の支配」という鼻白むようなお題目には、反対しないまでも、興味は無い。彼らにとっての国益は、中国と日本から最大の経済的なメリットを引き出すことだ。

 「防衛協力」については、日本人から見ても、噴飯物だ。日本は尖閣列島を囲む領海への中国船の侵入を有効に阻止できていない。日本のEEZに中国が設置したブイ一つについて(最近一つ増えたらしいが)さえ、毅然とした対応が出来ていない。万一どこかの敵国から武力行使を受けても、現場の指揮官には武器で反撃する権限も法律上与えられていない。

 こんな国と真剣に防衛協力する国があるものだろうか。

2025年1月11日 土曜日