投資の心得。必勝法?

 市場と付き合って30年以上になるが、株式投資では儲かることも損をすることもある。
 野村監督の名言に「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」という言葉がある。
 株に例えれば、理由がはっきりしないのに株価が上がって儲かる場合があるが、株価が下がる場合には確たる理由がある、ということであろう。

 個人的な経験で言おう。ある株を分析して、会社の内容に証拠を基に確信を持てる場合は(英語を言うとconviction)勝てる確率が高く、会社の説明を確証ないままに信用する(英語で言うとfaith)負ける確率が高い。会社の内容に関しては、会社の内部の人間と、外部の投資家の間には大いなる情報の非対称性があるから情報の見極めは至難の業だ。

 最近ある会社の株価の先行きを読み誤った。良い情報を信じ、リスクを軽視した。自分ではconvictionと思っていたのが、実はfaithだったわけだ。悪い情報に片目を閉じたlove だったのかもしれない。(全く別件になりますが、キリスト教の教義では、conviction faith, loveの概念の区別が重要だ。興味のあるかたはgoogleで検索すると沢山説明が出てきます)

 さて、情報の非対称性の下で、
・玉石混交の情報から正しいものを見つけ出すこと。
・その情報が会社の企業価値にどういう影響を与えるか判断すること。
・企業価値の上昇が株価にどういう影響を与えるか見通すこと。
 これらを正しく判断し株価の行方を予想するのはとても難しい。
 神ならぬ人間として、常に謙虚さ(humility)を忘れず投資活動に取り組むことが重要だ、という平凡な結論に帰着する。

(2022.1.17 Monday)