6月4日のBloombergの記事から引用する。
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機関投資コンサルタントの草分けリチャード・エニス氏は、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティー(PE、未公開株)などオルタナティブ資産の投資について、高いコストにもかかわらず得られるリターンは平凡であり、今後10~20年で割安なパッシブ投資に押されて衰退すると予測した。
同氏の研究ではオルタナティブ投資の比率が高いほどパフォーマンスは低下する傾向が統計的に示された。「彼らはカスタムベンチマークという黒魔術を完全にマスターしている。資産の正当な評価を高めるための努力は何もしていない」とエニス氏は述べた。
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PEファンドの経験者として述べると、ファンドが資産の評価を高めるための努力をしていないというのは全くの誤解だ。
投資先の企業価値を高めるために全身全霊を傾けて努力をしている。但し、波に乗った業界に属する企業は小さな努力で企業価値が上がるが、不調な業界に属する企業の価値を高めるのは容易でない。KKRという世界的にも一流(と言われる)のPEファンドが投資したマレリは民事再生を余儀なくされたのは一例だ。
過去2年米国の株式市場の指数SP500は連続して25%以上上昇した。PEファンドが目標としているのは20%以上の利回りを達成し、8%を上回った利回りに関してはその20%を成功報酬(キャリーと言う)として頂き、投資家もファンド運用者も成功を享受するというビジネスモデルだ。25%の株式市場全体の利回りと比べると見劣りがするのも事実だ。
加えて、ファンドの運営費用として2%の運用報酬を投資家から貰うのだが、現在のパッシブ投信の運用報酬が0.5%とかまで下がっていることを考えると、とても高い運用コストだ。
運用コストに見合うファンドの運用実績をコンスタントに上げて行けるか、PEファンドにとっては正念場であることは間違いがなさそうだ。日本のファンドには是非頑張ってもらいたい。
2025年6月7日 土曜日