米国債のMoody’sによる格付けがワンノッチ(一段階)引き下げられてAAAからAA+になったことがニュースになっている。世界の三大格付け機関(Moody’s, S&P, Fitch)でMoody’sだけが維持していたAAAがついに引き下げられ、米国債のAA+格が確定したからだ。
すでに上昇していた米国債の利回りを反映し、格付け機関がそれに対応した感が強い。ただ、格付けへの感応度が相応に高い欧米の国債市場での米国債の値動きが注目される。
日本のメディアでもこのニュースは大きく取り上げられたが、関連して日本の国債の格付けに言及するニュースは皆無だった。
現在世界の主要国の国債の格付けはどうなっているのか。
1位グループ
3つの格付け機関からAAAの格付けを得ている国。
ドイツ、ルクセンブルグ、オランダ、
オーストラリア、スイス、デンマーク、
スウェーデン、ノルウェー、シンガポール
2位グループ
AAAとAA+の国
カナダ、ニュージーランド
3位グループ
3つの機関からAA+を得ている国
アメリカ、オーストリア、フィンランド
4位グループ
AA格内でばらつきがある国
アイルランド、韓国、香港、英国、
ベルギー、チェコ、フランス
5位グループ
AAとA格が混在する国
サウジアラビア、スロベニア
6位グループ
A+格のみの国
日本、中国
7位グループ
A格内でばらつきがある国
マルタ、リトアニア、スロバキア、
ポルトガル、ラトビア、ポーランド
日本の格付けは世界的に見て随分低いのがわかる。日本の国際市場に海外投資家の参加が増え、格付けに対する感応度が高まると、英国のトラス政権が財源の裏付けの無い減税策を発表して瞬時に崩壊したような現象が起きないとも限らない。
私が日本の大手金融機関にいた1985年頃は、日本の大手金融機関は全行AAAの格付けを取得していた。バブルでイケイケの日本国は当然AAAだった。
現在は日本国よりも信用力が高そうな三菱UFJフィナンシャルグループやトヨタ自動車の社債の格付けもA+どまりだ。私企業の格付けは国家の格付けを上回れないという格付け機関のルールがあるためだ。
参院選挙を前に、消費減税の議論が喧しいが、毎年7%に及ぶ財政赤字の本格的な改善議論を避けることなく、進めてもらいたい。
30年以内に必ず来ると言う、東南海トラフ地震、首都直下地震が起きた時に日本を再生の財源はどこに見いだせるのだろうか。更に下がった格付けの日本国債や企業債を買う人はいないだろう。このままでは大地震と共に日本と言う国が消滅するのを恐れるのだ。
2025年5月18日 日曜日