石破総理のマレーシア、インドネシア歴訪

 最初の外訪先としてASEANの当初メンバーであるマレーシアとインドネシアを選んだのは妥当だ。対日感情に問題は無いし、難しい二国間問題も無い諸国だ。

 この外訪を巡り、メディアでは、「同志連合」「(対中を念頭に置いた)防衛協力」「法の支配」といった言葉が躍っているが、能天気と言うほかない。

 今やASEAN諸国の最大の貿易相手国は中国であり、南シナ海を巡る領土問題があるものの、これらの諸国には中国と対立しようという考えは夢にも無い。プラグマティックな諸国は、「同志」「法の支配」という鼻白むようなお題目には、反対しないまでも、興味は無い。彼らにとっての国益は、中国と日本から最大の経済的なメリットを引き出すことだ。

 「防衛協力」については、日本人から見ても、噴飯物だ。日本は尖閣列島を囲む領海への中国船の侵入を有効に阻止できていない。日本のEEZに中国が設置したブイ一つについて(最近一つ増えたらしいが)さえ、毅然とした対応が出来ていない。万一どこかの敵国から武力行使を受けても、現場の指揮官には武器で反撃する権限も法律上与えられていない。

 こんな国と真剣に防衛協力する国があるものだろうか。

2025年1月11日 土曜日