米国の政治家が、何かから撤退する際に良く使う言葉だ。
例えば、司法長官候補を辞したマット・ゲーツの発言は以下だ。
“While the momentum was strong,” Gaetz wrote on X, “it is clear that my confirmation was unfairly becoming a distraction to the critical work of the Trump/Vance Transition.”
邦訳 「勢いは強かったが、私の承認がトランプ/ヴァンス政権移行の重要な取り組みの妨げになっているのは明らかだ」とゲーツ氏はXに書いた。
上記では「妨げ」と訳されているが、「勢いを削ぐ・妨害するもの」と訳せば適訳だろう。トラクションという言葉は自動車用語でタイヤの道路のグリップ力を差す言葉として使うので、ディス+トラクションと理解することも可能だ。
この言葉を使う人は、自分は誤ったことをしていないが、世間の誤った非難が、自分が所属する組織の勢いを削ぐことを懸念して身を引く、というロジックを展開している。
「この問題で所属政党にこれ以上迷惑をかけたくないので職を辞す」という言い訳は日本でも極めて一般的だ。アメリカではそれに相当するのがdistractionという言葉だ。
2024年11月23日 土曜日