2023年10月2日 月曜日

今日の言葉
「米国の債務上限」
債務上限とは、米連邦政府が国債発行などで借金できる債務残高の枠のこと。債務が法定上限に達すると、政府は議会の承認を得て、上限を引き上げる必要があるが、引き上げられないと、国債の新規発行ができなくなり、債務不履行(デフォルト)に陥る。
米国では金融危機後に債務が膨れ上がり、財政健全化を求める議会の声も多いことから、ここ数年、債務上限の引き上げは政治問題となっている。
過去、債務上限が市場の材料となったのは、2011年、2013年、2015年。2011年は8月2日に債務上限引き上げに関する法案が、ぎりぎりのところで成立したが、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は8月5日に米国債の格下げを発表し、市場に動揺が広がった。また2013年は、10月16日に暫定予算および債務上限に関する法案が成立し、瀬戸際でデフォルトが回避された。
なお2013年は、暫定予算の成立が遅れたため、政府機関の一部が10月1日から閉鎖するという事態が発生した。また債務上限については、「引き上げ」ではなく、2014年2月7日まで「適用停止」となった。2014年2月以降は、債務上限の「暫定延長」などで資金繰りが行われた。また2015年も、10月30日に債務上限の適用を2017年3月15日まで停止する法案が可決、11月2日に制定され、デフォルトは回避された。
債務上限については、いわゆる「引き上げ」(2011年8月)以外にも、「適用停止」(2013年10月、2015年11月)や「暫定延長」、さらには財務
省による「特例措置」という手法がある。「適用停止」や「暫定延長」では、一定期間、通常の国債発行を認め、期間終了時点の債務残高が新たな債務上限として設定される。(以上SMAMのニュースレターより)
下記の記事のようにとりあえず1月半危機が回避されたが、与野党伯仲の下、根本的な解決は難しそうだ。米国の混乱は民主主義が機能している証拠でもある。日本の野放図な財政拡大とは対照的だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.米国が政府機関閉鎖を回避するも、ウクライナ支援は不透明
【記事要旨】
米国議会は土曜日、政府を一時的に開いておくための応急支出法案を可決し、かろうじて政府閉鎖を回避した。 しかし、この法案にはウクライナへの追加支援は含まれていなかった。 ホワイトハウスと上院両党指導者は、ウクライナへの資金提供をさらに盛り込むよう求めたが、それが果たされなかったことは、一部の共和党議員のウクライナ戦争への資金提供意欲の低下を浮き彫りにした。
両党の議員は、さらなる財政的約束が合意されると確信していると述べた。 ウクライナ政府は昨日、米国がロシアとの戦争において同国を引き続き支援すると確信していると述べた。
ウクライナへの追加支援がないにもかかわらず、この法案は現在のレベルでの資金提供を45日間継続するものであり、米国の軍事援助に直ちに影響を与えるものではない. 軍隊の訓練などの目的でウクライナに送金するプログラムを維持している。
ケビン・マッカーシー下院議長は昨日、ウクライナへの軍事援助の流れを維持するための協定を結ぶ用意があるが、そのような協定は議会が米国の国境警備に大幅な変更を加えるかどうかにかかっていると示唆した。
【コメント】
ひとまず政府機関の閉鎖は回避された。共和党内での亀裂が深まりマッカーシー議長が孤立しているようだが、その辺の感覚がよく理解できない。

2.セルビア、コソボ近郊への兵力増強の主張を拒否
【記事要旨】
セルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領は、インスタグラムに投稿した動画で、コソボ国境沿いでの兵力増強に関与しているとする米国の主張を「嘘のキャンペーン」と呼び、否定した。 現場にいたニューヨーク・タイムズの記者によると、昨日少なくとも十数台の装甲戦闘車両が国境地帯から帰還するのが目撃されたという。
米当局者らは金曜日、国境沿いでの「前例のない」セルビア軍の進軍を監視していると述べ、セルビアとかつて独立を認めていない旧領土コソボとの間の数十年来の紛争が再燃しようとしているのではないかとの懸念が高まっている。
先月、セルビア人武装集団がコソボ北部の村を襲撃し、4人が死亡する暴力的な衝突が発生し、近年の両民族コミュニティ間の最も深刻な対立とみなされている。
【コメント】
コソボ紛争とは:
ヨーロッパ南東部、バルカン半島に位置するコソボにおける紛争。コソボは、長らくセルビア共和国内のコソボ自治州となっており、コソボの独立を目ざすアルバニア系住民と、それを認めないセルビア当局の争いが続いてきた。とくに1980~90年代のコソボを巡る紛争は、旧ユーゴスラビア連邦解体のきっかけとなった。
コソボでは1968年と81年に自治権拡大を求めるアルバニア人の暴動が起こった。1989年にはセルビア当局による警察支配がしかれる一方、アルバニア人側は独立宣言で対抗したが、ボスニア・ヘルツェゴビナで戦闘が続く間は膠着(こうちゃく)状態であった。しかし、1998年初めに武力衝突が激化し、2000人以上が死亡、30~40万人の避難民が発生し、国際問題となった。1999年3月には北大西洋条約機構(NATO(ナトー))がユーゴ空爆など軍事介入に踏み切った。
空爆終了後、国連安保理決議が採択され、以降、コソボは国連の暫定統治機構による暫定統治下におかれた。

3.中国の「大きすぎて潰せない銀行」が試されている
【記事要旨】
巨額の債務、アパートの供給過剰、消費者の購入に対する警戒感の高まりといった中国の不動産問題の規模は、政府が今後数年間で銀行救済に巨額の資金を投じることを余儀なくされる可能性があることを意味している。
それは、世界最大の中国の巨大銀行システムが不動産危機に大きくさらされているからだ。国内の全銀行融資のほぼ40%が不動産関連だ。 世界で最も負債を抱える不動産開発会社、中国恒大を含む数十の企業が海外債券のデフォルトや支払いを怠ったことで圧力が高まっている。
中国政府によるシステムの広範な管理は、米国が2008年に直面したような急速に進行する危機を、同国がおそらく防ぐことができることを意味する。
【コメント】
NYタイムズのコメントは楽観的だ。これだけ膨張した不動産融資の解消は容易でない。日本のバブルはGDPの半分ほどに膨らんで弾けた。その後失われた30年になったのは記憶に新しい。

その他:
・モルジブで中印が勢力争い
The president of the Maldives was defeated in a runoff, in a race that was partly a referendum on the competition between India and China for influence.
(選挙結果は親中派が勝利。モルジブはイスラム教国であり、もともとインドと親密になるのは困難だったのではないか。)
・ドイツで電動バイクがブームに
Sales of e-bikes in Germany have jumped, as drivers, suppliers and even automakers embrace their role in the future of transportation.
・月に居住計画
NASA is going to build houses on the moon — ones that can be used not just by astronauts but by ordinary civilians as well. NASA scientists believe that by 2040 the U.S. will have its first subdivision in space.
The plan is to blast a 3-D printer up there and build structures, layer by layer, using rock chips, mineral fragments and dust found on the moon’s surface. Some in the scientific community say NASA’s timeline is overly ambitious, but several NASA scientists said the 2040 goal would be attainable if the agency could continue to hit its benchmarks.
(月面で3Dプリンターで建築とは凄いな)

2023年10月2日 月曜日