ウィリアム・アーヴィン「ストイック・チャレンジ」を読んで

原題は”The Stoic Challenge” by William B. Irvine
帯の「シリコンバレーが熱狂する究極のメンタルフィットネス・プログラム」という宣伝文句に惹かれて数か月前に購入。昨日読み始め、すぐ読了した。

 内容なあまりないよう、とダジャレを言っても始まらないが、帯に書かれている「すべては古代ストア派の哲学者に学べ」という言葉に尽きている。

 アーヴィン教授の主張を理解する最も簡単な方法は彼の主張をYoutubeで見ることだ。The Stoic ChallengeとYoutubeに入力するといくつか動画が出てくる。https://www.youtube.com/watch?v=4trH-Xbiy-I はお薦めだ。

 彼の話を一言でまとめると、「逆境に会ったら、マイナスの感情を持たず、それはストアの神からの贈り物・喜び」だと考えることだ。

 動画を見て分かったのだが、アーヴィンは禅仏教の信者で、なかなか練れた人だ。ただ、彼の考えに「シリコンバレーの我利我利亡者が同感する」とは私には思わない。

 本屋にこの本があったら、表紙と帯、前書きと後書きを読めば十分だ。   他人は変えられないし、自力では変えられない事態は常にある。それを自分へのチャレンジだととらえれば平穏が得られ、乗り越えられない困難はない。これはマルクス・アウレリウスの自省と同じであり、確かにストイックな生き方だ。

(2022.2.11 Friday)