2025年の株式市場概観 備忘録

【米国株式市場】
 2025年の米国株式市場は、年央にかけてのボラティリティや関税ショックを挟みつつも、年末ベースでは主要指数がそろって二桁の上昇となり、AI関連と大型テック主導の強気相場が3年連続で続いた年だった。

主要指数の年間騰落率
 2024年末から2025年末までの代表的な3指数の変化は以下のとおり。全体として強い年だったが、NASDAQ優位・S&P中位・ダウ相対劣後という「グロース優位」が続いた構図になった。

2024末 vs 2025末
指数 2024年末水準 2025年末水準 年間騰落率(概算)
S&P 500 2024年末時点から2025年末までで約+16% ​
NASDAQ総合 2024年末から2025年末 23,241.99(終値)
​ 約+20%(19,310→23,242)
​ダウ平均 2025年末時点で年間+13%の上昇
​ ​
 年間パフォーマンスとして、S&P 500は3年連続の二桁上昇(2023年+24%、2024年+23%、2025年+16%)となり、3年間累計で約80%近い上昇を記録した。
​ NASDAQ総合は生成AIブームと大型ハイテク株の伸長を背景に、S&Pを上回る約20%の上昇で年を終えた。
​ ダウ平均はディフェンシブ・バリュー色が強い構成ゆえに、ハイテク比率の高いNASDAQやS&Pに比べてやや見劣りするものの、それでも二桁上昇を確保した。

政治・関税と市場
 2025年はトランプ大統領の再就任と通商政策の再強化がテーマとなり、関税発表時には一時的なリスクオフが起きたが、通年では米株の上昇トレンドを崩すほどの逆風にはならなかった。
​ 年央の大規模関税発表時には、S&P500が一時的にベアマーケット入りに近づくほど下落する局面があり、市場は「景気減速・インフレ再燃・サプライチェーン混乱」を懸念した。
​ しかし、その後は堅調な企業決算や利下げ期待が下支えとなり、指数は持ち直して年末にはいずれも二桁の上昇率を達成したため、「関税ショックは押し目」にとどまった形となった。

生成AIとマグニフィセント7
 2025年も生成AI関連投資は市場の中心テーマで、マグニフィセント7を含む大型テック銘柄に時価総額とリターンが集中する構造が継続した。
​ S&P 500やNASDAQではAI半導体、クラウド、プラットフォーマーなどが指数寄与度の大半を占め、指数全体のリターンを「少数銘柄が牽引する市場」という構図が維持された。
​ 一方で2025年後半には、AI関連のバリュエーション過熱に対する警戒感も高まり、過去の指標と比較して米株市場全体が歴史的な割高水準にあるとの指摘も増えたが、それでもテック中心の強気相場は年末まで維持された。

戦争・地政学リスクと市場
 ウクライナやガザでの戦闘の長期化と一時的な激化は、原油価格や防衛関連株に影響したものの、米主要株価指数のトレンドを反転させるまでには至らず、「ニュースフローでのボラティリティ要因」として機能した。
​ 年間を通じて停戦協議や和平への模索も断続的に報じられたが、決定的なブレークスルーには至らない状態が続き、市場は「慢性的リスク」として織り込む形となった。
​ エネルギー供給への不安や防衛予算拡大期待は、エネルギー・防衛関連セクターの相対パフォーマンスに寄与したが、指数全体ではAI・テック主導のインパクトの方が大きく、地政学要因は二次的なドライバーにとどまった。

中国の台頭とグローバル分散
 中国経済・市場の動きや中国テックの台頭は引き続き意識されたものの、2025年のリターンという観点では、むしろ米国以外の株の方が高いパフォーマンスを上げたとの分析もあり、米投資家の間で「米国一極集中」からの分散が議論された年でもあった。
​ MSCI ACWI除く米国指数は、2025年にS&P500の約16%を大きく上回る33.1%という高いリターンを記録したとされ、米国株の割高感と比較して「非米国市場の相対的な割安・高リターン」に注目が集まった。
​ 一方で、米国市場の時価総額規模と流動性、生成AIをはじめとする技術革新の中心地としての地位は揺らいでおらず、マグニフィセント7を中心とした米大型グローバル企業が世界の株式市場を主導する構造は引き続き維持された。

このように、2025年の米国株式市場は、トランプ政権の政策変更や関税、地政学リスクによるショックはありつつも、生成AIと大型テックを中心に大きく上昇した一年であり、主要3指数はいずれも二桁の年間上昇率を達成した。S&P 500やNASDAQのリターンの大部分を少数の巨大テック企業が牽引したという点で、「集中リスクの高い強気相場」という性格がより鮮明になったと言える。

【日本株式市場】
 2025年の日本株市場は、政治主導のイベントと財政・金利・為替要因が絡み合いながらも、結果としては日経平均・TOPIXともに2~3割高と大幅な上昇で年を終えた年だった。

年間騰落率(日経平均・TOPIX)
 2024年末から2025年末にかけて、日経平均とTOPIXはいずれも過去最高圏での大幅高となった。

指数  2025年終値(年末近辺) 年間騰落率のイメージ
日経平均株価​ 約50,300ポイント​ 約+26%前後の上昇
​TOPIX 3,409ポイント​ 約+22%の上昇

 日経平均は半導体・インフラ・建設関連などの値がさ株が牽引し、3年連続の上昇、かつ2025年も2ケタ台後半の強いリターンとなった。
​ TOPIXも市場全体として底堅く、バリュー株や内需株も含めた広範な上昇で、年末終値としては過去最高圏に到達した。

政局:石破政権低迷から高市政権へ
 2025年の日本株は、石破政権の支持率低迷と参院選での与党敗北、高市政権の登場という政局転換が大きなモメンタム要因になった。
​ 石破政権末期には、内閣支持率の低迷や政策の不透明感が意識され、参院選に向けて一時的に日本株のリスクプレミアムが拡大する局面もあり、政治ヘッドラインで短期的な調整が入りやすい環境となった。
 参議院選挙での自民党敗北後、新たに高市政権が発足すると、「積極財政・成長志向・防衛強化」を掲げる政策スタンスが評価され、いわゆる「高市トレード(株高・円安・長期金利上昇)」への期待から株式市場は上昇基調を強めた。

積極財政・防衛支出と金利・為替
 高市政権はインフラ投資や防衛費増額などを含む積極財政を打ち出し、米国からの防衛支出増額要請とも相まって、日本株が意識される構図になった。
 拡張的な財政運営や防衛費増額路線は、内需関連や建設、防衛関連株には追い風となり、日経平均・TOPIXともに政権交代後に再度高値追いの展開を見せた。
​ 一方で、市場は中長期の財政赤字拡大を懸念し、国債金利(特に長期・超長期金利)は上昇圧力がかかりやすくなり、「財政懸念=円安・金利上昇」の組み合わせが意識された。

円安継続と日本株
 拡張財政と日米金利差、そして政治的な不透明感も加わり、為替市場では2025年を通じて円安基調が続き、輸出企業の採算改善期待・海外利益の円換算押し上げを通じて株価を支えた。
​ とりわけ、グローバルに事業展開する製造業や自動車、半導体関連は円安と世界株高の相乗効果を受け、指数寄与度の高い銘柄を中心に日経平均のパフォーマンスを押し上げた。

中国との関係悪化と地政学リスク
 台湾をめぐる高市首相の発言などを背景に、中国との関係悪化懸念が高まった場面では、日本株は一時的にリスクオフの売りにさらされる局面もあったが、通年ではAI・半導体・インフラ・防衛といったテーマが上昇を主導した。
​ 対中関係悪化懸念は、中国向け依存度の高い企業や旅行・インバウンド関連などにとってはマイナス材料として意識された一方、サプライチェーンの「脱中国」や防衛・安全保障関連への投資拡大という文脈では、特定セクターにはプラス材料ともなった。
 ウクライナや台湾をめぐる緊張感は、世界的な防衛関連株物色や、日本における防衛産業の評価見直しにつながり、政治リスクがむしろ一部銘柄のリレーティング要因となった面もある。

【2026年の米国株式市場の動き】
 2026年の米国株式市場は、「AI関連投資の第2幕」と「金融・シクリカル・ヘルスケアなどへの物色拡大」が並行して進む年になるとの見方が多く、全体としては緩やかな株高継続がベースシナリオとされている。

2026年の全体テーマ
 大手証券会社は、依然として株式を他資産より優位と見つつも、AI相場の一極集中から「セクター分散・バリュエーション意識」へと投資家の関心が移ると指摘している。
​ FRBの利下げ局面入りとインフレ鈍化、AIによる生産性押し上げを前提に、2026年もプラスの株式リターンを想定しつつ、バリュエーションの高さや景気減速リスクを主要な不安要因として挙げている。

注目セクター
 複数の調査機関・運用会社の見立てを総合すると、2026年は以下のセクターに注目が集まっている。

テクノロジー/コミュニケーション・サービス
 AI・半導体・クラウド・データセンターなどのEPS成長率が引き続き高く、AIインフラ関連企業の利益成長は2026年も市場平均を上回るとの予測が多い。
​ ゴールドマン・サックスなどは、AI企業の設備投資が2026年に5,000億ドル超規模に達する可能性を指摘しており、半導体・ハイパースケーラー・データセンター運営・電力会社に恩恵が及ぶとみている。

金融(特に銀行・資本市場)
 2025年にバリュエーションが圧縮された一方でEPSは増加しており、利ザヤ正常化やAI活用による効率化、規制緩和、イールドカーブのスティープ化などを背景に「出遅れセクターのリバウンド候補」として挙げられている。
​ 金融は「AIの採用側(adopter)」としても位置づけられ、リスク管理・運用・リテール業務へのAI組み込みが収益ドライバーになるとの見方もある。

ヘルスケア
 2020年以降、S&P500に大きく劣後してきたが、政策リスク(薬価規制など)の不透明感がやや後退し、AI活用による研究開発効率化や医療DXを背景に「逆張りの成長セクター」として注目されている。
​ ディフェンシブ性と成長性の両面を持つため、ボラティリティが高い局面のポートフォリオ安定要因としても位置づけられている。

消費裁量・インダストリアル/防衛・インフラ
 利下げと実質所得改善により、2025年に冴えなかった消費関連のリバウンド、旅行・レジャー・Eコマース・自動車などの回復が期待されている。
​ 防衛・産業・インフラ関連は、地政学リスクの高まりと、AIデータセンター向け電力需要・老朽インフラ更新・脱炭素投資などを背景に、長期的な設備投資サイクルの恩恵を受けるとされている。

テーマ別の注目銘柄イメージ
 個別銘柄名はレポートごとに異なるが、2026年の米国株の「注目タイプ」として、アナリストが共通して挙げているカテゴリーは次のようなものになる。

AIインフラ中核
 高性能GPU・半導体(例:AI向けチップメーカー)、ハイパースケールクラウド事業者、データセンターREIT・運営会社、電力・ガスユーティリティなど、AI設備投資の「土台」を提供する企業群。

ソフトウェア・プラットフォーム/マグニフィセント7周辺
 生成AIを自社製品に組み込んでマネタイズを進める大型テックやSaaS企業、広告・SNS・動画配信などのインタラクティブメディア企業。バリュエーションは高いが、依然としてEPS成長率の高さが評価されている。

大手銀行・資本市場関連
 金利正常化とAI活用による効率化、M&A・株式発行など資本市場ビジネスの回復を背景に、利益回復とバリュエーション修正が期待されるメガバンク・ブローカー・資産運用会社。

防衛・インフラ・ユーティリティ
 国防予算拡大や地政学緊張、AI・データセンターに伴う電力需要増大を背景に、軍需企業、送配電・パイプライン・空港・有料道路などのインフラ企業、電力・ガス会社が「安定成長+インカム源」として挙げられている。

投資家が意識すべきリスク
 AI関連・大型テックのバリュエーションは依然として高く、AI関連CAPEXのピークアウトタイミング次第では、2026年に調整局面が生じるリスクも指摘されている。
 景気減速や選挙・財政問題など政策要因によるボラティリティも懸念されており、セクター分散とキャッシュフローの確かな企業への選別投資が重要とされている。
​ 以上を踏まえると、2026年の米国市場では、AIインフラと大型テックを軸にしつつ、金融・ヘルスケア・消費裁量・防衛/インフラといったセクターに分散し、成長性とバリュエーションのバランスを取る戦略が有力と考えられる。

【2026年の日本株市場の動き】
 2026年の日本株市場は、2023~2025年の上昇を受けつつも、「高市政権の投資主導型政策」「AI・半導体の第2フェーズ」「インフラ・防衛・ガバナンス改革」といったテーマを軸に、引き続き上値を試す展開がメインシナリオとみられている。

全体の注目ポイント
 大手運用会社や証券は、TOPIXと日経平均ともに2026年も上昇余地ありと見ており、目安としてTOPIX 3,700台前後、日経平均5万中盤水準をターゲットとする見方も出ている。
​ 2025年までのAI・半導体主導の「一部銘柄集中」から、賃金上昇・内需回復・ガバナンス改革を背景とした「より広い銘柄・セクターへの物色拡大(全員野球相場)」を想定する声が多い。

​政策・マクロ面の焦点
 高市政権の「危機管理投資+成長投資」を掲げた積極財政(防衛・AI・インフラ等)は、建設、インフラ関連、エネルギー、造船などへの大型需要を通じて企業収益押し上げ要因になると期待されている。
​ 一方で、長期的な財政負担や国債金利上昇、円安の加速リスクは引き続き懸念材料であり、2026年も「株高・円安・金利じり高」の組み合わせが続くかどうかが重要なチェックポイントとされる。

注目セクター
 複数のアウトルックを総合すると、2026年の日本株で特に注目されるセクターは次の通り。

AI・半導体・電子部品
 2025年に相場を牽引したが、依然として政府の成長戦略の中心(AI・半導体・量子など17分野)に位置付けられており、データセンター向け、車載向け、高付加価値材料などを含めて、2026年も設備投資サイクルが続くと見込まれている。
 ただし、AI投資過熱感からの調整リスクも指摘されており、「EPS成長が裏付けられる銘柄の選別」が重要とのスタンスが一般的になっている。

防衛・造船・インフラ・建設
 防衛費の対GDP2%達成に加え、さらに高い水準が国際的な議論となる中、防衛関連(航空・宇宙・ミサイル・サイバー)や造船、港湾・交通インフラ、エネルギーインフラ企業は政策の直接恩恵セクターとして挙げられている。
​ 高市政権の大型インフラ投資・国内設備投資支援は、ゼネコン、建設機械、インフラ運営企業に長期の受注・キャッシュフロー拡大をもたらすとの期待が強い。

エネルギー・電力・再エネ関連
 AI・データセンターによる電力需要増加、エネルギー安全保障、脱炭素投資を背景に、電力・ガス、再エネ・送配電・蓄電関連が「政策×構造テーマ」として注目されている。
​ エネルギーインフラ強化や原発再稼働、再エネ拡大方針が、長期的な投資ストーリーとして材料視されている。

内需・金融・ガバナンス改善銘柄
 賃金上昇と雇用環境の改善により、2026年は個人消費が底堅く推移するとの見通しが多く、外食、小売、サービス、不動産などの内需セクターへの評価が高まっている。
​ コーポレートガバナンス改革・東証の資本効率改善要請・アクティビストの活動活発化を背景に、「PBR1倍割れのバリュー株」「持ち合い解消・自己株買い・M&A余地のある企業」なども引き続き投資テーマになりやすい。

注目銘柄タイプのイメージ
 具体名はレポートによって異なるためここではタイプにとどめるが、2026年の日本株で「注目株」として挙げられやすいのは次のようなカテゴリーになる。
​ 高市政権の重点分野(防衛・AI・半導体・量子・エネルギー・インフラ)に直接関わる大手・中堅メーカーやエンジニアリング企業
 データセンター向け半導体材料・特殊化学品・電子部品を供給するサプライチェーン企業
 PBR1倍割れだが、ガバナンス改革・アクティビスト対応・自己株買い・事業ポートフォリオ再編などでROE改善余地が大きい老舗企業
 造船・海運・物流など、「安全保障+グローバルサプライチェーン再構築」の文脈で中長期需要が見込まれる企業

投資時の留意点
 リスク要因としては、AI関連投資の失速、円急落と国債金利急騰、関税や地政学ショック、高市政権の支持率低下による政策運営の不安定化などが挙げられており、テーマに乗りつつもセクター分散・バリュエーション管理が重要とされる。

2026年の日本株は、「高市政権の投資主導×賃金・内需改善×ガバナンス改革」という構図のもと、AI・防衛・インフラといったハイライトテーマに加え、内需・バリュー・ガバナンス改善銘柄まで裾野が広がる『広義の強気相場』を想定する見方がコンセンサスになりつつある。

【PE市場、プライベートクレジット市場の動き】
 2025年のプライベートエクイティ(PE)とプライベートクレジット市場は、「活動の回復とボリューム拡大」と「信用・バリュエーション・流動性リスクの高まり」が同居する一年だった。

2025年のPE市場の動き
 金利低下と融資環境の正常化で、レバレッジドローン市場が再稼働し、PEバイアウトの新規デールボリュームは2024年比で増加したが、依然としてコロナ前のピーク水準には届かない「回復途上」という評価が多い。
​ エグジット面では、IPOやトレードセールが徐々に戻り、2024年から大きく伸びたものの、ファンドに残るポートフォリオ企業の「在庫」はまだ厚く、完全な正常化には時間がかかるとの指摘がなされている。
​ セカンダリー市場は、LPの流動性ニーズを背景に過去最大規模の取引となり、2024年から引き続き2025年も1000億ドル超のボリュームとされ、「セカンダリーがPEエコシステムの中核的な流動性手段になった」と評価されている。
​ ディール構造では、レバレッジの高い大型LBOよりも、アドオン(追加買収)やミッドマーケットディールが中心で、2025年上期のバイアウト件数のうち約7~8割をアドオンが占めるなど、「既存プラットフォームの拡張でスケールを作る」傾向が鮮明になっている。

2025年のプライベートクレジット市場の動き
 プライベートクレジットは2025年も強い成長を続け、年央時点でのファンドレイズは既に1,240億ドルに達し、2024年通年の約2,150億ドルを上回るペースとされるなど、オルタナティブとしての人気が一段と高まった。
 銀行規制強化とシンジケートローン市場の制約を背景に、レバレッジドLBOやミドルマーケット向けのシニアローン、ユニトランシェ、メザニンなどで、プライベートクレジットが銀行融資の代替・補完としての役割を拡大している。
​ 一方で、長引く高金利の影響から、借り手のインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が低下し、PIK(ペイメント・イン・カインド)条項の利用増加など、「利払いを現金で賄えない企業が増えている」兆候が出ており、債務条件のリストラクチャリング(liability management)も増加していると報告されている。
​ それでも2025年時点でのデフォルト率自体はまだ低水準にあるとされ、足元では「表面上は堅調だが、内部には脆弱性が蓄積している」局面といえる。

共通のリスク要因
 PE・プライベートクレジットの双方に共通して指摘されている主なリスクは次の通り。

高金利・マクロ減速による借り手の脆弱性
 高止まりする金利」によって、既存レバレッジドディールのインタレスト・カバレッジが悪化し、特に中小・ミドルマーケットの借り手で、1倍以下のICRに落ち込む割合が2割程度に達しているとの分析もあり、リファイナンスリスク・デフォルトリスクの顕在化が懸念されている。

バリュエーションの高さとリターン低下リスク
 金利低下期待と資金流入で、再びエントリーマルチプルが切り上がっており、2023年に一度調整した後、2025年にはマルチプルが上昇に転じたと指摘されている。これは将来のリターン低下や、出口環境悪化時の評価損リスクにつながる。

流動性・レデンプションリスク(特にプライベートクレジット)
 プライベートクレジットはファンドレベルでのレバレッジが高く、かつ償還頻度が低いクローズドエンド/エバーグリーン型が多いため、景気後退局面で投資家からの資金返還要求と保有資産の流動性不足が同時に起きれば、ファンドが「ファイヤーセール」を強いられる危険があると警告されている。

規制・監督強化リスク
 プライベートクレジット急拡大を受けて、SECや各国当局は開示・利益相反・MNPI管理などに関する監督を強化しており、2025年は私募市場全体に対する規制強化の議論が進んでおり、運用戦略・コスト構造・プロダクト設計への影響が懸念される。

システミックリスク・集中リスク
 プライベートクレジットの運用残高は2020年の約1兆ドルから2024年に1.5兆ドル、2029年には2.6兆ドルに達するとの推計もあり、その規模拡大に比して規制や透明性が追いついていないことから、金融当局や市場参加者の間で「次のシステミックリスク候補」として警戒されている。

エグジット渋滞とセカンダリー依存
 IPO・M&A市場の回復は進んでいるものの、コロナ以降に積み上がった「出口待ち」案件はなお多く、ファンド期間延長やGP主導セカンダリーなどに頼らざるを得ないケースが増加している。これはLP側にとっては分配の遅れ・Jカーブの長期化となり、アロケーション調整やセカンダリーファンドへの売却を通じて市場構造を変えつつある。

総じて2025年のPE・プライベートクレジット市場は、ディールフロー・ファンドレイズ・セカンダリーともに量的には回復・拡大が進む一方、金利・クレジット・流動性・規制・バリュエーションといった複数の質的なリスクが積み上がっている「成長と脆弱性が同居する局面」と整理できる。こうした環境下では、レバレッジ水準、コベナンツ、借り手のキャッシュフロー耐性、スポンサーのエグジット能力などをより精緻に見極めることが重要だと指摘されている。

2026年1月3日 土曜日
散歩の帰りに駅の改札口近くにあるドトールに寄りました。結構お客さんが多くて驚きました。