世界の動き 2025年11月14日 金曜日

今日の一言
「サンユー建設」
自宅の付近に2つの上場企業の本社がある。一つはアルプス電気、もう一つはサンユー建設だ。
昨日MBOが市場に広まり株価が急騰した。詳細は以下だ。
サンユー建設(証券コード1841)のMBO(マネジメント・バイアウト)が2025年11月12日に正式に発表された。カバロ企画(東京都大田区、同社副社長馬場雄一郎氏が代表)が主体となって、非公開化(上場廃止)を目的にTOB(株式公開買付け)を実施する.
・公開買付け(TOB)の概要
買付価格は1株あたり1,600円で、直近終値(1,250円)に対し約28~40%のプレミアムだ。
買付期間は2025年11月13日から12月25日までの30営業日.
買付予定株数は2,059,981株、下限は所有割合29.36%(957,500株).
公開買付代理人は三菱UFJモルガン・スタンレー証券、復代理人は三菱UFJ eスマート証券.
・経営陣と創業家の構図
カバロ企画はサンユー建設の創業家一族の資産管理会社
TOBが成立した後、サンユー建設株は上場廃止となる予定で、創業家や資産管理会社などはTOBに応募しない.
TOB成立後は株式交換が行われ、カバロ企画がサンユー建設の全株式を取得、創業家がカバロ企画株を持つ構図になる.
・MBOの目的・背景
上場維持コストの削減.
短期業績や株式市場の評価に左右されない迅速かつ柔軟な経営判断、機動的な経営資源配分の実現.
中長期的視点で企業価値の向上、新規事業開拓や組織改革の推進を目指す.
・その他
サンユー建設は本MBOに賛同しており、株主にTOB応募を推奨している.
MBO発表後、東京証券取引所から監理銘柄(確認中)に指定されている.
建築、不動産、金属製品、ホテルなど多角的な事業展開を行っている企業.
最新情報をもとにすると、サンユー建設の今後は非公開化・上場廃止決定後、創業家主導の経営体制が再構築される見通しだ.
【コメント】
年商100億円程度で自己資本比率が80%近い上場企業で、上場している意味は少ない。知名度の向上と人材の確保といったメリットよりも、上場に伴うディスクロージャやコンプライアンスコストのデメリットが大きくなっていたのだろう。自宅近くの上場企業の半分がなくなるのは少し寂しい。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.文化的貧困と孤独な男たち
【記事要旨】
ブッカー賞を受賞したデイヴィッド・サレイの小説『フレッシュ』 “Flesh” by David Szalay は、文化的・道徳的に疎外された現代の男性像を描いた冷たく厳粛な作品である。主人公はハンガリー出身の孤独な青年で、ロンドンで運転手として働きながら上流階級に入り込むが、友情も尊敬もない世界で空虚さを抱えて生きる。
●主なテーマと論点
– 文化的貧困と孤独:主人公は物質的には成功するが、精神的・文化的な空白を抱えている。
– 男らしさの危機:現代社会における若い男性の疎外感や道徳的支柱の欠如が描かれる。
– 非道徳的な世界観:登場人物に尊敬すべき存在はなく、教育や育ちが人間性を高めるという希望もない。
– 移民と根なし感:主人公の孤独は移民であることに加え、文化的な繋がりの欠如から来る。
– 世代間の視点:安定した家庭環境の有無が若者の精神形成に大きく影響すると語られる。
●文学界への視点
– 若い女性作家の台頭は歓迎されるが、男性の疎外感を描く作家の声も重要である。
– 『フレッシュ』は読むのに覚悟が必要な作品だが、深い洞察を与える。
– 読後におすすめの、より気軽に読める作品としてイアン・マキューアン Ian McEwanの『What We Can Know』が挙げられている。
【コメント】
一風変わった書評のような記事だ。『Flesh』というタイトルは、主人公の人生を通じて描かれる「身体を通じた存在の実感」や「言葉にならない感情の表現」を象徴するものであり、現代文学における沈黙と感覚の力を強く示しているようだ。

2.パキスタンは巨額支出でトランプ大統領に取り入る
【記事要旨】
パキスタンは、トランプ政権とのこれまで険悪だった関係を好転させた。これはイスラマバードの巧みな外交戦略によるものとされている。
パキスタンは今春、ワシントンの著名なロビー活動会社と一連の高額契約を締結した。ホワイトハウスがパキスタンに有利な新政策を発表したわずか数週間前のことだ。この政策により、パキスタンは世界有数の関税率を実現し、最大のライバルであるインドに対して優位に立つことができた。
トランプ大統領に影響を与えるための、この作戦には首相側近数名が起用されたという。
【コメント】
パキスタンの現在の首相はシャリフ氏だ。2024年3月、パキスタン議会は「イスラム教徒連盟シャリフ派(PML-N)」のシャバズ・シャリフ前首相を首相に再選した。シャリフ氏は下院での投票で201票を獲得。過半数の169票を超え、首相に選ばれた。一方、若者から強い支持がある服役中のイムラン・カーン元首相が率いる「パキスタン正義運動(PTI)」が推していた対立候補のオマル・アユーブ氏は92票を獲得した。
カーン氏の逮捕をめぐって混乱していたパキスタンの政治は現状は小康状態のようだ。

其の他の記事
・トランプ大統領は政府再開のための歳出法案に署名し、米国史上最長の閉鎖に終止符を打った。
・フランスは、130人が死亡、500人以上が負傷した2015年のパリ同時多発テロ事件の10周年を記念した。
・ロシアが戦略都市ポクロフスクの制圧目前となる中、ウクライナ軍の司令官らは、ウクライナが都市を必要以上に長く掌握している可能性があると指摘している。
・イスラエル人入植者は、占領地ヨルダン川西岸で過激派による暴力が激化する中、モスクを焼き払った。
・イラクのモハメド・アル=スーダニ首相は、同国の総選挙でリードしているように見えたが、得票率は政権樹立に必要な票数には届かない可能性がある。
・シリアの元治安当局者は、長年にわたりヨーロッパで人目につく場所で生活していた後、拷問の罪で起訴された。

2025年11月14日 金曜日