「総合的に俯瞰的に」検討することが流行りのようだ。
McKinseyやHBSのニュースレターがコロナ禍を経たビジネスの変化をいろいろと論じている。
日本の現状に照らして、総合的に俯瞰的にコロナ禍後の事業環境の変化を考えてみたい。
コロナがあってもなくても日本が直面する大きな潮流は以下の5つにまとめられると思われる。
1.成長志向企業のグローバル化
2.安定志向企業の国内市場深化
3.グリーン化
4.少子高齢化
5.貧富格差拡大
コロナ禍が、かかる環境変化を加速するのは間違いない。
日本で唯一世界的に競争力があると思われる自動車産業を例に事業環境変化の影響を考えてみたい。
1.グローバル化
インド市場へいち早く進出したスズキが好例。
日本の殆どの自動車会社がこの路線。差別化が困難。
2.国内市場深化
自動車産業では例に乏しいが、海外展開は
提携先に任せる三菱自動車が例になるか。
PCでは、PanasonicのLet’s Noteが好例。
1.2.は業界レベルで対応可能かもしれないが、
3.4.5.は業界のみでの対応が難しそう。
3.グリーン化
CO2収支の算出には「車生産に際して排出
されるCO2量」「燃料のグリーン化」等が
考慮されるので、
電気自動車を安価に製造できる企業のみならず
他の競争優位を背景に参入する企業が増加しそう。
エネオス+ヤマダ電機とかイーレックス+SONYとか。
4.少子高齢化
社会インフラとしての交通システムの抜本的な
見直しが必要であり個々の企業が自動運転車を
開発すればよいわけではない。
人材も枯渇する中で各社が競うのは経営資源の
無駄かも。
5.貧富の格差拡大
高級車を所有できる一部の富裕層を狙うか(フェラーリ、ベントレー等)公共財としての運搬手段としての車を提供するかの岐路になる。
高級ブランドの無い日本メーカーは殆どが
安価な下駄を作ることになる。社会不安を背景に米大統領が乗るビーストのような特殊車両のニーズが高まるかも。
トヨタがどのように高収益企業の座を維持して行けるかとても興味深い。
(2020.10.9)