世界の動き 2024年11月27日 水曜日

今日の一言
「公職選挙規制法」
 せっかく再選されたのに兵庫県の斉藤知事への公職選挙規制法違反の疑惑が問題になっている。選挙の戦略を兵庫県西宮市のコンサルティング会社「merchu」(代表取締役・折田楓氏)へ外注したとの疑惑だ。

 詳細について、大手紙の政治デスクによる説明は以下だ。
 『SNSによる広報戦略を業務で行なったことが事実なら、インターネットによる選挙運動を行なった者への報酬支払いを買収と規定する公職選挙法違反にあたるとみられます。
 今の時代にネット制限するのは違和感があるかもしれませんが、選挙は無報酬が原則です。事前に選管に届け出たウグイス嬢と手話通訳者、要約筆記者、事務員だけが例外になると明確に決められていて、それ以外の人にお金が渡ればアウトです。陣営の責任ある者が買収したとなれば、候補者本人の当選が無効になります。
 折田氏のnoteは記述が具体的で、それを裏付けるビジュアル資料も豊富です。永田町界隈では『斎藤氏は当選無効を免れるのはかなり難しいのではないか』という声でもちきりです。』ということだ。

 このような少額の外注も出来ないという現在のルールを知って驚いた。選挙活動の一切を個人の手弁当に依存するシステムが、統一教会による自民党への食い込みの大きな原因になったのは記憶に新しい。

 政治資金規正法だけでなく公職選挙法も時代に合った改正が必要だと思う。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
(6時21分配信。ヒズボラとの停戦記事で遅れたか。)
1.イスラエル、ヒズボラとの停戦提案を承認
【記事要旨】
 ベンヤミン・ネタニヤフ首相の内閣は昨日、1年以上続くイスラエルとレバノンの武装組織ヒズボラとの間の戦闘を停止する停戦協定を承認した。
 バイデン大統領は「敵対行為の恒久的な停止を目的としたもの」であると称賛し、停戦は今日発効する予定だとした。
 ネタニヤフ首相は合意を重視していた。ヒズボラはこの承認についてすぐにはコメントしなかった。
 レバノン政府はヒズボラを支配していないが、合意を前進させるには政府の承認が不可欠であり、今日停戦合意について話し合う予定だ。
以下、エルサレム支局長とのQ&A
Q: 双方はこの停戦に何を望んでいるのか?
A: イスラエルは主に、ヒズボラがレバノン南部の国境地帯から撤退し、国境の反対側のイスラエル人コミュニティへの脅威を取り除くことを望んでいる。ヒズボラが実際に撤退しない場合にはレバノン国内に再配置する権利をイスラエルは求めている。
 ヒズボラは公の場で、イスラエルが砲撃をやめ、レバノン南部から撤退することを主に望んでいると示唆しているが、内心では、イスラエルの新たな侵攻や航空作戦を誘発することなく、自軍を可能な限り国境近くに留まらせたいと考えているだろう。
Q: ガザで進行中の戦争にはどのような影響を与える可能性があるか?
A: 大きな効果は得られないかもしれない。ほとんどの専門家はガザでの停戦は空想的だと考えている。ハマスは活動を開始すると予想されており、イスラエル政府はハマスの完全破壊を推進し続ける可能性が高い。
Q: イスラエル内閣が停戦を承認した今、次に何が起こるのか?
A: レバノン政府は、空白を埋めるために、レバノン南部にさらに多くの自軍を配備する予定であるが、機能するかは誰にもわからない。何が起こるにせよ、今回の合意により、再配備を完了するまでに各方面に60日間の猶予が与えられると予想される。
【コメント】
 とりあえず60日間の猶予期間が無事存続することを祈るのみだ。薄氷の合意で、破れる恐れは極めて高い。

2.米国の関税戦争が迫る中、脅迫が飛び交う
【記事要旨】
 トランプ次期大統領の就任初日にカナダ、メキシコ、中国からの製品に重い関税を課すという誓いは世界中に反響を呼んでいる。
 メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は昨日、トランプ大統領がメキシコから米国に輸入する製品に25%の課税を脅迫した場合、政府は報復する用意があると示唆した。カナダのジャスティン・トルドー首相は、トランプ大統領の関税案について州および準州の指導者らと緊急会議を開催すると発表した。
 メキシコ大統領は、関税を引き上げても米国での不法移民や違法薬物の消費は抑制できないと述べ、メキシコで数十年にわたり事業を展開しているゼネラル・モーターズ、ステランティス、フォード・モーターなどの自動車メーカーを挙げ、関税合戦は両国経済に悪影響を与えるだけだろうと示唆した。
 中国:トランプ大統領が中国に対して関税を課した場合、中国政府は自国通貨の下落を許す可能性がある。それは通貨戦争につながる恐るべきリスクとなる。
【コメント】
 メキシコをベースに乗用車を米国に輸出してきた日産はどうなるのだろうか。

3.ロシア、ウクライナが米国のミサイルで攻撃したと発表
【記事要旨】
 ロシアは、ウクライナが米国が供与したミサイルで再び自国の領土を攻撃したと発表した。この攻撃で軍事インフラが損傷し、一部の兵士が負傷し、ロシア政府は「報復措置」を準備していると述べた。
 ウクライナ空軍は昨日、ロシアが約200機の無人機を使った夜間攻撃を行ったと報告した。この攻撃は、ここ数日激化している両国間の一連の空襲の最新のものであった。
【コメント】
 特にするべきコメントも見つからない。愚行の継続に暗澹たる思いだ。

その他の記事
パキスタン:
 警察とイムラン・カーン元首相の支持者が衝突したため、必要に応じて発砲するよう命令を受けて首都に軍が出動した。
エジプト:
 月曜日に紅海で観光船が沈没し、4人の遺体が回収され、7人が未だ行方不明であると当局が発表した。
宇宙:
 日本の主力ロケットの一つのエンジン試験が火災発生後に中止され、日本の衛星への野心は打撃を受けた。

2024年11月27日 水曜日

世界の動き 2024年11月26日 火曜日

今日の一言
「ラスト5分」
サッカーの試合で最後の5分は最もスリリングだ。両軍が死力を尽くして勝利を目指す。
温存していた新戦力を投入し、作戦を変更する。負けている方は同点に追いつこうと長距離シュートを打つ。
ウクライナ戦争の現状にそっくりだ。トランプの就任で、戦争はにわかにラスト5分を迎えた。ロスタイムになだれ込むことは避けてもらいたいのだが。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
1.検察官、トランプ氏に対する刑事告訴の却下を申し立て
【記事要旨】
特別検察官のジャック・スミス氏は昨日、ワシントンの連邦判事とアトランタの裁判所に対し、次期大統領ドナルド・トランプ氏に対する2件の起訴状を却下するよう求めた。1件は2020年の選挙結果を覆そうとしたという告訴、もう1件は機密文書を違法に保有したという告訴である。
スミス氏は、この動きは現職大統領は起訴されないとする司法省の方針によるものだと明言した。「司法省の憲法解釈に基づき、政府は却下を求める」とスミス氏は記した。
この要請は、2年間の法廷劇の後、検察はトランプ氏に2020年の選挙結果を覆そうとしたことや、退任後に多数の機密文書を違法に保有したという告訴について責任を問うことはできない、というスミス氏の最終的な認識だった。トランプ氏が任期を終えた後に再度告訴される可能性は残している。

トランプ氏についてさらに詳しく:
・トランプ氏は2人の億万長者を重要な経済ポストに任命した。彼らは労働者階級を助けることになるだろうか?
・トランプ氏の中東担当特使スティーブン・ウィトコフ氏は、この地域の石油資源の豊富な国々と以前からつながりがある。
・トランプ氏の忠実な補佐官ナタリー・ハープ氏は、大統領との情報交換の主要パイプ役になる見込みだ。
・最長在任期間を誇る上院院内総務のミッチ・マコーネル氏は、次期議会でその職を辞す。同氏の計画はトランプ氏と対立する可能性がある。
【コメント】
スミス氏はさぞ残念だっただろう。トランプ氏は当選と落選で天国と地獄だったわけだ。トリプルレッドに加え最高裁も保守派で押さえているトランプは4年間は無敵だ。

2.レバノン停戦の決定は近いと当局者らが語る
【記事要旨】
ネタニヤフ首相は本日閣僚と会談し、ヒズボラとの停戦案を決定する予定だと当局者らは語った。米国はイスラエルに対し、木曜日までに合意をまとめるよう圧力をかけている。
この案では、イスラエル軍は60日以内にレバノンから撤退。ヒズボラはイスラエル国境から北へ移動。その後、レバノン軍が南へ展開し、国境沿いに緩衝地帯を形成するプランだ。
難点:残るハードルは、ヒズボラの戦闘員が停戦を破ったり、レバノン軍が国境からヒズボラを遠ざけることができなかった場合にイスラエルが軍事行動を取れるようにしたいということだ。ネタニヤフ連立政権の強硬派も合意に反対している。
【コメント】
ベイルートは毎日空爆を受けている。レバノン軍はヒズボラと対峙する実力は無さそうで、合意が維持できる可能性は少ないと見る。

3.パキスタンで数千人がカーン氏の釈放を求めて抗議
【記事要旨】
元首相イムラン・カーンの数千人の支持者は昨日、政府のロックダウンにもかかわらず、同氏の釈放を求めてイスラマバード郊外までデモ行進した。少なくとも警官1人が死亡しデモ参加者数人が負傷した。
背景:カーンは2023年8月から投獄されており、150件以上の刑事事件に直面しているが、依然として絶大な人気を誇っている。
【コメント】
群衆の抗議は整然としているように見えるが、負傷者が出たようだ。参加者の多く白い体を包む服を着ており、南アジアは東南アジアとはずいぶん違う印象を受ける。政情が安定しないとアフガニスタンのように過激派が跋扈する事態になりかねない。心配だ。

その他の記事:
フィリピン:
サラ・ドゥテルテ副大統領が、自分が殺害されたらフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領が暗殺されるよう手配したと主張したことで、政治的混乱が激化した。
した。
ルーマニア:
今週末に行われた大統領選挙の第1回投票で、無名の超国家主義者が予想外の勝利を収めたことで、同国は政治的混乱に陥った。
イギリス:
イングランドとウェールズで大規模な洪水により少なくとも3人が死亡した。

野球:
ロサンゼルス・エンゼルスは左投手の菊池雄星と3年6,300万ドルの契約に合意した。

2024年11月26日 火曜日

世界の動き 2024年11月25日 月曜日

今日の一言
「万引き」
金曜に都心で昼に会食があった。帰路五反田を通るので駅ビルにあるBook1stで本を見るのを楽しみにしていた。エマニュエル・トッドの新刊「西洋の敗北」を見て、気に入れば買いたかったのだ。
書店に入り捜したが見つからない。Book1stには検索機があるので調べると哲学の棚に在庫があるとの表示だった。棚に行っても無いので店員に聞く。一緒に捜してくれたが、見つからない。
店員の説明では、万引きの結果だということだった。なるほど、お金を払わないんで本を盗んで行くので、本は無いが在庫表示はそのままだ。
2600円の本だ。書店の痛手は大きかろう。
結局本の内容を確認できないままAmazonで購入した。翌日には届いたので支障は少なかった。
心無い万引きは、面白そうな本との出会いを求めて本屋へ行く読書人の楽しみを奪う行為だ。書店が減少している理由の一つは万引きによる減収のようだ。商品在庫の電子管理は進んでおり無人のコンビニも増えている。書店でもなんとかならないものかと思う。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
1.国連の気候会議、合意で終了
【記事要旨】
今年の国連気候サミット(COP29)の交渉担当者らは昨日早朝、開発途上国がよりクリーンなエネルギーを採用し、気候変動の影響に対処するのを支援することで合意した。富裕国は2035年までに年間3000億ドルの支援を約束した。これは現在の目標である1000億ドルから引き上げられた。
しかし、独立した専門家らは、開発途上国が必要とするのは年間1.3兆ドルと見積もっており、これは合意で約束された額よりはるかに高い。
各国は2月の期限までに、最新の排出削減誓約書を提出する予定だ。そして、この後交渉担当者らは韓国の釜山で、国連主導のプラスチック汚染の拡大に取り組むための初の条約を交渉する。
COP29についてのQ&A:
Q: 今年の会議の主な目的は何だったのか?
A: 毎年、約200カ国の外交官が集まり、気候変動対策の計画について合意しようとしている。今回の主な目的は、発展途上国が温暖化する世界に適応し、化石燃料から脱却できるよう、年間1兆3000億ドルもの資金を集めることだった。
しかし、合意の最終的な詳細がどうであれ、大きな亀裂は残る。脆弱な国々は依然として地球温暖化に対処するために多額の資金を必要としており、裕福な国々は資金の提供に消極的だ。
Q: トランプ大統領就任が近づいている中、今後の気候協議に何を期待できるのか?
A: COP29では、米国の選挙結果が大きな話題となった。トランプ次期大統領は気候変動を「でっちあげ」と呼び、パリ協定からの離脱を約束した。米国が気候外交/資金提供において主要な役割を果たすことを期待している国はほとんどない。
【コメント】
3000億ドルと言えば46兆円だ。先進国だけでの負担は大変だ。米国では石油ガスの開発に大きく舵をきるだろうから、COPでの議論とは大きなねじれが生ずる。

2.ヒズボラがイスラエルにミサイルを発射
【記事要旨)
ヒズボラは昨日、イスラエルに約250発のミサイルを発射した。その前日には、レバノンの首都ベイルートの中心部でイスラエル軍が攻撃し、数十人が死亡した。
レバノン保健省によると、土曜日のベイルートでの攻撃では65人以上が負傷し、少なくとも29人が死亡した。この攻撃はヒズボラの最高司令官モハメド・ハイダルの暗殺を狙ったものだった。
ヨルダン川西岸:イスラエル軍は、空爆やパレスチナ人を人間の盾として使うなど、ガザで展開しているのと似た戦術を採用していると住民は語っている。
ドバイ:木曜日から行方不明になっていたアラブ首長国連邦のイスラエル人ラビが遺体で発見された。イスラエル当局は、ラビは殺害されたと発表し、その死はテロ行為だと主張した。
【コメント】
連日、連日、連日、中東の戦乱は続く。

3.トランプ氏は秘密の資金で政権移行チームを運営
【記事要旨】
トランプ氏は、政権移行の取り組みに資金を提供している寄付者の名前を秘密にしている。どの利益団体、企業、富裕層が彼の2期目のスタートを助けているのかを知ることが不可能になる可能性がある。
トランプ氏はこれまで、政権移行のために最大720万ドルの連邦資金と引き換えに、資金調達に厳しい制限を課すバイデン政権との合意に署名することを拒否している。合意を回避することで、トランプ氏は未知の寄付者から無制限の資金を集め、政府を掌握する準備に関わるスタッフ、旅行、オフィススペースの費用を賄うことができる。彼の行動は倫理の専門家の間で警戒を呼んでいる。

トランプ氏についてさらに:
・マット・ゲーツ氏が候補から撤退した数時間後に、パム・ボンディ氏が司法長官候補に指名された。
・トランプ氏は就任初日から移民を大幅に削減し、強制送還を増やすと誓っている。移民たちは取り締まりを逃れようと急いでいる。
・連邦保健機関を率いる多岐にわたる人物のリストはほぼ完成し、抜本的な改革に向けたトランプのビジョンが明確になりつつある。
【コメント】
政権移行資金に連邦予算の縛りがあったとは知らなかった。720万ドル程度なら予算を貰わす自己資金で好き放題やると言うトランプの考えは理解できる。

その他の記事:
スペイン:
バレンシアで豪雨が洪水を引き起こし、200人以上が死亡した。当局が下流の住民に最初の洪水を警告するのに何時間もかかった。
パキスタン:
アフガニスタンとの国境付近でスンニ派とシーア派の部族が衝突し、少なくとも25人が死亡した。
ペルー:
研究者らはドローンとAIを駆使し、考古学上の最も難解な謎の一つであるナスカの地上絵をさらに数百点発見した。

2024年11月25日 月曜日

違和感

 トランプ政権の財務長官候補としてスコット・ベッセント氏が指名された。現在62才の同氏は、ソロスファンドの主要メンバーの一人であったが、2015年には自身でキー・スクエア・グループというヘッジファンドをを立ち上げ成功させた人だ。

 同氏の経歴で違和感を感じたのは、同氏がゲイであることで、英文記事では彼のhusbandとしてJohn Freemen氏の名前が挙げられている。子供が2人となっている。

 私が感じる違和感は、性的指向もあるが、それに加えて、女好きのマッチョな人間の集まりであり(或いは、あるように見える)、LGBTに非寛容な人が支援しているように思われるトランプ政権内で、同氏が上手くやっていけるのだろうかという懸念だ。

 財務長官候補としてイーロン・マスクが強く推していたというキャンター・フィッツジェラルド(Cantor Fitzgerald)CEOのハワード・ルトニック(Howard Lutnick)氏は対照的な性格・人柄のようだ。政権内で意見が分かれた時に、上手くやっていけるのだろうか。

 ゲイと言えば、サピエンス全史で世界的に著名になったユバル・ノア・ハラリ氏のホモゼウスを読んでいた時に、my husbandという表現が出て来て驚いてた。イスラエルのユダヤ教徒には同性愛者が多くいることがわかった。ハラリ氏は政権内で意思を通すような立場にないから、性的指向が問題になることは無さそうだ。

 最近では、DIE WITH ZEROという本を読んでいて最後の方になって著者のBill Perkinsという人が、自身が黒人であると書いていたので驚いた。成功するファンドマネジャーは白人だと言う思い込みが自分にあったのだと思わされた。

 AC Japanの広告で、「部下の資料に目を通す人がいます」「飛行の準備をするパイロットがいます」「野球の試合に備える生徒がいます」「見えてきたのは男性ですか、女性ですか?」というのがあって、いかに男性中心世界が自分の意識に刷り込まれているかを自覚した。

 今回のベッセント氏指名に感じた違和感は、まだLGBTは異端との考え方が自身の中にあることが原因なのかもしれない。アップルのTim Cookは立派な経営者として成功している。民間企業と違い政府内はつまらないことで足の引っ張り合いが多くあると思う。ベッセント氏の今後を見守りたい。

2024年11月24日 日曜日

Distraction

 米国の政治家が、何かから撤退する際に良く使う言葉だ。

 例えば、司法長官候補を辞したマット・ゲーツの発言は以下だ。
 “While the momentum was strong,” Gaetz wrote on X, “it is clear that my confirmation was unfairly becoming a distraction to the critical work of the Trump/Vance Transition.”
 邦訳 「勢いは強かったが、私の承認がトランプ/ヴァンス政権移行の重要な取り組みの妨げになっているのは明らかだ」とゲーツ氏はXに書いた。

 上記では「妨げ」と訳されているが、「勢いを削ぐ・妨害するもの」と訳せば適訳だろう。トラクションという言葉は自動車用語でタイヤの道路のグリップ力を差す言葉として使うので、ディス+トラクションと理解することも可能だ。

 この言葉を使う人は、自分は誤ったことをしていないが、世間の誤った非難が、自分が所属する組織の勢いを削ぐことを懸念して身を引く、というロジックを展開している。

 「この問題で所属政党にこれ以上迷惑をかけたくないので職を辞す」という言い訳は日本でも極めて一般的だ。アメリカではそれに相当するのがdistractionという言葉だ。

2024年11月23日 土曜日