Western Hemisphere

Western Hemisphere とは聞きなれない言葉だ。「西半球」と日本語に訳す。日本人には聞きなれなくても、アメリカ人に聞くと大抵は「アメリカのことだ」と答える。

就任後のトランプ大統領の動きを見ると、彼の関心は西半球にしかないことが明白だ。
・西半球の一番上にあるグリーンランドの領有権を主張。
・カナダとメキシコには2月1日から25%の関税をかける。
・パナマ運河の支配権を回復する。
・メキシコ湾をアメリカ湾に改名する。
・西半球の一番下にあるアルゼンチンのミレイ大統領を就任式に招待し、就任後にあう初の外国首脳にした。

欧州では、1日に実現すると言っていたウクライナ戦争の停止には6か月かかるとトーンダウンした。アジアでは、ASEANの主要国であるインドネシアとマレーシアがBRICSへの加盟を表明しているのには全く無関心だ。西半球に比べてトランプの関心は薄く、こうした地域の国々とは「遠心力」が働きかねない状況だ。

このような事態に、日本はどうすればよいのだろうか。

日本は、戦後80年にわたり東南アジアの国々と真摯な外交関係を気付いてきた。この歴史と実績を踏まえ、この地域への関心が薄いトランプ政権に適切なアドバイスをして、アメリカとの橋渡し役を務めることが期待されている。

それが出来てこそ、日本を含んだ地域の安定と繁栄がもたらされるのだ。

2025年1月26日 日曜日

ガバナンスが不全だから

 不祥事が発生するたびに企業の言い訳として「ガバナンスが効いていなかった」「ガバナンスが機能していなかった」という言い方がある。フジテレビもご多分に漏れずそういう説明だ。

 これは、試験で落第点を取った生徒が、勉強しなかったので出来なかった、という言い訳にそっくりだ。勉強しないで良い成績を取ろうと言う不埒な考えが問題なのだが、そこには触れないで、勉強できなかったので落第したというトートロジー(tautology)なのだ。

 トートロジーとは同じ言葉を繰り返すことで、何の説明にもなっていない表現や命題で、同語反復や同義語反復とも呼ばれる。「日本は変化しないといけない。だから今こそ日本は変らないといけないと思います」小泉進次郎の有名な話法もトートロジーが多い。

 話をガバナンスに戻すと、そもそもガバナンスの機能を確認すると以下のようになる。
【ガバナンスの機能】
監視と制御
 経営者の行動を監視し、企業の目標に向けた適切な意思決定を促す。取締役会や監査役会がその役割を担う。
リスク管理
 企業が直面する様々なリスク(法的、財務的、運営上のリスクなど)を特定し、それに対する対策を講じる。
透明性の確保
 企業活動や経営に関する情報を適時かつ正確に開示し、ステークホルダーに対する透明性を確保する。
法令遵守
 法令や規制を遵守するための体制を整え、企業倫理を維持する。
利害調整
 株主、従業員、顧客、取引先など、企業のステークホルダーの利益を調整し、バランスを取る。

 「ガバナンスが機能していなかった」という説明ではなく、上記のガバナンスの機能のどこに欠陥があったのかを追求どのように改善を図るかを考え、実行して行かないと問題の解決は出来ない。

2025年1月25日 土曜日

世界の動き 2025年1月24日 金曜日

今日の一言
「第三者委員会」
フジテレビで日弁連のルールに従った第三者委員会の設立がNHKテレビでニュース速報が流れた。随分大きな騒ぎになってきたものだ。
独立第三者委員会のメンバーになったことは無いが、社内の調査委員会のメンバーになったことは数回ある。社外監査役としてだ。面倒な嫌な仕事だった。
特に事情聴取は公正にやっているつもりでも社内からいろいろな声も聞こえる。経営者が疑惑の対象だと慎重な準備と正確な聴取と公平な記録が必要だ。どう社内と時には社外に発表するかは特に議論になったものだ。
上場企業で第三者委員会が設置されると詳細な報告書が公表される。さてフジテレビの報告書はどんなものが出来上がるのだろうか。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.欧州への攻撃とトランプ氏への法的挫折
【記事要旨】
トランプ大統領は昨日、ダボスで開かれた世界経済フォーラムでのビデオ出演で、欧州の貿易慣行と規制を「不公平」と批判した。トランプ大統領は、米国外での生産を選択した企業に関税を課すと誓った。
米国では、米国で生まれた赤ちゃんの自動国籍を廃止するという大統領の命令を一時的に差し止めた裁判官の決定により、移民法改正に向けたトランプ氏の取り組みが挫折した。同裁判官は、大統領の命令は「明らかに違憲」だと述べた。
トランプ氏は自らを世界的な強硬保守派ポピュリズムの顔と位置付けている。トランプ氏は右翼の極端に位置し、数百万人の不法移民を国外追放するなど、ヨーロッパの多くの支持者が実行を控えている改革を約束している。

トランプ氏についてさらに詳しく
・上院は、ピート・ヘグセス氏の国防総省承認を最終投票に回すことを51対49で可決した。共和党議員のうち2人が反対した。
・国務省は、すでに米国への渡航を承認されていた数千人の難民の渡航を突然キャンセルした。
・大統領がFBI長官に指名したカシュ・パテル氏は、ロシア、1月6日、機密文書の調査について虚偽の主張をしている。
・トランプ氏は、イランからの脅威に直面しているとの警告にもかかわらず、元国務長官のマイク・ポンペオ氏らの安全保障保護を取り消した。
・トランプ氏は、イエメンのフーシ派反政府勢力を「外国テロ組織」に再指定する大統領令を発令した。
・サウジアラビアの皇太子はトランプ大統領に対し、同国は米国との貿易と投資を6000億ドル増やすと語った。
・トランプ政権は、国内で深刻化する鳥インフルエンザ危機について報告しようとしていた当局者を含む連邦保健当局者を一時的に沈黙させている。
【コメント】
いろいろありますが、まあ見守りましょう。

2.ウクライナの兵士の損失はロシアより少ない
【記事要旨】
ロシアとウクライナのほぼ3年間の戦争では、ロシア兵士の死者数ははるかに多いが、ロシアは依然として勝っている。
いくつかの独立した推計によると、ロシアはウクライナの約2倍の兵士を死亡または重傷で失っているが、はるかに多い人口に積極的な募集戦術を使い損失をより速いペースで補充することができた。
ロシア軍は、最前線で戦う北朝鮮軍によっても強化されている。40万人以上のロシア軍と約25万人のウクライナ軍との兵力差は拡大している。
「太った男は痩せる。しかし痩せた男は死ぬ」とある軍事アナリストは語った。
ゼレンスキー大統領の支持率は大幅に低下。トランプ氏がホワイトハウスに就任したことで、彼の再選は厳しくなるかも知れない。
【コメント】
人員数の差を埋めているのが西側からの兵器供与だったのだが、トランプがどう動くかに注目だ。“The fat man grows thinner. But the thin man dies.”というのは面白い表現だ。

3.ハマスがガザを掌握
【記事要旨】
日曜日に停戦が始まって以来、ハマスは依然としてガザを支配していることを示すべく活動している。
ネタニヤフ首相はハマスを撲滅すると誓っているが、ガザを支配できる現実的な代替案を一度も提示していない。ガザの住民の多くにとって、ハマス戦闘員の急速な復活は驚きだった。
ヨルダン川西岸のジェニン周辺でのイスラエル軍の作戦行動中に、パレスチナ人過激派2名が殺害された。
【コメント】
ハマスはしぶとい。物理的な組織というより思想だから根絶は困難だ。

その他の記事:
アフリカ:
ルワンダの支援を受けた反政府勢力がコンゴ民主共和国東部のゴマを包囲。
スペイン:
深刻化する住宅危機を抑えるため、首相はEU域外の購入者による不動産購入に100%課税することを提案。
旅行:
韓国は先月の済州航空機の墜落事故を受けて、格安航空会社に対し利益よりも安全を優先するよう指示した。

2025年1月24日 金曜日

世界の動き 2025年1月23日 木曜日

今日の一言
「もう仲たがい?」
 『イーロン・マスク氏は、トランプ米大統領が発表したソフトバンクグループなど3社が主導する人工知能(AI)への巨額投資計画について、参加企業は資金力を持たないとして実現性に公然と疑問を呈した。「ソフトバンクが確保しているのは100億ドル(約1兆5700億円)を大幅に下回る額だ。信頼できる筋から情報を得ている」とXに投稿した。これに対し、オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は、マスク氏の投稿内容は「間違っている」と批判。マスク氏のAIへの取り組みと競合することになるため、腹を立てているのではないかと示唆した』(以上Bloombergより)
 みな「アメリカ・ファースト」でなく「自分ファースト」の欲の皮の張った人たちばかりで、同じ船に多くの人が乗るのは難しそうだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ、移民取り締まり計画を強化
【記事要旨】
 トランプ大統領は、不法移民の大量強制送還を実施するという選挙公約を実行するための措置を講じている。司法省は州および市の当局者が政権の新しい移民政策の施行を拒否した場合は捜査し、起訴するよう検察官に指示した。
 この動きは、米国には1400万人いる不法移民が多い都市へ国土安全保障省が強制捜査の準備をしている中で行われた。国内の約12の州と数百の都市が不法移民の「聖域」とみなしている。
 トランプ陣営は、キャリア官僚が不道徳または違法とみなす命令を実行しないことを懸念し、従わない検察官に対して懲戒処分を取ることを検討している。
 国境管理:国防総省は今月末までに1500人の兵士をメキシコとの国境に派遣し、米国への移民の流入を食い止めるというトランプの主要目標の1つを達成する予定だ。
トランプについてさらに:
・イーロン・マスクはトランプによる大規模なAIイニシアチブの発表を批判した。
・大統領は、プーチン大統領がウクライナ戦争終結の合意に達しない場合、ロシアに関税と制裁を課すと脅した。
・トランプ氏は、2月1日までにカナダ、メキシコ、中国からの製品に関税を課すと述べた。
・共和党はトランプ氏の政策を賄う方法を模索しているが、借金が彼の計画を妨げかねない。
・極右のプラウド・ボーイズとオース・キーパーズの指導者は、議事堂襲撃で起訴されたことに対する復讐をトランプ氏に求めている。
・トランプ氏は、オンライン麻薬市場「シルクロード」の創設者を恩赦した。
【コメント】
 しばらく様子を見守りましょう。

2.ハリー王子、マードックのタブロイド紙から謝罪を受ける
【記事要旨】
 ルパート・マードックのメディアグループは、電話盗聴スキャンダルをめぐる数百万ドルの和解の一環として、ハリー王子に正式に謝罪した。土壇場でのこの和解により、間もなく始まる裁判で数週間に及ぶ不利な証言を回避できた。
 ニュース・グループ・ニュースペーパーズは、傘下のタブロイド紙の1つがハリー王子の携帯電話を盗聴したことを認めた。また、王子の生活に介入したことについて、別の新聞社ザ・サンに代わって「全面的かつ明確な謝罪」を申し出た。和解金の額は双方とも明らかにしていないが、交渉に詳しい2人によると、少なくとも1000万ポンド(1230万ドル)相当だという。
 タイムズのロンドン支局長は、この和解は「同社がこれまで一度も行ったことのない、マードックのタブロイド紙ザ・サンの不正行為を認めた点で異例」だと語った。
【コメント】
 この事件の詳細は知りませんでした。携帯電話を盗聴するってどうやったのかな。CIAとかの情報機関でなくても簡単にできるのでしょうか。

3.北朝鮮兵士がロシアと戦う様子
【記事要旨】
 ウクライナ軍によると、ロシアを支援する北朝鮮兵士は基本的に別の部隊として異なる戦術で活動している。彼らは通常、再編成や撤退をしない。元国防総省当局者によると、彼らは精密攻撃の訓練を受けているが、ロシアは基本的に歩兵として利用しているという。
 ウクライナ軍司令官は、北朝鮮の損失は増加しているが、兵士たちは「非常に意欲的で、よく訓練されている」そして「勇敢」だと述べた。
【コメント】
 ロシアにとって大きな支援になっているようだ。

その他の記事:
韓国:
 警察によると、先月ジェット機が墜落した空港を運営する会社の元社長が自宅で遺体で発見された。
アフリカ:
 EUから移民対策資金を与えられた北アフリカ諸国政府は、サハラ以南の移民がヨーロッパに向かうのを阻止するために残忍な手段を講じている。
米国:
 メキシコ湾岸全域で冬の嵐が降雪記録を破った。メキシコ湾岸では雪が降ることがほとんどないため、ほとんどの都市では除雪車を持っていない。

2025年1月23日 木曜日

世界の動き 2025年1月22日 水曜日

今日の一言
「常識の革命を起こす」
 トランプの発言だ。我々の常識はトランプにすべて覆される準備が必要だ。
 関税と軍事力をちらつかせ、国際協調からは離脱する。新たな帝国主義以外の何物でもない。ポピュリスト大統領の言動を面白がる大衆が火に油を注いでいる。嗚呼。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領の反対派が反撃を開始
【記事要旨】
 トランプ大統領の反対派は昨日、不法移民の子どもに市民権を与えないことを阻止するために22州が訴訟を起こた。これは移民をめぐる長期にわたる法廷闘争の始まりとなると予想される。
 アメリカで最も著名な極右過激派2人、プラウド・ボーイズのエンリケ・タリオとオース・キーパーズ民兵のスチュワート・ローズが刑務所から釈放された。彼らは、1月6日の国会議事堂襲撃に関連して起訴された約1,600人全員に対するトランプ大統領の全面的な法的恩赦の一環として釈放された。
 就任初日、トランプ大統領は議会の共和党トップ指導者らと会談し、任期の初期の優先事項について話し合った。
その他の出来事は以下のとおり:
テクノロジー: トランプ大統領は、OpenAI、ソフトバンク、オラクルによる1,000億ドル規模のAIイニシアチブの立ち上げに向けた合弁事業を発表した。
経済:トランプ氏は、対外歳入庁と呼ばれる新しい機関を提案し、関税を通じて「莫大な」歳入を生み出すと約束した。
パナマ:同国は国連に正式な書簡を提出し、就任演説中のトランプ氏のパナマ運河返還に関する発言を否定した。
ロシア:トランプ氏は、ウラジミール・プーチン大統領がウクライナで戦争を仕掛けることで「ロシアを破壊している」と述べた。
欧州:トランプ氏は、欧州の防衛費を大幅に増やすよう圧力をかけている。同氏はパリの気候変動協定とWHOから撤退した。ダボスの世界経済フォーラムでは、指導者らが気候変動対策の方針を維持することを誓った。
集会:イーロン・マスク氏がナチス式敬礼と比較されるようなジェスチャーをし、話題を呼んだ。
分析:トランプ氏は共和党員を他に類を見ないほどしっかりと掌握し優位を維持しようと急いでいる。
【コメント】
 初日にしては盛り沢山。食あたりしそうだ。

2.イスラエルが「大規模」なヨルダン川西岸作戦を開始
【記事要旨】
 イスラエル治安部隊は昨日、イスラエル占領下のヨルダン川西岸ジェニンで軍事作戦を開始した。パレスチナ保健省の報告によると、作戦開始から数時間で8人が死亡、数十人が負傷した。
 ネタニヤフ首相は、この作戦は「テロを根絶」することを目的としていると述べた。イスラエル軍は、トランプ大統領がパレスチナ人への暴力行為で告発されたユダヤ人過激派と入植者に対する制裁を撤回した直後に介入した。。
関連:イスラエル軍のトップは、ハマスが主導した10月7日の攻撃を受けて辞任すると述べた。
【コメント】
 ガザで戦闘を止めたと思ったら、ヨルダン川西岸で軍事行動拡大とは。軍事国家イスラエルは誰も止められない。

3.トルコのホテル火災で76人が死亡
【記事要旨】
 昨日トルコのスキーリゾートにある12階建てのホテルで火災が発生し、少なくとも76人が死亡、51人が負傷した。生存者は、警報や非常口がなかったために状況が悪化したと述べた。
 火災はイスタンブールの東約290キロにあるカルタルカヤのグランドカルタルホテルで夜明け前に発生した。火災の原因は不明のままである。検察官6人が捜査中で、ホテルのオーナーを含む9人が拘留されている。
【コメント】
 悲劇的な事故が起きないと不備は指摘されない。いつものパターンだ。

その他の記事
ウクライナ:
 治安当局は、ハリコフ地域で領土を失った責任があるとされた将軍2人と大佐1人が拘束されたと発表した。
王室:
 ハリー王子がロンドンのタブロイド紙を相手取って起こした訴訟の公判は、ルパート・マードックからの和解案を検討している兆候が見られる中、延期となった。
インド:
 経済は減速し、株式市場は上昇を失い、ルピーはドルに対して下落している。何が悪かったのか?

2025年1月22日 水曜日