世界の動き 2024年2月19日 月曜日

今日の言葉
「アップルが苦境か」
 二つのネガティブな情報が出てきている。
 アップルの複合現実(MR)対応ゴーグル型端末「Vision Pro(ビジョン・プロ)」が米国で発売されて約2週間がたつが、3500ドル(約52万5000円)で購入した消費者の間で返品の動きが広がっているという。重さや装着時の不快感、インターフェース上の不具合など理由は複数あるようだ。
 欧州連合(EU)は米アップルに5億ユーロ(約800億円)近い制裁金を科す見通しだ。EUの監督当局は、スウェーデンのスポティファイなど競合する音楽配信サービスがユーザーに対し、「アップストア」外により安価な配信サービスがあると知らせるのをアップルが妨害し、EU競争法(独占禁止法)に違反したと判断した。
 アップルは市場の支配者になるや他社を叩く独占者の地位を利用としているようだ。挑戦者としてのアップルのイメージが今や剥落しつつある。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.アヴディウカはロシアに陥落
【記事要旨】
 ウクライナ軍は10年以上ドネツク地域の拠点であったアヴディイウカから撤退し、ロシアはほぼ1年ぶりに重要な勝利を収めた。 現在、ウクライナ軍は、ほぼ2年前の戦争の最初の数ヶ月以来、最も不安定な立場にある。
 昨年5月にバフムートを占領して以来、ロシア最大の領土進出となったアヴディイウカ陥落は、ウクライナの夏の反撃が目標のほとんどを果たせなかった後、ロシアが確実に優位に立っていることを示す最新の兆候である。 これにより、ロシアはドネツク地域全体を制圧するという目標に近づき、3月に5期目の選挙を目指すウラジーミル・プーチン大統領を後押しする可能性がある。
 この都市では戦争の中でも最も悲惨な戦闘が行なわれた。 兵士たちはほぼ絶え間ない砲撃の中で生き延びた。 約900人の民間人も同様で、その多くは地下に住み、援助活動家が持ち込んだ食料や物資で生き延びていた。 そのうち何人が外に出たかは明らかではない。
 地理的課題: ウクライナの情勢は、都市郊外の平坦な地形によってさらに悪化している。 支配的な丘、大きな川、あるいは10年の大部分をかけてアヴディウカ周辺に築いたような防御網がなければ、ウクライナはおそらくさらに多くの土地を失うことになる。
 欧州では特に米国が援助に迷っている中、指導者らはロシアに対する防御を強化する必要があることを認識しつつある。
【コメント】
 ウクライナへの戦後復興会議に日本も参加しているようだが、いま必要な資金援助はどうしているのだろうか。ウクライナを支援することは、極東へのロシアの圧力を弱め、日本の防衛にも役立つことになる。軍備の支援が出来ないとしても資金面や難民の受け入れに支援できることがいろいろあると思われるのだが。

2.ロシア人はアレクセイ・ナワリヌイ氏を悼む
【記事要旨】
 ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が金曜日、流刑地で死亡した。 彼は47歳だった。
 彼の死亡を確認した家族は、彼の遺体を受け取っていない。 ロシア当局は、同氏が突然の心停止を示す「突然死症候群」を患っていたと発表した。 バイデン大統領はウラジーミル・プーチン大統領を非難した。
 ナワリヌイ氏がなぜ毒殺未遂後にロシアに戻ることを選んだのか疑問に思う人は多い。 この決断は彼に国際的な尊敬を勝ち取り、多くの人が彼を英雄とみなすようになった。 それはプーチン大統領にとっても深刻な問題を引き起こした。 ナワリヌイ氏は遠隔地の刑務所からでも指導者だった。
 背景: ナワリヌイ氏の健康状態は何年も悪化していた。 彼は北極圏にある刑務所に拘留されており、そこで寒さにさらされ、謎の注射を打たれていた。
 次に何が起こるか:ナワリヌイ氏の同盟者たちは再結集を試みている。 一部の人は、彼の死がプーチン大統領への反対運動を活性化させるのではないかと期待しており、夫の死の知らせを受けて西側諸国の指導者たちに力強い演説を行った彼の妻に注目している。
 抗議:ナワリヌイ氏の死後、ロシア全土で少なくとも400人が拘束されたと人権団体が報告した。
【コメント】
 死因は不明であり、遺体の引き渡しが無ければ詳細が明らかになることは無いだろう。死を賭して抗議活動を行ったナワリヌイ氏の死を悼みたい。

3.ガザの主要病院が行き詰まる
【記事要旨】
 WHOは、ガザ地区で最後に機能していた病院の一つであるナセル医療複合施設は、イスラエルの包囲が続く中、数十人の残っている患者にサービスを提供できなくなったと述べた。
 ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエルは140万人のパレスチナ人が避難しているガザ南部の都市ラファへの地上侵攻計画を進めると述べた。 また、停戦交渉は行き詰まっているとも述べた。
【コメント】
 As I told you!と叫びたい。

その他記事より:
・トランプへの判決
 A judge ordered Donald Trump to pay around $450 million in penalties and interest for deceiving lenders. It’s a blow to his finances, his business and his identity.
・タクシン元首相に恩赦
 Thaksin Shinawatra, Thailand’s ousted former prime minister, was released on parole after serving just a fraction of his eight-year sentence in a hospital.
・イスラエル国民の戦争への抗議と支持
 Thousands of protesters gathered in Tel Aviv, in the largest display of anger toward Prime Minister Benjamin Netanyahu in months.
 Israeli Jews overwhelmingly support the war and feel more precarious since the Oct. 7 attacks.

2024年2月19日 月曜日

ナワリヌイ氏の死去

 ロシア北極圏の刑務所で死亡した反政府活動家ナワリヌイ氏の陣営幹部ジダーノフ氏は17日、刑務所を同日訪れた母親と弁護士が、当局から死因について「突然死症候群」だと知らされたとXで明らかにした。ナワリヌイ氏の広報担当者ヤルミシュ氏はXで、事件性がないとする当局に対し「彼らはいつもうそをつき、痕跡を消す」と猛反発した。
 ヤルミシュ氏は、当局が弁護士に対し、遺体の検査が終わって事件性は認められなかったと通知したことを明らかにした。陣営は家族への遺体引き渡しを求めているが、当局は応じていない。
(以上、時事通信より)

 突然死症候群とは、何らかの理由で突然死したということで、死因を特定していない。ロシア当局にとって都合の良い死因の説明だ。この言葉をgoogleで調べようとすると乳幼児突然死のことが延々と出てくるが成人の突然死の説明は殆どない。

 英語でSudden Death Syndromeと入れると詳しい説明が出てくる。その多くは心臓疾患によるものということで、米国では年間15-45万人の成人突然死で亡くなる人がいるそうだ。

 いずれにしてもナワリヌイ氏の遺体が引き渡されなければ正確な死因は不明だが、ロシア当局は決して返還しないだろう。

 プーチンは邪魔者を容赦なく殺害してきた。最近ではブリゴジン氏の乗った飛行機の墜落の記憶が生々しい。部下に殺させるだけでなく、KGBの諜報員だったプーチンは、世界の指導者の中で唯一自分で人を殺したことのある経験を有する人だろう。

 彼の氷のような笑顔と、決して笑わない目元を見ると、恐ろしい指導者だと思う。こういう人を相手にするのは大変だ。安倍元首相などを相手にするのは、プーチンにとっては赤子の手を捻るに等しい行為だったに違いない。

2024年2月18日 日曜日

quid pro quo

クイド・プロ・クオ。 ラテン語で「交換条件」「対価」を意味する。
トランプのNATOへのアプローチが動揺を呼んでいる。彼の考えの基本は何事も「取引」トランザクションによるものであり、国家間の安全保障条約も、信義よりも取引を基本とするということだ。
取引として考えるのは、それほど悪くないように聞こえるかもしれない。彼ら(敵)は何かを得る、私たち(味方)も何かを得る、そして誰もが得をするのだとトランプは考える。しかし、軍事同盟や抑止力はそうは機能しない。

NATOが、信頼や共通の利益によってではなく、見返りによって各国が縛られていることが明らかになった瞬間、こうした安全保障は敵の目からは軽んじるに足るものになるので、同盟国にとっての価値は低くなる。

安全保障は「信義」by trustに基礎を置くべきであり、決して「対価」by quid pro quoによるべきものではない。

商売人としてのトランプは不動産取引で生き抜いてきたが、米国の政治指導者としてはふさわしくないのは明らかだ。

2024年2月17日 土曜日

世界の動き 2024年2月16日 金曜日

今日の言葉
「枕高いと脳卒中リスク」
 いわゆる殿様枕にしていると突発性すいこつ動脈剥離という脳卒中が起こるリスクが高くなるそうだ。ラジオで聞いた話だ。
 12cmが境目らしい。見直してみよう。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領、来月裁判へ
【記事要旨】
 ニューヨークの判事は、ポルノスター、ストーミー・ダニエルズへの口止め料の支払いに端を発するドナルド・トランプ氏に対する刑事告訴の却下を求める訴えを退け、元米国大統領としては初となる同氏の訴追に道を開いた。
 公判期日を3月25日に設定するという裁判官の決定は、時間切れというトランプ大統領の歴戦の法的戦略を力強く拒否したものだ。 この刑事事件は、トランプ氏が裁判にかけられるのは最初であり、最後ではないかもしれない。トランプ氏は11月の本選挙で共和党大統領候補の獲得を目指す中、4件の刑事起訴で91件の重罪に直面している。
 トランプ大統領はマンハッタンの事件を自分にとって最も些細で時代遅れなものとして描いているかもしれないが、それは彼の法的戦略にとって脅威となっている。 トランプ氏は11月に勝利すれば、ワシントンD.C.とフロリダ州で自身に対する連邦訴訟の終結を目指す可能性があるが、マンハッタン事件は連邦政府の介入から免除されている。 トランプ氏は自分自身を恩赦したり、法的な盾として大統領の職を行使したりすることはできないだろう。
 次はどうなるか:マンハッタンでの公判期日により、春の終わりか初夏に行われる2020年の選挙を覆す計画を立てた容疑でのトランプ大統領の連邦裁判への扉が開かれたままになっている。 この訴訟はワシントンで起こされ、最高裁判所の管轄となっている。
 ジョージア州:この事件でも公聴会が開かれ、トランプ氏は2020年の同州選挙結果を主席検察官2人の恋愛関係をめぐって覆そうとした容疑で起訴された。
 民事詐欺:裁判官は、トランプ氏に約3億7000万ドルの罰金を課し、ニューヨークのビジネス界から事実上追放するというニューヨーク州司法長官の要請を検討している。
【コメント】
 トランプはすべての容疑を「魔女狩り」だとして退けている。それを支持する岩盤支持層の存在が彼の救いだ。

2.イスラエル、ガザの主要病院を襲撃
【記事要旨】
 イスラエル軍がガザ南部ハンユニスのナセル医療複合施設に侵入した。 イスラエルは、自国軍がハマスの戦闘員を捜索しており、おそらく人質の遺体も捜索していると述べた。
 この襲撃は、イスラエルが避難民に対し、ガザで機能している最後の病院の一つである病院から避難するよう命じた2日後に行われた。国境なき医師団は、砲撃により「不特定の数の人々が死亡」したと述べ、イスラエルに対し作戦を中止するよう求めました。
【コメント】
 もうすぐ停戦が実現するという見方が広がっている。そうであれば良いが。何度も書くがイスラエルは小の虫は殺すのが国策だ。

3.日本経済は縮小
【記事要旨】
 成長の予測にもかかわらず、日本は昨年末に景気後退recessionに陥った。 また、予想通り、この国は一段落ちて、ドイツに次ぐ世界第4位の経済大国となった。
 日本では企業利益は過去最高を記録し、株式市場は急騰し、失業率は低い。 しかし、個人消費と企業投資は遅れており、それが予想外の低調な結果となった。
【コメント】
 4位に転落ということで大騒ぎしているが、ここ30年の停滞が大きな原因だ。ずっと金融緩和と財政出動でエンジンをふかし続けてきて、経済の基礎体力は強化されて来なかった。
 訳の分からない新しい資本主義ではなく、教育と生活の改善に地道に取り組むしか道は無い。
 日経平均はやっと1989年の最高値を更新できそうだが、日銀に支えられた株高で有ることを忘れてはならない。

その他の記事
・ロシアの宇宙核兵器
 Russia may be developing a space-based nuclear weapon to threaten satellites, U.S. officials believe.
・インドの与党の集金メカニズム
 India’s Supreme Court struck down a fund-raising mechanism that allowed Prime Minister Narendra Modi’s governing party to harvest big sums without a trace.
・中国の選挙妨害
 A Chinese influence campaign is using A.I. to amplify division before the U.S. election.

2024年2月16日 金曜日

世界の動き 2024年2月15日 木曜日

今日の言葉:
「人口ボーナス」
 『“生産年齢人口が従属人口を大きく上回るもしくは増加し続けている状態”を「人口ボーナス」といいます。
 生産年齢人口とは、15~64歳のいわばメインで働いて経済を支える人々のこと。従属人口は14歳以下もしくは65歳以上の子ども・高齢者を指します。人口ボーナス期の国は教育や医療、年金などの社会保障に対する負担が少ない一方で税収が多く、社会インフラの整備が進みやすいです。さらに消費も活性化するため国全体の経済が回りやすくなるという大きなメリットがあります。』Datawingart.comから引用
 日本は1990年代半ばからこの人口比が逆転した人口オーナスになっている。
 総選挙があったインドネシアはアジアを代表する人口ボーナス国だったが2050年には人口オーナスに転換しそうだ。人口動態を見据えて経済のかじ取りをしないと国民の経済レベルを向上させることは出来ない。わかっていても難しいことだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.元将軍がインドネシアの新たな指導者になりそうだ
【記事要旨】
 プラボウォ・スビアント氏は民主活動家の拷問と拉致に関与したとして、1990年代後半に軍から追放された。 現在、彼はインドネシアの大統領に当選すると予測されている。
 選挙の結果は、世界で4番目に人口の多い国であるインドネシアの将来に疑問を投げかけている。 プラボウォ氏は、インドネシアには選挙も民主主義も必要ないと述べた。 同氏は人権歴を理由に20年間米国への入国を禁止されており、同国の元独裁者スハルト氏と関係があった。
 批評家らは、スハルト大統領追放後の自由の時代が今や脅威にさらされる可能性があると述べている。
 非公式の集計によると、同国の国防大臣であるプラボウォ氏が、3者による大統領選挙戦で58パーセント以上の得票率で圧倒的なリードを保っている。
 最終的に彼を勝利へと押し上げたのは、人気の退任大統領、ジョコ・ウィドドの暗黙の支持だった。ジョコ・ウィドドの息子はプラボウォの副大統領候補だ。
 プラボウォは、石炭燃焼だけでなく、電池産業の創設にもつながる政策を支持しています。 天然資源管理に対する彼のアプローチは、気候変動との世界的な闘いに大きな影響を与える可能性がある。
【コメント】
 若い国に72歳の元将軍は似合わないような気がするが、国民は安定を望んだようだ。

2.パキスタンの連立はカーン氏の同盟者を締め出す
【記事要旨】
 イムラン・カーン元首相の反対派は連立政権樹立で合意に達し、先週の選挙で最多議席を獲得したにもかかわらず、カーン氏と同調する候補者は政権から離れたままとなった。
 軍が支持するパキスタン・イスラム教徒連盟・ナワズは、パキスタン人民党などと連立を組むつもりだと述べた。 軍を尊重すると見られている元首相シェバズ・シャリフ氏が国の指導者に指名されるだろう。
 しかし、カーン氏の支持者は議会で野党側にいるとしても、無視されるわけではない。 彼らの動きは、パキスタンの軍部に対する鋭い叱責となった。 投票改ざんの告発は長期化する法廷闘争につながり、連立政権の正当性を傷つける可能性がある。
【コメント】
 カーン支持者が第一勢力になったことに驚いたが、彼らを抜きに連立が出来たのにも驚いた、この融通無碍さは日本の野党にも見倣ってもらいたいものだ。

3.バイデン氏の国土安全保障長官が弾劾された
【記事要旨】
 下院共和党はメキシコ国境の警備と移民政策を巡り、バイデン大統領の国土安全保障長官アレハンドロ・マヨルカス氏を弾劾した。 民主党は、同氏に対する告発は同氏が弾劾すべき犯罪を犯したという証拠を示さなかったと主張している。
 この動きはバイデンの移民政策に対する党派的な告発に等しい。共和党はバイデンの任期中の移民急増を、今年の選挙でバイデンと民主党に対する政治的武器として利用したいと考えている。 この告発は上院で否決される見通しだ。
 分析:この動きは、弾劾のハードルを下げる恐れがあるが、そのハードルは近年すでに下がっている。 かつては専制君主を権力の座から排除するための議会の最も強力な手段であったものが、単なる政治的武器に薄められる可能性がある。
【コメント】
 米国で弾劾impeachmentと聞くと重いが、実態は我が国の閣僚の不信任案程度の話だということのようだ。

その他記事より:
・イスラエルのレバノン攻撃
 The Israeli military said it had launched extensive airstrikes in Lebanon in response to a deadly rocket attack, a significant escalation in cross-border tensions.
・ガザ最後の病院を攻撃か
 Israel ordered Palestinians sheltering at one of the last functioning hospitals in Gaza to evacuate from the complex, raising fears that troops will try to storm the crowded facility.
・ハッカーはOpenAIを利用
 Hackers with ties to China, Russia, North Korea and Iran have used OpenAI to help run their cyberattacks, Microsoft and OpenAI said.

2024年2月15日 木曜日