世界の動き 2023年7月4日 火曜日

今日の言葉:
 「The Forth of July」
  米国の独立記念日だ。この日の前後は全米が祝賀ムードに包まれる。学校は6月末までに年度を終わるので、独立記念日以降は夏休みが本格化するシーズンでもある。
 昔、ニューヨークとトロントの間を車で往復していた時期があった。独立記念日に高速道路を走っていると、通り過ぎる町々で花火があげられていた。近い花火は大きく天を焦がし、遠いのは線香花火のように見えた。懐かしい思い出だ。

ニュータイムズ記事より
1.ヨルダン川西岸への大規模な攻撃
【記事要旨】
 イスラエルは、占領下のヨルダン川西岸でここ20年来で最も激しい空爆を開始し、混雑したジェニン難民キャンプに数百人の地上軍を派遣し、武装過激派を根絶しようとしている。 パレスチナ保健省によると、少なくとも8人のパレスチナ人が殺害された。
 イスラエル軍によると、作戦は午前1時過ぎに始まり、無人機による数発のミサイル発射も含まれたという。 軍関係者らによると、今回の作戦はジェニン市に隣接する4分の1平方マイル未満の住民約1万7000人の難民キャンプ内の過激派標に焦点が当てられたという。
 「キャンプは言葉の完全な意味で戦闘地域だ」とキャンプの運営を支援する地元委員会のメンバーは作戦開始後に語った。住民はイスラエル軍による大規模な侵攻を恐れていたが、これほど暴力的で破壊的な事態は予想していなかった。
 これまでのところ、今年はヨルダン川西岸のパレスチナ人にとってここ10年以上で最も死者数の多い年となり、過去6か月で140人以上が死亡した。 また、アラブの攻撃でイスラエル人30人近くが死亡した。
 イスラエルの専門家は、ガザなど他の地域への敵対行為の拡大を避けるため、イスラエルが数日以内に作戦を終了すると予想していると述べた。 最近の報復攻撃がスパイラル状に拡大する懸念が高まっている。
【コメント】
 ウクライナの戦争の前では、パレスチナの騒乱は小事に見える。不思議なものだ。

2.難しい中国訪問
【記事要旨】
 ジャネット・イエレン氏は今週、世界二大経済大国の間の緊張緩和を目指し、米財務長官として初めて中国を訪問する。
 木曜日に始まるイエレン氏の訪問は、先月のアントニー・ブリンケン国務長官の北京訪問に続くものである。 ここ数週間、イエレン議長は中国に対して穏やかな態度を取っており、国家安全保障を守るために中国への依存度を下げることを目的とした米国の行動にもかかわらず、両国は経済を「切り離す」にはあまりにも絡み合っていると主張するとみられる。
 「今回の訪問は、イエレン氏にとってこれまでの経済外交における最大の試練だ。今回の訪問は数カ月かけて準備されており、バイデン大統領と習主席が昨年、米中関係の悪化回避に努めることで合意した後に実現したが、多くの経済政策問題については深い意見の相違がある。」とタイムズの経済専門家は見る。
 国家安全保障への脅威を理由に、米国は中国による半導体、A.I.および高度テクノロジーへのアクセスを制限しようとしている。中国は、米国のマイクロン・テクノロジーを対象とした禁止措置を導入した。
 両国の経済は不確実性が高まっている時期にある。 パンデミック後の中国の生産は低迷している一方、米国はインフレを抑制しながら景気後退を回避しようとしている最中だ。
【コメント】
 イエレン女史は見かけはソフトだが理念を大事にするプロフェッショナルだ。表面を糊塗するのではなく本質的な議論が交わされるはずだ。訪問後の会見に注目したい。

3.ロシアの監視活動
【記事要旨】
 ロシアは、国民を追跡し、ウクライナ戦争に対する国内の反対派を抑圧するため、デジタル監視ツール技術産業を育成している。 一部の企業は海外での事業拡大を図っている。
 こうした技術により、ロシア当局は、WhatsAppやSignalなどの暗号化アプリでの活動の追跡、匿名のソーシャルメディアユーザーの特定、人々のアカウントへの侵入など、電話やウェブサイトを中心とした覗き見機能へのアクセスが可能になったという。
 メッセージを傍受しなくても、誰かが複数の電話を使用しているかどうかを特定し、関係ネットワークをマッピングすることもできる。
 「ロシアでは、中国のようなやり方でインターネット規制を徹底的に見直す取り組みが行われている。ロシアは中国企業の競争相手として台頭するだろう。」と専門家は見ている。
【コメント】
 こういう報道を見るとロシアは巨大な北朝鮮化しているように見える。こうした技術は当然欧米でも開発に必死になっており、情報化社会は監視社会、プライバシーの無い社会になる実態がわかる。

その他:
原油の協調減産
 Saudi Arabia and Russia will cut oil production to try to boost weak prices.
香港の民主化を海外で逮捕
 Hong Kong issued arrest warrants for eight overseas activists accused of serious national security offenses, Reuters reports.
チュニジアの魚事情
 Tunisians love canned tuna. They put it on everything from pizza to pastries. But inflation is transforming the staple into a luxury item.
And as globalization would have it, very little local Tunisian tuna goes to Tunisians. Most of it is exported, and the country has had to start importing lower-quality fish.

2023年7月4日 火曜日

世界の動き 2023年7月3日 月曜日

今日の言葉:
「自分が出来なければ顧客にアドバイスできない」
 政府がサイバー攻撃を受けた当事者である富士通に異例の行政指導に踏み切った。データ漏洩に8カ月も気づかず、立て続けに3度の不正アクセスを許すなど、対策がずさんで経営陣が責任を果たしていないことを重く見た。サイバー攻撃による安全保障上の懸念が高まり、日本だけでなく海外でも政府が企業の管理責任を問う例が出ている。
 問題になったのは、インターネット回線サービス「フェニックス」へのサイバー攻撃だ。同社のクラウドサービスを使うため、政府機関や大手企業が利用していた。少なくとも2022年3~11月、複数回にわたり、顧客のデータが外部に漏洩していた。
 原因は富士通側がネットワーク機器の設定を誤ったことだが、富士通は不正アクセスを受けていることに気づくことができなかった。
 富士通のシステムでは、マイナンバーカードを使った証明書の交付サービスで誤交付が相次ぐ。同社はサービスを停止して点検を実施。17日に点検を終え異常はないとしたが、その後、新たな誤交付が発覚した。点検すらおぼつかないことが明らかになり、29日には再び全自治体でシステム停止と再点検を発表した。
 富士通の時田隆仁社長は26日の定時株主総会で「富士通の株主として大変な心配や不安を持っているかと思う。深くおわび申し上げる」と謝罪したが、一連のサイバー攻撃の被害を通じた記者会見などは開いていない。(以上、日経記事より)
 我が国のシステムインテグレーターの最大手のお寒い現状が浮かび上がる。

ニューヨークタイムズ記事より
1.フランスでの抗議活動の週末
【記事要旨】
 警察による17歳射殺事件を受け、複数の都市で暴動が発生し、フランスは金曜と土曜の夜、全国に4万5000人の警察官を配備した。 政府は、デモ参加者らが車を燃やしたり、建物に放火したり、警察署の外で花火をしたりするなど、2晩にわたるデモで約2000人が逮捕されたと発表した。
 土曜の夜は前夜に比べて穏やかだったが、市長を狙った2件の襲撃事件が起きた。一人の市長はデモ隊が自宅に車を突っ込んで放火し、妻と子供の1人が負傷した。別の市長は車が放火されそうになった。
 土曜日、パリ郊外ナンテールのモスクとその周囲に数百人が集まり、射殺された十代の少年ネヘル・Mさんを追悼した。 多くの人は、アルジェリアとモロッコ系のフランス国民である犠牲者に自分自身を重ね合わせた。
 フランスは先週、サッカーにおける宗教的シンボル(ヒジャブを含む)の禁止を制定した。 このタイミングは偶然だったが、フランスのアイデンティティと宗教包摂の危機を浮き彫りにした。
 マクロン大統領は緊張のさなか予定されていたドイツ訪問を延期した。 衝突は仏領ギアナを含む海外のフランス領にも及んだ。
【コメント】
 潜在的な鬱屈知した不満に着火されたあと、略奪・暴行という愉快犯的な動きが拡大する。マクロン大統領は理念を重んじる人だから、暴徒に簡単に妥協しないだろう。労働不足に対応して安易に導入した移民政策は慎重にしないといけない教訓だ。

2.ギリシャの海上での致命的な無策
【記事要旨】
 先月、地中海で移民船が沈没し、600人以上が死亡した。 タイムズ紙の調査では、この死亡を防ぐことができた可能性があることが判明した。
 ギリシャ当局は移民船がイタリアに向かっていたと述べてきたが、タイムズの調査では、移民船は最後の6時間半にわたってループ状に漂流していたことを示している。
 生存者らによると、乗客は助けを求め、中には飲料水を配るために停止したタンカーに飛び乗ろうとした人もいた。 これらの記述は、移民たちは救出を望んでいなかったというギリシャの主張と矛盾している。
 乗客たちはイタリアへの密航のために総額350万ドルも支払った。 パキスタン人が船底にいた。 女性と子供は真ん中にいた。 そしてシリア人、パレスチナ人、エジプト人が上にいた。 少なくとも350人のパキスタン人のうち、生き残ったのはわずか12人だった。 女性と幼い子供たちは船とともに沈没した。
 EU 当局は、救助を行うと、密航業者がより脆弱な船にさらに多くの人々を乗せることになるのではないかとの懸念から、救助を延期することが多い。 ヨーロッパの政治が右傾化しているため、新たに到着する船舶はいずれも政治的発火点となる可能性がある。
【コメント】
 これはギリシャの話だが、イタリアでもチュニジアからの移民船が毎日2000人近い人を乗せてたどり着くそうだ。イタリアとチュニジアは120Kmしか離れておらず関釜フェリーの距離の約半分だ。
 南ベトナム崩壊時に日本はボートピープルの来襲を免れたが、このような事態が日本近海で起きることを政府は想定して対策を練っておく必要がある。

3.カブールでは米国の影響が残る
【記事要旨】
 タリバンが約2年前に西側支援の政府を打倒して以来、アフガニスタンにおける米国の国づくり努力の痕跡はほとんど消された。 しかし、20 年にわたるアメリカ占領の文化的遺産は、スヌーカー ホール、ビデオ ゲーム場、コーヒー ショップ、書店に今も生き続けている。
 影響はカブールで最も顕著だ。現在、アフガニスタン全土で女性は高校や大学への入学を禁じられているが、首都の一部のカフェでは、タリバンの口頭命令を無視して、女性が音楽を聴いたり、男性と交流したりすることさえできる。
 都市部の若い世代の一部にとって、これらのカフェや店舗は、タリバン政府によって国が作り変えられているという現実からの逃避となっている。タリバン政府は、以前の政権よりも彼らにとっては異質に感じられる。
【コメント】
 敗戦後の日本はアメリカ文化に魅了された。カブールの若者の心情は
よく理解できる。この文化的な魅力は米国は他の国々を圧倒している。対中国政策を考える際も米国は自分の武器として使うべきだ。

その他:
ウクライナの戦争は続く
 Russia launched drone attacks on Kyiv for the first time in nearly two weeks, Ukrainian officials said.
 The counteroffensive is moving slowly: It took Ukrainian soldiers days of fighting to retake just one tiny village.
米国最高裁の保守派的な判断
 The U.S. Supreme Court on Friday struck down President Biden’s plan to cancel student debt for tens of millions of borrowers. It also backed a web designer who said she had a right to refuse to provide services for same-sex marriages.
日本のアイヌ
 Over a century ago, the Ainu — an Indigenous group in Japan — lost the right to fish for salmon in a Hokkaido river. But a group representing them has sued the government to reclaim fishing rights, four years after Japan legally recognized the Ainu as the nation’s Indigenous people. Some see the fight as an effort to restore a last vestige of a decimated culture.

2023年7月3日 月曜日

資産所得倍増計画

「資産所得倍増元年 – 貯蓄から投資へ」岸田総理からのメッセージ – 令和5年6月30日を拝見した。

拝見して、これまで理解できなかった「資産所得倍増」の意味が明確にわかった。岸田首相は総裁選に立候補した際は「所得倍増」と高らかに謳っていたがその後言わなくなった。今言っているのは、「所得倍増」でも「資産倍増」でもなく、「資産所得倍増」だ。

経済成長率がどう頑張っても3%程度の我が国では、所得にしろ資産にしろ倍増するには25年程度かかる。だから、「資産倍増」も「所得倍増」も絶対に不可能だ。5歳の子供でも分かる話しだ。

ところが、「資産所得」を「資産からの所得」と考えれば、それを倍増するのは難しくない。貯蓄から投資へと首相は言っているが、金利0.01%のメガバンクの定期預金から、配当利回り4%程度のメガバンクの株式投資へ転換すれば、それだけで、資産所得は400倍になるのだ。

「リスクは自分でとって、NISAやIDECOや株式投資信託や個別株へ投資をしなさいよ。さすれば、資産所得は苦も無く倍増しますよ。」これが岸田首相の言う「資産所得倍増」の真実だ。

2023年7月1日 土曜日