世界の動き 2023年7月3日 月曜日

今日の言葉:
「自分が出来なければ顧客にアドバイスできない」
 政府がサイバー攻撃を受けた当事者である富士通に異例の行政指導に踏み切った。データ漏洩に8カ月も気づかず、立て続けに3度の不正アクセスを許すなど、対策がずさんで経営陣が責任を果たしていないことを重く見た。サイバー攻撃による安全保障上の懸念が高まり、日本だけでなく海外でも政府が企業の管理責任を問う例が出ている。
 問題になったのは、インターネット回線サービス「フェニックス」へのサイバー攻撃だ。同社のクラウドサービスを使うため、政府機関や大手企業が利用していた。少なくとも2022年3~11月、複数回にわたり、顧客のデータが外部に漏洩していた。
 原因は富士通側がネットワーク機器の設定を誤ったことだが、富士通は不正アクセスを受けていることに気づくことができなかった。
 富士通のシステムでは、マイナンバーカードを使った証明書の交付サービスで誤交付が相次ぐ。同社はサービスを停止して点検を実施。17日に点検を終え異常はないとしたが、その後、新たな誤交付が発覚した。点検すらおぼつかないことが明らかになり、29日には再び全自治体でシステム停止と再点検を発表した。
 富士通の時田隆仁社長は26日の定時株主総会で「富士通の株主として大変な心配や不安を持っているかと思う。深くおわび申し上げる」と謝罪したが、一連のサイバー攻撃の被害を通じた記者会見などは開いていない。(以上、日経記事より)
 我が国のシステムインテグレーターの最大手のお寒い現状が浮かび上がる。

ニューヨークタイムズ記事より
1.フランスでの抗議活動の週末
【記事要旨】
 警察による17歳射殺事件を受け、複数の都市で暴動が発生し、フランスは金曜と土曜の夜、全国に4万5000人の警察官を配備した。 政府は、デモ参加者らが車を燃やしたり、建物に放火したり、警察署の外で花火をしたりするなど、2晩にわたるデモで約2000人が逮捕されたと発表した。
 土曜の夜は前夜に比べて穏やかだったが、市長を狙った2件の襲撃事件が起きた。一人の市長はデモ隊が自宅に車を突っ込んで放火し、妻と子供の1人が負傷した。別の市長は車が放火されそうになった。
 土曜日、パリ郊外ナンテールのモスクとその周囲に数百人が集まり、射殺された十代の少年ネヘル・Mさんを追悼した。 多くの人は、アルジェリアとモロッコ系のフランス国民である犠牲者に自分自身を重ね合わせた。
 フランスは先週、サッカーにおける宗教的シンボル(ヒジャブを含む)の禁止を制定した。 このタイミングは偶然だったが、フランスのアイデンティティと宗教包摂の危機を浮き彫りにした。
 マクロン大統領は緊張のさなか予定されていたドイツ訪問を延期した。 衝突は仏領ギアナを含む海外のフランス領にも及んだ。
【コメント】
 潜在的な鬱屈知した不満に着火されたあと、略奪・暴行という愉快犯的な動きが拡大する。マクロン大統領は理念を重んじる人だから、暴徒に簡単に妥協しないだろう。労働不足に対応して安易に導入した移民政策は慎重にしないといけない教訓だ。

2.ギリシャの海上での致命的な無策
【記事要旨】
 先月、地中海で移民船が沈没し、600人以上が死亡した。 タイムズ紙の調査では、この死亡を防ぐことができた可能性があることが判明した。
 ギリシャ当局は移民船がイタリアに向かっていたと述べてきたが、タイムズの調査では、移民船は最後の6時間半にわたってループ状に漂流していたことを示している。
 生存者らによると、乗客は助けを求め、中には飲料水を配るために停止したタンカーに飛び乗ろうとした人もいた。 これらの記述は、移民たちは救出を望んでいなかったというギリシャの主張と矛盾している。
 乗客たちはイタリアへの密航のために総額350万ドルも支払った。 パキスタン人が船底にいた。 女性と子供は真ん中にいた。 そしてシリア人、パレスチナ人、エジプト人が上にいた。 少なくとも350人のパキスタン人のうち、生き残ったのはわずか12人だった。 女性と幼い子供たちは船とともに沈没した。
 EU 当局は、救助を行うと、密航業者がより脆弱な船にさらに多くの人々を乗せることになるのではないかとの懸念から、救助を延期することが多い。 ヨーロッパの政治が右傾化しているため、新たに到着する船舶はいずれも政治的発火点となる可能性がある。
【コメント】
 これはギリシャの話だが、イタリアでもチュニジアからの移民船が毎日2000人近い人を乗せてたどり着くそうだ。イタリアとチュニジアは120Kmしか離れておらず関釜フェリーの距離の約半分だ。
 南ベトナム崩壊時に日本はボートピープルの来襲を免れたが、このような事態が日本近海で起きることを政府は想定して対策を練っておく必要がある。

3.カブールでは米国の影響が残る
【記事要旨】
 タリバンが約2年前に西側支援の政府を打倒して以来、アフガニスタンにおける米国の国づくり努力の痕跡はほとんど消された。 しかし、20 年にわたるアメリカ占領の文化的遺産は、スヌーカー ホール、ビデオ ゲーム場、コーヒー ショップ、書店に今も生き続けている。
 影響はカブールで最も顕著だ。現在、アフガニスタン全土で女性は高校や大学への入学を禁じられているが、首都の一部のカフェでは、タリバンの口頭命令を無視して、女性が音楽を聴いたり、男性と交流したりすることさえできる。
 都市部の若い世代の一部にとって、これらのカフェや店舗は、タリバン政府によって国が作り変えられているという現実からの逃避となっている。タリバン政府は、以前の政権よりも彼らにとっては異質に感じられる。
【コメント】
 敗戦後の日本はアメリカ文化に魅了された。カブールの若者の心情は
よく理解できる。この文化的な魅力は米国は他の国々を圧倒している。対中国政策を考える際も米国は自分の武器として使うべきだ。

その他:
ウクライナの戦争は続く
 Russia launched drone attacks on Kyiv for the first time in nearly two weeks, Ukrainian officials said.
 The counteroffensive is moving slowly: It took Ukrainian soldiers days of fighting to retake just one tiny village.
米国最高裁の保守派的な判断
 The U.S. Supreme Court on Friday struck down President Biden’s plan to cancel student debt for tens of millions of borrowers. It also backed a web designer who said she had a right to refuse to provide services for same-sex marriages.
日本のアイヌ
 Over a century ago, the Ainu — an Indigenous group in Japan — lost the right to fish for salmon in a Hokkaido river. But a group representing them has sued the government to reclaim fishing rights, four years after Japan legally recognized the Ainu as the nation’s Indigenous people. Some see the fight as an effort to restore a last vestige of a decimated culture.

2023年7月3日 月曜日