世界の動き 2022年10月26日 水曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「投資銀行」
 イギリスのスヌク新首相は投資銀行出身だ。投資銀行と言うと何やら格好いいが日本の大手証券会社とやっていることは同じだ。商業銀行(普通の銀行)が預金を集め企業や個人にお金を貸付するのが主業務なのに対して、投資銀行は主に大手企業の株式や債券発行による資金調達を支援するのが業務だ。個人からの預金は集めていないし個人への貸し出しもしていない。系列の投資顧問会社が個人向けの投資商品を開発しそれを販売することはある。同じ銀行という言葉が付いているが内容は随分違う。

ニューヨークタイムズ記事
1.イスラエルはパレスチナの民兵組織を襲撃
【記事要旨】
 イスラエルはLion’s Den(ライオンの巣)と言われるパレスチナの民兵組織を余らヨルダン河西岸地区で襲撃しパレスチナ側の発表では組織のリーダー他4人が死亡した。この民兵組織は今年になって現れたが、既存勢力に所属せず若者の支援を得ている。西岸地区へのイスラエルの入植者や兵士を銃撃してきた。イスラエルでは2019年以来5回目の総選挙が火曜に予定され、今回の襲撃は政権奪取を目指すナタニエフ派に力を与える。西岸地域での紛争は今年になって急増し、入植者によるパレスチナ人への暴行も増加している。
【コメント】
 パレスチナ問題は皮膚感覚なく理解できない。土地への執着はわかるが、北方領土、竹島を見ると日本人はつくづく執着しない民族だと思う。

2.ミャンマーでは空爆で数十人が死亡
【記事要旨】
 カチン族の反乱拠点をめがけ国軍が空爆実施し80人以上が死亡した。反政府運動を支援している組織KIOの62周年を祝う集会が狙われ、国軍の政権獲得後最大の死傷者が出た。カチン族はヒスイの産地であるミャンマー、中国、インドの国境地帯に居住する。
【コメント】
 ミャンマーの政情不安も継続している。そこに中国が付け入るスキが出来る。

3.グリナーの収監
【記事要旨】
 ロシアの裁判所はグリナーの9年間の収監を支持。弁護団は上告するか決定していない。ロシアでは上告で外交問題が絡んだ事件では判決が覆ることが無いからだ。米国はグリナーとポール・ウェラン(2018年以来収監されている海兵隊員)とロシアの武器商人ヴィクトル・ボウトとの交換を提案しているが交渉は数か月進んでいない。
【コメント】
 女子バスケとボールのスターはロシアにとって米国を揺さぶる有効な手札だ。なかなか手放そうとしない。

その他:
豪州の新予算 (長い記事です)
Australia’s government released its first budget yesterday. It is the first from the Labor Party in almost a decade, The Guardian reports.
Australia’s plan emphasizes spending on families, as well as on older adults, defense and other countries in the Pacific, The Associated Press reports.
Reuters reports that the “low-drama” budget stressed stability, pragmatism and tight controls.
Australia is anticipating an economic slowdown amid rising global inflation, The Sydney Morning Herald reports.
英国の新首相(これも長いです)
Rishi Sunak is now Britain’s prime minister.
He opted for stability and continuity in his cabinet. Jeremy Hunt, who quickly reversed Liz Truss’s economic proposals, will stay on as the top finance minister.
Sunak supported Brexit and pledged to do “whatever it takes” to send asylum seekers to Rwanda. But he has been tight-lipped about his policy agenda.
China said it supported advancing ties with Britain under Sunak, despite simmering tensions.
Sunak’s ascent has inspired some members of the Indian diaspora. But his immense personal wealth makes him less relatable.
パンデミックは身障者雇用に追い風 (これまた長いです)
The pandemic prompted more employers to consider remote work arrangements. As a result, the share of adults with disabilities who are working has soared.
A man with autism spectrum disorder, which has made it difficult for him to find steady work, recently landed a full-time job — with a 30 percent raise. “If I have my bad days, I just pick up the laptop and work from home,” he said.

2022年10月26日 水曜日

世界の動き 2022年10月26日 火曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「企業文化の監査」
企業文化は組織の気風を築き働く人のモラルややる気の形成に大きな影響を与える。金融庁は金融機関に企業文化の監査を奨励している。これはそんなに簡単な話ではない。企業トップの考えや行動(Tone at the Top)が大きく影響する。トップの考えが立派でも社員がその通り動いているとは限らない。これを確認すれば企業文化の監査ができるという安直なポイントは無い。企業活動全体の活動を監査した後で初めて企業文化の監査が出来る。

ニューヨークタイムズ記事
1.スナクが英国首相に
【記事要旨】
トラス首相に7週間前に敗れたスナクが今日英国の首相に就任する。42歳のトラスは前蔵相でインド移民の息子であり、保守党の一部からはジョンソン首相に引導を渡した人物とみなされているが、30%以上引き離されている労働党との支持率の差を如何に回復するかが課題だ。トラスの経済失政でスナクの正しさが証明されてきているが物価上昇と金利高に対処する必要がある。総選挙を望む声も出ている。
【コメント】
安定感のある経済運営と日英関係の強化も期待したい。

2.習近平の権力集中に市場は反応
【記事要旨】
香港では6%の株価下落で13年来で最安値を記録。中国本土の市場は3%下落し人民元は対米ドルで14年来の安値だ。中国のGDPが5.5%の計画を下回る3.9%と言う発表後に市場は急落した。経済の停滞があってもゼロコロナ策を堅持すると見られている。李克強や汪洋といった開放派が指導部から排除されたのも影響している。
【コメント】
「中原の大国」は独自の道を歩むのだろう。中華意識が一層高揚してゆくと見ている。

3.若い中国人は静かに抗議
【記事要旨】
「圧政的な国賊」という北京の高速道路に掲げられた横断幕の画像は若者の間で広まっている。AppleのAirDrop機能を使い地下鉄車内で画像を共有する動きなど検閲を逃れる手法が広まっている。一人の指導者、一つの党、一つの思想に息をひそめている中国の若者は静かに抗議を行っている。横断幕を掲げた人はBridge Manと若者からは称されている。
【コメント】
若者の失業率は20%と言われている。経済の困窮が政治への不満の大きな原因だろう。

その他:
ロシア軍は迎撃を準備
There are growing signs that Russia’s occupation government in Kherson is preparing the city for fighting ahead of a possible Ukrainian counteroffensive.
コロナで成績低下?
Math scores fell in nearly every U.S. state, a sign of the pandemic’s toll.
エチオピアの内戦
Math scores fell in nearly every U.S. state, a sign of the pandemic’s toll.

2022年10月25日 火曜日

世界の動き 2022年10月24日 月曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「仲本工事さん」
 昨日自宅近くの葬儀社の前に沢山の報道陣がいた。カメラマン多数が車道に乗り出し、警察が交通整理をしていた。聞けば仲本工事さんの葬儀だという。ドリフターズのバイプレイヤーだった。一番真面目そうで、演技も受けを狙ったわざとらしいものは無かった。そうそう、体操の演技では独壇場だったな。悲劇的な亡くなり方だったが、ご冥福をお祈りしたい。

ニューヨークタイムズ記事
1.習近平はグリップを強化
【記事要旨】
 習近平は3期目の国家主席に選ばれた。指導部は習近平に忠実な人物で固められ穏健派は排除された。開放的だった時代の指導者だった胡錦涛は会議中に呼ばれて退席した。強硬派の王沪宁Wang HuningはTop7にとどまり、政治局員には内政、国防に加え科学、技術に詳しい人間も選ばれた。退任した李首相の後任には、上海市のトップとして新型コロナの感染拡大を受けて厳しい外出制限を指揮した李強氏が、また、劉副首相の後任には、地方勤務が長い何立峰氏と、いずれも習主席の地方時代の部下が就くとみられている。
【コメント】
 同じ意見の人だけで固めた政治体制は弱い。経済に詳しい李克強が退き、GDPの発表が遅れている。どうなるのだろうか。習体制は集大成になるか終体制になるか。

2.ジョンソン前首相は参戦せず
【記事要旨】
 今週末の党首戦にジョンソンは参加しないと表明。前回選挙で147票を獲得したスヌク前蔵相が優位と見られている。他の候補者が100人の推薦を受けられなければスヌクは今日にも首相になる可能性がある。
【コメント】
 保守党のごたごたが続いている。支持率では約2倍の労働党は国政選挙が無いので政権奪還出来ない。

3.ロシアはウクライナの子供を移住させる
【記事要旨】
 2月の侵攻以来数千人のウクライナ人の子供がロシアに移住させられている。ロシアのTVでは戦争孤児が戦争から救われたと称賛する報道がされているが、意思に反して連れ去られてきた子供も多くいる。ロシアはウクライナの発電所の大規模な攻撃を続けている。
【コメント】
 ロシアは人を人間を捕囚するのに何の抵抗感もないのだろう。シベリア抑留を考えればよくわかる。

その他:
豪州女性がカタールで下腹部の検査を受ける
Five Australian women have sued Qatar two years after they underwent invasive medical procedures when a newborn was found in an airport bathroom.
パキスタンの政治混乱は続く
Pakistan’s election commission effectively barred former Prime Minister Imran Khan from office, escalating a political showdown and raising the possibility of mass unrest.
トランプ前大統領は召喚状を受ける
The Jan. 6 committee subpoenaed Donald Trump for testimony and documents.

2022年10月24日 月曜日

IBMのモットー”Think”から考える (その1)

    古い蔵書を整理していて、竹内均東大教授の『私の知的鍛錬法』と言う本を見つけた。1980年の刊行になっており、私が銀行に入り米国に留学して帰国してすぐに読んだ本ではないかと推測される。大阪の支店勤務で時間が取れないなかで本書の副題だった「切れっぱしからの発想」に惹かれて購入したのかもしれない。竹内教授は私が高校の頃から旺文社の参考書やラジオ講座で有名だった。当時刊行され始めた「ニュートン」という科学雑誌の編集長も務めておられ、その多彩な活動ぶりにあこがれていたのも確かだ。

 さて、同書の中に、独創力を磨くくだりがあり、竹内教授はIBMのトマス・ワトソンの逸話を紹介している。その部分を引用する。
 「世界のコンピュータ市場を独占していると言ってよいIBMではどこへ行っても「Think(考えよ)」という標語にお目にかかる。これはIBMの創業者だったトマス・ワトソンが考え出したモットーである。実はワトソンは考える前にいくつかのことを要求している。それを箇条書きにすると、
  1.考える材料を「読め」
  2.考える材料を「聞け」
  3.漠然とした考えを修正し整理するために「討議」せよ
  4.相手又は対象の状況を「観察」せよ
  5.読み、聞き、討議し、観察した内容について「考えよ」 後略」

 私が疑問に思ったのこんな回りくどいことをワトソンが本当に言っているのだろうかと言うことだ。そこでWikipediaやYouTubeでThomas Watsonの発言を調べた。便利な世の中だと痛感する。するとWikipedia で”Think (Slogan)”を検索すると、何とThomas Watsonの肉声でこの辺りの説明を聞くことができた。Watsonの発言を引用すると、
“And we must study through reading, listening, discussing, observing, and thinking. We must not neglect any one of those ways of studying. The trouble with most of us is that we fall down on the latter, thinking, because it’s hard work for people to think.”

 ワトソンの発言は竹内教授の発言ほど詳しくはないが、思考は教授の説明するプロセスを踏んで実行するのが大事だ。飛躍して一度に結論に至るのは良くない。

 ワトソンについて調べる過程で、ワトソンの名言Quoteを知ることが出来た。真っ先に出てきたのは、次のQuoteだった。

“If you stand up and be counted, from time to time you may get yourself knocked down. But remember this: A man flattened by an opponent can get up again. A man flattened by conformity stays down for good.”

“Follow the path of the unsafe, independent thinker. Expose your ideas to the dangers of controversy. Speak your mind and fear less the label of ‘crackpot’ than the stigma of conformity. And on issues that seem important to you, stand up and be counted at any cost. ”

 ワトソンはconformity (behavior that follows the usual standards that are expected by a group or society)(日本語訳は難しいが「予定調和」が最適か?)を心の底から唾棄していた人だったのだ。

 同調圧力が強くイノベーションの途絶えた日本には強烈な発言だ。Think! 肝に銘じたい言葉だ。 

2022年10月23日 日曜日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「三日天下」考

三日天下は、明智光秀が織田信長を倒して天下をとってから、わずか13日後に豊臣秀吉に滅ぼされたところから、きわめて短い間だけ権力を握ることを指す。最近では、野球のぺナントレースで首位に立ったもののすぐに陥落するような場合に使われることが多い言葉だ。

もう世界的に知られた例では、期間が少し長くなるが「百日天下」がある。  エルバ島を脱出したナポレオン1世が,1815年3月20日に再び帝位についてから,同年6月22日,帝位を追われるまでの一時的な支配を指す。ウィーン会議における列国の対立に乗じてパリに帰ったナポレオンは再び帝位についたが,ワーテルローの戦いに敗れてその支配は崩れ,セントヘレナに流された。フランス語でLes Cent Joursと言い、英語でもThe 100 Daysで通じるようだ。

最近の事例で言えば英国のトラス首相のケースが挙げられるだろう。首相に任命されてから辞任表明まで44日間という短さだ。その間、女王の国葬を支援し、ポンドを下落させ、金融市場を混乱させ、運命の逆転に耐えた。保守党の首班に指名される際に掲げた減税案や財政拡大案は今になって悪評のみが上がっている。しかし、保守党員は、トラス候補の政策を支持して彼女を保守党の党首に、更には、内閣の首班になることを支持したはずなのだ。今になっての、党を挙げての手のひら返しは酷い。

誰が次期首相になるかわからないが、日英間の緊密な関係を構築する人になってもらいたい。日本としえは米国一辺倒でないパワーバランスを構築するためにも新しい「日英同盟」が必要だ。

2022年10月22日 土曜日