世界の動き 2022年8月26日 金曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「季節性インフルエンザ」
 オーストラリアでの冬の流行状況からすると、今年の冬はインフルエンザが日本で大流行すると予想されている。過去二年間、人々のコロナへの細心の注意がインフルの流行を抑制してきたと言われるが、その風説が事実かどうか試される冬になりそうだ。コロナでは全数把握を止める代わりに、インフルの感染者と死者が毎日報道される事態になりはしないか。メディアの取扱いも注目だ。

1.新疆の人権問題の国連報告書公表は更に遅延
【記事要旨】
  バチェレ国連人権高等弁務官が5月に行った新疆ウイグル自治区の視察に関する報告書の発表が遅延している。バチェレ氏がウイグル自治区を視察したが、中国への対応が甘すぎると批判を浴び、後バチェレ氏は8月末で退任する意向を示し、その前に視察報告を公表すると約束していた。現在報告書の内容は中国がレビュー中で中国から大量の改善要求がある。10か月前に新疆の問題に国連が関与してから、報告の発表は殆ど説明なしに延期され続けてきた。
【コメント】
 報告書はどうも出そうもない。南シナ海の領土問題でも国際司法裁判所の判断を中国は無視している。中国の「横暴」に国連も国際機関も歯止めを掛けられない憂慮すべき状況だ。

2.プーチンは陸軍を強化
【記事要旨】
 陸軍の定員を137000人増員し115万人にすると発表。ウクライナでのロシア愚の死傷者は80000人にのぼるとの推定もありロシア軍の兵力不足が侵攻遅延の理由とされていた。兵員増強には国民動員の発令が必要であり、経済制裁と戦争の長期化を耐えてきたロシア国民への影響も考えられる。
【コメント】
 半年で8万人の犠牲は大きいが、プーチンへの支持率はまだ高い。今回の動きがロシア国民の厭戦気分を高めるのに期待したいがどうだろうか。

3.中国が台湾を窒息させる方法
【記事要旨】
 台湾の主要な港は西岸にあり、中国が海上封鎖するのは容易だ。海外との通信の90%を担う海底ケーブルの遮断も可能だ。台湾への直接侵攻能力はまだ中国には無いと思われるが、このような封鎖行為で台湾を窒息させることは容易だ。中国は人民解放軍の強化を進め、現在では海軍力も米国に対抗しつつある。
【コメント】
 台湾の位置はいかにも脆弱だ。どのように台湾支援を続けるのか有事のまえに努力と知恵が必要だ。

その他:
「兄弟福祉院事件」って韓国で大問題だったんですね。知らなかった。
South Korea’s Truth and Reconciliation Commission confirmed that the government had illegally helped send “vagrants” into forced detention​ at a welfare center called Brothers Home, exposing them to beatings, rapes and other abuses that sometimes led to death.
英国の首相はどうなる 鉄の女の再来か
Liz Truss has modeled herself after Margaret Thatcher in her campaign to be Britain’s next prime minister.
プライベートジェットが熱波に影響しますかね
As France reeled from extreme heat, politicians proposed regulating or banning private jets.

(2022年8月26日 金曜日)

世界の動き 2022年8月25日 木曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「成田悠輔氏」
 いまTVやSNSで露出度が急増中だ。イェール大学の助教授の天才とメディアは紹介している。まると四角のレンズの眼鏡をかけていて一度見たら忘れられない印象を残す。私は最近この人をYouTubeで追っているが、常識的なコメントをしないので面白い。少し長い講演を見ると、起承転結のはっきりした論理展開をしているが、それぞれの段階でひねりが利いていて、思いがけない結論へ導くのが特徴だ。しばらくは時代の寵児としてますますメディアへの露出が高まるだろう。

1.ウクライナ戦争6カ月
【記事要旨】
 第二次大戦後最大の地上戦が継続し両軍で死者が多数発生し、ウクライナでは660万人の難民が発生している。6カ月目の昨日、ウクライナ中部の駅へミサイルが着弾し15人が死亡したが、露の大規模攻勢は無かった。プーチンはウクライナ全土の20%を占領し戦闘を終結する意図は見られない。ゼレンスキーは「ウクライナは再生し新しい日々が諦めない理由だ」と発言。ロシア国内では戦争への無関心の維持にプーチンは成功し、ロシア経済は制裁にも耐えている。欧州はエネルギーコストの高騰に耐え、ウクライナへの連帯を維持している。バイデンは30億ドルの武器支援を約し、戦争は米国主導に変化してきている。
【コメント】
 戦争が日常になっているウクライナは日本から遠く、対岸の火事だ。外交が得意だという岸田さん、岸田ドクトリン風呂敷でも広げてみてはどうだろうか。

2.天候変化がインドの乳業を脅かす
【記事要旨】
 8千万人の農民が毎年2億トンの牛乳を生産するインドの乳業は世界最大。熱波は乳牛にストレスを与え生産がすでに11%減少。スポット豪雨が生産者に打撃を与えている。従来の高温対策は村の池に依存してきたが、池は枯渇し汚染が進んでいる。科学者は耐熱性のある新種の水牛の開発を進める。
【コメント】
 2億トンとは巨大な数字だ。日本の牛乳生産量は年間300万トンほどだ。

3.韓国の出生率は記録的低さに
【記事要旨】
 韓国の出生率は六年連続で低下し2021年には0.81になり世界最低を更新。生活不安により結婚できない若者が増える現在の問題が、将来の社会保障を不安にさせている。移民なしに人口を維持するためには出生率2.1が必要であり、米国では1.66、日本では1.37だ。韓国の人口は過去二年減少し、学童数の減少。徴兵数の減少、労働人口の減少が表面化している。労働力の減少は、ロボットやAIの活用に活路を見出す方向へ展開する見込みだ。
【コメント】
 日本より出生率が低いのは驚き。子供を作り育てるのがあたりまえという社会通念が無くなった状況をどう打開するかは東アジア全体で大きな課題だ。

その他:
今度はカナダ
China warned that it would take “forceful measures” if Canada interfered with Taiwan, after it emerged that Canadian officials would visit the island, Reuters reported.
学費ローンに支援
President Biden announced that he would cancel $10,000 of student loan debt for Americans earning less than $125,000.
カセンチーノって知ってますか
Casentino cloth, a famously durable and waterproof Italian wool produced for centuries in a Tuscan valley, has been equally popular among 14th-century merchants and Florentine lords, composers like Verdi and Puccini, and movie stars like Audrey Hepburn. But the only factory that makes the finished wool could soon close.

(2022年8月25日 木曜日)

世界の動き 2022年8月24日 水曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「核兵器の使用の脅威」
 ウクライナとロシアの戦争は6か月経っても終わりそうもない。シカゴ大学のミアシャイマー教授は核戦争の危機を世界は甘く見ていると警告する。ロシアが戦争の膠着を打開したいとき。ウクライナが負けそうで米国が参戦するとき。ウクライナがロシアの占領地域を回復するとき。この3つの事態でロシアは核を使用する可能性が高いと教授は警告する。そうだとすると、戦争がどう進んでもロシアは核を使用することになる。教授の「世界の破滅のシナリオ」が現実にならないことを祈るのみだ。

1.マレーシアの前首相が刑務所へ
【記事要旨】
 2年前ナジブ・ラザク首相は巨額の収賄容疑に問われた。月曜に最高裁は同氏の控訴を棄却し、12年の刑が確定した。英国で教育を受けた元首相の息子で、ずっと政界の要職を占めてきたエリートであるナジブ前首相への判決確定はマレーシアの司法が独立して機能していることをしめす出来事。ナジブは1MDBという政府関連ファンドから9.8百万ドルを賄賂として受領して、ヨットやピカソの絵画の購入、息子が「Wolf of Wall Street」という映画を作る資金などに費消していた。ナジブはこれ以外に同ファンドから消えた98億ドルの資金への関与が疑われている。
【コメント】
 身分社会のマレーシアではナジブのような政治貴族は絶対罪に問われることは無いと信じられてきたが、三権分立と民主主義の勝利だ。

2.ウクライナの危機に瀕する原発
【記事要旨】
 国連安保理は火曜に緊急会合を開きザポリージャ原発を巡る危機を話し合った。原発への着弾に関しロシアとウクライナはお互いを非難している。原発はロシアが占領しウクライナの技術者が運営している。ウクライナからの要請を受け、状況が許せばIAEAが近日中に査察予定。米情報局は開戦6カ月目でウクライナの独立記念日でもある今日、ロシアが攻勢を強めると警戒。
【コメント】
 ロシアは巨大な原発を「人質」として核兵器と同様の脅威を欧州に与えている。

3.トランプは700ページに及ぶ極秘文書を所持
【記事要旨】
 トランプ大統領がホワイトハウスからフロリダの自宅に700ページに及ぶ極秘文書を持ち出したことが判明し、捜査当局はその重大性を精査している。トランプの弁護士は元大統領に与えられた特権だと主張。FBIは、トランプは「特別アクセスプログラム(SAP)」に関連する書類も保持していたと説明。
【コメント】
 米国の極秘書類とはどんな内容なのだろうか。なかなか想像するのが難しい。漏れると国の根幹が揺らぐような情報なのだろうか。

その他:
パキスタンの政治混乱
Imran Khan, the former prime minister of Pakistan, was asked to appear in court next week as prosecutors considered charging him with contempt on top of recent antiterrorism charges, Reuters reports.
ニカラグアでは
In Nicaragua, a wave of government attacks on Catholic church leaders has extinguished the last independent voice in the country.
ウクライナだけで資金枯渇
Soaring needs and wealthy countries’ focus on Ukraine have left U.N. aid agencies with too little money to address other crises, forcing them to cut programs.

(2022年8月24日 水曜日)

世界の動き 2022年8月23日 火曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「日野自動車の不正」
 中大型車に続き小型車でも排ガス調査不正が20年間も行われていたそうだ。日野は2001年以来トヨタの子会社になっており、社長は4代にわたりトヨタから送り込まれてきた。かかる事態を見過ごしてきたトヨタの対応を注視したい。日野は存続にかかわる危機だ。

1.パキスタンで高まる政治的緊張
【記事要旨】
 4月に不信任投票で解任され、復権を目指していたたイムラン・カーン元首相は日曜に反テロリスト法で逮捕された。カーンは側近が逮捕されたことを受け現政権への批判をイスラマバードで強力に展開していたところで、警察は法を犯すレベルと判断した。政情不安と暴力の拡大が懸念される。カーンの政党は最大人口のパンジャブ州と首都カラチでの選挙で勝利し勢いづいているが、現政府はカーンの動きへの報道に制限を掛けるようメディアを規制している。
【コメント】
 カーンは元クリケット選手で、失政で失脚したが国民的な人気がまだ高いようだ。現政権が圧政をしているように最近の報道では見える。実情はどうなのだろうか。

2.フィリピンで学校再開
【記事要旨】
 コロナによる長い登校制限が解除されフィリピンの学童がクラスに戻ってきた。教育省でもあるドテルテ副大統領は教育強化を謳うが、フィリピンの教育レベルはコロナ前でも低く、10歳では90%が読み書きが出来ないレベルだ。コロナ下で政府は遠隔教育に力を入れたが機器を持てない児童が多数いて教育レベルの格差が拡大してきた。学童が学校に実際に通うことにより、老人まで抱える大家族主義フィリピンでコロナ感染が拡大をもたらさないか政府は注視している。
【コメント】
 若い世代の多い伸び盛りの国で教育は国の礎だ。頑張れフィリピン。

3.干ばつが中国の経済に打撃
【記事要旨】
 中国の中央銀行は昨日基準金利の引き下げ(5年物を0.15% 下げ4.3%へ、1年物を0.05%下げ3.65%へ)を発表し、建設不動産部門への支援を示す。激しい干ばつで農業と水力発電に影響が出ている中部西部での経済的打撃のさなかでの利下げでもある。四川省のダムは豊富な水量で発電し都市部に送電してきたが、渇水の現在、四川省での電力需要も満たすことができず、電力の供給制限による停電を進めている。
【コメント】
 小幅の引き下げで経済刺激効果は殆どないと見る。

その他:
米韓合同演習
The U.S. and South Korea began their largest joint military drills in years yesterday, The Associated Press reports.
モスクワでの爆殺
Russia blamed Ukraine for the killing of Daria Dugina, 29, an ultranationalist commentator. The allegation could not be verified. Kyiv denied involvement.
ブラジルのトランプ
Jair Bolsonaro, Brazil’s president, has suggested that he would dispute election results if he lost in October. But the political establishment believes he lacks support to stage a coup.

(2022年8月23日 火曜日)

世界の動き 2022年8月22日 月曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の言葉:
「食物輸出制限」
 世界中で食料、特に小麦の輸出制限が広まっている。ロシアとウクライナの戦争や異常天候の備え自国内に食料を蓄えようという動きだ。コメが主食の我が国は相対的にこうした動きからは被害を受けにくい。小麦の輸入への依存を減らす工夫も必要だ。我が家の近くに「那須のコメコのパン屋さん」がある。美味しいパンが揃っておりよく利用する。世界の動きへ個人ができるささやかな抵抗だ。

1.シンガポールは同性間の性交を非犯罪化
【記事要旨】
 リーシェンロン首相は男性間の同意による性交を非犯罪化し、同性間の婚姻も許す憲法改正を行うと述べた。2007年の法改正で性交への規制が緩和されたが、男子間の性交は禁止されてきた。2月にシンガポールの最高裁は現行法は違憲と判断。2018年のインドでの判断に続き旧英国植民地での判断に続き、旧植民地での法律を改正する動き。
【コメント】
 こんな法律がまだ存在していたとは驚きだ。英連邦諸国では基本的に同様の法律が存在してきたようだ。

2.ロシアで暗殺か
【記事要旨】
 ロシアの捜査当局は21日朝、右派思想家として知られるアレクサンドル・ドゥーギン氏の娘で、ジャーナリストのダリヤ・ドゥーギナ氏がモスクワ郊外で運転していた父親の車に仕掛けられた爆弾の爆発で死亡した、と発表。ドゥーギン氏は「ネオ・ユーラシア主義」を提唱。反欧米路線を訴え、ウクライナ侵攻を強く支持した。ウクライナは事件への関与を否定。
【コメント】
 仕掛けられた爆弾が爆発するとはスパイ映画を見るようだ。薬殺、銃殺、爆殺とロシアではなんでもありですね。

3.インドで強姦犯罪者が解放される
【記事要旨】
 イスラム教徒の女性を強姦し3歳の娘を殺した11人のヒンズー教徒の無期懲役の受刑者が15年で解放されることになった。2002年にグジャラッド州で起きた大きな人種間の紛争で暴行や殺人が起き1000人以上のイスラム教徒が殺された。この時の州のトップはモディ首相だった。
【コメント】
 根深い宗教間の対立は解決策がない。宗教には必ず独善性と他の宗教への優越が盛り込まれているからだ。

その他:
岸田首相のコロナ
Fumio Kishida, Japan’s prime minister, was diagnosed with Covid, The Associated Press reports.
こんなニュース日本でありましたっけ
Japan is trying to revive its ailing alcohol industry. The latest idea: A contest to encourage young people to drink more.
住宅価格での人種差別
In the U.S., a home was appraised at $472,000 with a Black owner. When a white man stood in as the owner, it was valued at $750,000.

(2022年8月22日 月曜日)