世界の動き 2022.5.11 Wednesday

N.Y. Times 電子版より
今日の一言:
今朝はWifiがつながらなくて弱りました。
いくつかの機器を試してやっとつながり一安心。
知床の事故の教訓通り、「通信の複線化は絶対に必要」と痛感した次第です。

1.韓国で新大統領が就任
【記事要旨】
尹 錫悦(ユン・ソンニョル)氏が就任演説で国内政治の分断を克服し経済協力による北朝鮮の非核化を呼び掛ける。超僅差で当選した新大統領は議会では野党の反対に直面するが、改革のスピードアップを約束。核実験が予想される北への対応は緊急の課題。退陣する文政権の融和策と対照的に尹は北への制裁強化に向かうが、北は軍事攻勢の脅威を強調する見込み。尹は「自由」と「民主主義」を強調し中国とは距離を置くと見込まれる。
【感想】
演説の一部を聞いたが格調の高いものだった。日本との関係改善を期待したい。

2.マルコスが大統領選で勝利
【記事要旨】
マルコスJrが大勝。負けたロブレド候補の支持者が不満をデモで表明。両者とも勝利と敗北について正式表明はしていないが世論調査ではマルコスの大勝は動かず。
1986年に前マルコス大統領のハワイへの亡命の5年後、マルコス夫人とJrは帰国をゆるされ、Jrは政治家の道を歩み、2010年以来上院議員。
【感想】
親と子は違うからJrが独裁をするというのは早計ではないかと思う。副大統領になるドゥテルテの娘とのペアが強権を予想させる。圧倒的な大勝が強権政治につながる恐れは懸念されるが、フィリピン国民の懸念は少ない。

3.日の円の価値は縮む
【記事要旨】
円は昨年9月以来18%下落し20年来で対ドル最安値。インフレ率全体はまだ低いがコロナとウクライナ戦争で、食料、燃料の輸入価格が上昇し、数十年来の物価安になれた日本の消費者に不安をもたらす。日本政府は従来インフレと円安を追求する経済刺激策を取ってきたが、その効果が反転している。こうした状況に、岸田首相は日銀の低金利策継続を支持し景気刺激は財政で行う意向。
【感想】
久しぶりに日本経済についての記事。財政については予備費の無秩序な使用が問題。国債を発行すれば良いという考えは国内で余剰貯蓄が無ければ永続しない。このまま放漫財政を続ければ本当にインフレがおこり更なる通貨の下落が懸念される。

その他:

ウクライナの戦況
Russia claimed that its forces had pushed deeper into eastern Ukraine, reaching the border between the Luhansk and Donetsk regions.
In the south, Russia launched missile strikes into Odesa, the Black Sea port city. President Volodymyr Zelensky called for pressure on Russia to lift its blockade of Ukraine’s ports to prevent a global food crisis.

(感想:米国の過大な関与が不安。当初は飛行禁止区域の設定にも反対していたのに今は何でもありだ)

やはりそうか
Elon Musk said he would reverse Twitter’s permanent ban of Donald Trump.
会議室への変化
Conference rooms are boring — and, experts say, ill-suited to collaborative work. The pandemic made room for a redesign: They’re getting smaller and squarer, filling with cozier furniture and new technology, and even moving outside.

(2022.5.11 Wednesday)

世界の動き 2022.5.10 Tuesday

N.Y. Times 電子版より
今日の一言:
2月24日以来初めてトップニュースからウクライナの戦争が落ちた。プーチンの演説に特に注目すべき内容が無かったせいだ。
季節はもう夏だ。ウクライナにヒマワリが咲き始める。

1.マルコスが大統領に
【記事要旨】
 マルコスJrは36年前に倒されたマルコス前大統領の長男で、貧困、不正、不平等の撲滅、、更に、気候変動、コロナ対応を訴えて大幅リードにより当選確実。彼の当選は東南アジアで最も古い民主主義国家の将来に疑問符を投げかける。ドテルテ政権の政策の継承をマルコスは主張するが、ドテルテの違法な麻薬取り締まりを免責する見込み。
【感想】
 マルコスJrの当選が民主主義の抑圧につながるというTimesのロジックは良く理解できない。Jrは大衆に迎合する政策を取るはずで民主化の抑圧策をすぐ取るとは思えないからだ。行方を見守りたい。

2.スリランカの首相退陣
【記事要旨】
 首相の Mahinda Rajapaksa が首相退陣。彼の兄 Gotabaya は大統領にとどまる。20年以上権力の座にあった兄弟は、食料、燃料、医薬品の不足への民衆の抗議で揺らいでいる。コロンボでのデモの激化により全土で夜間外出禁止令が出される。
 現在スリランカの外貨準備は50百万ドルまで減少。経済はインド等からの支援に依存している。
【感想】
 インド洋の真珠としてパンデミック前は日本人にも人気の観光スポットになりつつあった。政情不安は観光立国を不可能にする。

3.台湾はゼロコロナから転換
【記事要旨】
 北京がゼロコロナを強化するのに対し台湾はコロナとの共生策に転換。感染者で軽症と無症状者は入院させず自宅療養に転換。入国者への入国後無接触期間も短縮。人々の自由を守りつつコロナを押さえるという台湾の政策は中国への批判でもある。
【感想】
 台湾の制限が緩めば日本人観光客がどっと押しよせるだろう。小籠包、飲茶は絶品ですな。

その他:
ロシアの戦勝記念日
President Vladimir Putin praised Russian forces in a defiant Victory Day speech, and repeated his slander of Ukrainian forces, calling them “Nazis.” But, with an eye toward domestic public opinion, Putin did not signal an escalation.
ウォーホールの名作は極端な高値に
It’s estimated that an Andy Warhol silk-screen print of Marilyn Monroe will sell for about $200 million, the highest auction price ever for an American artwork.
ブラックホールからの音ですか?
As part of an effort to “sonify” the cosmos, researchers have converted the sound of pressure waves from a black hole, a B flat 57 octaves below middle C, into an audible … something. Check it out here.

(2022.5.10 Tuesday)

世界の動き 2022.5.9 Monday

N.Y. Times 電子版より
今日の一言:
やっとGWが明けた。人出が著増したようだが少しは景気回復に効果があったのだろうか。
GWの間の最大のニュースはプーチンが癌の手術をするという噂。胃がん説、甲状腺がん説があるが事態がどう変わるのだろうか。膨らんだ顔つきはステロイド治療の為との見方もある。

1.5月9日は何をもたらすか
【記事要旨】
対ナチ戦勝記念日が、プーチン下でロシアの軍事力誇示の記念日に変化している。日曜には東部2州を対ナチ戦闘の立役者と称賛した。マリウポリでは女性子供の退避が終了。製鉄所内の部隊は徹底抗戦を表明。プーチンは負けられない戦争が上手く進んでおらず危険な状況とCIA高官が語る。
【感想】
いずれにしても、今日プーチンがどういう演説をするかに注目。

2.香港の行政長官は中国政府の人間
【記事要旨】
中国政府が支援するJohn Lee李家超が行政長官に選出された。2019年以来警察長官として民主化運動を弾圧し国家安全法の施行により民主化メディアを封殺してきた。本土からのゼロコロナ政策の強制にどう対応するかに注目が集まる。
【感想】
自由な国際的な金融センターとしての香港の行方に注目したい。東京が香港のシェアを取れるのに、動きが鈍い。

3.アフガンの女性への抑圧
【記事要旨】
女性は公共の場では頭からつま先まで布でカバーしなければならないとタリバン政権は発表。ブルカが望ましいがヒジャブでも構わない。この法に違反すると投獄されその夫も逮捕される。ラマダン明けでも日常生活の改善は見られず。
【感想】
人口のほぼ半分から活力を奪う愚策。日本も女性の活用を根源的に考えないと成長はないと改めて思う。

その他:
米の台湾支援
The U.S. is pushing Taiwan to order American-made weapons for asymmetric warfare, which would help its small military repel a seaborne invasion by China.
英も頭が痛い
In a seismic shift driven by Brexit, the nationalist party Sinn Fein won the most seats in Northern Ireland’s government.
仏の植民地支配の残滓
Louis Faidherbe, a French general, helped shape Senegal’s former capital — and also led brutal military campaigns in West Africa. Now, the city is divided over what to do with a bronze statue of him that has stood in a central square for more than a century.

(2022.5.9 Monday)

全ての品が商品になり値段が付く

いま家の中を整理している。海外勤務が長く、転勤を繰り返して来た。日本からタイへ行き、空けられないまま、ニューヨークへ行き、そのまま日本へ戻ってきたような段ボール箱がいくつもある。段ボールを空けるとまるで玉手箱のようで数十年前の思い出がよみがえる。

 二つの品についての経験を述べてみたい。
 一つ目は、「ペコちゃんポコちゃのクリスマスTable Bell」だ。これはいつどこどのように入手したか記憶が無い。多分、不二家でクリスマスケーキを予約し、おまけでもらったものではないか。このベルを誤って床に落として破損した。ダメもとで調べたら、すぐAmazonで売り手が見つかり、今日入手した。ペコポコの綺麗な絵が描かれ、振るときれいな音色がするテーブルベルだ。代引き手数料と送料を含み1800円ほどで入手できた。上出来だ。
 二つ目は、「あしたのジョーボクシンググラブ」だJose Mendozaとも書いてある。これは多分次男がニューヨークで手に入れたものと思われる。売れるかどうかとヤフオクを見たら1000円程度で商品として提供されている。1000円では送料を負担すると取り分は殆どないがすでに商品として出ているのは驚きだ。

 随分マニアックな品物が、商品になり、値段が付いている。個人間の取引が、商店といった既存の商流を経由せずに成立しているのだ。恐るべし、ECの役割。世界中の個々人がネットで繋がり商取引を成立させている。恐るべし究極の市場経済。

(2022.5.8 Sunday)

『日はまた昇る』ビル・エモット著を再読する

ヘミングウェイの名作ではない。英エコノミスト誌の東京支局長をつとめたビル・エモット氏による2006年2月に著された本だ。同氏は『日はまた沈む』1990年3月刊でバブルの崩壊を予言したことで有名であり、私は急落する日経平均を横目に同書を大いなる共感を持って読んだ記憶がある。

さて『日はまた昇る』はどんな本か。Amazonでは以下のように紹介されている。
「英『エコノミスト』誌編集長による待望の「日本復活宣言」。著者は90年のベストセラー『日はまた沈む』でバブル崩壊を見事に予測した。以来15年間、日本は低迷を続けたが、著者はこの間に日本がゆっくりと、確実に変わったと指摘する。債務と生産能力と雇用における三つの過剰が解消し、制度改革は経済を効率化した。そして正規雇用と所得の回復も見えはじめている。ようやく「日は再び昇りはじめた」。さらに競争と効率化と生産性上昇を促せれば、少子高齢化社会でも年3パーセントの成長が可能だろう、日本という国は歩みの遅い着実なカメであり、足は速いが不安定なウサギである中国に将来的には勝つだろうと予測している。
昨年より株価が上向き、景気回復が言われるが、まだ半信半疑という人も多い。本書はいま日本人が最も読みたい一冊であり、東アジア情勢の展望、政治の変化と靖国問題も論じられ、読みごたえがある。」

私はこう考える。「昇る」が刊行されたのは5年半にわたる小泉政権(2001年4月-2006年9月)の末期で、日本になにがしかの変化の萌芽が出てきたころだった。債務の膨張する大企業(日産やダイエーに代表される)のリストラが進み、2002年の竹中プランで大手銀行の不良資産の半減が打ち出され、金融機関の淘汰の始まる時期だった。

個人的には、大手銀行からバイアウトファンドに転職し、仕事の面白さに取りつかれ、日産やダイエーに関係する大型案件が出てくることに、日本も変わったという印象を強く持った時期だった。失われた10年が終わるかもしれないという希望も持てた。

エモットはこうした暁光期に、「着実な亀が不安定なウサギに勝つ」と日本への希望を述べたがその後はどうか。小泉政権後は首相が1年で変わり、民主党政権が混乱のうちに生まれ、消えた。東日本大震災が国民の不安を募り福島原発の事故がそれを永続させている。無理をして呼んだ東京五輪が多くの無様さを残しコロナ下で何とか終了した。カメはSlow and steadyではなく、ひっくり返ったままだ。

2010年に中国のGDPは日本を抜き、2021年には日本の3倍になっている。GDPだけが国の成功・失敗を示すものではないという見方もあるが、エモットが述べた、「競争と効率化と生産性の向上」は何一つ達成できていない。

世界の不安定要素となっている強権中国を牽制すべき、アジアの成熟した資本主義国としての矜持も日本の政治には見られない。景気回復策として財政出動と金融緩和を繰り返し、成長と発展の柱たるべき企業家精神は低迷している。

エモットの言う「日はまた昇はる」ことは無かった。が、臥薪嘗胆だ。大谷翔平を見よ。松山英樹を見よ。羽生結弦を見よ。スポーツで出来ることはビジネスでも出来るはずだ。若い世代の起業家精神に期待し、出来る限りのサポートをしたい、と思う今日この頃だ。

(2022.5.7 Saturday)