世界の動き 2025年4月17日 木曜日

今日の一言
「飛んで火にいる夏の虫」
 トランプと三者会談をする赤沢氏のことだ。英語でいうと
It’s like a moth fling into flameと言えば通じそうだ。(DMMより)
 赤沢氏はコーネルのMBAだそうだから、トランプ氏らの非論理的な主張に対して十分に議論して日本の国益を守って欲しい。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.判事がトランプ政権関係者を侮辱罪で訴追すると警告
【記事要旨】
 ワシントンの判事は昨日、トランプ政権による移民強制送還をめぐり、強制送還された男性たちに異議を申し立てる機会を与えない限り、同政権に対する侮辱罪の捜査を開始する(open a contempt investigation)と発表した。
 ジェームズ・ボアズバーグ判事は、政権が先月、移民たちをエルサルバドルに送還するのではなく米国内に留め置くよう命じた命令に違反した「相当な理由probable cause」があると述べた。
 捜査開始に向けた動きは、裁判所命令を無視する姿勢を見せたホワイトハウスの責任を問おうとする判事の注目すべき試みだ。
 今後の展開:ボアズバーグ判事は、ホワイトハウスが命令に従わない場合は、責任者を特定するために関係者に宣誓供述書の提出を命じる(order sworn declarations)と述べた。それが認められない場合、証言録取を求めるか、宣誓供述書に基づく公聴会を開く(require depositions or hold hearings under oath)。それでも認められない場合、ボアズバーグ判事は、この事件を司法省に送致し、刑事訴追(criminal prosecution)を行うと述べた。
エルサルバドルへのミッション:民主党上院議員のクリス・ヴァン・ホーレン氏は昨日、米国から誤って国外追放されたエルサルバドル移民のキルマー・アルマンド・アブレゴ・ガルシア氏の釈放を求めるため、エルサルバドルを訪問した。
【コメント】
 トランプ政権への司法からの反撃だ。判事の勇気ある行動を支援したい。それにしても法律用語は難しいので英文も出来るだけ併記した。

2.米中貿易戦争に巻き込まれた半導体メーカー
【記事要旨】
 米国の半導体大手エヌビディアの株価は昨日、同社が米国政府が中国への一部半導体販売を制限すると発表したことを受けて7%近く下落した。議会委員会もエヌビディアに対する調査を開始し、同社が中国の先進AI技術開発を故意に支援していたかどうかを調査しようとしている。
 トランプ大統領はまた、世界の先進半導体の大半が生産されている台湾への関税賦課を示唆している。中国も同様に台湾の半導体市場における優位性を問題視している。しかし、米国とは異なり、中国は技術輸入の障壁削減を目指している。

関税に関する詳細
・トランプ大統領は、世界貿易に関する大統領の考え方において特別な位置を占める日本とのワシントンでの関税交渉に出席すると述べた。
・中国の国内総生産(GDP)は、貿易制限に先立ち工場が輸出を急いだため、第1四半期に1.2%増加した。
・カリフォルニア州は、トランプ大統領による相次ぐ関税措置が州経済に回復不能な損害を与えたとして訴訟を起こした。
・中国は世界のレアアース産業を掌握し、今や米国への重要資源の輸出を制限している。
・学生や観光客は、米中貿易戦争において、近い将来、交渉材料となるかもしれない。
【コメント】
 西伊豆へ小旅行したが中国人観光客が目立った。東大をはじめとする日本のレベルの高い大学への中国人留学生が目立っている。国策としてインバウンドにどのように対応するかは、米中間だけでなく日中間でも課題になっている。

3.イスラエル、ガザ地区で「途方もない武力」行使を警告
【記事要旨】
 イスラエル国防相は昨日、ハマスが速やかに人質を解放しなければ、ガザ地区での戦闘は間もなく「途方もない武力」を行使し、人道封鎖が長期化すると警告した。
 国連は、ガザ地区の人道状況は紛争開始以来最悪の状況にあると指摘し、住民は飢餓の危機に瀕していると述べた。
 人質の苦難:ガザ地区で484日間人質として過ごしたキース・シーゲル氏は、自身が耐え抜いた苦難を語った。拘束中、彼は30回以上も隠れ場所を転々とさせられ、トンネル内で長時間を過ごした。「トンネルの中で何度も死について考えました」と、彼はタイムズ紙のインタビューで語った。
【コメント】
 北風か太陽か。イスラエル国内でも人質解放にこれ以上の武力行使は役に立たないという意見が大勢だ。

その他の記事
英国:トランスジェンダーの権利活動家にとって痛手となる判決を下し、最高裁判所はトランスジェンダー女性は法的に女性の定義に該当しないと判断した。
ドイツ:緩和ケア医が3年間で15人の患者を殺害した罪で起訴された。
イタリア:ジョルジア・メローニ首相とトランプ大統領の本日の会談は、二人の共通の理念がイタリア、そしてヨーロッパの未来を左右する試金石となるだろう。

ビジネス:タイムズ紙の調査で、欧州のウェルネス企業がオンタリオ州政府を欺き、トロントに巨大スパを建設する契約を獲得していたことが判明した。
テクノロジー:マーク・ザッカーバーグは、Metaの反トラスト法裁判で3日目の証言台に立ち、TikTokが現在同社最大の競合相手であると証言した。

2025年4月17日 木曜日

世界の動き 2025年4月16日 水曜日

お詫び:今日は所要あり先ほどまで出かけていました。
遅れた配信になり、申し訳ありません。

今日の一言
「アーミテージ氏」
 米国務副長官などを務めた国防戦略の専門家で、「知日派」としても知られたリチャード・アーミテージ氏が13日、死去した。79歳。
 2000年秋に超党派で対日戦略文書「アーミテージ・リポート」を発表し、日米関係を米英と同様に緊密化することや日本による集団的自衛権行使の必要性を強調。ブッシュ(子)政権1期目に対日政策の中心人物を務め、退任後も対日政策や知日派に影響力を持っていた。(以上Yahooより)
 縦横が同じサイズのような禿頭の顔は良く知られていた。日本が米国に柔軟になるにつれて活躍の機会が少なくなり、前回のトランプ政権やバイデン政権では目立たない存在だった。日本人は「知日」=「親日」ととらえる悪い癖があるが、アーミテージ氏などは日本に恩を売りながら米国益のために働いた代表的な人物に見える。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領、ハーバード大学との確執を激化
【記事要旨】
 トランプ大統領は、ハーバード大学への22億ドルの資金拠出を凍結した後、昨日圧力を強め、同大学の免税資格を取り消すと警告した。
 トランプ政権と米国最古にして最高級の大学との争いは、他のアメリカの大学にも影響を及ぼす可能性のある決戦へと向かっている。
 ハーバード大学は、多様性を重視した採用や反イスラエル抗議活動への寛容に関する方針やプログラムの変更を求める政権の要求を拒否した。
 詳細:500億ドルの基金を擁するハーバード大学は、資金凍結に耐える独自の立場にある。トランプ大統領の要求を断固として拒否したことで、大統領の怒りを恐れる他の大学に活力がもたらされた。
 波及効果:より強硬な姿勢を取らなかったとして批判を受けてきたコロンビア大学は、昨日、より強硬な姿勢を示す兆候を見せた。学長代行は、大学は政府による「独立性と自治権の放棄」への要求を許さないと誓った。
 関連情報:批判者たちは、政権の要求は学問の自由への攻撃だと指摘している。

トランプ氏についてさらに詳しく
・多数の訴訟をめぐる裁判所との対決において、トランプ氏はますます攻撃的な姿勢を見せている。
・J・D・ヴァンス副大統領は、トランプ氏が「心から愛している」英国と貿易協定を結ぶと予測した。
・400以上の政府機関において、トランプ氏が任命した人々は大規模な規制緩和の実施に取り組んでいる。
・政権は、ベネズエラのギャングのメンバーであるという理由で238人の移民をエルサルバドルの刑務所に強制送還した。しかし、タイムズ紙の調査では、ギャングとのつながりを示す証拠はほとんど見つからなかった。
・カナダは、カナダ国内のメーカーが生産を維持することを条件に、米国製自動車とトラックへの報復関税を条件付きで免除した。
・中国との貿易戦争にすべてを賭けるというトランプ大統領の決断は、他の問題に関する交渉を阻害する恐れがある。
・トランプ大統領の中国との貿易戦争はインドにとって良い結果をもたらすかもしれない。しかし、その準備は万端だろうか?
【コメント】
 トランプと比べると習近平の方が予見可能な大人のように見える。トランプは行動の予見できない子供のように見える。
 中国はトランプの失政で世界中の国からの支持率が高まっているようだ。

2.停戦は遠いように思えるウクライナの情景
【記事要旨】
 聖枝祭(Palm Sunday)にロシア軍の空爆が中心部の住宅街を襲い、34人が死亡した翌日、本紙記者2人とカメラマン1人がウクライナ東部の都市スムイを訪れた。彼らは月曜日にもロシア軍による新たな攻撃を目撃した。
 聖枝祭の攻撃は、モスクワとキエフ間の和平交渉が失敗に終わったという議論の的となっている。スムイでは、ロシアによる新たな地上攻撃の可能性を示唆する動きが始まっている。
 本紙記者は、スムイの雰囲気は「恐怖、絶え間ない緊張、そして神経のすり減り」だと伝えている。住民にとって停戦の兆候は見られない。
【コメント】
 聖枝祭(Palm Sunday)は、キリスト教の聖週間(Holy Week)の始まりとなる日曜日で、「枝の主日」「棕櫚(しゅろ)の主日」とも呼ばれる。イエス・キリストがロバに乗ってエルサレムに入城したことを記念する日である。この日がキリストの復活の1週間前にあたる。
 ロシアの無差別攻撃は止む気配はない。すぐに解決できそうもない現実の前にトランプは停戦調停に急速に意欲を失ったようだ。

3.検死の結果、ガザ地区の医療従事者数名が頭部を撃たれたことが判明
【記事要旨】
 タイムズ紙が入手した検死報告書によると、先月ガザ地区でイスラエル軍による銃撃で死亡した救急隊員と救助隊員は、主に頭部または胸部への銃撃で死亡した。
 検死報告書によると、11人が銃創を負っており、そのほとんどが複数回の銃撃を受けていた。他の3人は榴散弾による傷を負っていた。イスラエル軍は調査中だと述べた。
 関連記事:野戦病院の院長によると、イスラエル軍の攻撃で警備員1人が死亡、患者10人が負傷した。
【コメント】
 イスラエルは何でもありだ。「だって戦争なんだから仕方ないさ」「こっちがやらなければやられるんだ」「どうせ勝者は裁かれることは無い」

その他の記事
イラク:激しい砂嵐により2つの空港でフライトが欠航となり、数千人が呼吸器系の問題で病院に搬送された。
テクノロジー:メタ社の独占禁止法裁判で、マーク・ザッカーバーグ氏は、InstagramとWhatsAppを買収したのは新しいアプリの開発が困難だったためだと述べた。
英国:中国資本の製鉄所での紛争は、中国政府とより友好的な関係を築こうとする政府の努力を覆す可能性がある。

バチカン:フランシスコ法王は、バルセロナのサグラダ・ファミリアを設計し、かつて「神の建築家」と呼ばれたアントニ・ガウディを聖人列に加えた。

2025年4月16日 水曜日

世界の動き 2025年4月15日 火曜日

今日の一言
「人口減少」
 昨年10月1日時点で日本の人口は前年比55万人減少した。この数字は外国人を含むもので、日本人だけだと89万人減少した。年齢別では75歳以上で70万人増加。15歳以下は35万人減少した。
 人口減を報じる新聞には人口減への処方箋の記事は無い。
 「一人でいると楽だなー」と思う人が増えており、その流れは止められない。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.エルサルバドル、米国から強制送還された男性の送還を拒否
【記事要旨】
 エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領は昨日、ホワイトハウスでトランプ大統領との会談で、米国から不当に強制送還され、エルサルバドルの刑務所に送られた男性の送還は行わないと述べた。
 記者団から、キルマー・アルマンド・アブレゴ・ガルシア氏の送還に協力するかと問われると、ブケレ大統領は「もちろん、そうするつもりはありません」と答えた。
 ブケレ大統領は、アブレゴ・ガルシア氏の送還は「テロリストを米国に密輸する」ようなものだと述べた。トランプ大統領は賛同の笑みを浮かべた。
 背景:トランプ政権は、今回の国外追放は「行政上の誤り」だと主張し、最高裁からアブレゴ・ガルシア氏の帰国を「促進」するよう命じられている。しかし、トランプ氏はこの命令を無視している。

トランプ氏に関するその他の情報
・ハーバード大学は、トランプ政権が要求した政策変更を拒否したと発表し、ホワイトハウスとの対決姿勢を強めた。
・トランプ氏は、輸入コンピューターチップと医薬品への関税を近日中に発表する意向を示し、自動車部品への関税緩和の可能性も示唆した。
・政府機関は、新たな大量解雇計画の提出期限に直面している。
・トランプ氏の対中関税は、安価な中国製品のダンピング(不当廉売)により、ヨーロッパの地域産業を弱体化させる可能性がある。
・英国政府は、混乱から企業を守るため、関税の一部を削減し、輸出業者向けの新たな融資を発表した。
【コメント】
 トランプは自分がメディアに大きく取り上げられることに執心だ。猫の目のような政策の変更はその現れだ。

2.ザッカーバーグ氏、Metaの画期的な反トラスト法裁判で証言台に立った
【記事要旨】
 MetaのCEO、マーク・ザッカーバーグ氏は昨日、同社を解体する可能性のある画期的な反トラスト法裁判の初日に証言台に立った。
 米国政府は、MetaがInstagramとWhatsAppを新興企業だった頃に買収し、違法に独占状態を作り出したと非難している。この裁判は、ザッカーバーグ氏のビジネス帝国にとってこれまでで最も重大な脅威となる。
 ​​ワシントンの満員の裁判所で、ザッカーバーグ氏はソーシャルメディア市場は政府の定義よりもはるかに大きいと反論した。Metaは「エンターテインメント、世界について学び、何が起こっているかを発見するという、一般的な概念」に取り組んでいるとザッカーバーグ氏は述べた。
 今後の展開:8週間の裁判で、政府とMetaはMetaの20年間の成長ストーリーについて、それぞれ異なる見解を述べると予想されている。裁判官がMetaに不利な判決を下した場合、ザッカーバーグ氏はInstagramとWhatsAppの売却を余儀なくされる可能性がある。これにより、大手テクノロジー企業が若いライバル企業を買収するというシリコンバレーの長いパターンが変化する可能性がある。
【コメント】
 若いライバルを買収し成長するのはアメリカのダイナミズムの現れだ。常識的に考えればMetaに不利な判決は出ないと思われるが。

3.中国国家主席、ベトナムに接近
【記事要旨】
 習近平国家主席は昨日、東南アジア歴訪のスタートとしてベトナムに到着した。米国の関税が経済成長を脅かす中、習主席は他国を中国側に引き入れようと努めるだろう。
 到着直前に発表した談話で、習主席は他国に対し、安定、自由貿易、そして「開かれた協力的な国際環境」を守るために中国に加わるよう呼びかけた。
 習主席は歴訪中、歓迎されるだろうが、ベトナムとその周辺国もトランプ大統領を宥めようと関税引き下げを試みており、大胆な親中姿勢を表明することに抵抗感を抱く可能性がある。
【コメント】
 中国が、安定、自由貿易、そして「開かれた協力的な国際環境」を主導するとは、悪い冗談だ。
 連休中にアセアン諸国を訪問するとされている石破首相は何を唱えるのだろうか。

その他の記事
ウクライナ:トランプ大統領は、少なくとも35人が死亡したロシアによるスミ市へのミサイル攻撃を「過ち」であり「恐ろしいこと」と呼んだ。
シリア:内戦は、住民の3分の2がキリスト教徒、3分の1がイスラム教徒である古代都市マアルーラの住民の間に亀裂を生じさせた。
カナダ:アルバータ州のダニエル・スミス首相は、トランプ大統領を称賛する発言でカナダ国民の憤りを買った。

健康:科学者たちは凍結腎臓を豚に移植しました。そのためには、腎臓を内側から解凍する方法を解明する必要がありました。

2025年4月15日 火曜日

世界の動き 2025年4月14日 月曜日

今日の一言
「万博開幕」
 昨日の新聞・TVは万博のニュースで一杯だった。
 一昨日のメディアの招待枠で行った人はとても面白いと言い、昨日の一般客はとんでもなく並ばされたと言う。昨日は初日だから訪問客が多かったのだろう。これから少し落ち着けば、並ばない万博というスローガンに近付く可能性はあるだろう。
 昨日の日経新聞の旅行広告は万博一色だった。今後、顧客も伸びるのではなかろうか。赤字を負担させられる事態を避けるためには、一度見に行くのもありかも知れない。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.中国は米国の関税に対し、輸出停止で反撃
【記事要旨】
 中国は、世界の自動車、半導体、航空宇宙産業にとって不可欠な特定の希土類鉱物と磁石の輸出を停止した。これは、トランプ大統領による関税の大幅引き上げへの報復措置である。
 これらの金属と、それらから作られる特殊磁石は、現在、特別な輸出許可を得た場合にのみ中国から輸出できる。しかし、中国政府は許可発行制度の構築をほとんど開始していない。業界幹部は、国外への鉱物や製品の供給が不足する可能性があると述べている。
 トランプ大統領による中国との貿易戦争は、多くのグローバル企業の見通しを混乱させている。そして、終わりは見えない。
 米国政権は中国の習近平国家主席がトランプ大統領に電話するのを待っているが、中国政府は習近平国家主席を米国大統領との間で予測不可能な状況に陥れることを警戒しているようだ。
 魅力攻勢:習近平国家主席は本日、1週間の歴訪の最初の訪問地であるベトナムに到着する。この訪問では、マレーシアとカンボジアも訪問する。習近平主席は、ベトナム北部と中国を結ぶ83億ドル規模の鉄道建設計画の一部について、ベトナムが中国からの融資を受け入れる計画を推進する合意を含む、約40件の協定の調印に立ち会うと見られている。

貿易戦争の続報
・トランプ政権は、様々な電子機器を除外したわずか2日後に、コンピューターチップへの新たな関税導入を検討する意向を示した。
・アメリカの消費者は、チャイルドシート、iPhone、そしてクリスマスプレゼントの購入に殺到している。
・中国製品への関税はいくらになるのだろうか?その計算は想像以上に難しい。
・貿易戦争の中心人物であるスコット・ベッセント財務長官は、トランプ大統領のアプローチをある程度緩和することに成功した。
・アメリカの小売業者は、商品の価格を上げるか、それとも追加コストを負担するかを検討している。
・ブレグジットがトランプ大統領の関税導入を予兆していた経緯を以下にまとめる。
・台湾の小規模輸出業者の多くは、不確実性は関税と同じくらい悪いと述べた。
【コメント】
 トランプ氏はスマホ等の電子機器を除外したわずか2日後に、コンピューターチップへの新たな関税導入を検討する意向を示した。最終製品を作り出すサプライチェーンをトランプ氏も側近も理解していないのだろうか。
 こうした政策の猫の目のような変更が市場を混乱させる。企業経営者が嫌う不確実性をトランプ氏は意図的に作り出している。buy low sell high 不動産屋的な発想だ。

2.ロシアの攻撃でウクライナで少なくとも34人が死亡
【記事要旨】
 昨日、ロシアの弾道ミサイル2発が、聖枝祭を祝うためウクライナ国民が集まっていたスムイ市の中心部に着弾した。今年、民間人に対する攻撃としては最悪のものと思われるこの攻撃で、子供2人を含む少なくとも34人が死亡した。
 攻撃後の映像には、血まみれの遺体が動かずに横たわり、燃える車や瓦礫が道路を覆う様子が映し出されて、背後では悲鳴とサイレンが鳴り響いていた。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、今回の攻撃は、トランプ政権が停戦仲介に尽力しているにもかかわらず、モスクワが停戦に真の関心を示していないことを示していると述べた。キエフは、ロシアがウクライナ北東部のスムイ地域に侵攻し、新たな戦線を開こうとしていると警告しています。
 政治:元大統領で現在は野党党首を務めるペトロ・ポロシェンコ氏が、タイムズのキエフ支局長に対し、和平交渉の見通しについて語った。彼は最近ゼレンスキー大統領に対する批判を強めている。
【コメント】
 トランプはウクライナ停戦について急速に興味を失っているように見える。相手がディールに食いついてこなければ興味を失う不動産ブローカーの態度だ。

3.サウジアラビアと米国、核技術に関する協議を実施
【記事要旨】
 トランプ政権は、サウジアラビアが米国の核技術にアクセスし、ウラン濃縮も可能となる可能性のある合意について、サウジアラビア当局者との協議を再開した。
 クリス・ライト米国エネルギー長官は昨日、リヤドで「詳細は未だ合意に至っていないが、実現への道筋は確かに見えている」と述べた。サウジアラビアは長年、米国に対し、エネルギー供給と経済の多様化のために石油以外の資源を模索する中で、核エネルギー計画の開発支援を強く求めてきた。
 イラン:米国とイランの当局者は、最初の会合の後、テヘランの核開発計画の抑制に関する協議を進めることで合意した。2回目の会合は土曜日に予定されている。
【コメント】
 イランとサウジに対する米国の対応はダブルスタンダードに見える。展開に注目したい。

その他の記事
ガザ:イスラエル軍は、ガザ北部の医療システムの最後の柱の一つであった病院を攻撃した。
香港:野党民主党の議員らが解党に投票し、北京の弾圧キャンペーンの犠牲者がまた一人増えた。
スーダン:準軍事組織が、ダルフール西部のキャンプにある最後の診療所の院長を含む職員全員を殺害した。

健康:ADHD(注意欠陥多動性障害)に関する新たな研究は、この疾患の定義と治療方法に疑問を投げかけている。

2025年4月14日 月曜日

「米欧の分裂と日本の選択」Eトッド を読んで

 文芸春秋5月号は「トランプ劇場まるわかり」という特集記事。その中でも読ませるのはEトッドの「米欧の分裂と日本の選択」だ。

 彼の最近の大著「西洋の敗北」と論調は同じだ。
 今回の論考の見出しを並べると以下のようになり、トッドの論旨展開がわかる。

 「米国=仲介者」というっ茶番劇
 信頼できるロシア、信頼できないアメリカ
 和平交渉は可能でも必要でもない
 西洋との共存を望んでいたロシア
 「軍事的敗北」に続く「革命」
 憎悪が原動力のトランプ政権
 「核の傘」は幻想にすぎない
 日本は核武装せよ

 ウクライナ戦争の勝者はロシアで、敗者はアメリカとウクライナだ。敗者のアメリカが停戦を仲介する動きをトッドは茶番と一刀両断する。勝者であるロシアは、経済封鎖が解除されるとか、G7に復帰するとかのメリットが無ければ絶対に停戦に応じないとの論旨は明確だ。

 トランプもヴァンスも西洋に対するルサンチマン(憎悪)が心の底にあり、欧州への強硬姿勢の原因となっている。

 日本が核攻撃されたら米軍が核兵器で反撃すると言うのは幻想だ。米本土が攻撃されない限り米国は核兵器を使用しない。つまり米国の核の傘は幻想だから日本は核武装しない限り、ロシア、中国、北朝鮮の核兵器に囲まれた現状で軍事的に安定を得ることはできない。

 以上のような主張である。

 彼の前提として不確かなのは、ロシアは人口の少なさ(日本と同程度の人口しか有さない)から、対外膨張政策を取り得ない。従ってNATO諸国への侵略はあり得ないと断定している点だ。
 ソ連の解体後、ロシアの周辺国に多くのロシア人がとり残された。これらのロシア人の保護の名目で軍事行動をとる恐れは全く解消していないと思うのだが、そうした疑問への説明は弱い。

 世界の軍事力によるパワーポリティックスが継続するのは現実だ。日本の独自防衛を迫るトランプ政権の間に日本も核武装を考え実装してゆくべきだと思う。

2025年4月13日 日曜日