世界の動き 2023年10月19日 木曜日

今日の言葉:
「日銀の金融政策」
 世界各国が金融引き締めを行ってきている中で日銀の緩和政策は異常だ。さすがに変わるのではないかと言うBloombergの記事。
『元日本銀行審議委員の桜井真氏は、日本の実体経済が改善を続け、物価上昇の持続性も高まりつつある中、日銀は年内にもマイナス金利政策を解除する可能性があるとの見解を示した。
 物価上昇率が高止まりし、日銀が超低金利政策を継続する下で、日本の実質金利は先進国の中で最も低くなっていると説明。「過剰な金融緩和から実体経済の変化に対応した適切な緩和政策に戻す必要がある」とし、マイナス0.1%の短期政策金利をゼロ%に引き上げることを具体策として挙げた。』
 桜井氏は安倍晋三政権当時の2016年4月に日銀審議委員に就任し、黒田東彦前総裁の下で21年3月末まで務めた。
 元審議委員の発言を取り上げた、ゼロ金利解除のアドバルーン記事だが、簡単に進むとは思えない。大型補正で経済対策をすると与党は主張しているのだから。

ニューヨークタイムズ電子版による3大ニュース
1.バイデン氏、病院爆発事件はパレスチナ人団体を非難
【記事要旨】
 イスラエル訪問中のバイデン大統領は昨日、ガザ市の病院で起きた500人近い死者を出した爆発はパレスチナ戦闘員によって引き起こされたことを米国情報機関が示したと述べた。
 米国家安全保障会議の報道官は、「上空からの画像、傍受、オープンソース情報の分析に基づく我々の現在の評価は、イスラエルには責任がないということだ」と述べた。
 パレスチナ当局者はイスラエルによる空爆を非難した。 イスラエル国防軍は、爆発はハマスと同盟関係にあるパレスチナ・イスラム聖戦組織が誤って発射したロケット弾が原因だと発表した。 どちらの側の説明も独自に検証できておらず、正確な死者数は不明である。
 バイデン氏はガザとヨルダン川西岸の民間人を助けるために米国から1億ドルの援助を発表し、エジプトから食料、水、医薬品を届けることをイスラエルが約束したと述べた。
 ガザが直面している人道危機に参加しているとデモ参加者が主張する国々の大使館や領事館に反抗的な群衆が中東の都市で押し寄せた。
【コメント】
 病院爆破の真相は藪の中だ。バイデン発言は米国がイスラエルの肩を持つことをアラブに認識させ、米国の仲介者としての立場を困難にするものだ。大国の思惑はどうであれ、確かなのなのは多くのガザ市民が病院でも安息を得られないという悲劇だ。

2.プーチン大統領、北京でスター待遇を受ける
【記事要旨】
 昨日の一帯一路フォーラムでは、習近平氏がロシアのプーチン大統領を主賓として扱い、両首脳は3時間にわたって会談した。
 プーチン大統領は習氏との会談の冒頭、同氏の言う「現在の困難な状況」を踏まえ、中国とロシアは外交政策をより緊密に調整する必要があると述べた。 プーチン大統領の訪問はまだ中国との新たな経済協定をもたらしていないが、ロシア指導者は彼を孤立させようとする西側諸国の努力にもかかわらず、世界的な仲介者としての地位を示すことができた。
 対照的な2つの訪問:バイデン大統領のイスラエル訪問に合わせて行われた北京での習・プーチン会談は、ロシアのウクライナ侵攻によって世界の政治情勢がどのように塗り替えられたか、そしてその変化がガザ戦争でどのように全面的に表れているかを示した。 ロシアと中国はハマスを非難することを拒否し、代わりにパレスチナ人に対するイスラエルの扱い、特にガザ地区での断水と電気の遮断の決定とそこでの民間人の死者数を批判した。
【コメント】
 ロシアは自国の戦争責任を回避し、あたかも世界の新秩序を創り始めているように印象付けしようとしている。
 中国は一帯一路の成功を喧伝しておりロシアの裏庭に手を伸ばしている。本来は、中露の利害が対立する局面なのに、笑顔で協調を演出している。どこまで狐とタヌキは仲良くできるのだろうか。
 現状は、中国、ロシア、さらにイランが強調し西欧への対立軸が出来ている。日本はG7の中で唯一のNATO非加盟国だ。その立場を使って独自外交を期待したい。

3.ウクライナの兵器庫に新たな兵器が登場
【記事要旨】
 ウクライナは火曜日、新たに米国から供給されたATACMSとして知られる長距離ミサイルを使用し、ロシア占領地域にある2つの空軍基地を攻撃した。 特殊作戦部隊によると、この攻撃で滑走路が損傷し、ヘリコプター9機、対空ミサイル発射装置、弾薬庫が破壊された。
 昨日、プーチン大統領は、新型兵器は「ウクライナの苦しみ」を長引かせるだけの米国の誤りであると述べ、新型兵器は「かわす」のが簡単だと付け加えた。 しかし、ロシアの軍事ブロガーらは、射程距離がわずか100マイルという限られたミサイルの初使用による壊滅的な影響を指摘した。
【コメント】
 米国はイスラエル問題に多くの時間を取られ、ウクライナへの支援の先行きには疑問符がつく。しかし今現在は、新兵器の試験場としてウクライナの戦場が使われている。

その他:
・中国への技術流出阻止
 Intelligence chiefs from the U.S. and its allies vowed to do more to counter Chinese efforts to steal technology, which are increasingly trained on Silicon Valley.
・草間彌生さん謝罪
 The Japanese artist Yayoi Kusama has apologized for racist comments in her 2002 autobiography “Infinity Net.”
・美術品の流出を防ぐ
 The British Museum unveiled a $12 million project to plug holes in its records and its online catalog to prevent theft of artifacts.

2023年10月19日 木曜日

一病息災

10月16日(月)から18日(水)まで、毎朝の「世界の動き」を休みます。体調ではなく所要によるものです。申し訳ありません。

 今日はプライベートな話題です。
 先日銀行のOBの集まりがあり、病気と墓仕舞いと養老院準備の3つが話題になった。金曜には、大学ゼミのOB会が久しぶりにあったので参加した。話題は専ら病気に集中した。

 珍しく昼の会食だったが、癌で入院していた友人が快癒したので久しぶりに集まろうというのが発端だった。彼が昼の方が参加しやすいだろうという幹事の配慮だった。

 69歳から72歳までの8人が集まったが、皆大病していたので驚いた。  心筋梗塞2人、腎臓癌1人、脳梗塞1人、前立腺癌1人、脳腫瘍1人、狭心症1人(これは私だ)。

 ゼミの一級下の2人がこの1年で亡くなったということで、会食を始める前に献杯した。一人は癌、一人はくも膜下出血だった。

 病気でなく薬も飲んでいないのは1人だけで、彼は60歳からマラソンをはじめ、今でも毎日5キロは走るそうだ。フルマラソンを4時間少しで完走できるということで皆の羨望を集めていた。

 走っているから元気なのか、元気だから走れるのか、因果関係の順番がはっきりしないと思うのは僻目だろうか。

 病気持ちが多いが、まだフルタイムで働いているのが二人、社外役員で食っているのが二人(うち一人は私だ)いた。70過ぎても頑張っているのだ。

 これからの飲み会は「一期一会」だ。一病息災で頑張ろうと、来年の再会を期して散会した。楽しい宴だった。

2023年10月15日 日曜日

企業への独占禁止法の網は弱まる

 巨大企業と規制当局の闘いは、現在は、大企業に分がある状況のようだ。NY Timesの記事を紹介したい。

 「英国の規制当局が取引を承認したことを受け、マイクロソフトはビデオゲーム出版社アクティビジョン・ブリザードの690億ドル規模の買収を完了する構えだ。
 このニュースは、過去2年間の米国と欧州の規制当局からの激しい反対を考慮すると、一時はありそうもないと思われていたテクノロジー巨人への勝利をもたらした。 高額買収を取り締まる規制当局によるキャンペーンの有効性についても疑問が生じている。
 マイクロソフトは大きなハードルを乗り越え、同社の安定した収益源であるビデオゲームタイトルに「コール オブ デューティ」のような大ヒットタイトルを追加することを目的とした史上最大の買収を成功させた。 この取引は、特にリナ・カーン長官の下で大型取引の取り締まりに、より積極的な姿勢をとっている米国連邦取引委員会(FTC)からの厳しい監視に直面して来た。
 マイクロソフトとアクティビジョンは直接の競合相手とはみなされていないため、この取引がビデオゲームにおけるマイクロソフトの優位性をどの程度増幅させるかについての法的議論を検証する形で、FTCは昨年取引の差し止めを求めて訴訟を起こした。 4月には英国の競争市場庁(CMA)もこの買収に反対し、同庁の裁定を覆すには高い法的ハードルをクリアする必要があることからマイクロソフト社は深刻な打撃を受けた。
 しかしその後マイクロソフトは勝利を収めてきた。 7月には、取引阻止を求めるFTCの要請を裁判所は却下した。 そして、買収への調整によりCMAの懸念は解決され、CMAが反対姿勢を転換する珍しい例となった。マイクロソフトは、現在および将来のアクティビジョン・ゲームの欧州経済領域外でのクラウドストリーミング権をフランス企業ユービーアイソフトに15年間売却することに合意した。 
 企業経営者たちはマイクロソフトの勝利に勇気づけられている。 CEOとその顧問らは、アクティビジョンの買収は、数十年にわたる独占禁止法による規制の限界を示したと述べている。 実際、夏以来、エクソン・モービルによるパイオニア・ナチュラル・リソーシズに対する595億ドルの取引提案や、シスコによるスプランクに対する280億ドルの買収提案など、いくつかの大型買収が発表されている。
 それでも、FTCは引き続き法廷で合併に異議を申し立てると主張している。 そして今日の声明の中で、英CMAは、企業に対し調査に真剣に取り組むよう忠告した。マイクロソフトがFigmaの200億ドルの買収や、計画しているAdobe買収などに対する警告となる。」

 マイクロソフトとFTCの闘いで注目したいのは、リナ・カーンFTC委員長の活躍だ。以下Wikipediaより引用。
 「リナ・カーン(Lina Khan、1989年3月3日 – )は、アメリカ合衆国の反トラスト法を専門とする法学者。コロンビア・ロー・スクール准教授。ジョー・バイデン政権で連邦取引委員会の委員長に抜擢された。

 経歴
 1989年3月3日に、パキスタン人の両親のもとに、ロンドンで生まれ、11歳のときに両親とともにアメリカ合衆国に移住した。2010年、ウィリアムズ大学卒業。ウィリアムズ大学では政治哲学者ハンナ・アーレントについての論文を執筆していた。 2014年までニューアメリカ財団で市場統合の問題についての調査に従事。2017年にイェール・ロー・スクールで 法務博士号を取得した。
 イェール・ロー・スクール在学中の2017年1月にイェール・ロー・ジャーナルに発表した論文「Amazon’s Antitrust Paradox (アマゾンの反トラスト・パラドックス)」で注目を集める。カーンの議論は、消費者利益(価格)に焦点を絞った1970年代以降の反トラスト法解釈を問題視する。この解釈ではデジタルプラットフォーマーの低価格戦略による反競争的な市場支配の枠組みを認識することができないと主張した。2021年6月15日、アメリカ合衆国連邦取引委員会委員長に就任した。」

 パキスタン系移民の成功談だ。大学院生の時に書いた論文で注目を集めたというのは偉業だ。その当時からの研究の積み重ねでデジタルプラットフォーマーの独占にメスを入れようと努力している人だ。押しも押されもしない経歴がある専門家で、FTC委員長に正にピッタリだ。

 翻って、我が国では、公正取引委員会委員長は財務次官OBの指定席だがそれでよいのだろうか。

2023年10月14日 土曜日

世界の動き 2023年10月13日 金曜日

今日の言葉:
「再エネ調達」
 電気を使用する社屋や建物の敷地内に再エネ発電設備を所有し、その発電電力を自社で使用する方法だ。たとえば工場の屋根上や敷地内の駐車場等に太陽光発電を設置し、その電力を工場で自家消費する、などのケースだ。これは自家発電の努力だ。
 再生可能エネルギーの調達比率を高めるには、以下の方法がある。
 ・自家発電
 ・再エネ電力メニューの購入
 ・再エネ電力証書の購入
 今日、日本のマイクロソフトの動きがニュースになっていた。
 「米マイクロソフトは再生エネルギー事業を手掛ける自然電力(福岡市、非公開)から、太陽光発電による電力供給を20年間にわたって受ける契約を結んだ。
  自然電力の発表資料によると、マイクロソフトは自然電力が愛知県で計画している太陽光発電プロジェクトで産出される電力の供給を受ける。出力容量は25メガワット。12月の稼働を予定している。
  マイクロソフトを含むテクノロジー企業が巨大なデータセンターなどで大量の電力を消費していることに対して規制当局や投資家の懸念を募らせており、同社でもより環境への負荷が少ないエネルギーへの切り替えを進めている。
  マイクロソフトジャパンの広報担当者は、同社は持続可能な社会の実現に向けてコミットしているものの、その実現は1社だけでは不可能で、自然電力のような企業や各国政府と連携しながら進めていくとコメントした。」
 固定買取価格がなくなったことで、日本での太陽光発電所の開発は頭打ちになっている。マイクロソフトのような確定した需要家があれば、開発がしやすくなるので、太陽光発電の再浮上が期待される。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.国連はガザでの惨事について警告
【記事要旨】
 ハマス解体のための地上侵攻の可能性を前にイスラエル軍がガザとの国境に向かって移動している中、国連当局者は封鎖された地域における人道的「災害」について警告した。
 6日間にわたるイスラエル軍の空爆により、30万人以上が家を失い、緊急支援は届かない。イスラエルによる、すでに16年間封鎖されていた140平方マイルのガザ地区の空爆は過去の攻撃では見られなかった規模だ。
 ガザ保健省は、パレスチナ人1,417人が死亡、6,268人が負傷したと発表した。 同省はまた、医療制度が「崩壊し始めている」と警告した。 ガザ唯一の発電所は昨日、燃料不足のため発電を停止し、照明や冷蔵庫、その他の機器も停止し、地域の多くの地域では水が不足している。
 リンケン:米国務長官はテルアビブでネタニヤフ首相と会談し、ハマスの「恐怖政治」を非難したが、同時にガザ攻撃の自制の必要性も示唆した。
 ネタニヤフ政権は、安全保障の失敗をめぐって批判に直面し始めている。 イスラエル軍参謀長は軍の失敗を認め、調査を約束したが、「今は戦争の時だ」と述べた。
 米国とカタールは、米国とテヘランの間の捕虜解放協定の一部である60億ドルへのイランのアクセスを阻止した。 イランはハマスの攻撃を公に支持しているが、関与は否定している。
【コメント】
 戦時内閣がイスラエルで組織された。1967年の第三次中東戦争以来だそうだ。その時はイスラエルが周辺国に侵攻し勝利した。その例に倣ったものかと思う。イスラエルは本気だ。

2.ニュージーランドの投票は今週末に行われる
【記事要旨】
 ニュージーランドでは土曜日、同国の政治における右傾化とポピュリスト化を示す可能性が高い選挙が行われる。
 世論調査機関は、野党中道右派の国民党がいくつかの中小政党とともに次期政権を樹立すると予測しているが、ニュージーランドの比例投票制度は土壇場でねじれをもたらす可能性がある。移民反対と退職者支援で知られる小規模なポピュリスト政党「ニュージーランド・ファースト」が、2017年のように再びキングメーカーとなる可能性がある。
 インフレが経済を圧迫し、異常な暴力犯罪の多発が有権者の関心を集めており、この国はかつてないほど軌道から外れているという強い感覚が漂っている。 そのため、ジャシンダ・アーダーン政権下でわずか3年前に過半数を獲得した与党の中道左派労働党は、支持を大きく失うと世論調査は示している。
【コメント】
 あれほど人気のあったアーダーン労働党は失速しているようだ。世界の右傾化・ポピュリスト化の行方を占う選挙として注目したい。

3.日本は統一教会の解散を目指す
【記事要旨】
 岸田文雄首相は昨日、2022年7月の安倍晋三前首相暗殺を受けて統一教会と日本の保守政治家とのつながりが明らかになってから1年以上が経過したことを受け、政府は統一教会日本支部の解散を目指すと述べた。
 安倍氏殺害後、議員らは政治的影響を抑えるため動いた。教会が数十年にわたって信者を操作して巨額の金銭を渡させていたことが判明し、教会の精査が始まった。
 東京地方裁判所が統一教会に日本での解散を命じた場合、統一教会は固定資産税の免除を失い、資産を処分しなければならなくなる。 教会は最高裁判所に上訴するか、地下活動を行う可能性がある。
【コメント】
 宗教団体への解散命令に関する憲法上の問題はどう解決するのだろうか。解散命令の効果は限定的だという見方もある。これだけ世間を騒がせた問題だからメディアによる監視を継続してもらいたいものだ。

その他:
・エクアドルの大統領選挙
 In Ecuador’s presidential election on Sunday, Daniel Noboa, a center-right businessman whose family business includes a globally known banana brand, is facing an establishment leftist, Luisa González.
・米上院議員逮捕
 Senator Robert Menendez, who was charged last month with taking bribes in exchange for lucrative political favors, was charged with conspiring to act as a foreign agent of Egypt.
(ニュージャージ州選出の議員だ。昨夜見ていて米国のTVシリーズ(Jack Ryan Series4)では、上院議員が売国者だという結末だった。事実は小説より奇なりだ。)
・脳細胞についての最新の研究
 An international team of scientists has created the brain atlas, a $375 million effort to map the human brain in much finer resolution than ever before. The project, described in papers published yesterday, has identified more than 3,300 types of brain cells — an order of magnitude more than was previously reported. The researchers have only a dim notion of what the newly discovered cells do.

2023年10月13日 金曜日

世界の動き 2023年10月12日 木曜日

今日の言葉:
「八冠」
 藤井聡太(名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖・竜王=21)が永瀬拓矢王座(31)に勝利し、史上初の全八王座5連覇を目指した。
 強さの源は何なのだろうか。自分が勝つ力だけでなく、相手を自滅させるオーラを持つ人なのだろうか。棋力のピークは30歳ころと言われるので、これから10年は藤井時代が続くだろう。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.戦争が激化する中、イスラエルが挙国一致を樹立
【記事要旨】
 ネタニヤフ首相は昨日、元陸軍長官である野党議員2名を閣僚に加えて緊急政府を樹立した。 アナリストらは、軍事専門知識の導入により、ガザ、あるいは南レバノンに侵攻するかどうかを含め、戦時中の厳しい決定を下す正当性が政府に与えられるだろうと述べた。
 紛争が拡大する懸念が高まっている。ここ数日、イスラエル北部のレバノン、シリア両国との国境沿いで銃撃戦が発生し、イスラエル軍は昨日、レバノン国内で報復攻撃を開始し、イラン支援の武装勢力ヒズボラの標的を攻撃したと発表した。 レバノンのグループはハマスと同盟を結んだ。
 イスラエルはガザ地区にさらに多くのミサイルを発射した。以前の攻撃で瓦礫の下に埋まった人々を救出しようとしていた救助隊員が襲われた。 ガザでは、唯一の発電所で燃料が枯渇し、病院は燃料供給が限られている予備発電機に頼らざるを得なくなったと発表した。
 ガザ住民は、イスラエルが学校、病院、モスクなど、通常は安全な建造物を攻撃したと述べている。 イスラエルは特定の地域や町から立ち去るよう警告を発しているが、過去ほど広範でも具体的でもないことを認めた。
 イスラエルは死者数が1,200人に増加したと発表した。 ガザ保健当局者らによると、土曜日以来、子供326人を含む少なくとも1,100人のパレスチナ人が殺害された。
 土曜日にハマスの襲撃者たちがどのようにしてイスラエルでこのような高度な作戦を実行できたのかをTimesは分析したが、イスラエルの治安と諜報活動の失敗だったことを示している。
 タイは、イスラエルの農業産業に労働力の大部分を供給している。 土曜日の攻撃でタイ人20人が死亡し、タイ国民14人がパレスチナ人の銃撃犯に拉致されたとみられている。
 中国はサウジアラビアやイランからの最大の石油輸入国であり、イスラエルとガザでの戦争が拡大した場合に石油調達リスクが高まる。
【コメント】
 政治的なリスクはまだ証券市場では楽観視されているようだ。イスラエルはハマスをガザで根絶する意図のようだが、テロ組織は世界中に広がっており不可能だ。

2.インド、2010年のスピーチをめぐって小説家を起訴
【記事要旨】
 インド当局は、カシミール地方について13年前に行った公的コメントをめぐって、著名な小説家アルンダティ・ロイ氏を起訴した。ナレンドラ・モディ首相政府による言論の自由に対する弾圧強化の最新段階だ。
 起訴には挑発的なスピーチに関連した犯罪も含まれており、13年前にカシミール地域の騒乱に関する会議での講演者であるロイ氏に対するカシミールでのヒンズー教極右からの訴訟がもとになっている。
 裁判所は火曜日、先週家宅捜索を受けたインド政府批判で知られるオンラインニュースポータル「ニュースクリック」の創設者と、同サイトに関係していた別の人物に対する保釈を却下した。 2人は厳格な反テロ法に基づいて起訴されており、多くの人が裁判が始まるまで何年も刑務所で苦しんでいる。
【コメント】
 世界最大の民政主主義国は、戦前日本の治安維持法のような法律を自由に振るう強権国家でもある。2010年の発言で起訴されるとは、モノ言えばくちびる寒い状況だ。

3.中国の新たな倹約経済(thrift economy)の内部
【記事要旨】
 中国政府は国内支出が成長を促進することを期待しているが、輸出の鈍化と不動産危機の拡大によって成長は足を引っ張られている。 中国の銀行は、消費者がもっと財布を開くよう促すことを狙って、預金金利さえ引き下げた。 しかし、買い物客は納得していない。
 景気低迷の影響に対抗するため、中国の消費者は支出を減らし、貯蓄を増やしている。 先月、一部の消費者が安価なコーヒーに惹かれ、ブランド服を控えることから、ソーシャルメディアプラットフォーム微博では「支出の格下げ」(downgraded spending)というハッシュタグがトレンドトピックとなった。
ディスカウントオンライン小売業者の Pinduoduo のような一部の企業は、この全国的な倹約の恩恵を享受しています。 その成長率は2023年上半期にアリババを上回った。
【コメント】
 デフレ圧力がますます高まっている印象だ。中国は世界経済の大きな撹乱要因だ。

その他:
・アフガニスタンでの大地震
 The deadliest earthquake to strike Afghanistan in decades leveled entire hamlets on Saturday. Many people lost most, if not all, of their immediate family.
・下院議長候補
 Republicans narrowly nominated Representative Steve Scalise, the party’s No. 2 House leader, to replace Kevin McCarthy as speaker.
・エクソンは化石燃料を強化
 Exxon Mobil said it was acquiring Pioneer Natural Resources, a shale drilling giant, for $59.5 billion, deepening Exxon’s reliance on fossil fuel production.

2023年10月12日 木曜日