世界の動き 2025年5月13日 火曜日

今日の一言
「トランプ遊び」
 米中の関税合戦に一時的な合意が成立した。米国は30%へ中国は10%へ関税を引き下げるということだ。米国の30%のうち20%は合成麻薬の流入に関してのものだから、中国が何らかの処置を取れば、それも引き下げられる可能性がある。
 そうなると、米国の仮想敵国への関税が、同盟国への関税よりも低くなることになる。
 手札が揃わないのに掛け金を思い切り引き上げてブラフを掛ける下手なポーカープレイヤーのようだ。
 ホワイトハウスでのゼレンスキーとの会談でトランプは彼に「お前にはカードがない」と恐喝した。
 「カードがないのはお前じゃないか!」

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領の湾岸歴訪はビジネスが全て
【記事要旨】
 トランプ大統領は常に、大統領職を世界的な取引の探求だと考えてきた。本日、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦を4日間訪問する予定のトランプ大統領は、1兆ドルを超える規模の取引を発表したいと顧問らに伝えた。
 いかなる大戦略の代わりに、トランプ氏はアメリカの労働者の雇用を生むものとして一連の金融取引を推進するだろう。彼はサウジの指導者たちに米国に1兆ドルを投資するよう圧力をかけているが、経済学者たちはこの額はサウジの年間国内総生産全体に相当するため非現実的だと指摘している。
 トランプ氏の政策は、彼自身のビジネス計画の拡大と都合よく一致している。彼の家族は、サウジアラビアが過半数を所有する不動産会社との6件の取引、UAEとの暗号通貨取引、カタール政府の援助を受けたゴルフ場と高級ヴィラプロジェクトを交渉中だ。
 疑問の贈り物:カタール王室はトランプ大統領の支持を獲得するためにあらゆる手を尽くしており、エアフォースワンとして使えるよう改修される豪華なボーイング747-8型機を寄付として申し出ている。トランプ大統領は昨日、このような申し出を断るのは「愚か者」だけだと述べ、贈り物に関する倫理的な懸念を怒って無視した。
 ガザ:ハマスは昨日、ガザで人質にしていた最後のアメリカ人人質エダン・アレクサンダーを解放した。この行動は、戦争を終わらせる合意に対するアメリカの支持を確保するための試みだとした。

その他のトランプ関連ニュース:
・テクノロジー:トランプ政権は数百万台の AI の販売を検討している。米国が中国との関係を認めたアラブ首長国連邦の企業、G42にチップを供給した。
・イエメン:トランプ大統領はフーシ派民兵に対する勝利を突然宣言した。
・米国:トランプ家の暗号通貨の主要購入者は大統領との夕食会に招待される。米国の政策に影響を与えようとしてこのコンテストに参加した人もいる。
【コメント】
 トランプの優先順位は、自分の利益、家族の利益、彼の取り巻きの利益、選挙民からの支持。
 米国の国家としての利益を優先する姿勢は見られない。

2.米国と中国は一時的に関税を削減した
【記事要旨】
 米国と中国は昨日、それぞれの関税を90日間停止し、交渉を継続することで合意した。トランプ大統領は、今週中国の習近平国家主席と会談する予定だが、完全な合意にはしばらく時間がかかるだろうと述べた。
 全面的な貿易戦争のコストが世界経済を脅かす中、ホワイトハウスは譲歩したように見えた。これはトランプ大統領の貿易に対する積極的なアプローチの限界を示す一つの例だ。
 ジュネーブでの2日間の協議を経て、米国は中国からの輸入品に対する関税を145%から30%に引き下げることに合意し、中国も米国製品に対する輸入税を125%から10%に引き下げた。発表後、世界中の株価が急騰した。
 ラテンアメリカ:習近平国家主席は今週、ブラジル大統領と他の地域当局者を北京に招き、中国がその地域で確固たる足場を維持する意向を強調した。
【コメント】
 アメリカの独り相撲を面白く見た。
 中国の毅然とした態度にトランプが屈したのは明らかだ。世界中で中国が高く評価され、アメリカの権威は失墜した。米国民の多くはまだ目覚めないのだろうか。

3.EU、ロシアに停戦か制裁かの選択を迫る
【記事要旨】
 欧州各国首脳は昨日、クレムリンがウクライナにおける無条件停戦を受け入れない場合、ロシアに対し新たな制裁措置を科すと警告した。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアのプーチン大統領に対し、木曜日にトルコで会談を行うよう求めた。トランプ大統領は、会談に参加する可能性を示唆し、交渉の緊張を高めた。クレムリンは、トランプ大統領の出席の可能性について直ちに反応しなかった。
【コメント】
 トランプが参加すると、まとまるものもまとまらなくなることを懸念する。
 「成功すれば自分の手柄、失敗すれば他人のせい」という彼の姿勢としたり顔を見るのは沢山だ。

その他の記事
インド・パキスタン:国境沿いの状況は依然として不安定だが、停戦協定の重大な破綻の報告はなかった。両国の株価は急騰した。
米国:難民認定を受けた南アフリカの白人を乗せた最初の航空機が米国に到着した。トランプ大統領は彼らを「ジェノサイド」の犠牲者だと主張したが、これは警察の資料によって裏付けられていない。
フィリピン:人道に対する罪で拘束されているロドリゴ・ドゥテルテ前大統領は、ダバオ市長選で再選を果たした模様だ。

経済:英国は防衛費に数十億ポンドを追加支出しているが、この資金は苦境に立たされている地方自治体の復興にも役立つ可能性がある。
カリフォルニア州:ギャビン・ニューサム知事は、数百の市町村に対し、ホームレスキャンプを事実上禁止するよう要請した。
レオ14世記者会見:レオ14世は、記者会見で初めて記者団に対し、今日のメディア環境における激しい言論を冷静にするよう、ジャーナリストたちに訴えた。

2025年5月13日 火曜日

世界の動き 2025年5月12日 月曜日

今日の一言
「個人は米株式市場へ復帰」
 以下Bloombergの記事より
 『米株式相場は過去1カ月で目覚ましい回復を見せたが、牽引したのは幅広い銘柄に押し目買いを入れてきた個人投資家だ。一方で機関投資家は、景気減速や貿易戦争激化への懸念から株式を敬遠してきた。
  しかし、4月8日に底を打ってからの1カ月間でS&P500種株価指数が14%上昇する中、機関投資家の間でも市場に戻るべきかどうか、また戻るならどのタイミングが望ましいかとの議論が広がっている。』
  著名な機関投資家の中には、過剰な政府債務とトランプ関税が1930年代のような経済恐慌をもたらすと予言するものもいる。
  一方、ウクライナの停戦への動き、米中貿易交渉の進展、米英関税交渉の決着、インドのパキスタンの米国による紛争調停と、市場を取り巻く報道は明るいものが多い。
  今回は個人投資家の先行が成功する可能性が高そうだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.米国、中国との合意に向けて「進展」があったと発表
【記事要旨】
 ベッセント財務長官は昨日、ジュネーブでの週末の会合の後、米国は中国との協議で「大幅な進展」を見せており、詳細は今日発表されるだろうと述べた。
 ベッセント長官と共に協議に参加した米国通商代表部のグリア氏は、中国の貿易慣行に関する米国の国家安全保障上の懸念に対処するための何らかの「合意」が成立した可能性を示唆した。グリア氏は、両国が制裁関税の撤廃で合意したかどうかについては言及しなかった。
 中国の国営メディアによると、中国の経済政策担当副首相の何立峰氏は、協議は「率直で、綿密かつ建設的」だったと述べ、両国は経済・貿易問題を協議するための「協議メカニズム」を設置することで合意したと述べた。
 タイムズの貿易担当記者は、「米中間の貿易に依存する企業にとって、緊張の緩和はどんなものであれ朗報だ。しかし、たった2日間の会談に過度な期待を抱くのは控えたい。明日の成果として考えられるのは単に会談が増えるだけかもしれない」と述べた。
【コメント】
 ベッセント長官の発表を期待を以って待ちたい。

2.インドとパキスタンは停戦を維持
【記事要旨】
 インドとパキスタン間の停戦は、ほぼ維持されているように見えた。両国は4日間続いた紛争に勝利したと主張している。
 土曜日に当初は戦闘があったものの、トランプ大統領はその後、米国の仲介の助けを借りて両国が停戦に合意したと発表した。トランプ大統領は、両国との貿易を「大幅に」拡大し、カシミールをめぐる紛争の解決に向けて協力していくと付け加えた。
 パキスタンは米国の仲介を称賛したが、インドは当初、米国の関与について言及しなかった。その後、インド政府は米国当局者との協議を認めたものの、独自の判断を下したと述べた。
 銃撃戦:カシミールで生まれ育ったショーカット・ナンダ氏は、銃声を聞きながら育ったが、パキスタンとインドが戦闘を始めるまで、軍の爆撃下で夜を過ごしたことはなかった。
【コメント】
 トランプの仲介が有効であったかどうかにかかわらず停戦が成立したことは喜ばしい。

3.トランプ大統領とネタニヤフ首相の亀裂の兆候
【記事要旨】
 トランプ大統領は今週、初の主要外遊として中東を訪問する準備を進めているが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との間には、4月以降深まっている亀裂の兆候が見られている。
 2月には、フーシ派、イラン、ガザといった問題で両者の見解は一致していた。しかしその後、トランプ大統領はネタニヤフ首相がイランの核兵器能力の排除に向けた共同行動を希望していることを拒否した。さらにトランプ大統領は、フーシ派のミサイルがイスラエルの主要空港を攻撃した数日後に、フーシ派民兵に対し米軍の空爆を停止することで合意したと発表した。ガザ問題でも亀裂の兆候が見られる。
 ハマス:パレスチナ武装勢力は、ガザで捕らえられている最後の米国人、エダン・アレクサンダー氏を解放すると表明した。
【コメント】
 これまで一枚岩だったトランプとネタニヤフの関係が少しギクシャクしてきたのだろうか。
 しかし、ネタニヤフの訪米頻度には驚かされる。彼の腰の軽さと、そうした行動を好むトランプとの関係はまだまだ強固に思えるのだが。

その他の記事
ウクライナ:ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、トランプ大統領から即時停戦要求をまず棚上げするよう促された後、ロシアとの直接会談に出席することに同意した。
英国:過去1週間にわたる山火事は、スコットランド、ウェールズ、イングランドの森林地帯を焼き尽くした。
政治:トランプ大統領は、エアフォースワンとして使用する予定のカタール王室から高級ボーイング機を受け取る予定で、大きな倫理的問題を引き起こしている。

2025年5月12日 月曜日

経済諮問委員会CEA委員長のインタビュー記事

以下はNY TimesのDeal Bookに掲載されたトランプ大統領の経済諮問委員会委員長であるスティーブン・ミラン氏のTimes記者との示唆に富むインタビュー記事だ。

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同氏は自らが「不安定さ」と呼ぶ状況の中心にいる。トランプ氏は輸入税を1930年代以来の水準まで引き上げた。そして、関税を引き下げるか否かを巡る貿易交渉は流動的で、米国経済、消費者物価、そして世界貿易の行方は宙ぶらりんの状態にある。

ハーバード大学で経済学博士号を取得し、「世界貿易システムの再構築」を目的としたマール・アー・ラーゴ協定の構想を提唱したことで知られるミラン氏は、大統領の考えと最終的な目標を説明する立場に置かれている。

Q: あなたは公の場で、ご自身は交渉チームの一員ではないと述べておられますが、経済学者として、米国経済は財務長官が「禁輸措置embargo」と呼ぶ現在の対中関税水準を維持できるとお考えですか?

A: ええ、大統領は歴史的な規模とスピードで行動し、アメリカの労働者を貿易相手国よりも公平な立場に置いてきました。この政策調整が歴史的、あるいは異例だったと誰も言えないでしょう。その結果、金融市場は変動しました。経済指標も変動しますが、変動が必ずしも長期的に大きな意味を持つわけではないことを理解することが重要だと思います。

Q: では、経済活動が月ごとに入れ替わる可能性はあるのでしょうか?企業は交渉の結果を待っているのでしょうか?税制改革法案が可決され、大統領の2017年の減税が期限切れにならないため、来年は史上最大の増税を回避できるという結果を待っているのでしょうか?彼らはそれを待っているのです。

A: しかし、情報を待っているからといって、決定を永遠くに先送りするわけではありません。

Q: 特に中国に関しては、大統領はここ数日、必ずしも合意する必要はないと発言しています。そのため、私が話をした市場参加者は非常に混乱し、消費者は非常に不安を感じています。

A: 大統領は2つのことを述べています。1つは、合意は成立すると考えている、ということです。何度もそう言っています。2つ目は、合意は必要ない、ということです。どちらも真実である可能性があります。

Q: 生活費とインフレへの不満がトランプ氏を大統領に就任させました。その中でも住宅問題は上位にありました。では、この政権は住宅不足に対処するためにどのような政策をとっているのでしょうか?

A: 経済全体にわたる規制が、企業が供給を増やすために生産できる量を制限しています。何かの供給が不足している場合、価格が高すぎる場合、最善の策は政府の介入を排除し、企業に生産を任せることです。だからこそ、トランプ政権は政府全体で規制緩和に取り組んでいるのです。

Q: 前政権と一部の議会議員は超党派で、連邦政府主導の政策にコミットしようとしていました。例えば、特定の規制やゾーニングを撤廃して建築許可を得られるよう決定した自治体には「ニンジン」を与え、そうしない自治体には追加資金を差し控えるといった政策です。皆さんからも同様の意見は出ていますか?それとも、これはホワイトハウスでの皆さんの活動とは関係のない、州や地方の問題だとお考えですか?

A: いいえ、規制緩和の取り組みにおいて、州や地方自治体に追随を促すことはできると考えています。

Q: 私が尋ねているのは、住宅規制とゾーニングについてです。

A: 他の管轄区域も追随してくれると助かります。

Q: 何について追随するのですか?これは私の無知かもしれませんが、今のところホワイトハウスから何も聞こえてきません。確かに、まだ初期段階ですが。

A: いいえ、おっしゃる通りです。その通りです。まだ初期段階であり、私たちが貿易に焦点を当てていること、そして税制改革に焦点を当てていることは、その通りです。

Q: なぜDOGEは表明した節約目標を達成できなかったのでしょうか?約束された数兆ドルに大きく不足します。

A: 数千億ドルの削減でさえ、大きな成果だと思います。DOGEは素晴らしい仕事をしたと思います。

Q:  この政権の大きな目標は、製造業の国内回帰です。2020年頃から2024年にかけて、製造業の建設ブームが見られました。しかし、秋以降は落ち込んでいます。この政権の成功のバロメーターとして、製造業の建設が再び急増することを期待すべきでしょうか?

A: 私たちの政策の結果として、製造業の建設は急増すると考えています。ちなみに、これは貿易と孤立化だけではありません。貿易、税制、規制緩和も関係しているのではないでしょうか?そして、さらなる減税や規制緩和によって米国での製造・建設を容易にし、競争力を高めることで、米国をより競争力の高いビジネス環境へと変え、関税や交渉、その他の政策を通じて非対称性や貿易問題に対処すれば、米国はより競争力の高いビジネス拠点となるでしょう。

Q: アジアやヨーロッパに拠点を置く債券投資家は、米国債を含む米国資産から徐々に資金をシフトしていく計画だと私に話してきました。彼らは誇張していると思いますか?あるいは、こうした動きを報道する市場コメンテーターがその規模を誇張していると思いますか?そして二つ目の質問ですが、ドル需要の弱まりを皆さんは歓迎しますか?

A: 二つ目の質問については、数ブロック先の財務省にいる同僚に尋ねなければなりません。一つ目の質問については、先ほども申し上げたように、これはまさに歴史的に異例の政策変更であり、その結果金融市場が変動したことは驚くべきことではありません。
しかし、事態が収束すれば、資本は投資機会を追うでしょう。投資機会は経済機会に左右されます。だからこそトランプ大統領は、史上最もダイナミックなアメリカ経済の創出に注力しているのです。

Q: 大統領は「ミート・ザ・プレス」のインタビューで、「中国との取引で数千億ドルの損失を被っていました。今は実質的に中国との取引を行っていません。つまり、数千億ドルの節約につながっています。とてもシンプルなことです」と述べました。これは正確ではないですよね?大統領に助言する際に、もし大統領が間違ったことを言った場合、適切な方向へ導いたり、事実確認をしたりすることに抵抗はありませんか?

A: 大統領が間違っていたとは思いません。アメリカは貿易赤字を抱えていました。もし貿易が減少すれば、つまり中国との貿易が減少すれば、貿易赤字のその部分は減少するはずです。

Q: 「中国との取引で数千億ドルの損失を被っていました。今は実質的に中国との取引を行っていません」つまり、数千億ドルの節約につながっているということですか?それが貿易赤字について語る際の正確な表現だとお考えですか?

A: 大統領もそのように理解しています。私もその通りだと思います。大統領の意見は正しいと思います。

Q: 議会は現在、予算案の成立に取り組んでいます。あなたは議会の責任者ではないことは承知していますが、政権は財政赤字削減へのコミットメントを表明しながらも、減税と1兆ドル規模の国防予算も求めています。これはどういった意味を持つのでしょうか?

A: いくつか論点があります。1つ目は、成長率の上昇が歳入を補うということです。多くの人がこれを過小評価し、常に間違っていると思います。大統領の減税、T.C.J.A.(T.C.J.A.)の結果として、税収が長期的に減少したという証拠はありませんでした。経済成長は歳入を増やす最良の方法の一つであり、大統領の最初の減税はまさにその通りでした。

Q: 数千億ドルもの歳入増につながるほど高い関税を維持することが、企業と消費者のコスト削減という大統領の公約とどう整合するのでしょうか?

A: 関税が最終的にコストを実際に引き上げるとは考えていません。短期的には変動は起こり得ますが、長期的にはアメリカの消費者は輸入元について柔軟な姿勢を持っています。もしある国がアメリカと貿易協定を結び、市場を開放し、アメリカ経済への輸出と同じようにアメリカ経済への輸出を認めてくれるようになれば、私たちは私たちを搾取する国ではなく、より友好的な国から生産を調達できるようになります。

Q: しかし、多くの貨物輸送の専門家は、あなたの意見は間違っていると考えています。サプライチェーンの移動には数ヶ月、場合によっては数年かかるため、代替品は生まれず、コストが上昇するだけだと考えているのです。

A: 中国から物資を買う代わりに、他の国から物資を買うこともできます。あるいは、国内で物資を生産することもできます。国境を越えて需要をシフトさせることができ、それが私たちの弾力性を高めます。

Q: 確かにまだ時期尚早だし、短期的にはボラティリティがある可能性もある。しかし、数週間の話なのか?数四半期の話なのか?それとも数年の話なのか?

A: 経済学者たちがこれまでなかなか結論を出せなかった点を突かれましたね。実際、製品によって状況は異なるでしょう?製品によっては、サプライヤーの変更は比較的容易でしょう。しかし、他の製品の場合は、何年もかかるかもしれません。つまり、状況は様々です。

Q:大統領が世界貿易市場の再編に真剣に取り組んでおり、この姿勢から大幅な後退はないと、現政権、そしてあなたから理解してもらう必要があるでしょうか?

A: 大統領は混乱が生じる可能性を明確に示してきました。人形の件についても、そして他の事柄についても言及してきました。大統領はずっとこのことについて率直に発言してきたと思います。

Q: 人形に関する懸念は、大統領が「若い女の子なら30体どころか、2、3体しか手に入らないかもしれない」と述べたことと関係があると思いますが、人々がさらに懸念しているのは、アメリカの製造業にとって不可欠な原材料についてです。アメリカの製造業の約40%は輸入部品や完成品を使用しています。

A: 大統領は混乱が生じる可能性があると述べています。そして現在、約20カ国もの貿易相手国と多くの交渉が行われています。大統領はアメリカ史上最大かつ最高の交渉者の一人です。

Q: 私は多くの経済学者と話をしてきました。その多くはあなたと親しい関係にあると思いますし、市場参加者、主に債券市場関係者もいます。彼らは、あなたがこのような立場を取るために、知的誠実さの一部を放棄し、この政権の政治目標のために事実や経済原則を曲げようとしていると考えています。こうした見解について、どのようにお考えですか?

A: それは馬鹿げていると思います。自分の政治的嗜好を他人に押し付けるのは、とてもよくあることだと思います。ご存知の通り、政権はアメリカ国民のために、活力があり、健全で、力強い経済成長を生み出すことに重点を置いています。そして、私たちはそれを実現するつもりです。

2025年5月11日

緊縮家、トランプ

 以下、The Atlantic誌の記事より。
 『金ピカの億万長者というイメージとは裏腹に、ドナルド・トランプはアメリカの緊縮財政時代を支配しようとしているようだ。
  経済を立て直し、国内産業を活性化させるという名目で、大統領は消費者物価を引き上げ、入手可能な輸入品を削減し、より米国と地域に根ざした文化を煽動するかもしれない。
  彼が米国で製造すべきと考えているのはスマートフォンだけではない。日曜日のTruth Socialへの投稿で、彼は「外国で制作され、我が国に入ってくるあらゆる映画」に100%の関税を課す取り組みを発表した。ハリウッド映画を海外で製作することは、アメリカ的ではないようだ。彼は「これは他国による協調的な取り組みであり、したがって国家安全保障上の脅威だ。メッセージングとプロパガンダだ!」とトランプは述べる。
  一方で、トランプ氏は消費削減を示唆している。「子供たちは人形を30体ではなく2体持つようになるかもしれない」と最近の閣議で述べた。主に中国から輸入されているリンゴジュースも値上がりする見込みだ。こうした公の場での非難は、サイバートラックを増やし、フランス産ワインを減らすという、トランプ氏の描くアメリカの物質主義の転換を示唆している。
  頭に浮かぶイメージは、保守的なテレビシリーズ「ランドマン」に近いものだ。ビリー・ボブ・ソーントンが主演し、テキサスの瀬戸際にある石油起業家を描き、ミケロブ・ウルトラビールのスポンサード広告が頻繁に掲載される。大型車、さらに大きなトラック、二次元的な女性、反抗的な男性。が出てくる。
  トランプ氏は隠れミニマリストで、アメリカの家庭に蓄積されるゴミを減らそうと躍起になっているのだろうか? 最近のコラムで、同僚のジョン・キャシディは、消費の抑制は避けられず、気候変動や暴走する資本主義との闘いへの道筋を示す可能性があるという「脱成長」という観点から、トランプ氏を考察している。
  近藤麻理恵(片付けコンサルタント)が哲学で始めたことを、トランプ氏は懲罰的な経済政策で終わらせるかもしれない。選択ではなく、強制による緊縮財政だ。
  トランプ氏の支持者たちは、不安定な株式市場と迫りくる物価上昇の正当化を模索している。「安価な商品へのアクセスはアメリカンドリームの本質ではない」と、トランプ政権の財務長官スコット・ベセント氏は3月に述べた。4月には、YouTuberのベニー・ジョンソン氏が、株式市場は実際には重要ではないと主張しようとした。「ポートフォリオでポイントを失うことはあっても、コストは一切かからない」メーガン・ケリー氏はこの計画を楽観的に「短期的な痛みは長期的な利益につながる」と表現した。トランプ政権下では長らく金儲けが男らしさとされてきたが、今や金を失うことも男らしさとされている。』

  うーん!
  トランプの唱える米国を中心とする新世界秩序は、節約を奨励し、博打場と化した株式市場を正常化し、気候温暖化を防ぐ効果があるのかもしれない。結果的に。
  逆説的な説明がとても興味深い記事だ。

2025年5月10日 土曜日

世界の動き 2025年5月9日 金曜日

今日の一言

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.アメリカ人が教皇に選出
【記事要旨】
 ロバート・プレボスト氏Robert Prevostが昨日、世界の14億人のカトリック教徒を率いる新教皇に選出された。教皇はレオ14世という教皇名を名乗り、サン・ピエトロ広場に集まった歓声に「平和があなた方と共にありますようにPeace be with you」と挨拶した。
 アメリカ人が教皇に選ばれたことは、伝統を破る出来事だ。「世界がひっくり返ったように見える今、バチカンでも古いタブーが破られている。バチカンでは、何世代にもわたってアメリカ人教皇など想像もできなかった」と、タイムズのローマ支局長は述べる。
 枢機卿たちは、コンクラーベ(枢機卿会議)で24時間強の審議を経て、この決断に至った。教皇として、レオは教会の方向性について難しい決断に直面することになる。それは主に、フランシスコ教皇のアジェンダを継承し、より包括的な、変化への寛容さを追求するのか、それとも新たな道を切り開くのか、だ。
 レオ14世とは誰か?シカゴ生まれの69歳の法王は、人生の大半を米国外で過ごした。ペルーでは20年間、宣教師、教区司祭、教師、そして司教を務めた。2年足らず前にフランシスコ教皇によって枢機卿に任命された。フランシスコが亡くなるまで、彼はバチカンで最も影響力のある役職の一つを務め、世界中の司教を選任・管理する機関を運営していた。
 聖アウグスチノ修道会の会員である法王は、貧しい人々や移民への献身、そして人々がどこにいても会おうとする姿勢において、フランシスコと似ている。法王がフランシスコのように、LGBTのカトリック教徒に寛容な姿勢を示すかどうかは不明だ。
 今後の予定:法王は本日、システィーナ礼拝堂で、彼を選出した枢機卿たちと共にミサを執り行う。日曜日にはサン・ピエトロ大聖堂で祈りを捧げる。そして月曜日には、バチカンで報道陣と会見する予定だ。
【コメント】
 南米で貧民や移民についての経験も豊富な教皇のようだ。強権を振るうトランプの動きに対応するソフトパワーの拠り所としての今後のバチカンの動きを見守りたい。

2.トランプ大統領と英国との貿易協定、詳細はまだ詰められていない
【記事要旨】
 トランプ大統領は昨日、英国が数十億ドル規模の米国輸出品の市場アクセスを拡大する新たな貿易協定に合意したと述べた。これは、トランプ政権が貿易相手国に高関税を課して以来、初めて合意に達したものだ。
 ただ、多くの詳細はまだ詰められていない。トランプ大統領が4月に英国をはじめとする各国に課した10%の関税は維持されるが、英国の鉄鋼、アルミニウム、自動車への関税は引き下げられる。その見返りとして、英国は牛肉、エタノール、その他の米国製品へのアクセスを開放する。
 背景:最終的な合意がどのようなものになるにせよ、それは米国よりも英国にとって重要になる可能性がある。英国は米国の主要貿易相手国の中で11位であり、米国は英国にとって最大の貿易相手国である。
 次は誰か?:EU当局は、950億ユーロ相当の米国製品に対し、関税引き上げの対象となり得るリストを作成した。数時間後、トランプ大統領は米国当局は欧州と「合意する意向だ」と述べた。米中貿易協議の第一弾は今週末、スイスで開催される予定だ。
 関連記事:トヨタは、4月と5月だけで関税による損失が13億ドルになると予測している。
【コメント】
 英国は、鉄鋼、アルミは追加関税ゼロ、自動車は10万台の輸入までは追加関税ゼロで決着したようだ。日本にとっては交渉の目安になりそうだ。

3.南アジアで危険が高まる
【記事要旨】
 インドとパキスタンは昨日、両国の軍事施設が攻撃を受け、国境沿いの両国で夜間に激しい砲撃と攻撃があったと報告した。国務省によると、マルコ・ルビオ国務長官は両国の指導者と会談し、「即時の緊張緩和」の必要性を強調した。
 両国は紛争のエスカレーションを望んでいないと主張し続けているが、現地の現実は、どちらもまだ後退する意思がないことを示唆している。
 戦略:インドはパキスタンの国際金融援助へのアクセスを制限する取り組みを進めている。
【コメント】
 ルビオが動いたが、効果は無さそうだ。両国の自制を求めたい。

その他のトップ記事
・ビル・ゲイツ氏:億万長者の慈善家であるゲイツ氏は、20年後に自身の財団を閉鎖する前に2000億ドルを費やす計画だ。
・デンマーク:トランプ政権がグリーンランドでスパイ活動を強化しているとの報道を受け、政府は同国にある米国領事館を閉鎖すると警告した。
・中東:イスラエルによる数ヶ月にわたる軍事作戦により、ヨルダン川西岸地区では数万人が避難を余儀なくされた。一部のパレスチナ人は、イスラエルが併合の準備を進めているのではないかと懸念している。

ロシア・ウクライナ
・ロシア:プーチン大統領は本日、独裁者連盟の「名士録」に名を連ねる人々と共に戦勝記念日の祝賀行事に参加する。モスクワにとって、これらの指導者の中で最も重要なのは中国の習近平国家主席である。
・ウクライナ:バフムートをはじめとするロシア占領地の都市では、戦勝記念日は小規模なコンサートやパレードといった静かな行事となり、時には瓦礫を背景に行われることもある。
・ナチスへの戦勝80年を迎え、戦後秩序を破壊するアメリカ大統領とヨーロッパは対峙している。

その他の出来事
・ハリウッド:48歳の男が、ジェニファー・アニストンを2年近くストーカー行為で追いかけ、自宅の正門に車を突っ込ませた罪で起訴された。
・スモーキー・ロビンソン:モータウン・シンガーの弁護士は、ロビンソンを性的暴行で訴えた4人の女性による訴訟は、彼から数百万ドルを巻き上げるための試みだと述べた。
・アガサ・クリスティ:1976年に亡くなったイギリスの小説家、アバターがオンラインのライティング講座を「指導」している。

2025年5月9日 金曜日