世界の動き 2025年3月10日 月曜日

今日の一言
「トランプ・スランプ」
 トランプ大統領登場時のトランプ・バンプ(株式市場の押上)は去り、SP500指数は最高値記録後、他の主要株式市場に比べ最悪のパフォーマンスとなった。
 米国株のバリュエーションの高さに注目が集まる中、米国の超大型株に慎重な運用担当者には、新旧の競合企業が魅力的になっている。
 例えば香港ハンセン指数は、アリババ・グループ・ホールディングやBYDといったテクノロジー大手にけん引され、年初から大きく上昇している。中国のテクノロジー企業が長年の不振から脱却できるとの期待が背景にある。中国が経済を活性化し、テクノロジー企業を支援しようとしていることが、その強さに反映されている。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.シリア指導者が団結を呼び掛け
【記事要旨】
 シリア暫定大統領のアハメド・アル・シャラ氏は昨日、先週、政府に所属する戦闘員と追放された独裁者アサド氏に忠誠を誓う者との間で暴力が勃発したことを受け、冷静さと団結を訴えた。
 シリア人権監視団によると、1,000人以上が殺害され、そのうち約700人の民間人は主に政府軍によるものだという。
「シリアには生き残るための基盤があるため、シリア国民に安心してほしい」とアル・シャラ氏は述べた。大量の殺害が自身の部隊による可能性を認めているのか、アサド支持派に全面的に責任を負わせているのかは不明だ。
 背景:戦闘は木曜日、アサド支持派の武装した男たちがラタキア県で政府治安部隊を待ち伏せしたことで勃発し、12月初旬にアサド政権が追放されて以来、最悪のものとなっている。
 反応:数千人が路上で抗議し、新政府に対する初の大規模デモとなった。住民は屋内にとどまるよう命じられ、治安部隊は混乱を封じ込めようと躍起になった。
【コメント】
 一時は統一が平穏の内に進むように見られたが、武装勢力が跋扈する国の統一は困難だ。

2.カナダの自由党が投票へ
【記事要旨】
 カナダでは昨日選挙が行われ、2人の中道派政策立案者がジャスティン・トルドー首相の後継者として自由党と国のリーダーを争った。勝者は総選挙を10月までに実施されなければならない。
 この選挙戦は、カナダ銀行とイングランド銀行の元総裁であるマーク・カーニーと元財務大臣のクリスティア・フリーランドの間で争われている。調査ではカーニーが最有力候補である。
 カナダ支局長は、「有権者は、カナダの経済と主権に対する最大の脅威と見なしているトランプ大統領との交渉を担当する人物を求めている。トランプ氏と交渉するのに保守党党首のピエール・ポワリエブル氏よりもカーニー氏とフリーランド氏を好んでいる。トランプ氏のカナダに対する執拗な脅しは、主流派保守党政治家であるにもかかわらず、トランプ氏に思想的に近すぎるとみなされているポワリエブル氏に不利に働いている」と述べた。
 候補者について知ろう:カーニー氏は、カナダを軌道に戻すことができる問題解決者だと自らを売り込んでいる。フリーランド氏の勝利の可能性は、有権者がトランプ氏の彼女に対する嫌悪を強みとみなすかどうかにかかっている。
【コメント】
 トランプのいじめがトルドーの下で弱体化した自由党を強化している。自由党の党員は40万人ほどで、彼らが当面の首相を決めることになる。

3.中国がカナダに関税と警告で反撃
【記事要旨】
 中国は今週末、カナダ産のキャノーラ、豚肉、その他の食品に最大100%の関税を課すと発表した。これは、カナダが昨年8月に中国製電気自動車、鉄鋼、アルミニウムの輸入に高額の税金を課す決定を下したことに対する報復措置だ。
 3月20日に発効するこの関税は、カナダ、そして間接的にメキシコに対して、貿易で米国と協力しないよう明確に警告するものでもある。

トランプ氏についてさらに
・トランプ大統領はインタビューで、自身の経済政策が景気後退を引き起こす可能性を否定しなかった。
・イランの最高指導者は、核交渉再開に関するトランプ大統領からの書簡に対する反応とみられる形で、「政府を脅迫している」と非難した。
・下院共和党は、9月30日まで政府に資金を提供する措置を発表した。民主党が反対すれば、金曜日から政府閉鎖が始まる。
・イーロン・マスクに対する人々の怒りが彼のビジネスを標的にし、テスラのディーラーと充電ステーションが暴力と抗議の標的となっている。
・イーロン・マスクの抑制されない権力に対するくすぶる怒りが閣僚会議で噴出した。
【コメント】
 中国とはカナダも関税問題を抱えていると知れる。イーロン・マスクの独断に異を唱える閣僚が出てきた。トランプはどのようにまとめてゆくのだろうか。

その他の記事
クロアチア:
 政府は先月、小売価格統制を導入し、小売ボイコットにつながった価格高騰を抑えようとした。
ロシア:
 トランプ政権は、より多くのクレムリン外交官の米国への帰国を交渉している。その一部はスパイである可能性が高い。
ドイツ:
 ハンブルクの空港は、地上職員の給与をめぐる1日のストライキのため、すべてのフライトをキャンセルしたと発表した。

犯罪:
 コロラド州の裁判官は、ライドシェアの運転手を装って12人の女性を誘拐した男に290年から終身刑を言い渡した。

2025年3月10日 月曜日

オールドメディア・ニューメディア

 ユーチューブで米国在住の映画評論家町山智弘氏の米大統領選についてのコメントを見た。

 驚いたのは、同氏の「今、アメリカの家庭ではTVの無い家が多い。TVはネットを映すスクリーンとしては使うが、CableTV契約も減ってきている。」というコメントだった。

 民主党が最終盤にビヨンセやレディーガガをハリス支持に引っ張り出したが、それについての同氏のコメントは「民主党は考えが古い。見ないテレビに、若者が飛びつかない大物を読んでも意味がない。視聴者数は最大で500万人程度だっただろう。トランプは息子のバロンの意見を聞いて積極的にSNSのインフルエンサ―に接触し、政治に興味の無かった20代の若者を自分に引き寄せることに成功した」と言うものだ。

 YouTubeで日本でも見ることが出来る保守的派のJoe Rogan Experienceの登録者数は約2000万人。大統領選の投票直前にトランプがこの番組に登場した回の視聴数は5000万回を超えている。

 イーロンマスクは大統領選前に登場しトランプを熱烈に支持。最近ではつい8日前に登場し、政府に関する自分の考えや未来を説明している。

 政治をショーとして見ている若者の取り込みに共和党の、とりわけトランプ一派は成功している。民主党の最大の弱点がそこにある。

2025年3月9日 日曜日

AI分野での世界のトップ100大学

 驚くべき記事(ダイヤモンドオンライン:野口悠紀雄氏による3月6日)を読んだ。要約すると以下だ。

 『信頼できるU.S.Newsの大学ランキングの分野別のランキングで「AI」(人工知能)を見ると、世界のトップ大学の大部分を中国の大学が占めている。
 上位10位までは(カッコ内は大学数)以下のとおり。
 中国(6)、シンガポール(2)、オーストラリア(1)、香港(1)
 トップ100位までを見ると、49校が中国の大学だ。続いて、アメリカ(12)、オーストラリア(9)、イギリス(7)、香港(5)、韓国(4)、カナダ(2)、マカオ(2)となっている。日本は、東大が128位に入るだけだ。』

 この後野口教授は「日本がゼロ校で、中国が49校とは! あまりの差に言葉を失う。」と記している。

 少し驚いたのは、オーストラリアが9校も入っていることだ。科学教育のやり方について、いまや教えを乞う時期に来ているのかもしれない。

 中国から日本へ美術留学生が急増していると聞くがAIやコンピュータサイエンスの分野で日本人にこだわらず中国人留学生の受け入れを進めるべきだ。

2025年3月8日 土曜日

世界の動き 2025年3月7日 金曜日

今日の一言

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.欧州首脳がウクライナと防衛について協議
【記事要旨)
昨日ブリュッセルで開かれた会議で、EU加盟27カ国の首脳は、大陸の防衛とウクライナへの支援の両方を強化する方法について協議した。フォン・デア・ライエン欧州委員長は、これを「転換点」と呼んだ。
欧州の目標は、米国の支援がそれほどなくてもロシアに対抗できるよう、より強力な武装を整えることだ。その目標を達成するため、欧州委員会はミサイル防衛、対ドローンシステム、その他の防衛技術に投資するため、1500億ユーロの融資を行う計画だ。
首脳らはまた、ウクライナの和平計画と、財政面、場合によっては軍隊による支援方法についても検討した。「我々は孤立していないことに非常に感謝している」と、会議に出席したウクライナのゼレンスキー大統領は述べた。
EU首脳らは大部分がウクライナを支持すると誓っているが、完全に一致したわけではない。
ハンガリーは、欧州理事会会議後に支援の共同声明に署名しなかった。ロシアの全面侵攻以来、EUのこのような声明に対する全会一致が崩れたのは初めてだ。
ハンガリーはこれまで、ウクライナ問題に関するEUの合意に加わることに消極的だった。
米国とウクライナの協議:トランプ大統領特使のスティーブ・ウィトコフ氏は、米国とウクライナの当局者は来週サウジアラビアで会談し、戦争終結について話し合う予定だと述べた。
核の傘:フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、フランスは核兵器による保護を欧州同盟国に拡大することについて話し合う用意があると述べた。
戦場:ロシアのミサイルが昨日、ウクライナ中部のゼレンスキー大統領の故郷のホテルを襲い、少なくとも4人が死亡した。
【コメント】
ロシアに2度侵攻された経験のあるハンガリーはどうして決議に加わらなかったのだろうか。オルバン首相はプーチンと親しいと言うだけで国の安全が保障されると考えているのだろうか。

2.トランプ大統領、カナダとメキシコに関税猶予を与える
【記事要旨】
トランプ大統領は昨日、米国・メキシコ・カナダ協定の対象となる製品を免除すると述べ、メキシコとカナダから米国への輸出品に対する新たな関税を1か月間停止した。
この措置は、25%の関税が深刻な打撃を与えると大統領に訴えていた自動車メーカーに30日間の猶予を与えた翌日に行われた。
トランプ大統領の動きは、北米経済と瀬戸際政策の駆け引きに変わった。株式市場は暴落し、米国の最大の貿易相手国であるカナダとメキシコとの貿易に依存する業界に混乱が広がった。

トランプ大統領についてさらに詳しく
・国務省は、今夏までに海外の12の領事館を閉鎖する計画を策定し、さらに多くの公館の閉鎖を検討している。
・トランプ大統領の2期目が始まって6週間以上が経過したが、ワシントン内外での政治討論に冷え込みが広がっている。
・判事は、政権による州への数十億ドルの援助の凍結を阻止する命令を延長した。
【コメント】
トランプは何をしたいのか不明だ。米国の自動車産業が真っ先に影響をうけることは猫でもわかる。トランプは猫以下か。

3.英国のポピュリスト指導者に資金を提供しているのは誰か?
【記事要旨】
ナイジェル・ファラージの右派政党「改革英国」は英国の世論調査で急上昇している。昨日、2024年第4四半期の寄付金の数字が発表された。同党は昨年、合計475万ポンドを集めたが、これは2023年の16万ポンド未満から増加している。
タイムズ紙はすべての寄付を分析した。化石燃料投資家、気候変動懐疑論者、大富豪からの資金流入が判明した。資金の3分の1は保守党への元寄付者からのもので、トランプのMAGA運動をモデルにしたグループから保守党が直面する危険を示している。
【コメント】
今は左派のスターマー首相がウクライナ支援に頑張っているが、英国も右傾化が進みそうだ。

その他の記事
韓国:
北朝鮮国境付近で訓練中、戦闘機2機が誤って村を爆撃し、15人が負傷した。
台湾:
頼清徳総統は、台湾の半導体大手が米国で1000億ドルを費やす計画は台湾に利益をもたらすと国民に安心させようとした。
テロ:
パキスタンはテロリストとの戦いで支援を必要としており、米国が指名手配しているテロリストの逮捕にパキスタンが協力すれば、将来的には協力が拡大する可能性がある。

2025年3月7日 金曜日

世界の動き 2025年3月6日 木曜日

今日の一言
「ドイツ国債金利急上昇」
 『ドイツ連邦債が大きく売り込まれ、過去35年で最大の下落となった。防衛力強化のため、ドイツが財政緊縮路線から転換する計画を打ち出すなど、欧州各国で財政支出が増え、経済成長が促されるとの期待が強まった。ドイツの10年物国債利回りは30ベーシスポイント(1bp=0.01%)上昇。1日の変動幅としては、ドイツ再統一への準備が進められていた1990年3月以来の大幅上昇となった。欧州経済が押し上げられるとの期待からユーロも買われ、欧州株式も上昇した。』Bloombergより
 欧州国債の金利感応度は高い。日本とのこうした違いが財政均衡への大きな誘因となるのだと実感する。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領のウクライナ支援停止が戦争の様相を変える可能性
【記事要旨】
 欧州各国の首脳は本日ブリュッセルで会合を開き、ウクライナを支援し、自国の軍事力を強化する方法について協議する予定だ。トランプ大統領は昨日、軍事支援の停止に続いてウクライナとの米国情報共有を停止すると決定したが、これは戦場の秩序を変える可能性がある。
 米国当局は、ゼレンスキー大統領がホワイトハウスの要求に屈すれば、武器の輸送と情報共有の停止は比較的短期間で済む可能性があると示唆している。
 タイムズのキエフ支局長は「ロシアが弱体化したウクライナから短期間で軍事的利益を得られる可能性があると見なせば、モスクワにとって交渉の動機は薄れるだろう」と語った。
 同氏は、トランプ大統領は「ウクライナに対し、条件が何であるかを知らずに、事前に条件に同意するよう求めている」と付け加えた。
 アナリストらによると、米国製の武器がなければ、ウクライナ軍はわずか4カ月で崩壊し始める可能性がある。ウクライナの軍事装備の約20%は米国製だが、その20%は「最も致命的で重要」だと専門家は語った。
 和解:先週ホワイトハウスで衝突したトランプとの関係を修復するため、ゼレンスキー氏は欧州の指導者らからトランプ氏の好意を取り戻すための指導を受けている。
 ロシア:同国の国営テレビは論調を変えている。米国は結局それほど悪くない。
【コメント】
 いくら欧州が頑張っても、親分同士の気ままな手打ちしか戦争を止めることは出来そうもない。ゼレンスキー大統領はトランプへ詫びを入れたようだがこれで十分だろうか。指を詰めろとか、次は何をトランプは言いだすのだろうか。

2.最高裁がトランプ大統領の援助凍結に介入
【記事要旨】
 最高裁は昨日、政府支出削減の一環としてトランプ大統領が要請した約20億ドルの対外援助の凍結を却下した。5対4の投票で、援助凍結の決定は下級裁判所に差し戻された。下級裁判所の判事は、トランプ政権は援助の全面的停止について何の説明もしていないと述べた。
 最高裁のリベラル派判事3人に加え、保守派判事2人が判決を下した。これはトランプ大統領の支出削減に対する最高裁の最初の動きの1つだ。最高裁の過半数がトランプ大統領の代表的なプロジェクトの1つに不利な判決を下したことは、保守派が大半を占める最高裁が示唆する以上にトランプ大統領へ懐疑的な姿勢を見せることになることを示唆している。

トランプ大統領についてさらに詳しく
・トランプ大統領は、カナダとメキシコから米国に輸入される自動車への関税を1か月間停止すると述べた。
・関税をめぐる経済的不確実性が世界市場に波及し、原油価格は下落した。下院共和党議員らは、ニューヨーク、デンバー、ボストン、シカゴの民主党市長らが犯罪移民をかくまっていると非難した。
・トランプ氏は自信たっぷりにグリーンランドの住民に「金持ちにする」と語ったが、住民は感心しなかった。
・大統領は火曜日の夜、議会で重要な演説を行った。政府を混乱させたことを祝ったが、その代償については触れなかった。
・南アフリカは、ワシントンとの緊張が高まっている中、トランプ氏に提示する新たな貿易提案を準備している。
【コメント】
 米国は一国中心主義に固まってる。この間、グローバルサウス諸国に中国は接近している。

3.中国の女性、小屋、そして謎
【記事要旨】
 3年前、あるビデオブロガーが中国東部の村で小屋に偶然出くわした。
 小屋の中には、ぼんやりして震え、首に鎖でつながれた女性がいた。そのビデオは、多くの観察者が近年の中国の歴史における女性の権利に関する最大の瞬間と呼ぶ出来事を引き起こした。共産党は数週間にわたって全国的な抗議を鎮圧しようと奮闘した。最終的には鎮圧されたが、完全に鎮圧されたわけではなかった。秘密裏に、より決意の固い新世代の活動家が台頭していたのだ。
 小屋の女性とその支持者に何が起こったのかをタイムズ記者は突き止めようとした。
【コメント】
 肝心の突き止めた内容を読むことが出来ません。すいません。

その他の記事
中東
外交:
 米国とハマスの当局者は、ガザ地区で拘束されている人質についてカタールで協議し、ハマスとの直接交渉を拒否するという米国の方針を破った。
シリア:
 北東部での戦闘が激化し、ダマスカスの新政府による国土統一の取り組みが頓挫する恐れがある。
ガザ:
 ガザの再建計画には多くの疑問が残っており、パレスチナ人の戦後未来は解決に近づいていないようだ。

その他の地域
ドイツ:
 ドイツでのテスラの販売は2月に急落し、欧州全体の不振の一因となった。
英国:
 チャールズ3世は、英国の君主としてはほとんど前代未聞のやり方で、ウクライナ、ロシア、トランプをめぐる外交争いに介入している。
科学:
 アンドリュー・バートとリチャード・サットンは、ChatGPTのようなチャットボットに不可欠な技術である強化学習に関する研究でチューリング賞を受賞した。

2025年3月6日 木曜日